会員記事 藤田大道、福田祥史、荻原千明2021年7月23日 7時00分 東京五輪のほとんどの競技が無観客となる中、カシマスタジアム(茨城県鹿嶋市)へ22日、地元の小学生たちがサッカー男子の試合観戦に訪れた。ただコロナ対策のため、観戦が認められたのは一部の学校のみ。多くの子どもの望みはかなえられなかった。 韓国―ニュージーランド戦。ゴール裏のスタンドでは、体操服にマスク姿の子どもたちが一つおきに着席した。両国の国旗の小旗を振ったり、小さな手をたたいたり。ゴール前で激しい競り合いや豪快なシュートが出ると、「きゃー」「がんばれー」とマスク越しに歓声をあげ、試合を盛り上げた。決勝点を決めたニュージーランドのクリス・ウッド選手(29)は「空席が多かったが、子どもたちの応援が力になった。きょうここにいてくれて良かった」と話した。 鹿嶋市立三笠小6年の曽ケ端輝(てる)さん(12)は自分でハングル文字を調べて「頑張れ」と書き込んだうちわを振った。 父は鹿島アントラーズでGKとして活躍し、昨シーズンで引退した準(ひとし)さん。2004年のアテネ五輪日本代表にはオーバーエージ枠で選ばれた。だが生まれる前のことで、当時の動画や写真もほとんど見たことがないという。試合後「ピッチが近くて迫力があった。代表選手はすごかった」と目を輝かせた。 同小6年の吉田愛莉さん(12)は、カシマスタジアムでサッカーの試合を5回ほど見たことがある。「小さい声で応援しながらどんどん引き込まれていった」と笑顔を見せた。 コロナ禍で、毎年7月のピアノの発表会は2年連続で中止となり、友達と遊びに行くのも我慢してきた。試合観戦に「久々にみんなで行けてとても楽しかった」と語った。 ただ、五輪期間中に茨城県内で観戦できるのは、学校連携観戦チケットを持つ鹿嶋市、つくばみらい市などの23校の約4千人に限られる。22日は、このうち約1千人が観戦した。 「テレビでしか見られなくな… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:417文字/全文:1210文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「マッカーサー元帥の命令」 海で散骨、BC級戦犯も
東京裁判で死刑になったA級戦犯だけでなく、横浜などで裁かれたBC級戦犯についても、刑死者の遺体を日本側に渡さず火葬し、海で散骨するよう指示していた73年前の米軍の公文書が見つかった。戦犯の遺骨が戦争の美化に使われないようにとこだわる米軍の姿勢がうかがえる。 「処刑された戦犯の埋葬と墓地登録に関する最終処分と方針」と題するこの文書は秘密指定を解除され、米国立公文書館に保管されていた。日本大学の高澤弘明専任講師が発見した。 1948年8月13日付で、連合国軍と米極東軍の最高司令官を兼ねる「マッカーサー元帥の命令」として発出された。米極東軍の傘下で日本占領にあたった米陸軍第8軍と、日本が侵略したフィリピンに反攻後に駐留していた米フィリピン軍に指示を伝えている。 文書は「処刑された戦犯の遺体は火葬し、遺灰を海に捨てるように」と指示。さらに「管理下の遺体は速やかに掘り出し、速やかに同様に処理することが望ましい」としている。 この指示の時点で、侵略戦争… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:686文字/全文:1117文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
口火を切った中坊氏 司法を変えた「一番長い3日間」
テミスの審判① デザイン・甲斐規裕 市民が刑事裁判に参加する裁判員制度、検察が不起訴とした事件を検察審査会が覆せる強制起訴制度、ロースクールで知られる法科大学院……。今では当たり前となった仕組みは、20年前どれも存在しなかった。それらを一から作り出したのが、2000年という世紀の変わり目をはさんで展開された司法制度改革だった。なかでも最大の山場は、この年の8月にあった司法制度改革審議会の集中審議だ。司法の姿を変えた「いちばん長い3日間」。いったい何が議論されたのか。 反論、また反論 3千人を巡る攻防 東京都港区の日向坂を歩くと、石造りの重厚な建物が見えてくる。三田共用会議所。かつては明治の実業家、渋沢栄一の私邸だった。 三田共用会議所=東京都港区三田2丁目 2000年8月7日。 そこに司法制度改革審議会のメンバー13人のうち11人が集まった。21世紀の司法のあるべき姿を検討してほしいと政府に託されて、ちょうど1年。この日から3日間、集中審議をする予定になっていた。 都内では真夏日が続き、午後の最高気温は32・8度に達した。審議会会長としてメンバーをまとめる憲法学者の佐藤幸治(84)は、数カ月のちに「今年の夏の暑さは格別のものがあった」とエッセーで振り返る。脳裏にあったのは、議論の「熱さ」でもあっただろう。「あの夏の集中審議が天王山だった」と佐藤は言う。いまの司法制度の方向は、ここで決まった。 左から久保井一匡氏、樋渡利秋氏、佐藤幸治氏、山本勝氏、中坊公平氏 グラフィック・甲斐規裕 「ミニマムの数字として毎年3千人の養成を提案すべきではないか」。口火を切ったのは、委員の一人で弁護士の中坊公平だった。 中坊が言うのは、弁護士・裁判官・検察官という法曹3者の数をどう定めるかについてだった。「フランス並みの5万~6万人を目指すとすれば、年3千人を養成した場合、2018年ごろには5万人となる」。当時、司法試験の合格者は年1千人弱しかない。一気に3倍にすべきだという大胆な提案だった。 元検察官で、証券取引等監視委員会の委員長をつとめた水原敏博が、性急すぎると反論した。「増員は必要だが、質の確保という点で一挙に3千人というものを持ってきていいのか」。 中坊がさらに反論した。「量というものを相当程度重視して考えないと、司法の抜本的改革はできない」 司法制度改革審議会に出席した中坊公平氏=2000年3月14日、東京都港区虎ノ門1丁目 法曹界、経済界、消費者団体、大学研究者、作家……。さまざまな母体から集まった13人の中でも、中坊はひときわ存在感を発揮していた。 森永ヒ素ミルク中毒事件や豊田商事事件、香川県豊島の産廃問題に取り組んだあと、整理回収機構社長時代の仕事ぶりから「平成の鬼平」と呼ばれ、国民的人気を博していた。審議会がスタートした1999年夏には「民主党の首相候補として次の総選挙に出馬して欲しい」と菅直人代表から要請され、断った経緯もあった。 中坊の提案は佐藤にとっても驚きではあったが、法曹人口をフランス並みに増やすというのは説得力を感じた。 中坊とは同じ京大法学部の出身。二人きりで意見交換をすると、ときに激論になることもあった。ただ、司法制度改革の方向性では大筋で一致していた。 法曹界では解決できない、メスを入れる使命背負う 「小さな司法」の改善――。佐藤は会長を引き受けた時点から、強い思いを胸に秘めていた。 小さな司法とは何か。 司法制度改革審議会会長を務めた佐藤幸治・京都大名誉教授 日本の法曹界は長く、人為的に司法試験の合格者数を抑えてきた。 法曹になるには、司法試験に合格しなければならない。ところが1960年代半ば以降、合格者数は毎年500人前後にとどまり、1974年度から84年度にかけて合格率は2%を下回った。5、6回受験してようやくというのが当たり前となり、合格者の平均年齢は約28歳に。民事訴訟法学者の三ケ月章はかつて「わずか2%前後の合格者しか出さない試験というのは、もはや試験制度の常道を逸脱している」と評した。 合格者数を増やせば「法曹の質が下がる」などと、反対する理由は様々つけられたが、実態は法曹界という狭いコップの中で既得権にしがみついていたのだった。 司法試験離れへの危惧などから、1987年には法相の私的懇談会「法曹基本問題懇談会」がつくられた。緊急に司法試験制度を改善する必要があるとの結論を得て、議論の場は、法曹三者と学識者らでつくる「法曹養成制度等改革協議会」にうつった。 ギリシャ神話の女神「テミス」は両手に天秤と剣を持つ。司法の公正さと正義を表す象徴だ。司法制度のあり方を考える「テミスの審判」第1部では、司法制度改革審議会の会長を務めた佐藤幸治の歩みを軸に、改革の背景を探る。佐藤が取り組んだ「小さな司法」の改革は、日弁連をはじめとする法曹界に波紋を広げていく。 5年後の1995年、協議会… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北海道の最高峰、チングルマが満開 大雪山系・裾合平
本田大次郎2021年7月22日 17時00分 北海道の最高峰、大雪山系旭岳の中腹にある裾合平(約1750メートル)で、高山植物のチングルマが満開になり、斜面一面を白く彩っている。 裾合平では登山道の両側にチングルマが広がり、所々にツガザクラやエゾコザクラも咲いている。連休で訪れた登山客たちが何度も立ち止まり、カメラやスマホに花々を収めていた。 旭岳ビジターセンターは「7月中旬に入ってからの暑さでチングルマの開花が一気に進んだ。場所によっては、これから咲く所もあるので、まだまだ楽しめます」という。(本田大次郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
最初は野村萬斎さんだった…解散・辞任相次ぐ演出チーム
津田六平2021年7月22日 19時15分 東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの開閉会式の演出チームをめぐっては、トラブルが続いてきた。 2018年7月、開閉会式演出の総合統括に就任が決まったのは狂言師の野村萬斎氏だった。「機知に富んだ式典にするため尽力していく」と意欲を口にしていたが、新型コロナウイルスの影響で大会の1年延期が決定。野村氏や歌手の椎名林檎氏ら7人のチームは昨年12月に解散した。 大会組織委員会は「コロナ禍に伴う式典の簡素化を短期間で進めるため権限を一本化する」と解散理由を説明した。関係者によると、チーム内の意思疎通がうまくいかないこともあったという。 後任には、チームの一員で電通出身のクリエーティブディレクター、佐々木宏氏が就いた。しかし、開会式に出演予定だったタレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するようなメッセージを演出チーム内のLINEに送っていたことが、週刊誌報道で発覚。佐々木氏はその事実を認め、今年3月に辞任した。その直後、五輪開会式の演出の実質的な責任者だった振付師・演出家のMIKIKO氏が、自身に連絡がないまま、新たな責任者が任命されていたとして辞任していたことを明らかにした。 さらに今月19日には、開会式で楽曲の作曲担当だったミュージシャンの小山田圭吾氏が、過去に同級生や障害者をいじめた経験を雑誌で語っていたことを受けて辞任した。組織委は当初、続投させる意向だったが、障害者団体などからの批判がやまず、辞意を受け入れた。 組織委の武藤敏郎事務総長によると、佐々木氏の辞任後、残ったメンバーが仲間を誘って20人ほどのチームができた。関係者によると、今回解任された小林賢太郎氏が中心になって人選を進め、その中に小山田氏が入っていたという。組織委は結成後に報告を受け、そのまま任命したという。武藤事務総長は20日の記者会見で、「最終的な任命責任は我々にある。全体の名簿を受け取ったとき、全部調査すべきだった」と述べた。(津田六平) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
過去コント巡り「深くお詫び」 元ラーメンズ片桐仁さん
2021年7月23日 1時33分 東京オリンピック(五輪)で開閉会式のディレクターを務める小林賢太郎氏が解任されたことについて、過去にお笑いコンビ「ラーメンズ」としてともに活動していた俳優の片桐仁さんが22日、「23年前のラーメンズのコント内での極めて不適切なセリフにより、多くの方々に不快な思いをさせてしまい、深くお詫(わ)び申し上げます」と謝罪のコメントを出した。 小林氏は「ラーメンズ」として活動していた時のコントで、ナチスによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を揶揄(やゆ)するセリフを用いていた。小林氏はこの日、大会組織委員会を通じてコメントを出し「私が書いたコントのセリフに、極めて不謹慎な表現が含まれていました」などと謝罪していた。 片桐さんは「当時、差別的な表現や不謹慎な言い回しに対する意識が低く、それによって不快な思いをする相手の方がいることを、想像出来ていませんでした」「事の重大さに気付かず、自分自身が演じてしまったことを反省しております」とコメント。「二度とこのようなことがないように、表現をする際には、一度立ち止まって考えることを心がけたいと思います」とした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
車内で1歳女児が死亡、熱中症か 母親「寝てしまい…」
2021年7月22日 20時10分 22日午前10時40分ごろ、千葉県八千代市大和田新田の集合住宅駐車場から、「車の助手席にいた1歳の娘の意識がない」という119番通報があった。市内の病院に救急搬送されたが、死亡が確認された。市消防本部によると、熱中症が原因とみられるという。 県警八千代署によると、飲食店従業員の母親が勤務明けに、知人宅に預けていた女児とその姉を軽乗用車で迎えに行き、姉だけを自宅に入れた後、車内で女児と寝込んだと説明しているという。母親は「3時間ほど寝てしまい、起きたときは子どもの意識がなかった」と話しているという。同署は事件事故の両面で経緯を詳しく調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「国際問題になりかねない」 開閉会式演出の小林氏解任
東京オリンピック(五輪)で開閉会式のディレクターを務める劇作家の小林賢太郎氏(48)が、ナチスによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を揶揄(やゆ)する表現を過去に用いていたとして、大会組織委員会は22日、小林氏を解任したと発表した。翌23日夜に国立競技場(東京都新宿区)である開会式については「予定通り実施する方向で準備を進める」とした。 今回問題となったのは、小林氏がお笑いコンビ「ラーメンズ」として活動していた時のコントで「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」というセリフを用いたこと。その動画が21日深夜からインターネット上で拡散し、批判が集まった。 米国のユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は22日未明、「どんな人にもナチスの大量虐殺をあざ笑う権利はない。この人物が東京五輪に関わることは600万人のユダヤ人の記憶を侮辱している」とする非難声明をHP上に出した。 組織委の橋本聖子会長は22日昼前に開いた会見の冒頭、「過去に歴史上の痛ましい事実を揶揄(やゆ)するセリフを使用していたことが分かりました。これを受け、本日解任することにしました」と述べた。 菅義偉首相も22日夕、記者団に「言語道断。まったく受け入れることはできない」と述べ、秘書官を通じて組織委に同様の内容を伝えたことも明らかにした。 政府関係者によると、官邸側に一報が入ったのは22日早朝。ユダヤ人人権団体が出した非難声明についても早い段階で把握していたという。ナチスによるユダヤ人大虐殺に絡む発言だけに「国際問題になりかねない。開会式まで時間も残されておらず、すぐに対応すべきだ」(官邸幹部)として、組織委側に厳しい対応を求めたという。 中山泰秀防衛副大臣は22日未明、サイモン・ウィーゼンタール・センター側と連絡をとったことを自身のツイッターで明かした。 小林氏は組織委を通じてコメントを出し、「不快に思われた方々に、お詫(わ)びを申し上げます」と謝罪。コントは1998年に発売されたビデオに収録されたもので、セリフは自身が書いたと明かし、発言当時「浅はかに人の気を引こうとしていた」とした。 組織委によると、小林氏は演出全体の調整役。解任後に演出内容を改めて精査したが「小林氏が一人で演出を手がけている部分はなかった」とし、プログラムは変更しない方針。 開会式の演出チームを巡って… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国重文の神社の屋根一部も 奈良市で工場や民家焼ける
2021年7月22日 22時40分 奈良市紀寺町で22日午後5時半ごろ、豆菓子製造の「かやもと商店」の工場付近から出火した。近接する民家など5軒に燃え広がった。さらに工場から約150メートル西にある崇道(すどう)天皇社本殿(国重要文化財)の檜皮(ひわだ)ぶきの屋根が飛んできた火の粉で約0・5平方メートル焼けた。いずれも住人は避難して無事だった。 奈良署によると、工場は2階建てで、出火当時は従業員が不在だった。110番通報した通行人の男性は「1階から屋根まで火が上がっている」と話していたという。 現場は、近鉄奈良駅から南東約1・3キロの住宅や商店などが密集する地域。近くに市立奈良病院もあり、火の勢いが増し、煙が立ちこめる様子に付近は一時騒然とした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
4連休、にぎわう行楽地「やっと旅行」 東京脱出の動き
東京五輪の開会式にあわせて実現した4連休が22日始まった。本来なら五輪モードにシフトするはずが、コロナ禍で外出自粛が呼びかけられ、競技も原則無観客に。都県境をまたぐ移動自粛が呼びかけられる中、五輪と関係なく連休を楽しもうという人々で行楽地はにぎわい、東京から「脱出」しようという動きもみられた。 東京・羽田空港の国内線ターミナルは、朝から大きなバッグを携えた家族連れなどの姿が目立った。 「感染者が増え、海外の人も多く入ってくる。できれば、都内を避けたい」。大学生の男性(19)は五輪前に帰省しようと考えていたという。東京・晴海の選手村近くに自宅があるという会社員女性(34)は「騒がしい都内から離れたいと思っていた」と話した。 北海道に帰省する都内の会社員男性(38)はテレビで開会式を見る予定だ。「無観客なら旅先で見ても変わらないですよね」。この日は羽田発の便が混雑し、予約率は日本航空が約80%ほどとみられ、全日空は午前中だけで約95%にのぼった。 高速道路も都外に向かう車な… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:996文字/全文:1442文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル