拡大する岩場を歩く男性=NPO法人「心に響く文集・編集局」提供 福井県坂井市の景勝地・東尋坊を訪れた人たちを撮影した写真集「蘇 よみがえる」が出版された。断崖絶壁の岩場でたたずむ人、ベンチに座って海を眺める人。写真はいずれも後ろ姿や横顔だ。撮影したNPO法人は「こういう背中を見たら声をかけて欲しい」と話す。 東尋坊は、日本海の荒波に削られた岩壁が続く観光地。国の名勝・天然記念物に指定されている。 NPO法人「心に響く文集・編集局」は、東尋坊で自殺防止の活動をしている。ボランティアのメンバーが週に6日、岩場を回り、自殺しようとしている人がいれば声をかける。 保護した後はじっくり話を聞く。職場に問題があると分かれば上司と話したり、一時的にシェルターで生活してもらったり。行政につなぐなど立ち直りを支援する。2004年4月の発足以来、保護した自殺企図者は21年6月11日現在で720人になるという。 拡大する自殺を考えて岩場にたたずむ人たちの背中を写した写真集「蘇 よみがえる」を出版したNPO法人理事長の茂幸雄さん=2021年5月14日午後3時56分、福井県坂井市三国町、堀川敬部撮影 福井県警の元警察官でNPO法人の理事長を務める茂幸雄さん(77)のもとには、全国で自殺防止活動に携わる人たちが訪れる。頻繁にこう聞かれるという。「なぜ自殺を考えて来た人だと分かるんですか」 記事の後半では、NPOの茂理事長の「見抜くこつ」とともに、写真集出版を考えた理由が明かされます。 茂さんは「観光客と違って服… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:911文字/全文:1394文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マルチ商法で家庭崩壊 体験書いたら…「私も」100人
マルチ商法に妻が没頭し、それがきっかけで離婚した会社員の男性(44)がいる。体験をネット上に書き連ねると、同じような境遇の人たちからの反応が相次いだ。5年間で100人を超え、今年、体験談をまとめた著書を出した。 関東に住む会社員男性(44)は数年前、当時30代半ばの妻と3歳の娘の3人で暮らしていた。民生委員を務める60代女性に妻がささいな困りごとを相談し、妻は行き来を始めた。 数週間後、空気清浄機を持ち帰ったのを皮切りに、洗剤や浄水器、鍋などが少しずつ増えていき、気がつくと自宅には同じ社の製品があふれかえっていた。妻がのめりこんだのは、商品やサービスを契約し、次は自分が勧誘して報酬を得る「マルチ商法」だった。 「やめてくれ」と頼んでも手… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1327文字/全文:1653文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
住宅街に体長1mのオオトカゲ? 署員が7時間かけ捕獲
福井万穂2021年6月13日 16時13分 福岡県直方市の住宅街で13日、体長約1メートルのトカゲのような生物が見つかった。体は、黒と黄色のしま模様。警察官が数時間かけて捕獲した。飼い主を探している。 直方署によると、13日午前6時10分ごろ、近くの住民から「道路にワニ、もしくはトカゲ1匹がいます」と110番通報があった。署員が網を持って駆けつけたが、側溝に逃げ込み、発見から約7時間後にようやく捕獲された。側溝の中で出口をふさいで追い込み、最後は署員2人がかりで素手で捕まえたという。 署員が撮影した写真をペットショップで見てもらったところ、「ミズオオトカゲ」か、「ナイルモニター」とみられるという。いずれも毒はないが、爪が大きく、引っかかれる可能性がある。捕獲後は「落とし物」として3カ月間保管されるが、飼育方法は検討中という。(福井万穂) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
星の王子さまに「不時着沼」 俵万智さんの心に残る物語
(わたしの折々のことば)俵万智さん 第1歌集「サラダ記念日」が刊行されて30年余り。歌人の俵万智さん(58)は、世の中の流れや自身に訪れる日常を三十一文字に込めて映し出しています。これまで心の琴線に触れた3つの作品について、自身のエピソードも交えて紹介します。 ぼくが、六つのときに、絵かきになることを思いきったのは、そういうわけからでした。(サン=テグジュペリ、内藤濯訳「星の王子さま」) 《中学生からの愛読書。物語の語り手である「ぼく」が幼い時期に夢を諦めてしまうエピソードは、何げない一言が子どもの可能性の芽を摘み取ることのないように、と子育てをする上での教えになっています。》 ◇ まだ、短歌という表現に没頭していなかった中学生時代。 「とにかく勉強が好きだった」という俵さんは、「星の王子さま」と出会った。 当時通っていた中学校の英語科の教員が「よい本だから」と貸してくれた。 若くて格好がよく、憧れを抱いていた相手。やり取りが出来ることもうれしかったが、本の内容そのものにも魅せられた。 思春期まっただ中で、大人への懐疑心も生まれるころ。 作中では、酒浸りだったり、計算ばかりしていたりする大人たちが登場する。 「中学生といえば、大人の滑稽さにそろそろ気が付く年頃ですよね。大人って決してパーフェクトではないんだと。そんな批判的な視点に共感した」 恋愛に夢中だった高校生の時は、王子さまが一輪のバラを大切に扱うことで、代えのきかない存在に育っていく筋がお気に入りだった。 そんなふうに、とりまく状況によって心を動かされるフレーズが変わるのも大きな魅力だ。 短歌に通じるもの 最も有名な言葉の一つである「一ばんたいせつなものは、目に見えない」は、短歌をうたう時の姿勢に通じる点があると振り返る。 「心で見えたものを言葉にし… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪の聖火輸送に大手2社 コラボで生まれた粋な便名
東京五輪の聖火をギリシャから日本に運んだ特別便は、日本の空路を支えるライバル2社が共同で運航した。その便名には粋な演出があった。 2020年3月20日午前、聖火をのせたボーイング787型機が、強風の中で翼を揺らしながら、宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地に着陸した。 機体には、大手航空会社のブランドをイメージさせるような、目立った塗装はない。真っ白な機体の側面に大きくあしらわれたのは、金色の大地を駆ける聖火ランナーと炎のモチーフだった。 前方には、普段はライバル関係にある日本航空(JAL)と全日空(ANA)の赤と青のロゴが、五輪のエンブレムを挟んで並んだ。 到着後、ライバル2社の客室乗務員たちが一緒に写った記念写真も公開された。航空ファンたちはSNSに、高揚感を書き込んだ。 「赤と青が並んだ! 仲良く聖火を持ってきて」 「素敵なコラボ」 「感慨」 ギリシャのアテネから宮城へ聖火を運んだこの便は、大会名を冠し「2020便」とされた。空港の電光掲示板の掲示は「GO2020」だった。 この2日前。羽田からアテネ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:553文字/全文:1022文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
届いた五輪聖火 ブルーインパルス隊長が思い出すあの夜
2020年3月20日、宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地。東京五輪の聖火はこの日、民間の特別輸送機で日本に到着した。強い風が吹く中、自衛隊のブルーインパルス(ブルー)が5色のスモークで五輪のシンボルを描き、出迎えた。特別機とブルー。面識がないはずの2人のパイロットはこの後、「小さな奇跡」に驚くことになる。 このとき、ブルーの飛行を率いたのは当時の隊長、福田哲雄さん(44)だった。飛行から3日後、送信元不明のメールが届いた。 「あの夜の偶然の出会いがただの偶然ではなかったように思えました」 7カ月前の19年8月。福田さんは同僚と2人で北海道千歳市の炉端焼きの店にいた。昼に千歳基地で開かれた航空祭の反省会だった。囲炉裏の一辺に並んで座ってブルーの今後の活動などについて意見交換していると、東北で大きな地震が起きたことを伝えるニュース速報が流れた。すぐに所属先の松島基地に電話して隊員とその家族の無事を確認し、ほっと息をついたときだった。 「宮城からですか」 隣の席にいた中年男性が声を… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:697文字/全文:1147文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
JA職員、生産者の口座から239万円着服 懲戒解雇に
鵜沼照都2021年6月13日 9時39分 JA庄内みどり(山形県酒田市)の酒田みなみ支店営農課の男性職員(24)が、管理する生産者組織の口座から239万円を着服していたことがわかり、同JAが10日に記者会見を開き、9日付で懲戒解雇したと発表した。 発表によると、職員は2020年3月9日~今年5月28日、5組織6口座から架空取引で現金を引き出し、受領書や領収書を偽造していた。今月1日に課長が点検したところ、受領書に組合員の押印がない不備が見つかり、事情を聴いたところ着服を認めた。消費者金融からの165万円の借金返済やパチンコなどに使ったと話したという。本人と家族がすでに全額返済しており、警察への被害届などは出さないという。 JA庄内みどりでは18年にも職員が828万円を着服し、懲戒解雇されている。(鵜沼照都) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大雨浸水、畳は浮き冷蔵庫は…部屋からの脱出阻む恐怖
【動画】浮き上がる畳、倒れる冷蔵庫・・・実験で見えた浸水の恐ろしさ=佐々木英輔撮影 大雨で家の中に水が流れ込むと、何が起こるのか。浸水が始まってからでも、上の階に逃げられるのか。そんな実験に、東京理科大の学生が挑んだ。見えてきた教訓とは。 「部屋」の家具が次々浮上 野田キャンパス(千葉県野田市)の実験棟にあるコンクリート製の水槽。4畳半ほどのスペースにベッドやたんす、机といす、冷蔵庫を並べ、ドアも取りつけて部屋に見立ててある。ドアの外側に水を流すと、内側にじわじわと浸入して畳がぬれだした。 この「部屋」は、2018年の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町の住宅を参考につくってある。過去の水害では、2階に逃げることができずに、1階で亡くなった人も少なくなかった。その教訓を対策に生かそうと、二瓶泰雄教授(河川工学)の研究室が取り組む実験に、記者が立ち会った。 「畳、浮いています」。実験開始から2分あまりで声が上がった。水位はまだ、水をかぶった程度だが、内部にすき間が多い畳は浮きやすいのだという。 水位が上がるにつれ、次々に変化が起きた。「ベッドが浮上」「机、浮上」「引き出し開きました」。学生が声を上げ、時刻とともに記録していく。木製のベッドは、下の畳と一体で持ち上がった。数十センチほどの水位になると、いすや机も浮いてきた。 冷蔵庫は後ろ側に傾き、底のほうから手前にせり出してドアをふさいだ。90センチに達すると、たんすが倒れた。逃げ遅れると家具や浮遊物に囲まれてしまうことがよくわかる。 「浸水すると家具が散乱し、避難に時間がかかる。高齢者ではより大変になる」と二瓶さんは言う。「せめて2階で寝るようにするだけでも、救える命はある」 地震対策で使う突っ張り棒などの転倒防止器具には、浸水による家具の転倒を防ぐ効果も期待できるという。 この日の実験には、もう一つの目的があった。この状況から高齢者が抜け出すのがいかに難しいか。学生10人が、浸水した「部屋」で検証した。 ■高齢者の体を疑似体験… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「相手の同意得られない…」苦悩する妊婦、中絶の実態は
自分が産んだ赤ちゃんを遺棄したとして、名古屋地裁岡崎支部が愛知県西尾市の元看護学生(21)に有罪判決を言い渡した。元看護学生は裁判で、相手男性から中絶の同意書にサインが得られず、手術できなかったと証言した。しかし、今回は中絶に同意が必要だったのか? 背景を探った。 昨年6月2日、市職員が公園の植え込みに置かれていたポリ袋を見つけた。中にはへその緒がついた男児の遺体が入っていた。 4日後、元看護学生が逮捕された。 公園のトイレで男児を出産後、適切な保護をせずに死なせ、遺棄したとして、保護責任者遺棄致死と死体遺棄の罪で起訴され、今年5月に懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡された。 公判での供述などによると、元看護学生は事件当日、通学途中に下腹部からの出血を感じ、公園のトイレに入った。 トイレに入った後の意識があいまいで気づいた時には出産し、男児は死亡していたと証言。登校していないと連絡を受けた母親がトイレにいるのを見つけて病院に連れて行った。 判決「父親の不誠実な対応が発端」 元看護学生は、母親がトイレを離れた隙に、隠していた遺体を植え込みのそばに置いたという。 妊娠が分かってすぐ、男児の父親にあたる小学校の同級生にSNSで連絡。2人で中絶すると決めた。同級生は、医師から求められた中絶の同意書にサインするとも約束した。 しかし、同級生は友人から「(中絶費を)ゆすられているんじゃないか」などと言われ、連絡を絶った。元看護学生は同意書にサインがもらえず、予約した手術を2回キャンセル。別の複数の病院に同意書なしで手術ができないか問い合わせた。 だが、被告人質問で元看護学生は「双方の同意が必要」と言われたと明かし、中絶できる期間を過ぎてしまったという。 判決は「犯行に至る経緯には、被害者(男児)の父親の不十分かつ不誠実な対応が発端にある」と指摘した。(山本知佳) 同意なしの中絶、例外は三つ 母体保護法は中絶できるケースについて、妊娠の継続や分娩(ぶんべん)が身体的、経済的に困難な場合や、強制性交による妊娠などに限っている。 そのうえで、医師が本人と配… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小中学生の五輪観戦、辞退次々 電車移動と密回避に不安
東京五輪・パラリンピックで子どもたちに割り当てられている「学校連携観戦チケット」をめぐり、さいたま市がすべての辞退を決めるなど、キャンセルする動きが埼玉県内で相次いでいる。新型コロナウイルスの感染への心配を払拭(ふっしょく)できないためだ。 さいたま市は当初、市内の埼玉スタジアムとさいたまスーパーアリーナが会場となる五輪のサッカーとバスケットボールで、中学2、3年生ら向けの約2万1千人分と引率教員約2千人分を希望していた。だが、「不確定なことが多い」(市教育委員会)として、すべてを見合わせる。 越谷市も埼玉スタジアムへのシャトルバスがある北越谷駅周辺の小学校3校と中学1校で306枚のチケットを希望していたが、すべて見送る。市教委の担当課長は「子どもの安全を第一に考えた」と話す。 「観戦チケット」は大会の延期前に各学校からの希望を受け、県内全体で大会組織委員会から五輪8万5500枚、パラリンピック7100枚のチケットが割り当てられた。新型コロナの感染拡大を受け、組織委が県を通じてキャンセルを受け付けることになった。 各校の判断に委ねた川口市によると、市内の36校から辞退の意向があった。割り当てられた8829枚のうちキャンセルは4488枚に。川越市では割り当てられた5558枚のうち改めての希望は約2400枚にとどまった。市内32校のうち8校が希望していた草加市では、754枚の割り当てのうち628枚をキャンセルした。 組織委が会場への移動を「公共交通機関が原則」としていることも、相次ぐ辞退の要因になっている。小学校のある校長は「専用のバス移動なら対策できるが、電車だと『密』を回避しきれない恐れがあり、断念せざるを得ない」と漏らす。(上田雅文、加藤真太郎、岡本進) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル