暮らしとSDGs④ 「環境配慮」をうたい、首都圏のスーパーを中心にじわじわ広がる「ノントレー」商品。専門家はどのように見ているのでしょうか。 環境問題に詳しい高田秀重・東京農工大教授は、「ノントレーという身近な素材をきっかけに、環境問題への関心を広げてほしい」と呼びかけます。 ノントレーを切り口に環境問題を考えるこの連載の最終回では、プラスチックごみとの向き合い方を考えます。 環境への負荷は…… ――スーパーの精肉売り場で、食品トレーから袋に変える取り組みが広がっています。消費者としては、ゴミが減らせるというメリットがありますが、環境への負荷はどのくらい減らせるのでしょうか 「食品トレーと袋で違いがあるとすれば、体積でしょう。極端に言うと、リサイクル場まで運ぶ運搬車が少なくて済みますから、その時に発生する二酸化炭素やエネルギーの面では利点があります」 「ほかにはゴミ箱があふれにくくなるので、風で飛ばされて海洋汚染につながる5ミリ以下の断片になったマイクロプラスチックになるのを少なくすることはあるかもしれません。トータルとして見ると、メリットとしては割とマイナーな話かもしれません」 ――袋もトレーと同じように回収しないと意味がないのでしょうか 「そうですね。精肉を入れる袋をリサイクルとして集めず、捨てて焼却されれば、逆にリサイクル率が落ちてエコじゃないかもしれません」 「食品トレーと違って、袋はリサイクルの流れや習慣ができていません。一方で、トレーは単一素材で作られ、分別もしやすいのでリサイクルしやすい。回収箱に集める習慣もあるので、システムとしてある程度、確立していると言えます」 「本来的には、食品トレーを袋に変えるといったことは、素材を使い捨てする限りは、変えた素材でまた別の問題が出てきます。素材を変えることに頼るよりも、できるだけプラスチックを出さないモノの回し方を変えることを考えることが必要です」 高田秀重・教授=本人提供 ――食品トレーからノントレーにする取り組みはあまり意味がないということでしょうか。ノントレー商品を買うことで環境への意識は高まるのでは 「環境的なメリットは全体としてはやや小さいかもしれませんが、消費者がノントレーに触れることで、環境に関心を持つきっかけになるのは大きいと思います。日常生活に根ざした小さなところから、全体の大きな地球規模の環境問題へと意識や動きを広げていく必要があります」 「そしてプラスチックがどういうルートを通ってリサイクルされるのか、一人ひとりの消費者が想像しやすいように事業者や行政が工夫することも大切だと思います。今は、それぞれリサイクルマークがついていますが、さらに踏み込んでわかりやすい絵などを使って情報を開示してほしい」 「たとえばペットボトルで言えば、ラベル、キャップ、ボトル本体でそれぞれ異なる樹脂で作られていて、再生する際は種類の異なる樹脂を混ぜてはいけません。それぞれのプラが使用後にどうなるかを示せば、消費者が分別する理由が分かり、リサイクルへの意識も高まるのでないでしょうか」 《実は、ひとことにリサイクルと言ってもいろいろな種類がある。再びプラスチックに再生する「マテリアルリサイクル」。これは消費者が一番イメージしているリサイクルだ。プラスチック循環利用協会によると、2018年にリサイクルされた廃プラ計750万トンのうち、このマテリアルが23%。このほか、廃プラスチックを加工してガスや油にする「ケミカルリサイクル」が4%だった。 身近なSDGsを考えるこの連載では、スーパーで広がるノントレーの取り組みを出発点に、4回に渡り、プラスチックごみとの向き合い方を考えてきました。リサイクルにも様々な問題があります。では、消費者はいったいどうすれば――。 リサイクルにも課題 リサイクル用の食品トレーが入った袋が集まる集積場=エフピコ提供 一番多いのは、エネルギーと… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
九州南部で記録的大雨 24万人対象に「緊急安全確保」
藤原慎一、棚橋咲月2021年7月10日 10時09分 活発な梅雨前線の影響で、九州南部を中心に10日未明から記録的な大雨に見舞われた。気象庁は10日朝、鹿児島、宮崎、熊本の3県に、数十年に一度の深刻な災害が想定される「大雨特別警報」を発表。3県の6市町は約24万人を対象に、避難情報で最も危険度の高い「緊急安全確保」を出した。福岡管区気象台などは10日朝に緊急の記者会見を開き、住民に身の安全の確保を呼びかけた。 大雨特別警報が出されたのは、鹿児島県の出水市、伊佐市、薩摩川内市、さつま町、湧水町、宮崎県のえびの市、熊本県の人吉市。大雨特別警報の発出は今年の梅雨では全国で初めて。鹿児島県の薩摩地方には午前3時29分と午前7時39分に、線状降水帯発生の情報を出した。 気象庁によると、10日朝までの6時間降水量はさつま町で285ミリ、えびの市で247ミリ、宮崎県小林市で197・5ミリを記録。いずれも観測史上最大を更新した。 この大雨で、10日午前9時現在、人吉市、えびの市、出水市、薩摩川内市、伊佐市、さつま町の6市町が警戒レベル5の「緊急安全確保」を発出。3県の15市町村が、約13万人を対象にレベル4の「避難指示」を出している。 福岡管区気象台などは10日朝に臨時の記者会見を開き、九州の西の海上に雨雲の固まりがあり、雨が11日まで続く可能性があると指摘。「引き続き大雨に注意し、早めの避難をお願いする」と呼びかけた。(藤原慎一、棚橋咲月) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
九州道と宮崎道、一部区間で通行止め 雨量規制のため
2021年7月10日 10時11分 西日本高速道路(NEXCO西日本)によると、鹿児島、宮崎両県内で10日午前9時現在、九州道のえびのインターチェンジ(IC)―栗野IC、宮崎道のえびのジャンクション―小林ICが上下線とも、雨量の規制により通行止めになっている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鹿児島・宮崎・熊本に大雨特別警報 直ちに命守る行動を
山岸玲2021年7月10日 6時15分 気象庁は10日午前5時半に鹿児島県、午前5時55分に宮崎県、午前6時10分に熊本県にそれぞれ大雨特別警報を発表した。これまでに経験したことのないような大雨となり、土砂災害や浸水などの何らかの災害がすでに発生している可能性がきわめて高いという。「命の危険が迫っており、ただちに身の安全を確保しなければならない状況」としている。 気象庁によると、午前6時10分時点の対象地域は鹿児島県出水市、伊佐市、薩摩川内市、さつま町、宮崎県えびの市、熊本県人吉市。避難所へ行くことにこだわらず、川や崖から少しでも離れた頑丈な建物の上の階などへの避難が求められる。外へ出ることも危険な場合は、崖から離れた2階以上の部屋に移動するなど、少しでも命が助かる可能性の高い行動をとることが必要という。 九州南部では9日深夜から発達した雨雲が入り込み、鹿児島県さつま町や宮崎県えびの市で1時間雨量80ミリ以上の猛烈な雨が降った。気象庁は10日午前3時29分、鹿児島県薩摩地方で、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いているとして「顕著な大雨に関する情報」を発表した。 線状降水帯は、積乱雲が次々とできて帯状に連なり、数時間にわたって同じ場所に豪雨をもたらす現象。2017年の九州北部豪雨や、20年7月に熊本・球磨川が氾濫(はんらん)した熊本豪雨の要因となった。(山岸玲) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
なぜ机に他教科プリント? 中学教諭が30分の過剰指導
荻野好弘2021年7月10日 6時30分 愛知県一宮市の市立中学校で6月、20代の女性教諭が授業中や休み時間に2年の女子生徒を廊下に約30分間立たせて注意するなど不適切な指導をし、学校が生徒本人や保護者に謝罪していたことがわかった。調査した市教育委員会は教諭を注意し、指導する方針。 市教委や学校、保護者によると、午後の5時間目の授業で理科担当の教諭は、国語のプリントが机の上にあった女子生徒に「その勉強をするなら後ろに行きなさい」と注意。生徒が嫌がると廊下に出るよう指示し、「なぜ別教科のプリントがあるのか」「何が悪かったか分かるか」などと叱責(しっせき)した。生徒は「わざとじゃない」と泣き出し、2人とも教室に戻らないまま5時間目が終了。ほかの生徒たちは自習していたという。 休み時間に入ると、職員室近くでこの生徒を待たせ、2人で廊下の一角に移動。いすに座らせ、さらに説明を求めたという。こうした「指導」は学年一斉の小テストがある6時間目に食い込んだ。 教諭は生徒に注意を始める前、教卓に数学の教材が置いてあったことなどについてクラス全体に注意。この際、生徒は下を向いていたため、「自分への反発と思った」と校長や市教委に説明した。生徒は昼休みに取り組んだプリントをしまい忘れており、「先生に見つかって怖くて下を向いていただけなのに、みんなに聞こえるように注意され恥ずかしくて逃げ出したかった」と話したという。 生徒は翌週、教諭の授業の際、保健室で学習した。教諭や校長は保護者の抗議を受けて「配慮に欠け不適切だった」と謝罪。学年集会でも経緯を説明した。理科の教科担任は変更したという。 生徒の母親は取材に対し、「子どもの気持ちを全く考えない一方的な指導は受け入れられない」と語った。学校に指導主事を派遣した市教委は「長い時間立たせており、過剰な指導。何のために指導するのかを考えさせたい」(学校教育課)としている。 一宮市の別の中学では2017年に3年男子生徒が「担任に人生全てを壊された」などと書き残して飛び降り自殺。両親が市に損害賠償を求めた訴訟は7月、和解のめどがついた。(荻野好弘) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
九州新幹線、熊本~鹿児島中央間で始発から運転見合わせ
2021年7月10日 6時48分 大雨の影響で、JR九州は10日、九州新幹線の熊本―鹿児島中央駅間の上下線で始発から運転を見合わせている。また鹿児島県や宮崎県の在来線でも、遅れや運転の見合わせが生じている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
不自由展、大阪地裁決定は「不服」 吉村知事が反論
2021年7月9日 20時30分 展覧会「表現の不自由展かんさい」の会場側が利用承認を取り消した問題で、大阪地裁が会場側の処分を執行停止にしたことについて、大阪府の吉村洋文知事は9日、記者団に「最終判断は(施設の)指定管理者になるが、内容に不服があるので抗告することになる」と話した。 展覧会は国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の出展作品を集め、16~18日に府所有の施設「エル・おおさか」(大阪市中央区)で開催が予定されている。 吉村知事は「施設所有者として管理権があり、裁量がある。施設には保育所もあり、労働相談も受けている。施設利用者を守っていく役割がある。管理権として利用停止を判断する権限はある」と主張。「地裁では認められなかったので、高裁に判断を求めていきたい」と話した。 展覧会の告知後、施設に対する抗議の電話やメール、街宣活動が相次ぎ、施設の指定管理者は6月25日、利用承認の取り消しを決めた。一方、実行委員会は6月30日に大阪地裁に提訴していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
熱海土石流、1人の身元判明 安否不明は20人に
2021年7月9日 20時35分 【動画】土砂災害があった熱海 捜索活動続く=藤原伸雄撮影 静岡県熱海市で発生した土石流で、県は9日夕、前日に死亡が確認された1人の身元をトオヤマユウジさんと発表した。土石流による死者は9人で、身元が判明したのは7人目。 トオヤマさんは、県が氏名などを公表した安否不明者のリストに含まれていた。住所や名前の漢字、年齢について、県は「遺族の希望で公表できない」としている。残る安否不明者は20人。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
熱海・土石流1週間 難航する捜索、市長「長期戦に」
釆沢嘉高、村野英一2021年7月9日 20時45分 【動画】土砂災害があった熱海 捜索活動続く=藤原伸雄撮影 大雨に見舞われた静岡県熱海市伊豆山(いずさん)でおきた土石流は10日、発生から1週間を迎える。これまでに9人の死亡が確認され、まだ20人の安否が分かっていない。捜索は難航しており長期化する恐れがある。道路や水道の全面復旧も見通しが立っていない。 県は9日、これまでに見つかっていた2人の遺体について、田中路子さん(70)、トオヤマユウジさんと確認したと発表した。 県などによると、土石流は3日午前、断続的に発生。標高400メートルの起点から住宅などをのみ込みながら、約2キロにわたり流れ下ったとされる。131棟が被害をうけた。土砂は約5万5500立方メートルにのぼると県は推定。流れ落ちた土石流のほとんどが、起点付近の盛り土だった可能性があるとして検証を進めている。 市によると、安否不明者の捜索は連日、警察や消防、陸上自衛隊員ら約1100人が午前6時~午後6時に実施。ただ、斉藤栄市長は9日の記者会見で「地理的条件、天候の条件など課題があり長期戦になる」との見通しを示した。 被害をうけた地域は、住宅の密集地で、道路が狭いため重機を運び込むのが難しい。さらに、土砂が少量ながらも流れる状態が続いていることなどから、二次災害を防ぐため捜索を中断することが多い。9日も小規模崩落があったことをうけて約3時間、中断した。 一方、交通網やライフラインの復旧も時間がかかっている。 県の9日現在のまとめでは、572人がホテル2カ所に避難している。神奈川県へつながる国道135号は土砂に覆われて寸断。土砂の撤去は進んだが、なお流れてくる土砂の影響を受けて、一般車両の通行再開のメドは立っていない。 水道は配水池のタンクが被害をうけ、市によると、9日午後7時現在で約600件が断水。全面解消にはなお時間がかかるとみられている。(釆沢嘉高、村野英一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
架空の馬主になって賭け 容疑の大阪市水道局職員ら送検
2021年7月9日 22時40分 大阪市水道局の職員らが競馬に関連して賭博をしていたとして、大阪府警は9日、職員5人と会社員の男ら計8人を常習賭博の容疑で大阪地検に書類送検し、発表した。8人の認否は明らかにしていない。 捜査4課によると、47~58歳の水道局職員5人と会社員の男3人は競走馬の架空の馬主になり、2019年6月~20年12月に開催された中央競馬のレースのうち約190回で賭けをしていた疑いがある。市によると、5人の職員は柴島(くにじま)浄水場(大阪市東淀川区)や庭窪(にわくぼ)浄水場(守口市)などに勤務していた。 職員らは仲間内でルールをつくり、自分の選んだ馬が1着になると、レースの格付けに応じて他の参加者から500~1万円が支払われていた。最大で約8万3千円の利益を獲得した参加者がいたという。 今年2月に市水道局へ匿名の投書があった。市は府警に相談し、職員のパソコンのデータも任意提出していた。 市水道局は9日、職員への聞き取り調査の結果を公表。職員らは01年から同様の賭博行為を繰り返し、書類送検された職員以外に参加した職員もいたという。同局は「関係職員の処分など、厳正に対処してまいります」とコメントした。 松井一郎市長は報道陣の取材に「市民の皆様に大変申し訳ない、あるまじき行為だと思っています。どういう事実があったかをしっかり判断しながら対応したいと思います」と話した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル