村上友里2021年7月14日 19時17分 東京都立高校の30代の男性教員が育児体験を描いた漫画を出版するために都教育委員会に出した兼業申請が不許可にされたとして、都に処分の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、東京地裁であった。都側は「訴えは不適法」として却下を求めた。 訴状によると、男性はツイッターなどに「パパ頭」という名前で投稿し、育児休暇を取るなどした経験を漫画で描いてきた。これが出版社の目に留まり、書籍化を打診された。男性は昨年、「教育に関する」兼業の許可を求める申請書を都教委に提出したが認められず、裁判で不許可処分の取り消しを求めている。 都側は答弁書で、男性が提出したのは「教育に関する」兼業の申請書ではなく「営利企業などに従事する」場合の兼業の申請書で、許可できないと判断したと指摘。「教育に関する」兼業はそもそも申請されておらず、教育長の不許可処分も存在しないとして、「原告の主張は前提を欠き、失当だ」と反論した。 そのうえで、「育児の経験を漫画で表す執筆業務は、教育に関する事業には当たらない」と指摘し、「教育に関する」兼業の申請であっても認められない姿勢を示した。(村上友里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「黒い雨遭った人は被爆者」広島高裁、援護区域外も認定
戸田和敬、米田優人2021年7月14日 16時12分 広島への原爆投下後、放射性物質を含む「黒い雨」を浴び、健康被害を受けたとして、住民ら84人が被爆者と認めるよう求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁は14日、全員を被爆者と認めた昨年7月の一審・広島地裁判決を支持し、広島県と広島市の控訴を棄却した。西井和徒裁判長は「黒い雨に遭った人は、被爆者援護法上の被爆者にあたる」と判断した。 黒い雨が降った一部の区域では、特例として被爆者と認める仕組みはある。だが、住民らはこの区域から外れていた。全員を被爆者と認めた昨年7月の一審・広島地裁判決を受け、国は検討会を設けて区域の検証をしており、広島高裁の判断が注目されていた。 住民らは、黒い雨を浴びた「外部被曝(ひばく)」や、放射能汚染された水や食べ物を体内に取り込んだ「内部被曝」によって健康被害を受けたとして2015~18年、広島県と広島市を相手取り、被爆者健康手帳の交付を求めて提訴した。 一審判決は、国が定めた援護対象区域より広範囲に黒い雨が降ったと認定。住民らの証言や診断書などを検討し、84人全員が被爆者にあたると結論づけた。これに対し、国から手帳の交付事務を任されている県と市は、「科学的知見に基づいていない」とする国の意向を受け、控訴していた。 この日の控訴審判決で、西井裁判長は、援護対象区域外だから黒い雨が降らなかった、とするのは相当でないとし、実際の降雨地域は区域より広いと認めた。そのうえで、住民らは、黒い雨の降り始めからやむまでの間、いずれかの時点で降雨地域にいたことが認められるとし、県と市が、被爆者健康手帳の申請を却下したのは違法で、取り消しを免れないと判断した。 厚生労働省健康局総務課は、「判決では、国側の主張が認められなかったと認識している。現在判決の内容を精査しているところであり、今後の対応については関係省庁、広島県及び広島市と協議して対応して参りたい」とコメントしている。(戸田和敬、米田優人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ギフテッド」の教育支援 横並びの学校文化から議論を
「ギフテッド」と呼ばれる突出した才能がある子どもの教育支援を検討する文部科学省の有識者会議の初会合が14日あり、先進事例として米国の才能教育が研究者から報告された。委員からは、同質的とされる日本の学校文化の考え方から議論を始める必要がある、などの意見が出た。 会議の座長を務める岩永雅也・放送大学長が、米国の才能教育について紹介。飛び級などの「早修教育」、学年を超えず幅広い内容を指導する「拡充教育」、発達障害と特異な才能を併せ持つ子への「2E(二つの例外)教育」の3類型があることを示した。 ウェブ上で行われた有識者会議では、「ナーバスな議論だが画期的」との意見も出た=2021年7月14日午前9時56分、伊藤和行撮影 メリットと課題について、例… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:262文字/全文:525文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
スーパークレイジー君議員が提訴 当選無効取り消し求め
村上友里2021年7月14日 16時14分 1月の埼玉県戸田市議選で初当選したスーパークレイジー君(本名・西本誠)議員(34)は14日、市内に居住実態がなかったとして当選無効となった処分を不服として、県選挙管理委員会を東京高裁に提訴した。 公職選挙法は地方議員の被選挙権について、区域内に3カ月以上住んでいることを要件にしている。市選管は4月、市内での居住実態がなかったとして当選無効を決定。県選管も今月9日付で議員の不服申し立てを棄却する裁決を行ったため、議員はこの裁決の取り消しを求めて提訴した。 訴状で議員側は、電気、ガスの使用状況や周辺住民への聞き取りに基づいて居住実態はないと判断した県選管の事実認定は誤りだと主張した。議員はアーティスト活動で全国各地を転々としており、「生活の本拠を1カ所に特定するのは非常に困難」とも指摘。「情報化が加速する現代においては、同じ公共団体に住んでいるから居住者の意見を集約できるわけではない」として、公選法の要件自体の違憲性も訴えた。 議員は提訴後の会見で、「やれるところまでやって決定には従う」と語った。県選管は「訴状が届いていないのでコメントできない」とした。(村上友里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
南ア五輪選手ら、濃厚接触候補に 同乗機にコロナ感染者
東京五輪のラグビーに出場予定の南アフリカ代表が搭乗していた飛行機に、新型コロナウイルスに感染した乗客がいたことが分かり、選手14人全員とスタッフ4人の計18人が濃厚接触の候補者となり、一時滞在施設に移った。 14日、南アフリカチームが事前合宿を予定していた鹿児島市などが発表した。チームはこの日、鹿児島入りする予定だったが、見送りになった。 市によると、南アフリカチームの選手14人とスタッフ7人は13日夜、成田空港に到着。空港検疫での検査では全員が新型コロナウイルスの陰性が確認された。 しかし、同じ飛行機に感染者がいたことが判明。東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局が、座席番号を基にチームの選手14人全員とスタッフ4人の計18人を濃厚接触の候補者として区分した。 今後、鹿児島市の保健所で濃厚接触者を特定する。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
隣には遺体安置所があった 「復興五輪」の会場で考える
強い逆風の中、東京五輪は21日、東日本大震災の被災県・宮城と福島でのサッカー、ソフトボールの試合で、事実上の幕が開く。宮城は観客も入るが、感染拡大を不安に思う声も少なくない。その日を待つスタジアムで、東北大教授の村松淳司(あつし)さん(62)と共に考えた。それでも「復興五輪」の意味はありますか? 男女サッカー10試合が行われるのは、宮城県総合運動公園(利府町、愛称グランディ・21)にある宮城スタジアム。2001年の宮城国体のために建てられ、02年の日韓サッカーW杯でも使われた。日本代表がトルコに敗れ、ベスト8を逃したあの舞台だ。 村松さんはすぐ近くに住む。W杯以降、スポーツボランティアとして施設にかかわり、国際試合や大イベントのたび、観客誘導を仲間と担ってきた。このほか各地の災害支援に赴くなど県スポーツ界、ボランティア界で知られた存在だ。本業では、第一線で多元物質科学を研究している。 11年3月。 「震災発生翌日の12日、出張先からやっとのことで帰宅すると、上空を何機ものヘリが舞っていた」 グランディは、全国から集結した救援部隊のベースキャンプになっていた。各県の消防や警察、ガスや通信の復旧チームの車列が、毎朝ここから津波被災地に向かった。 スタジアム隣の総合体育館(メインアリーナ)は、遺体安置所に。膨大な犠牲者数が見込まれ、棺を置く広い場所が必要だった。 「やっと子どもに会えました」と言った夫婦 主に海上で収容された遺体がヘリで運ばれ、アリーナの楽屋口で洗浄され、検視が行われた。 12日は60家族、13日は約400家族……。安否不明の身内を捜しに来る人が絶えない。村松さんは10日間ほど、その案内役をかってでた。 「ロビーには、遺体の特徴を… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1252文字/全文:1995文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
保守が訴えた原発裁判に判決 あの爆発音から続く後悔
12日の朝7時前、南相馬市高倉地区。原発から25キロ離れた山あい近くの集落に住む13人がマイクロバスに乗り込んだ。目的地は東京地裁。前区長の菅野秀一さん(80)がハンドルを握った。原発事故で設けられた「特定避難勧奨地点」の解除取り消しを求めた裁判で原告団長を務める。2015年の提訴から6年、19回の公判のたびに往復600キロの送迎を欠かさず続け、この日、判決を迎えた。 裁判で問うたのは、解除基準の放射線量「年20ミリシーベルト」。国が参考にした国際機関の勧告は、復旧時の被曝(ひばく)線量を同1~20ミリとする。だが、菅野さんらは、上限値の「年20ミリ」を高すぎると訴えた。 高倉地区では約80世帯のうち、六十数世帯が自宅に戻った。ただ、山は除染されておらず、線量は菅野さんの自宅で毎時0・4~0・6マイクロシーベルト(年1ミリシーベルト=毎時0・23マイクロシーベルト相当)ある。40人ほどいた子どもたちは、ほとんど戻っていない。 幼稚園は休園し、小学校までの路線バスは走らなくなった。近隣のスーパーも閉まったままだ。道の駅などに卸せば年100万円の副収入になったキノコや山菜の出荷制限も続く。「地域は崩壊した。心配した通りのありさまだ」と嘆く。 自らの「後悔」も裁判へと突き動かした。 旧原町市議長も務めた長年の自民党員。地元幹部として党員を増やした功績が認められ、優秀党員表彰されたこともある。バリバリの保守だ。 市議時代に電力会社から招か… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:886文字/全文:1518文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ピンク色のバッタ、7歳が見つけた 保育園児「すげー」
西堀岳路2021年7月14日 9時41分 埼玉県鶴ケ島市立富士見保育所で、保育士が持ってきたピンク色のバッタが園児たちに大人気だ。専門家によると、ショウリョウバッタの幼虫で、「見つけることができたのはラッキー」なのだそう。保育士宅では「ハートちゃん」と名付けられ、園でも園児たちが「ピンクちゃん」などと、めいめい名付けて熱心に観察している。 6月28日の夕方、同市の保育士井出星子さん(41)と長男で小学2年の一磨(かずま)君(7)、長女映(はゆる)ちゃん(5)が公園へ遊びに行き、一磨君がサッカーボールを追いかけていって水飲み場の草地で見つけたという。さっそく家へ持ち帰り、ピンク色でかわいいからと、ハートちゃんと命名。雑草を与えて飼っている。 井出さんが保育園へ持って行くと、「すげー」「何これー」と、園児たちが取り囲むほどの人気。井出さんは「この夏は、珍しい虫探しが子どもたちのブームになりそうです」と笑う。バッタは、日中は保育園、夜は井出さん宅で飼育されている。 県立自然の博物館学芸員の半田宏伸さんによると、バッタは脱皮して緑色から茶色などと体の色が変化するが、ピンク色は突然変異と考えられるという。「珍しい現象だし、目立つ色ですぐ天敵に食べられてしまうだろうから、見つけることができたのは幸運」と話している。(西堀岳路) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
女子大生ストーカー殺人、男に懲役20年「執拗で残忍」
山崎琢也2021年7月14日 9時48分 昨年6月、静岡県沼津市で女子大学生を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われた住所不定、無職の堀藍(あおい)被告(21)に対する裁判員裁判の判決が13日、静岡地裁沼津支部であった。菱田泰信裁判長は懲役20年(求刑無期懲役)を言い渡した。 判決などによると、堀被告は昨年6月、沼津市の大学生、山田未来さん(当時19)の腹や首などを刺して殺害。殺害前には、山田さんに通話アプリ「LINE」などで交際や面会を求めるメッセージを計29回にわたって送信するなどした。 公判で堀被告は、同じ大学に通う山田さんに好意を抱いて一方的にメッセージを送信したことを認め、山田さんにLINEをブロックされたことで「生きがいを奪われたと感じた」と供述した。 その上で、自身が小学生の頃に心臓にペースメーカーを取り付けて以降活動が制限され、人生に悲観的になったとし、「山田さんだけが幸せな人生を送ることを許せないと感じた」と犯行の動機を述べていた。 検察側は山田さんと堀被告の関係について「他人同然で、理不尽に殺害されたに等しい」と主張。刺し傷などが49カ所にのぼったことに触れ、「殺害をちゅうちょした形跡もない」として無期懲役を求刑していた。 判決で菱田裁判長は「LINEなどのやりとりからストーカー殺人と判断するのが妥当」とした上で、「助けを求めて逃走する山田さんを追いかけて引き倒した上、死亡を確認するまで腹部などを多数回突き刺すなどし、致命傷となる傷が複数あった」と指摘。「犯行は執拗(しつよう)で残忍というほかなく、殺意もきわめて強固」などと量刑の理由を述べた。(山崎琢也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
11歳を殴り、鼓膜を破った疑い 母親の交際相手を逮捕
板倉大地2021年7月14日 9時51分 交際相手の長男を殴りけがをさせたとして、福岡県警は13日、福岡市早良区野芥4丁目、無職井本聖哉容疑者(33)を傷害の疑いで逮捕し、発表した。「勉強せず言うことを聞かなかったのでしつけのつもりでたたいた」と容疑を認めているという。 早良署によると、井本容疑者は6月25日午後8時ごろ、自宅の一室で小学生の男児(11)の顔を殴り、鼓膜が破れる2週間のけがをさせた疑いがある。男児が学校で「左耳が痛い」と訴えたことから発覚した。 男児の手や足にはあざがあり、数年前から井本容疑者に暴行を受けていたと話しているという。県警は、井本容疑者が日常的に暴行を加えていたとみて調べている。(板倉大地) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル