太平洋に面した北海道根室市桂木地区の一角に、旧日本陸軍の小型防御用陣地「トーチカ」が二つ、色とりどりに咲き競う夏の花々に囲まれて立っている。 トーチカは、太平洋戦争末期の1943(昭和18)年暮れ、警備大隊長として根室に赴任した大山柏少佐が建設の指揮を執った。少佐は元老、元帥の大山巌と、明治政府初の女子留学生の一人・山川捨松夫妻の息子で公爵だった。 大山少佐は赴任当時54歳で、予備役入りして考古学の研究に専念していたが、戦況悪化で再招集された。トーチカ建造の資材も資金も足らず、自身の家を抵当に入れて工面するなど労苦の多かった日々が、「応召日誌」や戦後の回想録に生々しく描かれている。 根室半島には各地にトーチカ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:238文字/全文:550文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪選手への中傷、津田大介さんが指摘した対策と責任
2021年8月5日 17時34分 朝日新聞デジタルで6月に始まった「コメントプラス」。最新のニュースや話題を伝える記事に続けて、専門的な知識や豊かな知見をもつコメンテーターのコメントを読むことができます。記事の見出し横にある吹き出しマークが目印。最近注目を集めたコメントの中身を紹介します。 「五輪選手へ相次ぐ中傷」の記事に津田大介さんと犬山紙子さんがコメントプラス 7月31日配信の記事「五輪選手へ相次ぐ中傷 人格否定、被爆地からかう言葉も」(https://www.asahi.com/articles/ASP7064BDP70UTIL011.html)には、ジャーナリストの津田大介さんがコメント。誹謗(ひぼう)中傷した匿名の投稿主を「特定」するための費用が裁判で全額認められるケースが増えていることや、今年の通常国会でプロバイダー責任制限法が改正され、発信者特定のプロセスが簡素化されたことを分かりやすく紹介。ただそれでも本質的解決にはならないとし、「SNSを運営するプラットフォーム事業者が自主的に取り組みを行うほかありません。五輪でアスリートや著名人への誹謗中傷問題が深刻化したいまだからこそ、プラットフォーム事業者にはより高い社会的責任、実効力のある対策を提示する責任が求められます」と指摘しました。 エッセイストの犬山紙子さんもコメント。「生涯を通じて5人に1人が心の病気になると言われる中、心の病への理解遅れは命に関わる問題」とし、自らの経験も踏まえ、「批判と誹謗中傷は違うものであること。そして誹謗中傷は『心の持ちよう』くらいで無効化することもできない。無効化できるということは、心を麻痺(まひ)させるということだからだ。アドバイスのつもりで『スルーしたら』という声もよくあがるがそれも相手を追い詰めてしまう言葉になる」 新型コロナウイルスの生活への影響を分析した「厚労白書」に関する記事に長島美紀さんと田中俊之さんがコメントプラス 7月30日の記事「仕事、家事…新型コロナで『女性に負荷偏る』 厚労白書」(https://www.asahi.com/articles/ASP7Z4HLHP7ZUTFL008.html)には、SDGs市民社会ネットワーク理事の長島美紀さんがコメント。「新型コロナによる経済的・社会的影響を大きく受けたのは女性でした。緊急事態宣言や海外のロックダウンによってシャドーパンデミックと呼ばれたDVの世界的な増加傾向や、失業や収入減などの経済的打撃を受けたのも女性であり、シーセッション(女性の不況)と呼ばれる状況を作り出しています」と警鐘を鳴らします。 さらに、男性学研究者の田中俊之さんは「日本ではフルタイムで働いている場合でさえ、男性の賃金を10とした場合、女性の賃金は7程度です。これだけの格差があれば、多くの家庭で育児休業を取ったり、時短勤務をしたりするのは女性というのが『合理的』な選択になってしまいます。平時から男女で大きな偏りがあった家事・育児の分担が、2020年4月の緊急事態宣言時に、とりわけ未就学児童や小学校低学年の子どものいるご家庭でより顕著になったのは、職業領域における女性差別を放置してきた当然の結果だと言えます。本気で『性差によって負担に偏りが生じない社会づくり』を目指すのであれば、まずは男女の賃金格差を解消する必要があります」と指摘しました。 コロナ禍の菅首相のメッセージについてプチ鹿島さんがコメントプラス 7月29日の記事「菅首相のメッセージ、逆効果か 『明るい話題』の危うさ」(https://www.asahi.com/articles/ASP7Y6WV5P7YUTFK00N.html)には、時事芸人のプチ鹿島さんがコメントしました。「以前から新聞各紙でも見かける言葉に『コロナ疲れ』『自粛疲れ』というのがあります。でもこの言葉、何か国民の責任みたいなニュアンスも感じてしまいます。正しく言えば菅首相による『説明されない疲れ』ではないでしょうか。政策も含めた『メッセージが無い疲れ』。私は以前からそう言い続けています」 ※コメントプラスでは、専門家と朝日新聞記者計約60人が日々コメントしています。有料会員登録していただくとすべてのコメントを読むことができるようになります。登録はこちら(https://digital.asahi.com/info/price/)。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
松井市長「河村さん、いちびり過ぎた」 金メダルかじり
添田樹紀2021年8月5日 18時00分 名古屋市の河村たかし市長が東京五輪ソフトボールで金メダルを獲得した後藤希友(みう)投手の表敬訪問を受けた際、メダルをかじったことについて、大阪市の松井一郎市長は5日の記者会見で、「河村さんはちょっといちびり(ふざけること)が過ぎた。河村さんが子どもで、メダリストの選手が大人だった」と批判した。 河村市長がメダルをかじった際、後藤投手は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔で応じた。松井市長は「(後藤投手から)大人としての立ち振る舞いを勉強した方がいい」とチクリ。「選手がどういう気持ちなのかが一番大事」と指摘した。(添田樹紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
道頓堀に落として殺害容疑 ドミニカ共和国籍の男を逮捕
2021年8月5日 18時25分 大阪・ミナミの繁華街で2日夜、ベトナム人男性を川に落として殺害したとして、大阪府警は5日、ドミニカ共和国籍の無職、クルス・カブレラ・ブライアン・アルベルト容疑者(26)=住居不定=を殺人の疑いで逮捕し、発表した。「弁護士と話してからでないと話せない」と話しているという。 捜査1課によると、逮捕容疑は2日午後8時20分ごろ、大阪市中央区心斎橋筋2丁目の道頓堀川沿いの遊歩道で、ベトナム国籍の無職、チン・トゥ・アインさん(21)=同市西成区=の頭部を複数回蹴るなどの暴行を加え、川に落として殺害したというもの。アインさんは溺れたとみられ、死因は窒息だった。 2人は事件前、現場付近で他の数人と酒を飲む姿が目撃されており、府警はトラブルになったとみて調べている。防犯カメラ映像などからカブレラ容疑者が浮上し、府警は3日、同市西成区内のホテルにいたところを出入国管理法違反(不法残留)の疑いで現行犯逮捕していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
森保一監督、会見で涙 8月6日の3位決定戦にかける特別な思い
東京オリンピック(五輪)のサッカー男子で、日本は53年ぶりの銅メダルがかかる。メキシコとの3位決定戦の前日会見で、森保一監督(52)は目に涙を浮かべた。試合は8月6日。広島に原爆が落とされ、多くの命が奪われた日だからだ。人生の大半を被爆地の広島と長崎で過ごしてきた指揮官は「世界のみなさんと平和について考えるいい機会になる」と語った。 2大会ぶりに4強まで勝ち進んだからこそ、5日に埼玉スタジアムで会見が設定された。森保監督はこの舞台を待っていた。「いまもなお心の傷を負った多くの人が生活をしていることを、世界の人々と共有できれば幸いです」。時折、声を詰まらせながら訴えた。 長崎市出身。父からは、長崎に原爆が投下された1945年8月9日に自宅の窓ガラスが割れたという体験談を聞いていた。日本リーグのマツダ(現J1サンフレッチェ広島)で選手生活をスタートさせて、監督として広島をJ1で3度の優勝に導いた。 平和への思いを口にするようになったのは、2012年、43歳で広島の監督に就任してからだ。「(被爆の)経験者ではないし、分かったふうなことしか言っていない、と受け止められても仕方ない」とも言う。それでも話を聞いてもらえる立場になり、できることは何か、自問自答してきた。 広島での試合前には必ず平和記念公園で祈った。15年のクラブワールドカップに出場した際には、会見で「平和都市、広島」という言葉を何度も使った。「180カ国に中継されると聞いて意識した」 五輪監督の就任が17年秋に決まると、「平和の祭典」と呼ばれる理由を探った。オリンピズム(五輪憲章)を読み込み、その根本原則もそらんじる。「戦争や紛争が起こっている中では、自分の好きなことはできない。平和だからこそスポーツができる」と、憲章の意味を解釈している。 日本代表の選手には「好きなことができる幸せをかみ締めないといけない」と伝えてきた。 東京五輪は、世界が注目する一大イベントだ。「巡り合わせというか、運命というか。大げさに言うと、サッカーを通して、自分が平和の発信をするのは使命」と話していた。4強まで勝ち残れば、代表活動中に8月6日を迎えることができる。記者会見が設定されることも意識していた。 広島に原爆が落とされた8月6日午前8時15分、森保監督は今年も黙禱(もくとう)を捧げるという。「世界に平和が訪れて、人々が安全で安心な暮らしができるように、心穏やかに生活できるように」。平和への祈りは試合の日でも変わらない。(吉田純哉) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「先生」信じ、消えた蓄え 全国1500人が投資
会員記事 大山稜、土舘聡一2021年8月5日 13時50分 元本保証や高配当を約束し、無登録で出資を募ったとして、警視庁は投資会社リプラス(東京都港区)の幹部ら7人を金融商品取引法違反(無登録営業)容疑で逮捕し、5日発表した。2017~20年に全国の約1500人から計約80億円を集めたという。運用実態がなかった可能性が高いとみて、同庁は詐欺容疑でも調べている。 逮捕されたのは社長の山下寛子(48)=港区麻布十番2丁目=、運用担当の幹部だった白石勢輔(64)=住所不詳=の両容疑者のほか、元社員ら5人。 生活経済課によると、7人の容疑は2017年4月~19年3月、金融商品の取引資格がないのに首都圏の男女12人から計約3500万円を集めたというもの。認否は明らかにしていない。同社は株や先物取引で運用すると説明し、「毎月最大10%の配当を得られる」「元本を保証する」と出資を募ったという。 同社は13年5月に設立された。出資者によると、白石容疑者を「運用のプロ」とPR。社員が知人を誘ったり、客から知人を紹介してもらったりして顧客を増やした。捜査関係者によると、集めた金は運用せず、別の客に配当として渡す「自転車操業」だった。1人で1億円超の出資をした人もいたという。 ■「毎月10%の高配当」見せられた札束 「元金は保証されています。ご安心ください」 首都圏で会社を経営する50代男性は2018年1月ごろ、社会保険労務士の男からデリバティブ(金融派生商品)取引による投資話を持ちかけられた。 商品は幹部らが逮捕された「リプラス」のもので、100万円単位で出資すれば毎月10%の配当を得られるとの説明だった。「元本が保証されている」と男は強調。勧誘時に札束を見せながら、「私もやっています。配当金です」「安全な投資です」と説明した。 男は経営者団体の仲間で、信… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:591文字/全文:1351文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10日前に児相通告、皮下出血100カ所 大津小1死亡
独自 2021年8月5日 15時00分 小学1年生の妹(6)を自宅で蹴って死なせたとして、大津市内の兄で無職の少年(17)が傷害致死容疑で逮捕された事件で、妹が死亡する10日ほど前、2人が未明にコンビニエンスストアを訪れ、店からの通報で、県警が2人を児童相談所に通告していたことが、滋賀県警への取材でわかった。 県警は5日、少年を傷害致死容疑で大津地検に送検した。県警によると、妹の体には皮下出血の痕が100カ所ほどあり、肋骨(ろっこつ)が複数折れていたという。日常的に暴力を振るわれていた疑いもあるとみて捜査している。 県警によると、兄妹は母親との3人暮らし。7月21日未明、コンビニに兄妹だけで訪れ、不審に思った店の関係者が110番通報していた。警察官がかけつけ、児童相談所に通告したという。当時、妹に目立ったけがは確認できなかったとしている。また、兄妹について、以前に通報などを受けたこともなかったという。 兄の逮捕容疑は、この7月21日未明以降、8月1日までの間に、大津市内の自宅で、妹の腹や背中を蹴るなどして内臓破裂などの大けがを負わせ、1日に外傷性ショックで死亡させたというもの。県警は認否を明らかにしていない。 妹は1日朝、地元の児童公園から救急搬送されたが、すでに意識がなく、病院で死亡が確認された。公園にいた兄が、近所の人に「ジャングルジムから落ちた」という趣旨の説明をし、119番通報を頼んでいた。県警は、転落事故を装った疑いもあるとみて、詳しく事情を聴いている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
上皇さまが名付けたハゼ2種 由来はまだらと染みでも…
宮内庁は6月、上皇さまが同庁上皇職生物学研究所の職員と共著で書かれた論文(https://doi.org/10.1007/s10228-021-00817-2)が、日本魚類学会の英文誌オンライン版に掲載された、と発表した。ハゼの研究者として知られる上皇さまの前回の論文は2019年の4月25日発行。同年5月に天皇を退位する直前だから、上皇として出される初めての論文となる。 論文では、40種程度を含む、オキナワハゼ属というグループの2種を新たに発表した。世界中で通じる科学的な名前である学名は「属名+種小名(しゅしょうめい)」で表す。2種の場合、属名はCallogobiusで、種小名はそれぞれ、albipunctatusと、dorsomaculatusと付けられた。 論文には種小名について、前者はラテン語で「白」と「まだら」などを意味する言葉が、後者は「背部」と「染み」や「おでき」を意味する言葉が由来とあった。 ただ、生き物の名前には、色や形などの特徴だけでなく、遊び心や命名者の思いが感じられるものも少なくない。最近も、中国で見つかった恐竜の足跡化石に、研究者がファンだというドラえもんの主人公、のび太君にちなむ種小名が付いた。 今回のハゼの日本語の名前、和名は、それぞれアワユキフタスジハゼとセボシフタスジハゼだ。共著者の池田祐二さんによると、両種とも、特徴的な色彩から付けられたという。 アワユキは「淡雪」。ひれと体に小さな白い点がたくさんあり、淡い雪が降っているように見えることによる。セボシは「背星」だ。第1背びれに黒色の斑があることからだという。ラテン語の「まだら」や「おでき」よりは、生物への愛情のようなものが感じられて、味わい深い名前だと思う。 生き物取材の現場では、こうした上皇さまのエピソードに出合うことがある。 記者が以前聞いたのは、上皇… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:311文字/全文:1102文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
エルメス、現金…長崎の会社で1.5億円相当盗んだ疑い
2021年8月5日 16時19分 長崎県の不動産会社から計1億5千万円分の現金やブランド品を盗んだとして、警視庁や長崎県警などは、名古屋市の男4人を建造物侵入と窃盗の容疑で逮捕し、5日発表した。東京都目黒区で2019年9月、マンションから計約17億円分の貴金属などが盗まれた事件があり、捜査の過程で男らが浮上したという。 警視庁によると、逮捕されたのは中古車販売業榎村勲武(31)=名古屋市守山区=、衣類店経営浅野翔(32)=同市千種区=、無職前田昴輝(31)=同=、職業不詳木村優一(32)=同市名東区=の4容疑者。 4人は4月12日未明、共謀して長崎県佐世保市の不動産会社の事務所に侵入。休憩室にあった現金約2900万円のほか、「パテック・フィリップ」などの高級腕時計やエルメスのブランドバッグなど76点(時価計約1億2千万円)を盗んだ疑いがある。前田容疑者は容疑を否認し、3人は黙秘しているという。 4人は中学時代からの友人で、現場周辺の防犯カメラの映像などから浮上した。事件の数日前に下見をした可能性があるという。警視庁などは目黒区の事件についても関与を調べる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
競技場前で、24時間営業続けた 老舗・ホープ軒の一日
会員記事 伊木緑、増山祐史、藤野隆晃2021年8月5日 16時25分 東京オリンピック(五輪)のメイン会場である国立競技場の向かい側。ラーメン店の「ホープ軒」(東京都渋谷区)は、1975年にいまの場所に店を開いて以来、年中無休・24時間営業を続けてきた。五輪が変えた風景と変わらぬ日常。4日朝からのまる一日を追った。 午前6時過ぎ。 個人タクシー運転手の山吹昇さん(62)が券売機の「もやしラーメン」を押した。「こってりしているけど、脂っこすぎない。無性に食べたくなる味なんだよ」。38年間、週に1度は欠かさず朝食にしてきた。タクシー仲間が多かった店に工事の作業員が目立つようになったのは、2015年に競技場の建て替えが始まったころからだという。「五輪が始まったらどれほど盛り上がるんだろうって、みんな期待を抱いてたよね」。でもコロナ禍もあって売り上げはさっぱり。「もっと忙しい夏になるはずだったのに」 午前9時過ぎ。 競技場で陸上が始まった。ア… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:2105文字/全文:2498文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル