小木雄太、青山祥子、田内康介2021年6月30日 21時18分 千葉県八街(やちまた)市で28日、トラックが小学生の列に突っ込み児童5人が死傷した事故。自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕されたトラック運転手の梅沢洋容疑者(60)は、検知器を使った飲酒検査が事業者に義務づけられていない「白ナンバー」のトラックを運転していた。事故後、容疑者の呼気からは基準値を上回るアルコールが検出されている。 店や企業などが自分たちの荷物を運ぶトラックには「白ナンバー」が、有償で顧客の荷物を運ぶ事業のためのトラックには「緑ナンバー」が、それぞれつけられている。緑ナンバーの場合、事業者は貨物自動車運送事業法に基づき、運行管理者を選任する必要がある。運転前後に、検知器による飲酒検査を行う義務も課されている。 一方、白ナンバーの場合、その義務はない。ただ、①白ナンバーの車を5台以上使用②定員11人以上の車を1台以上使用などの一定の条件を満たした事業者には、道路交通法に基づき「安全運転管理者」を選任し、運転手に点呼などを実施して、疲労状況や飲酒していないかを確認する義務がある。とはいえ、この場合も検知器による検査は義務ではない。 事故を受けて警察庁は都道府県警に対し、道交法で定められている義務を順守するよう事業者への指導を徹底することを指示した。 梅沢容疑者の勤務先の南武運送(千葉県八街市)の親会社、南武(東京都葛飾区)によると、同容疑者が運転していたトラックは南武の所有。事故当日は事故現場近くの事業所から千葉県市川市や東京都内の建設現場に資材を運んでいた。南武が所有する白ナンバーのトラックは2台。運転手へのアルコール検査は事故当日に限らず普段から実施していなかったという。(小木雄太、青山祥子、田内康介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
銚子電鉄、株主が総会で廃線進言 煎餅販売を「本業に」
銚子電鉄(千葉県銚子市)の株主総会が30日、銚子市であり、株主から「鉄道事業をこの辺で見直した方がいいんじゃないか」などと「廃線」を進言される一幕があった。議長役の竹本勝紀社長は存続の危機にあることを認めつつ、「まだやれることはある」と経営改善に意欲を示した。 銚子電鉄は銚子市内の6・4キロ(銚子―外川)を走る2両編成のローカル鉄道で、23年に開業100年を迎える。 この日報告された2020年度決算では、コロナ禍による外出自粛が直撃し、「主力」の鉄道部門は輸送人員が27万2114人(前年度比22・8%減)、売上高は7856万円(同22・1%減)だった。 一方、副業と位置づける物販部門は3億9783万円で、ほぼ横ばいだった。駅売りは落ち込んだものの、強化したオンラインショップの売上高が前年度の約10倍と善戦した。 両部門を合わせた20年度の経常損失は3947万円(前年度1982万円)で、雇用調整助成金や持続化給付金が得られたため、当期損失は709万円(同1947万円)にとどまった。 銚子電鉄では、慢性赤字の鉄道部門は、かかった費用の3分の2を国と県、市からの補助金で穴埋めし、残りの赤字をぬれ煎餅(せんべい)などの物販の収益で補っている。20年度決算はその経営構造がさらに顕著になった。 こうした問題を株主総会で指摘したのが、同社の株式を十数%保有する筆頭株主の地元男性だ。 男性は市の人口減少が著しく、小中学校の統廃合でスクールバスの利用が進み、銚電の定期利用客は確実に減ると断言。「銚電の公共性はほとんどない」「私は(鉄道の存続は)無理だと思いますよ、はっきり言って」「副業を本業にして従業員の雇用を守るべきではないのか」などと15分にわたって持論を展開した。 竹本社長は「重く受け止めたい」と切り出し、テレビ出演の際に共演タレントから「(銚電は)税金の無駄遣いだ」と指摘された逸話を紹介して「全く反論できなかった」と語った。 税理士でもある竹本社長は「顧問先として(銚電を)見るならば、もうやめた方がいいと思うのは当然だ」とも述べた。 そのうえで、鉄道をやめて副業だけを残す案は「副業の売上高も激減する」と否定。「銚電は全国から支援を受けている。鉄道は(お金に置き換えられない)地域の広告塔であり情報発信基地でもある。あと1年の任期中、地域経済のために最大限の努力をしたい」と語った。(高木潔) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ミャンマーに平和を」 新宿で写真展
2021年6月30日 20時00分 ミャンマーの写真家らの写真展「#Save Myanmar」(セーブ・ミャンマー)が7月1日から東京都新宿区で開かれる。日本写真協会などが主催する「東京写真月間」の一環。会場ではポストカードやミャンマーの物産品などを販売し、売り上げの一部を同国の平和のための支援にあてる予定だ。 展示されるのは、2014年の東京写真月間で「アジアの写真家たち ミャンマー」に出品された作品など約50点。企画を担当する同協会の神谷京子さんは「写真を通して平和について考えてほしい」と話す。以前に写された美しい風景や静かな暮らしが今どうなっているか、想像しながら作品を選んだという。 東京都新宿区西新宿6丁目のヒルトン東京地下1階、ヒルトピアアートスクエア(03・3343・5252)で7月6日まで。午前11時~午後6時(最終日は午後2時)。入場無料。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日本郵政、相次ぐ不祥事 社長が陳謝「信頼逆手に犯罪」
郵便局長による不祥事が相次ぐ問題で、日本郵政の増田寛也社長が30日の記者会見で謝罪した。大阪では複数の局長が関わる不正な経費請求が新たに判明した。増田氏は郵便局長の人事制度に課題があると認め、改善していく考えを明らかにした。 「トップとして深くおわびする。局長の信頼を逆手に犯罪を起こしているのは言語道断だ」。30日の会見で増田氏はこう語った。 増田氏は大阪府守口市で経費の不正請求があったとし、「事件化しなければいけない」と述べた。関係者によると、使っていない会議室費用の請求に数人が関与し、解雇や減給などの懲戒処分が出たという。 愛媛県愛南町の郵便局では23日、現金約2・4億円の不足が抜き打ち調査でわかり、同夜に局長の死亡が確認された。 長崎県では14日、20年以上かけて10億円超をだまし取っていた元局長が詐欺容疑で逮捕された。熊本県では29日、かんぽ生命の顧客情報を流し、見返りに現金を受け取ったとして元局長が逮捕された。 内部通報者だと認めるよう配下の郵便局長に強いたとして、強要未遂罪に問われた福岡県の元局長は、8日に有罪判決を受けた。 ■背景に不透明な人事か… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:266文字/全文:759文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
滋賀の名神高速でトラック横転 上り線が通行止め
2021年6月30日 20時50分 30日午後4時半ごろ、滋賀県米原市醒井(さめがい)の名神高速道路上り線で、大型トラックが横転した。 県警高速道路交通警察隊によると、横転した車体が路面をふさぎ、撤去に時間がかかっている。この事故の影響で30日午後8時現在、名神高速道路上り線の彦根インターチェンジ(IC)―関ケ原IC間と、北陸自動車道上り線米原IC―米原ジャンクション間が通行止めになっている。 湖北地域消防本部によると、運転手とみられる男性はけがをしているが、意識はあり、会話ができる状態だという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
甲府盆地横切るリニア路線、高架が暮らしに影落とす
現場へ! リニア工事の周りで③ リニア実験線が2013年に全線開通した山梨県。トンネル工事に伴い、笛吹市では10~11年、住民から水枯れの訴えが相次いだ。 同市八代町でモモを栽培する小林信一(73)は畑の灌漑(かんがい)に使っていた堀川の水枯れに気づいた。 「水深は10センチ以上あって、魚もいたのに。今はカラカラ」。工事を担当した鉄道建設・運輸施設整備支援機構は当初、因果関係を認めなかった。農家9軒で仮設の井戸を掘り、しのいだ。 その後、機構が井戸を設置し、約30年分の維持費を支払った。小林は「でも、それ以降はお手上げ」と首を振る。 同市御坂町の藤巻進(64)… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1064文字/全文:1353文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
妻子6人殺害、死刑判決 起訴後に記憶なくす異例の展開
林瞬、西崎啓太朗2021年6月30日 16時13分 茨城県日立市の県営アパートで2017年10月、妻子6人を殺害したとして、殺人や非現住建造物等放火などの罪に問われた小松博文被告(36)の裁判員裁判の判決が30日、水戸地裁であった。結城剛行裁判長は「犯行態様が危険かつ残忍で同種の事件と比べても悪質。完全責任能力はあると言える」などと述べ、求刑通り死刑を言い渡した。 判決によると、小松被告は17年10月6日未明、日立市内の自宅アパートで妻の恵さん(当時33)や子ども5人(同3~11)を包丁で複数回刺した上、ガソリンをまいて放火し、殺害した。 公判では、小松被告の刑事責任能力の有無が争点になった。弁護側は、小松被告が事件当時、うつ病や極度の緊張による精神障害があったとして、無罪や減刑が相当だと主張していた。 また、弁護側は小松被告が起訴後の18年11月、心不全などで心停止状態になり、事件当時の記憶をなくしたことから、小松被告に公判を続けられる訴訟能力がないと主張して、初公判時に公判の停止を求めていたが、結城裁判長は「裁判所や弁護士の後見があれば公判は可能」としていた。(林瞬、西崎啓太朗) 失った記憶と訴訟能力、専門家は? 茨城県日立市で起きた妻子6人殺害事件は、小松博文被告が起訴後に事件当時の記憶をなくすという異例の展開をたどった。弁護側は初公判で、被告に公判を続けられる訴訟能力がないと主張したが、結城剛行裁判長は「裁判所や弁護士の後見があれば公判は可能」と退けていた。 記憶を失ったと主張する被告に判決を言い渡した点について、成城大法学部の指宿信教授(刑事訴訟法)は「公判を一時停止し、治療して経過を見るべきだった」と話す。記憶を失った被告人は、事件を起こしたとも起こしていないとも言えず、争う方策を断たれてしまうという。刑罰についても「本人が反省し、再犯をなくすという意味はなくなってしまう」と指摘した。 一方、甲南大法科大学院の渡辺顗修(ぎしゅう)教授(刑事訴訟法)は「記憶がないことで、訴訟能力がないということにはならない」と指摘。「病気で記憶を失ったとしても、情状にしかならない。客観的に証明がされているなら、犯行態様などからいっても極刑の選択はありうる」と話した。(林瞬) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
佳子さまが児童書贈賞式にオンラインで出席 2年ぶり
2021年6月30日 17時29分 秋篠宮家の次女佳子さまは30日、お住まいの秋篠宮邸で、「第68回産経児童出版文化賞」の贈賞式にオンラインで出席した。佳子さまはあいさつで「幼少期に始まり、生涯にわたって多様な本に接する経験は、大切な宝物になるのではないでしょうか」と述べた。 贈賞式には1993年から母親の秋篠宮妃紀子さまが毎年出席していたが、代替わり後の2019年から佳子さまが引き継いだ。昨年はコロナ禍で式が中止となったため、佳子さまは2度目の出席となる。 宮内庁によると、佳子さまは熱心な様子で式典を視聴し、受賞者らに拍手をしていたという。ビデオメッセージで寄せられたおことばでは、68回大賞に選ばれた八尾慶次さんの「やとのいえ」など受賞した8作品の感想を詳細に語った上で、「魅力あふれる児童書が表彰されますことを大変喜ばしく思います」と祝福した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
カレンダーの「赤い字」にご注意 五輪で3つの祝日変更
会員記事 池上桃子、藤野隆晃2021年6月30日 14時04分 今夏は祝日にご注意を――。東京五輪・パラリンピック開催に合わせて海の日、山の日、スポーツの日が変更になっている。修正が間に合わず、カレンダーや手帳の多くが、変更前のまま。7月19日が赤字のカレンダーの人は要注意だ。 千葉県松戸市の60代男性は7月末に誕生日を迎える娘のため、同月17日から3日間の予定で遠出するつもりだった。妻から「祝日が動いているよ」と言われて初めて気づき、日程を練り直しているという。 埼玉県所沢市の会社員男性(52)が使うカレンダーや手帳は祝日の変更が反映されていなかった。岩手県に帰省する日程を考えた時、22日から4連休になっていることを知った。「五輪が延期されることは分かっていたのだから、もう少し早めに祝日の日程を決めてくれていたら」と話した。 祝日の変更は、改正東京五輪・パラリンピック特別措置法で決まった今年のみの特例措置。東京五輪・パラリンピックの開催期間中、混雑を緩和することで、選手らの円滑な移動と市民生活の両立を図るのが目的だ。 海の日は7月19日(月)→22日(木)、スポーツの日は10月11日(月)→7月23日(金)、山の日は8月11日(水)→8日(日)に変更され、翌9日(月)は振り替え休日になる。 このため7月19日は平日で、23日の五輪開会式前後は4連休、8月8日の閉会式前後は3連休、10月11日は平日になる。 一部のアプリでも反映されず カレンダーの出版、印刷業者… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:377文字/全文:994文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
性的少数者集う街なのに パートナーシップ制ない新宿で
東京・新宿2丁目は、LGBTQなど性的少数者が多く集う街だ。繁華街にはゲイバーなどの多様な店がひしめく。しかし、新宿区には、都内で12区市まで広がった「パートナーシップ制度」がまだない。 長村さと子さん(38)は、この街で「足湯cafe&barどん浴」を経営する。セクシュアリティーや国籍などを気にせず、誰でも来られる場所にしたい――。店内のハンモックの虹色は、多様性を象徴するカラーだ。 長村さんは12月に出産の予定だ。精子提供による不妊治療を数年にわたって続け、4月に待望の妊娠が分かった。パートナーは同性の茂田まみこさん(40)。ちょうどその直前、性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」が4月に始まった足立区に、新宿区から転居したばかりだった。「パートナーシップ制度があるのとないのとでは全然違う」と長村さんは言う。 数カ月前、新宿で体調不良になり、救急車を呼んだ時のこと。茂田さんはパートナーだと説明したが、救急隊員とは話がかみ合わないままだった。「制度がない自治体では、いざという時、守ってもらえないかもしれない」。そんな「怖さ」を感じた。 「どん浴」の常連で長村さんの友人の河津レナさん(39)も、パートナーシップ制度を導入している中野区で、同性パートナーと暮らす。しかし、制度がない区外の病院でパートナーが手術を受ける際、河津さんは家族と認められず、同意書にサインをできなかった。家の購入でローンを2人で組もうとした時も、「前例がない」と大手金融機関に断られた。 10年前まで住んでいたオーストラリアと比べ、東京は生きづらいと感じる。「私たちって、いまだにキワモノ扱い。東京では常に、『自分は異端だ』と意識しないといけない」 小池百合子知事は、6月の都議会でパートナーシップ制度の導入検討を表明し、都議会も導入の請願を趣旨採択した。河津さんは「パフォーマンスだけで終わらせないでほしい」と、先を見つめる。 子どもがいる同性カップルでも使いやすく、パートナーが病気や亡くなった時も対応してくれる。生活に密着した施策の実現が当事者たちの願いだ。「住んでいて良かったと思える東京になってほしい」。河津さんは取材の最後、そうつぶやいた。(塩入彩) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル