伊藤稔2021年8月17日 9時30分 徳島市の阿波踊りは15日、グランドフィナーレが無観客のワークスタッフ陸上競技場で開かれた。新型コロナウイルス対策のため、規模を縮小して開かれた祭りは、4日間の日程を予定通り終えた。 グランドフィナーレには、阿波おどり振興協会15連と学生連を含む一般連5連の計20連が参加。徳島文理大学連を皮切りに、各連はメインスタンド前のトラックで次々と流し踊りを披露した。最後は有名連が一斉に踊る総踊りが披露された。 2年ぶりの開催に、参加者は踊れる喜びと感謝を口にした。徳島文理大4年の奥田啓太さん(21)は「学生生活最後の阿波踊り。こんな形で踊れてとても光栄です」。一般連はこの日限りの参加となり、無作連の前川たかまさ連長(37)は「1日だけでも踊れる機会をいただけてありがたい。この状況が改善されることを心から願っている。元通り楽しく踊れれば」と期待を込めた。 今夏の阿波踊りは新型コロナ感染拡大の影響を受け、市は有料演舞場の開催を断念。屋内会場を中心とするなど異例の開催となった。阿波おどり振興協会の山田実理事長(68)は祭りを終え、「感無量です。今やれるところを精いっぱい踊り子たちとやり、一般連も参加し絆を深めることができた」と振り返った。 これまでの実行委に代わり、主催を担った徳島市の内藤佐和子市長は「やり切った。コロナ下でのチャレンジは成功したと思う。どういう状況になっても、それに応じた阿波踊りを考えていかないといけない。阿波踊りを次につなげていくことを毎年積み上げていきたい」と話した。 阿波踊りは、この5年間ほど運営体制が安定しない状態が続いており、市は来年以降の新たな体制について検討委員会で議論を続けている。新型コロナの収束が見通せないなか、運営方法や安定的な体制をどう築くのか、課題は多い。(伊藤稔) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
非常に激しい雨、厳重警戒を 西日本や東日本、北日本で
山本孝興2021年8月17日 10時18分 日本付近に停滞する前線の影響で、17日は九州を中心に朝から記録的な大雨になっている。雨域は今後、西日本や東日本、北日本まで広がり、非常に激しい雨が降るところがある。気象庁は河川の氾濫(はんらん)や土砂災害に厳重な警戒を呼びかけている。 気象庁によると、鹿児島県では、16日に8月の平年1カ月分以上の雨が降った所もあるが、17日も朝から雨が強まっている。鹿児島県枕崎市では午前8時20分時点で、3時間雨量が8月の観測史上1位を更新した。九州以外でも雨が強まっており、和歌山県日高川町では1時間に79・5ミリを観測して8月の記録を更新した。 17日午前9時45分現在、九州と和歌山の計6県に土砂災害警戒情報が発表されている。九州では降り始めからの総雨量が1千ミリを超えた地域もあるが、前線は20日にかけて停滞する見通しで、今後さらに雨量が増えるおそれがある。地盤が緩んで災害の危険性が高まっており、気象庁は早めの行動を呼びかけている。 18日午前6時までの24時間に予想される雨量は多いところで九州、四国250ミリ▽中国、東海200ミリ▽近畿180ミリ▽関東甲信120ミリ▽北陸100ミリ▽東北80ミリ。19日午前6時までの24時間では、四国、東海100~200ミリ▽中国、近畿、関東甲信100~150ミリ▽九州、北陸、東北50~100ミリの見込み。(山本孝興) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
結局いつもの金メダル報道 内向きだった日本のメディア
コロナ禍という異例の夏に開かれた東京五輪が幕を閉じた。初の「テレビ五輪」となった1964年は国民の多くが熱狂したが、今回は様相が違った。その要因はどこにあるのか。メディアが果たした役割は何なのか。これからの五輪はどうなっていくのか。日本のメディアの歴史を研究し続けてきた佐藤卓己さんに話を聞いた。 五輪反対社説、国民感情を楯に出したように見えた 佐藤卓己さん(京都大学大学院教授) ――コロナ禍での五輪開催には反対の声も少なくありませんでした。朝日新聞は5月、「中止の決断を首相に求める」という社説を掲載しました。 「5月下旬、信濃毎日新聞、西日本新聞、朝日新聞の順に、五輪開催に反対する社説が出ました。3紙はいずれも戦前、政府や軍部と対立した歴史がある。信濃毎日は1933年、桐生悠々が書いた軍部批判の社説『関東防空大演習を嗤(わら)ふ』で知られます。西日本の前身の福岡日日にいた菊竹六鼓は32年の五・一五事件に際して社説で軍部批判をしました。大阪朝日は18年に掲載した記事を巡り、政府と対立した『白虹事件』が起きています。こうした記憶が政府批判の社説を書く踏み切り板になるとすれば歴史はやはり重要です」 「ただ、社説が出る前から、五輪への支持率が低いことは世論調査で明らかになっていました。調査結果の報道前に書けば勇気あるオピニオン(輿論(よろん))だったと思いますが、国民感情を盾に社説を出したように見えました。世間の空気(世論(せろん))を反映しているだけだから大丈夫、という心理も働いていたように感じます」 ――新聞は情緒的な世論を後追いしたように見える、と。 国民的な熱狂につながった1964年の東京五輪。実は当時も、必ずしも多くの国民が開催を望んでいたわけではありませんでした。今回の五輪と、何が違ったのでしょうか。そして、メディアが果たすべき役割とは。 「いまはひとくくりにされて… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:3949文字/全文:4655文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
週刊文春、中づり広告を終了へ 「一つの文化だった」
「週刊文春」が8月26日発売号を最後に電車の中づり広告を終了する。同誌は約51万7千部(日本雑誌協会調べ)と業界トップ。首都圏を中心に通勤時の風景として定着した「中づり」はなくなってしまうのか。 同誌の加藤晃彦編集長は「中づりは雑誌の象徴というべき『ブランド広告』でもあり、一つの文化だった」と話す。 地下鉄・東京メトロの広告会社・メトロアドエージェンシーの営業担当者によると、「雑誌の中づり広告は近年減っている」という。同誌の撤退で、減少傾向に拍車がかかる可能性がある。 中づりは、通勤時に興味を持った会社員らが駅の売店で雑誌を購入するという「すぐれたビジネスモデル」(加藤氏)だった。 だが、ニュースの鮮度が短期間で下がりやすいネット時代には合わなくなりつつある。中づりには雑誌編集の自由を縛る「足かせ」の面があるからだ。 誌面校了よりも1日早いという苦しみ 中づり広告は、右側(右トップ)には政治家の汚職など硬いニュースを置き、左側(左トップ)には芸能や医療・健康などの軟らかいニュースを置く。その間に他の記事の見出しを並べる。誌面の骨格を中づりを作成する段階で定める必要がある。 週刊文春の誌面の校了は火曜夜だが、中づりは日曜にほぼ完成させ、月曜夜に校了する必要がある。そのため火曜の時点で、重大な事件が発生したり、スクープをつかんだりした場合、誌面に入れられても中づりには間に合わない。 一方、特報や速報を途中から割り込ませるために中づりで予告した記事を誌面から外せば、読者や書店からクレームを受ける恐れがある。 コスト削減し 電子版強化に資本投下 また、同誌は今年3月に電子版を開始した。記事の完成から読者に届けるまでの時間を少しでも短くしようと、木曜以降に全国で発売される雑誌本体に掲載のスクープ記事すべてを、水曜午後4時に配信している。 9月には電子版を宣伝するためのキャンペーンを展開する方針で、中づり広告終了で浮いた費用を電子版の宣伝費などに充てる。 同誌は現在、中づり広告を東京メトロの丸ノ内線、日比谷線など5路線で計1700枚、大阪メトロで計約1500枚掲示している。メトロアドエージェンシーによると、5路線で2~3日間掲示の正規料金は、128万6千円。割引などがあるため、実際の額は不明だが、年間で数千万円以上のコスト削減効果がありそうだ。 「デジタル時代は、その媒体でしか読めないコンテンツでないと、お金を払ってもらえない。スクープとデジタルの相性はよく、中づり広告終了を攻めの一手とし、電子版にさらに力を入れていきたい」と加藤氏は話している。(赤田康和) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
先生、僕の酒は天国に届きましたか ラベルが呼んだ奇跡
本当は絵を学びたかったのに、滑り止めで受けた東海大の海洋学部へ進んだ杉原慶樹さん(45)。 大学教授だった上野信平さんに出会ったことで、人生は大きく変わった。 沖縄県西表島での1年間の住み込み研究、勧められて行ったミクロネシア連邦での養殖指導。 そしては今は、実家がある岐阜県大野町で日本酒を造っている。 ◇ 上野教授と出会ったのは、今から20年以上前。 まだ携帯電話も普及していないころのことだ。 研究室にパソコンはあったが、上野教授は電源の入れ方もわかっていなかった。 ただ、学生たちの適性を見抜く能力はすばらしかった。 誰が何を出来るか、何と言えばどう動くかを把握していた。 的確な指示を出して、自らは触ることなくパソコンを活用していた。 そんな中、自分が頼まれたことは意外な内容だった。 「コーヒーを入れてくれ」 やる気も能力もイマイチだと… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1989文字/全文:2380文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
富山県、最多の77人感染 近く飲食店に時短要請へ
富山県は16日、新たに77人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。1日の新規感染者としては12日の71人を超え、過去最多になった。 同県内では8月に入ってから感染者が急増し、県は16日から県独自の警戒レベルを、最も高い「ステージ3」に引き上げている。近く飲食店などに営業時間短縮を要請する方針だ。 同県内の累計感染者は3036人、入院は232人、うち重症者は7人。死者は38人になっている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元ひめゆり平和祈念資料館長、宮良ルリさん死去 94歳
2021年8月16日 17時30分 ひめゆり平和祈念資料館(沖縄県糸満市)の元館長、宮良(みやら)ルリさんが12日、敗血症で死去した。94歳。葬儀は家族で営んだ。喪主は次男の光昭さん。 1945年、沖縄師範学校女子部在学中に「ひめゆり学徒隊」に18歳で動員され、負傷兵の看護にあたった。戦後は県内外で経験を語り継ぎ、89年の資料館開館にかかわった。10~11年に館長を務め、体調を崩す13年3月まで証言員を続けた。著書に「私のひめゆり戦記」(ニライ社)がある。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
解体された国立競技場そばのアパート、映画に残した最後の日々
東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの主会場となった国立競技場の再建に伴う再開発で解体された都営霞ケ丘アパートの最後の日々を追ったドキュメンタリー映画「東京オリンピック2017 都営霞ケ丘アパート」が公開中だ。 「五輪は平和の礎。でもその陰で悩み、悲しみ、つらい思いをした者がいることに気がついてほしい」 映画が公開されているアップリンク吉祥寺(東京都武蔵野市)で14日、元住民の甚野公平さん(87)は青山真也監督とともに舞台あいさつに立ち、そう語った。 霞ケ丘アパート(計10棟)は1964年東京五輪に向けた再開発の一環で建てられた。2012年、国立競技場の建て替えに伴って約200世帯の住民に16年1月を期限とする退去勧告が出された。 住民の多くは高齢者。配偶者… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:727文字/全文:1067文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東海再処理施設の廃止作業2年ぶり再開へ 完了に70年
川村剛志2021年8月16日 20時00分 日本原子力研究開発機構は16日、東海再処理施設(茨城県)の廃止作業の一環として、高レベル放射性廃液をガラスで固める作業を17日に再開する、と発表した。機器トラブルのため、約2年間中断していた。完了まで70年、少なくとも1兆円の費用を見込む工程への影響はないとしている。 施設には、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す「再処理」の過程で生じた高レベル放射性廃液約358立方メートル(今年3月末時点)が残る。2028年度末の完了を目指し、19年7月に廃液を溶かしたガラスと混ぜて固める作業をいったん再開したが、月内のうちに中断していた。機構は「(計画を)守るべく努力をしていく」としている。 東海再処理施設は、1981年に日本初の再処理工場として本格運転を開始。2007年までに使用済み核燃料1140トンを再処理した。老朽化に加え、東京電力福島第一原発事故後に導入された新しい規制基準への対応に費用がかさむことなどから廃止を決定。18年に約70年かかる廃止計画が原子力規制委員会に認可された。(川村剛志) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全国知事会、新会長に平井・鳥取県知事 40人が推薦
2021年8月16日 20時22分 全国知事会の新会長に平井伸治・鳥取県知事(59)が選ばれることが16日、決まった。会長選の候補者推薦が同日締め切られ、平井氏以外に届け出がなかった。30日の全国知事会議で正式に選任される。任期は9月3日から2年間。2019年9月から会長を務めた飯泉嘉門・徳島県知事は2期目を目指さない意向を表明していた。 会長選には5人以上の知事からの推薦があれば立候補できるが、平井氏を推薦した知事は40人で、選挙による会長選出が始まった03年以降で過去最多。平井氏は自治省(現総務省)などを経て07年4月に知事に就任し、現在4期目。全国知事会では新型コロナ緊急対策本部の本部長代行などを務めた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル