2021年7月3日 22時31分 静岡県熱海市の伊豆山(いずさん)地区で3日午前に起きた土石流で、市は心肺停止の状態だった女性2人の死亡を確認したと同日夜に発表した。約20人の安否が不明という。 活発な梅雨前線の影響で、2日夜から3日朝にかけて東海や関東の太平洋側では記録的な大雨となり、土砂崩れや河川の氾濫(はんらん)が相次いだ。静岡県によると、伊豆山地区を流れる2級河川の逢初(あいぞめ)川では、3日午前10時半過ぎから断続的に土石流が起きた。 付近は斜面に民家が立ち並ぶ住宅街で、熱海市の斉藤栄市長は3日夕の会見で「100~300世帯が被害に遭ったとみられる」と述べた。約80人が避難したが消防や自衛隊による救出活動は進んでおらず、斉藤市長は「20人程度が安否が確認できないという状況。どなたがどこにいるか分からない」と説明。人的被害はさらに増える恐れがあるという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
避難指示、最初の土石流前に出されず 予想困難な背景は
会員記事 山岸玲、南島信也2021年7月3日 22時36分 住宅を次々とのみ込んだ静岡県熱海市の土石流。発生した場所は、火山灰などが堆積(たいせき)する土砂災害の危険性が高い斜面だった。梅雨末期に降り続いた雨により、避難指示が出ないまま、大規模な土石流が発生したとみられる。 東海や関東の太平洋側では6月末から梅雨前線の活動が活発化し、降雨が断続的に続いていた。 土石流が発生した静岡県熱海市伊豆山に近い同市網代の観測地点では、発生直前の3日午前10時までの48時間雨量が300ミリに迫り、7月としての観測史上最多を更新。平年の7月の1カ月間の総雨量(242・5ミリ)を超える雨が48時間で降った。ただ、この間、1時間に30ミリ以上の「激しい雨」は観測されず、強い雨とやや強い雨が繰り返されながら蓄積されていったのが特徴だ。 市は土石流が発生する1日前の2日午前10時、大雨の危険度に応じて避難情報を5段階に分けた警戒レベル3の「高齢者等避難」を出した。避難所などへの移動に時間がかかる高齢者らに避難を促す情報だ。 2日午後0時半には、危険な場所にいるすべての住民に避難を求める「避難指示」(レベル4)に相当する土砂災害警戒情報が気象台と県から発表されたが、避難指示は出さなかった。 市が「緊急安全確保」(レベ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:573文字/全文:1104文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】迫る土石流 夢中でアクセル踏み込んだ
【動画】土石流が発生した静岡・熱海 伊豆山地区。上空からは山肌がえぐられた様子が確認できた=熊倉隆広撮影 2日夜から3日朝にかけて、東海から関東の太平洋側で記録的な大雨となり、静岡県熱海市では3日午前、大規模な土石流が発生しました。県や市によると複数の家屋が流され、人的被害も出ています。タイムラインで詳報します。 22:00 2人の死亡確認、4人を救助 心肺停止の状態で見つかっていた女性2人について、死亡を確認したと熱海市が発表した。また4人を救助し、うち1人は軽傷という。 21:10 傾いた大家宅 電話かけたが 伊豆山地区の鈴木アキさん(74)は、市内の避難所に身を寄せていた。 自宅にいた午前10時半ごろ、近くで「ドーン、ガラガラガラ」という音を聞いた。消防車のサイレンも聞こえた。外を見ると道路に土砂が積もり、水浸しになっていた。外に出ると、自宅アパートの大家宅が半分傾いているのが見えた。大家に電話をかけたが、つながらなかったという。 その後に近くの友人宅に一時身を寄せ、避難所に移った。「今までこんなことがなかった。初めてで驚いている」 21:00 叫んだ友人「早く逃げて」 伊豆山地区の山口シズエさん(82)は、市内の避難所に身を寄せていた。 この日午前、冷蔵庫を開けると、停電のため中が真っ暗で「おかしいな」と気づいた。ちょうどその時、友人がドアをたたき、「ここにいちゃいけない。早く逃げて」と叫んだ。 鍵だけを持ち、友人と外に出ると、通りには避難する人のための車が数台待っていた。知らない人だったが、避難所まで乗せてくれたという。避難中、土石流が流れていくのが見えた。 やがて避難所に着き、「やっとほっとした」。携帯電話も持ってこなかったため、友人たちの安否も分からない。静岡県三島市で暮らす息子の妻からは自宅に来るよう勧められたが、避難所には友人がいるため残ることにしたという。 20:40 落ちた小石 その10分後に土石流 熱海市に隣接する神奈川県湯河原町の富山武美さん(76)は、土石流にのみ込まれた道路を発生の約10分前に通っていた。 家族3人で車に乗り、熱海駅近くの病院に向かう途中だった。道路沿いに小石がたくさん落ちていることに気づき心配していたが、後にテレビのニュースを見て現場を通っていたことに気づいた。「あと10分遅かったらだめだった。生きた気がしない」 自宅への道が通行止めになったため、熱海市の総合福祉センターの避難所に身を寄せた。 20:20 住民「伊豆山は頑丈、安全だと」 伊豆山地区の自宅にいた上野勝子さん(76)は、停電が数回起きたことで異変に気づいた。窓の外を見ると目の前の道路を土砂が流れ、電柱3本が折れていた。 「大変なことになった」。腰が悪く、自力では逃げられない。救助に駆けつけた消防の誘導で、午前11時ごろに避難所となっている熱海市総合福祉センターに逃げた。 生まれてからずっと伊豆山地区に住んでいる。「伊豆山は頑丈な山」と近所の人たちと話をしていたという。「安全だと思っていた場所でこんなことが起きたので、どこでも災害は起きるんだと思い怖くなった」 土石流が起きた山間部付近。民家などが広範囲に被害を受けた=2021年7月3日午後5時18分、静岡県熱海市、朝日新聞社ヘリから、池田良撮影 20:00 100歳の母を背負い避難 伊豆山地区の男性(75)は、同居する100歳の母親を背負い、夕方に自宅から熱海中学校に避難した。 午前10時ごろ、「キャー」という女性の悲鳴で異変に気づいた。すぐに自宅の外に出ると、目の前をすさまじい勢いで流れる土石流が、近所の家をのみ込んでいった。「一瞬のことだった。あの状態じゃあ逃げられないと思う」 男性の家は高台にあったため被害を免れたが、消防の呼びかけで避難を決めた。避難所の職員から毛布を受け取り、体育館の床で母親と2人で雑魚寝して一夜を明かす。避難所には50人ほどが集まっていて、男性は「母親は高齢。新型コロナにかからないかが不安だ」とこぼした。 20:00 東京消防庁は、静岡県知事の要請を受けて消防隊員ら121人(35隊)を緊急消防援助隊として熱海市に派遣したと発表した。 大規模災害への対応を専門とする即応対処部隊や人命救助にあたるハイパーレスキュー隊などが被災地で活動する。 19:50 バックミラー越し 迫る泥水 現場近くに住む小松由佳さん(47)は午前11時ごろ、自宅で「ボコボコ」という音と地鳴りのような音を聞いた。窓の外をのぞくと、数十メートル先のアパートが土石流にのみ込まれるのが見えた。 「逃げなきゃ」。同居の母と車に乗り込み、エンジンをかけた。バックミラー越しに、木や岩が混じった泥水が迫るのが見えた。アクセルを踏み込み、夢中になって車を走らせた。 避難所の熱海中学校に身を寄せたが、2階建ての自宅がどうなったかは確認できていない。「家がどうなったか不安。とにかく情報がほしい」 土石流が流れ込んだ住宅街=2021年7月3日、静岡県熱海市、住民提供 19:30 着の身着のまま避難「まさかこんなことに」 「近所の家があっと言う間にのみ込まれてしまった」。熱海中学校に避難した70代女性は、そう振り返った。 異変を感じたのは午前11時ごろ。「ゴー」という地鳴りのような音がし、「キャー」という叫び声も聞こえた。外に出てみると、約150メートル先の民家が真っ黒な泥水で押し流されていくのが見えた。流された民家が他の民家とぶつかり、「バキバキ」という音もした。着のみ着のままで避難した。 「まさかこんなことになるとは。明日以降、家に戻るのが怖い」と不安げに話した。 18:20 広域緊急援助隊200人を派遣予定 警察庁は大雨で大規模な土砂災害が起きた静岡県に、災害対応に当たる広域緊急援助隊計約200人を派遣すると発表した。行方不明者の捜索や救助活動などに当たる。 警察庁によると午後5時現在、災害対応指揮支援チーム4人を静岡県警熱海署に派遣。広域緊急援助隊として派遣されるのは、警視庁から約140人、新潟県警から約30人、三重県警から約30人の予定という。 […]
自宅に土砂崩れ、連絡取れない妻 わずか15分の間に
2021年7月3日 19時46分 静岡県熱海市で3日午前10時半ごろ発生した大規模な土石流では、複数の家屋が流され、約20人が安否不明だ。 熱海市の田中公一さん(71)は、規制線が張られ通行止めになった高台から、往来する警察車両や200メートルほど離れた自宅を見つめていた。「この場所で生まれて以来70年、こんな被害は見たことがない。入るなと言われて何もできない。妻に無事でいてほしいけど、もう何時間も経っているからなあ」と言葉を詰まらせた。 午前11時ごろ、上流側に住む知人の安否を確認しようと15分ほど家を空けた間に、自宅が土砂崩れの被害に遭った。帰ると周辺の道路は土砂で埋まり、目で見ただけでも10軒が跡形もなくなっていた。 自宅そばに設置された鉄パイプを伝って自宅に近づき、傾いた自宅の引き戸をはがすと、中は柱が折れたり家具が倒れたりしてめちゃくちゃだった。 妻路子さん(70)の名前を何度も呼んだが応答がない。自宅に置いてきた携帯電話をなんとか取り戻して確認すると、路子さんから何度も着信履歴があった。その後発信を繰り返したがつながらなかった。別の知人のもとには「挟まれているから助けて」と路子さんから連絡があったと聞いた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
両陛下がオンライン参加 宮崎県で開催の国文祭開会式
天皇、皇后両陛下は3日、お住まいの赤坂御所で、宮崎県で開かれた「第35回国民文化祭・みやざき2020」と「第20回全国障害者芸術・文化祭みやざき大会」の開会式にオンラインで出席した。両陛下が定例地方訪問「四大行幸啓」にオンライン出席するのは、5月の全国植樹祭に続いて2度目。 天皇陛下は開会式で、コロナ禍に触れた上で「困難な状況を乗り越えていくためのエネルギーを生み出す場として、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭が大きな役割を果たすことを期待しております」とあいさつ。開会式の後、両陛下は県民らによる演奏や演劇の「フェスティバル」を視聴し、その出演者らと画面越しに交流した。 フェスティバルの総合監督を務めた佐藤寿美さん(72)は、天皇陛下に「まるでその場にいるような臨場感があり、すばらしかったですね」と声をかけられたという。佐藤さんは「ホッとしました。陛下にそう言っていただけてうれしい気持ちになりました」。 両陛下が皇太子ご夫妻時代か… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:999文字/全文:1424文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
流れ込む土砂、近所の人は友人は 避難所で気づかう住民
2021年7月3日 20時12分 活発な梅雨前線の影響で、2日夜から3日朝にかけて東海や関東の太平洋側では記録的な豪雨となり、土砂崩れや河川の氾濫が相次いだ。静岡県熱海市の伊豆山地区では3日午前、土石流が発生。県の発表では2人が心肺停止の状態で見つかり、約20人の安否が分かっていないという。 避難所になっている市立熱海中学校には午後2時半ごろから地域の住民が集まりだし、約40人が体育館で過ごしていた。市職員やボランティアが、備蓄していたアルファ米や毛布を配った。 周辺が激しい土石流に襲われた般若院の裏手に住む小沢幸雄さん(79)は、「家の近くにパトカーが止まっているのが見え、何があったのかなとベランダに出たら、『ドーン』と大きい音がした。100メートル先くらいの県道に土砂が流れこむのが見えた」。一緒に避難した妻共子さん(73)は、台所から「外で電線が揺れるのが見えた」。自宅は無事だったというが、「どういう状況なのかがわからない。近所の人がどうしているのか心配」と不安そうに話した。 ボランティアの中学2年生、大森匠真さん(14)は「同級生の友人の家が流されたと聞いて、少しでも役に立とうと思った」。避難所の状況について「密を避けてプライバシーにも配慮できるように、パーティションが欲しい」と求めた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
静岡の豪雨、大井川鉄道の線路に土砂 運転を見合わせ
2021年7月3日 16時29分 東海・関東で記録的豪雨 静岡県の大井川鉄道によると、3日午後3時半現在、神尾―福用間の線路に土砂が流れ込んだ影響で、大井川本線の運転を見合わせている。現在、撤去作業を進めている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アユ料理や特産品 熊本豪雨の被災地に「復興商店街」
村上伸一2021年7月3日 16時30分 昨年7月4日の豪雨災害で大きな被害が出た熊本県八代市坂本町で3日、仮設の「さかもと復興商店街」が開業した。店などを失った事業者が入居。プレハブの中にアユ料理や生鮮食品・雑貨、地元特産品、電気器具などを売る9軒が並び、地元客らが笑顔で買い物を楽しんだ。 豪雨で氾濫(はんらん)した球磨(くま)川沿いにある坂本町では多数の住宅が全半壊し、死者も出た。復興商店街は市が整備し、1月から入居事業者を公募した。 生鮮食品・雑貨のミニスーパーを経営する本田進さん(87)は「地域のためにがんばりたい」と語った。1年前、町中心部にあった自宅と店は水没し、自身も濁流の中で浮き沈みしながら何とか助かった。 4年前に住民主導で発足したアユ料理店「さかもと鮎(あゆ)やな」も、店が水没したため復興商店街に入居した。経営する一般社団法人さかもとの松嶋一実代表理事(73)は「少子高齢化が進む地元に、再びにぎわいを取り戻したい」と話した。 復興商店街は、3年前に本格的なダムとしては全国で初めて撤去された荒瀬ダム跡から数百メートル下流の場所にある。(村上伸一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
静岡・熱海で土石流が発生 2人が心肺停止、20人不明
2021年7月3日 16時54分 【動画】東海・関東の記録的大雨、3日午後2時ごろの静岡・黄瀬川の様子=熊倉隆広撮影 3日午前10時半ごろ、静岡県熱海市伊豆山で大規模な土石流が発生した。県によると、複数の家屋が流されたほか、2人が心肺停止、約20人が安否不明といい、現地で消防などが被害を調べている。県は同日正午、災害対策本部を設置し、自衛隊に救助を要請したという。 気象庁が設置している熱海市網代の観測地点では、3日午後0時40分までの48時間で雨量315・0ミリを観測。1976年の観測開始以降、7月としては最多を更新した。7月の1カ月間の平年雨量は242・5ミリで、2日間で上回った。 静岡県によると、同県熱海市で土石流が発生。10人以上が流された可能性がある Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
プラハ城もカレル橋も……砂の芸術といえば、鳥取です
会員記事 文・望月愛実、写真・上田潤2021年7月3日 13時00分 ラクダにも乗れる有名な大きな「砂場」。10万年がかりで堆積(たいせき)したというあの砂を存分に使って、本気でお城を造ったら……。 巨大な砂場に、世界の彫刻家の「本気」があった。 砂の美術館(鳥取市)の展示室に入ると、スメタナの音楽が耳に心地よい。吹き抜けの空間で出迎えてくれるのは、「世界一美しい」とも評される中世チェコの町並み。女性はほほえみ、スカートのひだや髪のうねりが再現されている。回廊を進むと、プラハ城とカレル橋が見えてきた。幅22メートル高さ10メートルというサイズ以上の迫力だ。 コロナ禍でも味わえる世界旅行の気分。砂色の町並みを形づくるのは、「古砂丘」と呼ばれる5万年以上前にたまった鳥取砂丘の砂だ。粒子が砂より小さく、粘土より粗いのが特徴で、「3千トンほどが使われています」と松尾真司館長(42)が教えてくれた。 砂丘をPRしようと、鳥取市が2006年に始めた野外展示が発展。12年に天候に左右されない施設になった。世界の建造物や自然、歴史を、毎年テーマを変えて砂と水で表現してきた。 記事後半では、地元で人気のグルメスポット紹介や会員登録すると応募できるプレゼントもあります。 4人の砂像彫刻家が共同で制作した「プラハ城」と「カレル橋とヴルタヴァ川の風景」=鳥取市の「砂の美術館」、上田潤撮影 昨年7月に始まった今の展示… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:824文字/全文:1295文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル