拡大する対岸の海水浴場から望む関西電力美浜原発。一番左が再稼働の準備が進む3号機=2021年6月9日午前11時7分、福井県美浜町、佐藤常敬撮影 運転開始から40年を超える老朽原発の関西電力美浜3号機が23日、再稼働の工程に入った。立地する福井県美浜町は、大手電力の原発発祥の地だ。東京電力福島第一原発事故から10年。半世紀にわたり原発と共存してきた町の人々は、全国初となる老朽原発再稼働を複雑な思いで受け止めている。(佐藤常敬) 美浜原発を対岸に臨む美浜町竹波地区。沢田忠義さん(61)はすし屋を営む。 拡大する美浜原発近くの集落ですし店を営む沢田忠義さん=2021年4月14日午後4時0分、福井県美浜町、佐藤常敬撮影 「ほんま正直のことを言えば怖い。でも、原発があったから集落はかろうじて姿を保っている」 「共存だけど、もう共栄にはならない」 記事後半では、半世紀にわたり原発と伴走してきた町の歴史とともに地元で暮らす人たちの覚悟と廃炉後も見据えた動きを紹介します。 1万人に満たない小さな町… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1607文字/全文:1847文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
携帯電話代理店大手、下請けに不当減額 公取委が勧告
田中恭太2021年6月23日 15時00分 公正取引委員会は23日、再委託先への支払代金を不当に減額したとして、携帯電話代理店最大手の「ティーガイア」(本社・東京)に対し下請法違反(減額)で勧告を出したと発表した。携帯電話の取引を巡る勧告は公表を始めた2004年以降で初めてという。 同社は大手キャリアから代理店業務を請け負い、一部を下請けに再委託している。公取委によると、同社の東海支社は、下請け先の業務実績の評価に応じて、「戻入(れいにゅう)金」として下請け代金を後日差し引く制度を運用。「auショップ」を運営する再委託先8社に対し、19年4月までの1年間で計約5661万円を減額していた。 ティー社は今年3月までに全額返金したという。下請法は、納期遅れなど、下請け業者の責めに帰すべき理由がないのに、発注時に定めた下請け代金額を減らすことを禁じている。あらかじめ合意があっても違反となる。 同社は住友商事系で、東証一部上場。業界最大手とされ、販売拠点は全国約2千店に上る。同社社長は、一般社団法人「全国携帯電話販売代理店協会」(東京)の代表理事も務めている。(田中恭太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
上原美春さんがつむいだ平和の詩「みるく世の謳」全文
沖縄県内の小中高生ら計1500作品から選ばれた、宮古島市立西辺中学校2年の上原美春さん(13)の「平和の詩」は次の通り。 みるく世(ゆ)の謳(うた) 12歳。 初めて命の芽吹きを見た。 生まれたばかりの姪(めい)は 小さな胸を上下させ 手足を一生懸命に動かし 瞳に湖を閉じ込めて 「おなかすいたよ」 「オムツを替えて」と 力一杯、声の限りに訴える 大きな泣き声をそっと抱き寄せられる今日は、 平和だと思う。 赤ちゃんの泣き声を 愛(いと)おしく思える今日は 穏やかであると思う。 その可愛らしい重みを胸に抱き、 6月の蒼天(そうてん)を仰いだ時 一面の青を分断するセスナにのって 私の思いは 76年の時を超えていく この空はきっと覚えている 母の子守唄が空襲警報に消された出来事を 灯(とも)されたばかりの命が消されていく瞬間を 吹き抜けるこの風は覚えている うちなーぐちを取り上げられた沖縄を 自らに混じった鉄の匂いを 踏みしめるこの土は覚えている まだ幼さの残る手に、銃を握らされた少年がいた事を おかえりを聞くことなく散った父の最後の叫びを 私は知っている 礎(いしじ)を撫(な)でる皺(しわ)の手が 何度も拭ってきた涙 あなたは知っている あれは現実だったこと 煌(きら)びやかなサンゴ礁の底に 深く沈められつつある 悲しみが存在することを 凜(りん)と立つガジュマルが言う 忘れるな、本当にあったのだ 暗くしめった壕(ごう)の中が 憎しみで満たされた日が 本当にあったのだ 漆黒の空 屍(しかばね)を避けて逃げた日が 本当にあったのだ 血色の海 いくつもの生きるべき命の 大きな鼓動が 岩を打つ波にかき消され […]
33年の封印解いて手記刊行 元在日韓国人政治犯
韓国が独裁政権下にあった1970~80年代、母国に留学していた在日韓国人たちが情報機関の拷問によって「北朝鮮のスパイ」にでっち上げられ、投獄される人権侵害が起きた。その象徴的存在とされ、死刑判決を受けた大阪市生野区の李哲(イチョル)さん(72)が今月、手記を刊行した。自由の身になって33年。封印を解いたのは民主主義が壊れる危機感を抱いているからという。26日に出版の集いが開かれる。 「独裁権力の暴力に深く傷ついた在日同胞の被害者と家族に、大統領として国家を代表して心から謝罪する」。2019年6月、大阪市で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の前日、李さんは妻閔香淑(ミンヒャンスク)さん(71)とともに文在寅(ムンジェイン)大統領が出席する懇談会に招かれた。韓国大統領が在日の元政治囚をめぐる人権侵害で謝罪するのは初めてだった。 韓国で「在日同胞スパイ捏造(ねつぞう)事件」と呼ばれる一連の冤罪(えんざい)事件は、朴正熙(パクチョンヒ)、全斗煥(チョンドゥファン)元大統領らによる軍事独裁政権時代、北朝鮮への恐怖心をあおり、強い権力の必要性を知らしめる狙いでなされたとされる。 李さんは13年間の獄中生活を経て、1988年に仮釈放。いつか2人の子どもたちに読んでほしいと、仕事の行き帰りの電車でひそかに書きためた手記は大学ノート7冊分になっていた。「恥ずかしい内容で公開するつもりはなかったが、民主主義が後戻りしないように多くの人に読んでもらうことに意味があるかもしれないと思うようになった」と語る。 熊本県生まれの在日韓国人2世。中央大を経てソウルの高麗大大学院生だった75年12月、下宿先から目隠しをされて韓国の中央情報部(KCIA)本部に連行された。地下調査室で39日間拷問され、虚偽の自白を強要された。韓国メディアは当局の発表通りに、在日留学生らが北朝鮮の指令で活動した「学園浸透スパイ団事件」だとセンセーショナルに報道した。 「ある日突然連行された無防備な人は拷問の専門家であるかれらにはいとも簡単に料理できる獲物。もし力道山が連行されたとしても結果は同じだろう」。手記には過酷な取り調べの一部が詳細に記されている。服を全部脱がされ、木の棒でめった打ちにされる。性器にたばこの火を近づけられる。夜、何度も同じ質問を繰り返し、眠らせない。人格が粉々に破壊され、「自分が悪い」という思考に仕向けられていった。「記憶がよみがえるのが苦しく、全部は書けなかった」という。 ◇ 77年3月、国家保安法違反などの罪で韓国大法院(最高裁)の死刑判決が確定。婚約者だった閔さんも連行され、3年6カ月の実刑判決を受けた。 「愛する婚約者まで監獄に入れてしまったという自責感のために、私のような者はいっそ死んだほうがましだとさえ思っていた」(手記より) 生きる意欲を回復したのは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
初日の出?太陽は沈まず昇らずお正月 夏宿へ引っ越し
2020年元日午前0時、太陽は水平線の上に輝く。ほんのりあかね色に染まる海氷のかなた、アデリーペンギンがゴマ粒のようだ。「これ、初日の出?」「でも、出っぱなしだから違うかなあ」 南極は一日中、太陽が沈まない白夜の夏だ。日没もなければ日の出もない。そんな会話を「しらせ」船上で交わしながら、私たち61次隊は新年を迎えた。 年末に昭和基地入りしたのに船に舞い戻った。新しく来た隊は船上で年越しするのが恒例だ。昭和基地の主は60次越冬隊で食堂や通信室がある主要部を使い、居住棟の個室に住む。新しい61次隊は、食料など物資の輸送もまだで、正月祝いはしらせのお世話になる。門松が飾られ、鏡開きに獅子舞も登場。おせちはエビにカニ、だて巻き、栗きんとん……。好きなものでおなかいっぱいだ。南極でも、いや南極生活だからこそ、忘れがちな季節の行事は大事だと感じる。 年賀状代わりにペンギンの写真付きでツイッターを投稿した。へんてこな姿にアクセスは急上昇し、最終的に300万超! 大反響。記事ではペンギンにかなわないな。 2日、今度こそ昭和基地へ引… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:523文字/全文:992文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
女子高校生3人、高齢者を保護 30キロ以上道迷う?
山崎輝史2021年6月23日 8時00分 道に迷っていた高齢の女性を下校途中の女子高校生3人が保護した。愛知県豊田市在住の70代女性は、自宅から最短でも30キロ離れた名古屋市東区まで、自転車で走ってきたとみられる。東署は22日、助けた高校生3人に感謝状を贈った。 助けたのは、至学館高校(東区)3年の辻未来(みく)さん、松本空知(そらち)さん、吉沢未菜(みな)さん(いずれも17)。 友人同士の3人は5月28日夜、下校途中に学校近くの矢田川の橋で、川や空の写真を撮って遊んでいた。すると、近くの交差点で自転車を引く高齢の女性を見つけた。キョロキョロと周囲を見回し、困っている様子だった。 「どうしたんですか」と声を掛けると、女性は「豊田市の家に帰りたいが、方向が分からない」と言う。吉沢さんは「かなり遠い場所なので、何かおかしいな」と感じた。 この日は最高気温25度の夏日。女性は疲れている様子だったのでコンビニで水を買って渡した。交番に連れて行ってほしいと言うので、4人で一緒に歩き、警察官に引き渡した。女性の家族も不在に気がついて捜していたという。松本さんは「無事に家に帰れたようで安心した」と話す。 感謝状を渡した天野喜彦署長は「すでに遅い時間で、一歩遅ければ命に関わる状況だったかもしれない。見て見ぬふりをせず、大変すばらしい」とたたえた。辻さんは「もしまた同じ状況になっても、冷静に判断して行動したい」と話した。(山崎輝史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
時代錯誤の校則、廃止のはずが…一部でツーブロック指導
大滝哲彰2021年6月23日 8時41分 社会常識や時代に合わない「ブラック校則」について、三重県教育委員会が今年度から、全ての県立学校で廃止されたと認識していたにもかかわらず、高校6校で「ツーブロック」の髪形をした生徒に対し、短髪に変えさせるなどの指導をしていたことがわかった。 県教委生徒指導課によると、22日に全ての県立学校の校長にツーブロックに関する指導について聞き取った。その結果、高校6校でそれぞれ数人の生徒に、ツーブロックの髪形を変えるように指導していたことを把握したという。 指導した6校のうち、取材に応じた高校の教員によると、生徒手帳には「清潔で見苦しくない髪形」とするよう記載。あいまいな表現のため、指導は難しい面があるという。 県教委生徒指導課の担当者は「校則の廃止に終始してしまったため、具体的な指導の共有を現場としてこなかったことや、各校で差が生まれた対応について反省している」と話した。(大滝哲彰) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
上野動物園のパンダ・シンシン、2頭出産 性別は確認中
2021年6月23日 8時52分 東京都は23日、妊娠の可能性があるとしていた上野動物園(台東区)のジャイアントパンダ「シンシン」が同日未明に2頭を出産したと発表した。性別は確認中。シンシンの出産は2017年のシャンシャン以来となる。 都によると、1頭目は同日午前1時3分に、2頭目は同2時32分に生まれたことが確認された。体重は1頭が124グラム、もう1頭は不明という。 同園はシンシンとオスのリーリーの交尾を3月6日に確認。5月23日ごろからエサの採取量が減り、31日ごろからは通常の4分の1になった。6月2日ごろからは通常10時間の睡眠時間が2倍になるなど、妊娠の兆候を示す変化が見られたため展示を中止していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
文科相、訂正圧力を否定 教科書の「従軍慰安婦」説明会
2021年6月22日 22時00分 「従軍慰安婦」という用語が「誤解を招く恐れがある」などとする答弁書を政府が閣議決定したことを受け、文部科学省が教科書会社を対象に開いた説明会について、萩生田光一文科相は22日の閣議後会見で、「訂正を行うように圧力をかけた説明会ではない」と述べた。個別の記述について同省が説明会を開くのは異例で、教科書会社側からは「訂正申請を暗に促された」との声が出ていた。 文科省教科書課は5月18日、中学社会、高校地理歴史、公民科の教科書を発行する20社近くを対象にオンライン説明会を開き、記述の訂正申請は「6月末まで」とする資料を示した。 萩生田氏は説明会について「閣議決定の内容などを発行者が確実に把握し、必要に応じて訂正申請することが可能になるよう、必要な情報提供をすることを意図した」と説明。日程の資料は「便宜的に配布したものであり、このスケジュールにのっとらない場合は訂正申請を受け付けないという趣旨ではない」と話した。会の開催については「私が特別、大きく指示したわけではない」とし、担当課の発案かという質問に「そうです」と答えた。 政府が4月27日に閣議決定した答弁書は、日本維新の会の馬場伸幸幹事長の質問主意書に「『従軍慰安婦』または『いわゆる従軍慰安婦』ではなく、単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」と答えた。一方、「いわゆる従軍慰安婦」という用語を使った1993年の河野洋平官房長官談話を「継承」する立場も記している。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
別姓のままで結婚、認められる? 最高裁きょう憲法判断
夫婦が別姓のまま婚姻手続きができないのは「法のもとの平等」や「婚姻の自由」を定めた憲法に反する――。事実婚のカップルがそう訴えた家事審判で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)が23日午後、同じ姓でしか婚姻手続きができない民法と戸籍法の規定が憲法に違反しているか、していないかを判断する。 2015年に大法廷が憲法に違反しない「合憲」と初めて示して以来、2度目の結論となる。新たな主張と社会情勢の変化をどうとらえるのか。判断が注目される。 家事審判は、家族関係にからむ法律問題を裁判官が職権で解決する非公開の手続き。原告が国に損害賠償を求めた前回15年の裁判などと違って対立する被告がいないため、公開の法廷で当事者同士が主張をたたかわせる弁論は開かれていない。 家事審判を申し立てたのは、東京都内に住む3組のカップルだ。18年に婚姻届の「婚姻後の夫婦の氏」の欄で「夫」「妻」の両方に印をつけて市役所や区役所に出したところ、「夫または妻の氏を称する」と定めた民法750条と手続きを書いた戸籍法74条に違反するとして受理されなかった。そのため、法的な婚姻を認めるよう求めて家事審判を申し立てた。 3組は主張のなかで、▽厚労省の15年調査では96%の夫妻が夫の名字に統一しており、旧姓で築いてきたアイデンティティーを喪失するのはほとんどが女性だ▽事実婚だと配偶者控除や相続税の軽減を受けられないなどの不利益がある▽誰もが自由にできる結婚を制約するいまの法制度は違憲だ――と訴えてきた。 だが、家裁も高裁も3組の訴えを退けた。「夫婦同姓が不利益を生んでいるとしても、子どもを含め家族の呼称を一つにすることにも合理性がある」とした15年判決を引用。その後の社会情勢も、法改正が必要なほど変わっていないと判断した。 最高裁では当初、裁判官5人で構成する小法廷で特別抗告を受けたが、15人の裁判官全員がそろう大法廷で審理されることになった。小法廷内で意見が拮抗(きっこう)したためとみられる。 15年と今回の裁判の違いは、3組の申立人が「信条による差別」を主張に加えたことだ。 15年に合憲判決が出た裁判で、原告が主張したのは「男女差別」だった。だが、大法廷は夫の氏ばかり選ぶ現状は「夫婦間の協議」の結果であり、民法の規定による差別ではないとして訴えを退けた。 今回の主張は、別姓のまま結婚したいとの信念を持つカップルにとって「規定が直接の妨げになっている」という内容で、これが「信条による差別」にあたると訴えている。 大法廷はこうした主張に加えて、社会がどれだけ別姓を求める方向に変化しているかも考慮し、再び憲法に違反しているかどうかを判断する。 夫婦同姓は、「家族は家長の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル