地域保健課の保健師ら。感染者の行動履歴を調べたり、濃厚接触者を特定したりする疫学調査を担う=2021年8月17日午後0時7分、金沢市保健所、川辺真改撮影 毎日発表される新型コロナウイルスの感染者数の裏には、感染者らと向き合い、苦闘する保健所の職員たちがいる。患者の疫学調査や入院調整などを担う。ある保健所の1日に密着した。現場の職員は言った。「ここは先の見えない戦場だ」 JR金沢駅から北西に1・7キロ。8月中旬のお盆明けの火曜日、住宅街の一角にある金沢市保健所を訪れた。 午前8時半 始業時間。2階の地域保健課で電話が鳴り始めた。 「食事の時はマスクを外して会話はしましたか?」 「体調にお変わりないですか」 フロアはコールセンターのようだ。 同課では現在、課員30人と他部署の応援職員ら30人を合わせた計約60人が常駐する。大半の職員が、感染者や医療機関との電話対応に当たる。 昼休み明けのミーティング。前夜に発生した感染事例について、宮崎陽子・課長補佐(左から4番目)が報告した=2021年8月17日午後1時、金沢市保健所、川辺真改撮影 同課が担うのは濃厚接触者を探る疫学調査や、自宅療養になった感染者・濃厚接触者の健康観察、症状が重い感染者の入院調整などだ。患者を移送することもある。車両更新に伴って消防から譲り受けた救急車を使う。 金沢市は8月2日から、5月に続き2度目のまん延防止等重点措置の対象に指定されている。月別の感染者数は6月に115人だったのが、8月は1115人(27日現在)になった。 毎日、医療機関から新規の感染者の届け出が数十件ある。聞き取りできない感染者が毎日必ず生まれ、翌日以降に積み残しになる。この日も電話は鳴りやまず、記者が職員に取材で声をかけるタイミングはほとんどなかった。 苦情を言われ、怒鳴られ、時にうそも言われる。保健所の職員たちはどう対応しているのでしょうか。帰宅が日を回る過酷な日々の中で、数少ない息抜きもありました。 午後0時半 昼休み。保健師… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「白い濁流」に主演の伊藤淳史「どんな荒波がきても…」
22日に始まったドラマ「白い濁流」(BSプレミアム、日曜夜10時)で、俳優の伊藤淳史が主演を務めている。薬学を志す研究者らの暗闘を描いた社会派エンターテインメント。常に優しい語り口の俳優は、子煩悩な父親でもあり、「毎日が劇的で、不可抗力そのもので、それが幸せ」という。 取材日は第3子となる次男が生まれる前日だった。 「子どもの存在が力になっています。大切な仲間が増えて、どんな荒波が待ち受けていようとも前に進む気持ちが強くなっています」 演じている主人公の好並一樹… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:853文字/全文:1090文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「これまずいかもと」 富士急ド・ドドンパ体験者語る
遊園地の富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)の宙返りコースター「ド・ドドンパ」に乗り、首を痛めたという男女2人が朝日新聞の取材に応じた。いずれもコースターが発進する際の急加速時に痛めたと訴えている。園は12日から運転を休止。国と県による事故調査に協力している。 「スタート時にいきなりビューンって加速するんですよ。その時、首がガタガタガタと上下に揺さぶられて、あ、これはまずいかもと思いました」 7月3日に富士急ハイランドを訪れ、ド・ドドンパに乗ったという20代の女性はそう振り返った。 首に違和感が生じ、降車後に動かしてみると痛みが走った。「むち打ちかな」と思い様子を見ていたが、1カ月以上たっても痛みがひかない。乗客の負傷が相次いでいることを8月20日にニュースで知り、翌日、整形外科を受診。検査を経て「第二頸椎(けいつい)の骨折」が判明したという。 ド・ドドンパのスリルと迫力は、絶叫マシンで有名な富士急ハイランドの中でもいちばんだと思う。「でも、まさかけがをするとは思わなかった」 新潟市のDJ八木誠一さん(43)は3年前に家族で行き、ド・ドドンパで首を痛めたという。 「発車した瞬間、首が後ろのシートにたたきつけられた」。降車後も寝違えたような痛みが続き、その日はもう、せっかくのレジャーを楽しめなかった。痛みは2日ほど続いたという。 この話を高校時代の先輩に話すと、「俺もド・ドドンパで痛めた」という反応が返ってきた。「自分は軽症だったからよかった。首が痛くなる可能性のあるものを乗り物にしてほしくない」と話した。 県が25日に設けた負傷者相談窓口には、27日までに22件の相談が寄せられたという。 医師「通常は考えられない」 園からの報告を受けて山梨県… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:865文字/全文:1609文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
60年かけついに花、高さ8mの珍しい植物 家族が伐採
大久保泰2021年8月28日 10時00分 千葉県我孫子市で約60年かけて花を咲かせたメキシコ原産の「アオノリュウゼツラン」が22日、伐採された。高さ8メートルまで伸びた珍しい植物を見ようと市内外から多くの人たちが訪れていた。 この日、所有者の椎名恒久(ひさゆき)さん(82)の家族らがチェーンソーやノコギリで切断した。台風シーズンが近づき、倒れるのを防ぐためだ。7月末の台風8号が接近した時からロープで支えていた。椎名さんは「できるだけ多くの人に見てほしかった。このあたりが頃合いかな」と話した。 隣の家の河合正治さん(72)は5月初旬、2階の寝室の窓から、高さ2メートルほどの株から花茎が伸び始めるのに気づいた。以来、「どんな花が咲くのか」と楽しみに見守ってきた。7月中旬から淡い黄色い花が咲き始め、下の方から高さ8メートルほどの所まで約1カ月咲いていたという。 旧水戸街道沿いの空き地に育ったアオノリュウゼツランは、通りかかる人の目に留まり、話題のスポットになった。都内から来た40代の女性は、河合さんに「メキシコに4年住んでいてリュウゼツランはあったけれど、花を見たことがないので来ました」と話したという。 2階の部屋から見せると翌日、お礼にと、リュウゼツランの葉脈から作った魔よけと、お酒のテキーラを持ってきてくれた。リュウゼツランはテキーラの原料として使われている。 伐採作業も見届けた河合さんは「2階から見ていると、多くの見物人がスマホで写真を撮るためにしゃがんで仰ぐようにしているので、拝んでいるように見え、神々しさを感じた」と話す。枯れた花の一部を記念にもらったという。(大久保泰) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「いじめ調査迅速に」文科相求める 旭川いじめ問題
本田大次郎2021年8月28日 6時15分 北海道旭川市で3月、中学2年生だった広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が遺体で見つかり、市教育委員会の第三者委員会がいじめの有無などを調査している問題で、萩生田光一文部科学相は27日の閣議後会見で、児童生徒課長を市教委に派遣し、速やかに調査を進めるとともに、調査の進み具合を遺族に報告するよう指導したことを明らかにした。 広瀬さんの母親は18日、弁護士を通じ広瀬さんの実名を明かして手記を公表。手記では、広瀬さんは中1の時、深夜に先輩から呼び出されたり、「死にたい」と言い出したりするようになり、学校や市教委に何度も相談したが、いじめは認められなかったと説明。第三者委の調査について「今も違和感と疑問をぬぐい去れない」と記した。 この日の会見で萩生田文科相は母親の手記に触れ、「遺族の意向をうかがいながら調査を迅速かつ適切に進め、第三者委の中立性を担保しつつ、遺族の不安感や不信感を軽減させるため、遺族に進捗(しんちょく)状況をしっかりと報告するよう伝えた」と述べた。 これを受け、市教委は週明けにも黒蕨真一教育長らが記者会見を開き、調査の進み具合を説明するとしている。 第三者委は弁護士や臨床心理士らからなり、6月からいじめの有無や死亡との因果関係、当時の学校や市教委の対応などを調べている。(本田大次郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ボール遊び解禁に歓声 学校始動「備え」と「日常」模索
新型コロナウイルスの感染が子どもにも広がり、夏休みを延長する自治体もあるなか、一部の学校では授業が始まっている。感染をこれまで以上に警戒し、臨時休校への備えもしながら、子どもたちが安心して学べる環境をどうつくるのか。模索が続いている。 「先生、なんかつかない」「どうすればいいの?」 東京都新宿区立早稲田小学校(児童数約600人)の教室で27日、1年生の児童がタブレット端末を操作しながら次々に質問した。休校などでオンライン授業になったときに備え、遠隔会議システム「Teams(チームズ)」の使い方を学ぶ授業だ。 多くの子が無事に接続できたが、アプリが見つからなかったり、「開始」ボタンを押せなかったりして戸惑う子も。対応に追われた担任の小杉香織教諭は「一人でつなぐには、もう少し練習が必要」と話す。 Teamsの練習は、始業前日の24日に宇山幸宏校長が指示した。同校では通信環境の不備などで、1人に1台配備された端末がまともに使えるようになったのは、夏休みに入る少し前だった。操作に慣れていない子や教員がいる。今後、分散登校やオンライン授業になる事態も想定し、備えが必要と判断した。「親が共働きなどで、日中は一人になる子もいる。自分でできるようにしてあげないと」 感染対策を強化、一方で「解禁」も 感染対策は、夏休み前よりも強化した。冷房中も常に窓を開けて換気し、給食は無言で食べるよう徹底。各教室に置いたアルコール消毒液で、たびたび手指の消毒をさせる。 一方で、できるだけ「いつも通り」の学校活動を続けることが大切だと考え、ボール遊びを解禁。伝えると、待ち望んでいた子どもたちから歓声があがった。音楽の授業での楽器演奏も、必要な感染対策をしたうえで復活したいという。始業後、保護者からは「学校が始まってよかった」との声が届くが、休校しないことへの批判は聞こえてこないという。 宇山校長は「コロナ生活は長引くと思う。休校に備えながら、どうすれば通常に近い活動ができるか。工夫していきたい」と話す。 小学生の2割がオンライン授業を希望 すべての小中学生に「1人1… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:310文字/全文:1202文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
淡路島の「観音さん」が解体へ 国が8億円超の税金かけ
バブル期直前、兵庫・淡路島に建てられた「世界平和大観音像」の解体に向けた作業が始まった。高さは約100メートル。展望台を備えた民間の観光施設として注目を浴びたが、この十数年は放置され、倒壊を心配する声が出ていた。国が民法の手続きを経て引き取り、税金を投入して解体する。(徳永猛城) 解体される世界平和大観音像=2020年、兵庫県淡路市、朝日新聞社ヘリから、高橋一徳撮影 淡路島の北東部、海沿いを走る国道28号を南下すると、巨大な白い観音像が見えてくる。5階建ての台座ビルの上に、大阪湾を見下ろすように立っていた。 兵庫県淡路市などによると、地元出身の不動産業者の男性が1982年に建てた。像内部のエレベーターで展望台のある首のあたりまで昇ることができた。男性は周囲に「世界の平和と大阪湾を航海する船の無事を祈願して造った」と話していたといい、元パート従業員の女性(73)は「故郷に錦を飾るという気持ちがあったと思う」と振り返る。 レストランや美術館もあり、地下1階にはクラシックカーが展示されていた。85年には淡路島と徳島をつなぐ大鳴門橋が開通し、四国から観光バスが乗り付けた。休日には1千人ほどの客が訪れたという。 当時のパンフレットには「豊清山 平和観音寺 世界平和大観音像」とあり、固定資産税などが原則非課税となる宗教法人の設立をめざしたとみられる。実現はしなかったものの、地元では「観音さん」と呼ばれてきた。 だが、所有者の男性は88年… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:589文字/全文:1173文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
緊急事態拡大、現場に手詰まり感 小出しで効果に疑問も
新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言は27日、北海道、宮城など8道県が新たに対象に加わり、適用地域は計21都道府県に広がった。宣言の効き目の薄れが指摘される中、追加地域では対策の手詰まり感がにじむ。毎週のように小出しに地域が追加される現状には識者からは疑問の声も出ている。 北海道では7月下旬から急速に感染者が増え、18日に約2カ月半ぶりに1日あたりの新規感染者数が500人を超え、現在も400~500人台で推移する。感染者の半数以上を占める札幌市では実質的な病床使用率は6割を超える。 「お盆の前に宣言出してほしかった」 政府は今月2日から北海道にまん延防止等重点措置を適用し、道は札幌市などを対象区域としたが、その後も道内の感染は拡大。ただ、道が政府に宣言を正式に要請したのは19日だった。札幌市の秋元克広市長は25日、「本来ならお盆など人の動きが出る前に宣言を出してもらいたかった」と苦言を呈した。 宣言下では、北海道全域で飲食店の時短などが求められるが、重点措置の対象だった札幌市などではすでに酒類提供の終日停止を実施しており、宣言後も対策はほぼ変わらない。独自策は、商業施設の土日セールの自粛や高校での午後4時までの下校徹底などにとどまる。鈴木直道知事は「今のわが国では、政府が対策を決定している。この中で実効性を上げて、とにかく感染を抑制させなければならない」と語った。 8月に入って感染者が急増した宮城県。1日あたりの新規感染者は25日に301人まで増え、仙台市周辺の医療圏では一時、当日受け入れ可能な病床の99・5%が埋まった。村井嘉浩知事は26日の会見で「一部の救急搬送や手術に支障が出始めている。救急患者を受け入れられないという首都圏で起きていることが、すぐ目の前まで来ている」と危機感を強調した。 仙台市青葉区のカラオケ居酒… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:862文字/全文:1651文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
米軍、PFOS含む水放出の正当性主張 政府・県は抗議
沖縄の米海兵隊が、発がん性が疑われる有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス)を含む水を普天間飛行場(宜野湾市)から下水道へ放出した問題で、一夜明けた27日、日本政府や地元から次々と批判の声が上がった。岸信夫防衛相は中止を求め、抗議したことを明らかにした。一方、米軍は沖縄県の抗議を受け付けず、放出の正当性を主張した。 県によると、県は米側に抗議のための面会を要請したが「意見交換なら受ける」と伝えてきた。その後、謝花喜一郎副知事が米海兵隊の司令部があるキャンプ瑞慶覧(北中城村など)で米軍の担当者と面会した。 終了後、報道陣の取材に応じた謝花氏によると、米軍は処理水に含まれるPFOSなどの濃度について「日本の環境基準に適している」と安全性を強調。謝罪はなかった。放出理由については、基地内に長期間保管しておくことに不安があり米軍の判断で行った、という趣旨の説明をした。 放出予定だった約6万4千リットルの放出は26日中に終え、今後の対応については、日米両政府で話し合っていきたいとの考えを示したという。謝花氏は「見切り発車で放出した米軍の認識は、県民とのギャップを感じる。日本政府、沖縄県の信頼を著しく損なう行為だと強く申し入れた」と語った。 岸防衛相は27日の閣議後の… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:440文字/全文:981文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パラ選手と接触事故、車開発のトヨタ社長「申し訳ない」
2021年8月27日 21時55分 東京パラリンピック選手村で26日、柔道(視覚障害)男子81キロ級の北薗(きたぞの)新光選手(30)とトヨタ自動車が開発した自動運転車「eパレット」が接触する事故が起きた。これを受けて、トヨタ自動車の豊田章男社長は27日夜、自社メディア「トヨタイムズ」の配信番組に出演し「多くの方にご心配をおかけし、申し訳ない」と陳謝した。その後、報道陣の取材に応じた。 豊田社長によると、事故は選手村内のT字路をeパレットが右折した際に発生。横断歩道でいったん停止した後、オペレーターが手動操作で発進した直後に、歩行中の北薗選手と接触したとみられるという。 豊田社長は事故時の状況について「車内からは(歩行者が)死角だった」と説明。その上で、事故の要因については「パラリンピックの会場で、目が見えないことや耳が聞こえないことへの想像力を働かせられなかった」と述べた。 事故後、選手村でeパレットの運行は取りやめている。トヨタはeパレットが走行中に出す接近音の音量を大きくするなどの再発防止策を検討しているが、豊田社長は「我々が絶対安全だといえる立場ではない」と述べ、運行再開には慎重な姿勢を示した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル