拡大する「100万筆」の果て リコール署名偽造 昨年11月3日、名古屋市中区のホテルは活気にあふれていた。 大村秀章・愛知県知事へのリコール署名の「公開開票」イベント。ボランティアらが署名簿に番号を振り、運動を率いた美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長がユーチューブで生配信した。 「きょうだけで3万票が集まりました」 中継開始から1時間20分後、スタッフの男性が段ボールいっぱいの署名簿を机に置いた。「いま愛知県はものすごく燃えているんですよ」。高須氏が興奮ぎみに画面に訴えかける。 受任者の男性は違和感を覚えた。「なぜこんなにぎりぎりに集まってくるのか」。署名提出の期限は大半の自治体で11月4日。その前日に、いきなり3万筆も届くなんて……。 ◇ 拡大する田中孝博容疑者が署名簿に指印を押していたとの目撃証言がある生涯学習センターの集会室=2021年5月19日、名古屋市千種区、村上潤治撮影 このイベントの前日夕方。リコール運動団体事務局長の田中孝博容疑者(59)は同市千種区の千種生涯学習センター3階の集会室にいた。 関係者は証言する。「集会室… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
点検放置で幻となった「夢の原子炉」 もんじゅ廃炉へ
拡大する半世紀余り、高速増殖原型炉「もんじゅ」(奥)を見つめてきた地元の元区長・橋本昭三さん=2016年9月21日、福井県敦賀市 2013年5月13日付の朝日新聞朝刊1面に「もんじゅ 停止命令へ」の見出しの記事が載った。日本原子力研究開発機構が高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で1万点に及ぶ点検を放置し、原子力規制委員会が運転再開の作業を禁じることを特報した。 この不正行為が、もんじゅ廃炉の引き金となった。 「陸の孤島を豊かにしてくれた夢の施設だった」。冷たい風が吹きつける砂浜から巨大な原子炉建屋を見つめ、橋本昭三さん(92)は言った。 15世帯が暮らす敦賀市白木地区の元区長。旧動力炉・核燃料開発事業団(現機構)の職員3人が自宅を訪ねてきたのは、1970年2月のことだ。「新しい原発を造りたい」。もんじゅ建設の申し出だった。これを逃せば、「集落は消える」と思った。港や道路が造られ、働き先ができた。 ■「信じられないほどの税金」… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「生徒と先生、対話しよう」 動き出した高校生たち
3月下旬、学校の自由を問い直すドキュメンタリー映画「北園現代史」の編集作業が大詰めに入った。東京都立北園高校3年生だった監督の中村眞大(まさひろ)さん(18)は映像に映る教師らのプライバシーに配慮し、濃いモザイクをかけた。卒業生を介して弁護士に映像の内容に問題がないと確認してもらい、4月2日にネット公開した。 次々とツイッターに感想が投稿された。「社会全体から自由、寛容さが失われていく縮図を見た気がする」「高校生が作ったと思えない」。ある卒業生は「君たちのような生徒が在籍していることを自慢に思います」と書いた。好意的な投稿が大半で、中村さんは「ホッとしました」。 拡大する「自由の北園交流会」に参加した北園高校の生徒たち。(右から)林倫太郎さん、中村日向子さん、安達晴野さん、平岡裕葉さん。左端は安達さんの母で次期PTA会長に内定している桃子さん=東京都北区、宮崎亮撮影 学校は中村さんの取材に応じなかったが、記者が副校長に対し、頭髪指導について尋ねると「長くいる先生に聞くと以前から指導の方向性は変わっていない。行き過ぎた髪染めは指導する」と話した。 同校のある教員によると、東京都教育委員会から連絡を受けた管理職が、映画のことを職員会議で周知したという。この教員は「映画は、生徒の生活指導全般への不満を代表して形にしたチャレンジ。学校をより良くするための問題提起だ」と感じた。「単なる『宣戦布告』のように捉えている教員は少ないのでは」といい、映画をきっかけにバリケード紛争などの歴史を知り、校風とされる「自由」について改めて考え始めた様子の同僚もいるという。 拡大するオンラインで開かれた「自由の北園交流会」の様子=安達晴野さん提供 「生徒の学校への疑問を単なる… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
紀州のドン・ファン元妻、殺人罪などで起訴 和歌山地検
2021年5月19日 19時38分 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)が2018年5月に急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、和歌山地検は19日、元妻の須藤早貴(さき)容疑者(25)を殺人と覚醒剤取締法違反(使用)の罪で和歌山地裁に起訴した。認否は明らかにしていないが、関係者によると黙秘しているという。 起訴状によると、須藤容疑者は18年5月24日夜、何らかの手段で野崎さんに致死量の覚醒剤を口から摂取させ、死亡させたとされる。 野崎さんは自宅の寝室で倒れているのが見つかり、死亡が確認された。死因は急性覚醒剤中毒だった。遺体に注射痕はなく、県警は覚醒剤を口から摂取させられたとみて捜査してきた。 県警は、野崎さんが死亡した日の午後、家事手伝いの女性が夕食を作って外出した後は4時間ほど、須藤容疑者と2人きりだったとみている。ほかに覚醒剤を飲ませることができた人はいないと判断し、今年4月28日に須藤容疑者を殺人などの容疑で逮捕した。 県警は任意提出を受けた須藤容疑者のスマートフォンの解析から、須藤容疑者が田辺市で覚醒剤密売人グループと接触したことも把握した、としている。 和歌山地検幹部は起訴後、朝日新聞の取材に「捜査を続けて起訴できる証拠が集まった。逮捕後に新たな証拠も見つかっている」と説明した。 須藤容疑者が野崎さんに覚醒剤を飲ませたという直接的な証拠は出ていないが、地検は状況証拠の積み上げから、野崎さんを殺害することができたのは須藤容疑者のほかにありえないと判断し、起訴に踏み切ったとみられる。 和歌山県警は19日、須藤容疑者を詐欺容疑で再逮捕した。関係者への取材でわかった。 関係者によると、当時19歳だった須藤容疑者は「知人女性にけがをさせて慰謝料などを求められている」とうそを言い、札幌市の知人男性(67)から16年1月に約1170万円を須藤容疑者の口座に振り込ませ、だまし取った疑いがもたれている。須藤容疑者はこの容疑についても黙秘しているという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「75歳以上」か「65歳から」か 高齢接種で対応様々
北海道内の各自治体で、新型コロナウイルスワクチンの65歳以上の高齢者向けの接種が本格化している。予約時の混乱を避けるために「75歳以上から」と年齢を区切って先行接種し、集団接種会場も用意するなど、スムーズな接種に向けて各自治体が工夫を凝らしている。国は高齢者向け接種の「7月末完了」の目標を掲げており、各自治体は接種を急ぐ。 旭川市は75歳以上の高齢者への接種を24日から始める。かかりつけ医など医療機関での個別接種と集団接種の両方を実施する。集団接種は土日祝日に、市総合防災センターとイオン2店舗を会場に行う。 小樽市でも75歳以上を優先して接種券を配布し、接種開始は24日から。集団接種は行わず、市内49医療機関で対応する。かかりつけ患者を優先する病院と一般接種が可能な病院を市のウェブサイトに掲載した。 釧路市では「80歳以上」「72~79歳」「65~71歳」と3グループに分けて順次接種する。6月7日の開始を予定する。市は当初、高齢者向け接種の完了時期を10月としていたが、9月上旬に早めた。さらに蝦名大也市長は18日の会見で「これを少しでも前倒しできるよう調整中だ」と語った。 留萌市では65歳から順番に接種してもらう方式にした。24日から集団接種を始める。市保健医療課は「若い世代の方が社会参加している人が多く、感染リスクが高いため」と説明する。 すでに予約が始まった自治体… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
市職員、強要未遂の疑い 退職金求め1800回電話か
2021年5月19日 20時44分 かつての勤務先に繰り返し電話をかけて退職金の支払いを強要したとして、愛知県警は19日、岐阜県下呂市観光課主査の星野晶容疑者(34)を強要未遂容疑で逮捕し、発表した。「分かりません」と否認しているという。 中署によると、星野容疑者は2018年12月~19年1月、かつて勤務した名古屋保護観察所に「いつでも乗り込めるぞ。早く金を出せ」「俺は失うものはねえんだから何だってできるんだよ」などと26回電話した疑いがある。 星野容疑者は18年9月に退職金の受け取りを辞退して自主退職したものの、その後、翻意して支払いを求め、同所が拒否していた。同年12月~20年4月に約1800回電話があり、同保護観察所が今年2月に愛知県警に相談していた。 下呂市によると、星野容疑者は19年4月入庁。温泉街施設の整備などを担当していた。市は「事実を確認した上で厳正に対処する」などとしている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「真犯人見つけて」資産家元妻、急死半年後に探偵に語る
資産家の野崎幸助さん(当時77)を殺害したとして、元妻の須藤早貴容疑者(25)が殺人罪などで起訴された。逮捕直前まで、須藤早貴容疑者から仕事の依頼を受け、頻繁に会っていたという東京都内の探偵業の40代の男性が今月、朝日新聞の取材に応じた。容疑者は事件への関与を否定していたという。 男性は記者に、かつて須藤容疑者が和歌山県田辺市で乗っていたベンツを見せた。登録証などによると、所有者だった野崎さんの死後は須藤容疑者の名義になり、昨年9月に男性のものに。男性は「約300万円で購入した」と話した。 男性によると、須藤容疑者か… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あまりに粗雑だった署名偽造 河村・高須両氏にも責任が
大村秀章・愛知県知事へのリコール署名偽造事件で、愛知県警は19日、運動団体事務局長で元県議の田中孝博容疑者(59)ら4人を地方自治法違反(署名偽造)の疑いで逮捕した。 「偽造」が疑われるものの一部で、朝日新聞が写しを入手した署名簿は、1枚10人のサインがまるまる同じ筆跡で殴り書き、という代物だ。「民意の偽造」と重々しく言われるにしては、あまりに「粗雑」な印象を受ける。 リコールに必要な約86万7千筆を集めたことにしようとしたのか。それに至らぬとも、コロナ禍の中でも43万筆超も集めたという実績作りのためだったのか。 街頭で署名を呼びかけるなど… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
NTTのひかり電話 都内で通信障害 原因は設定ミス
江口悟2021年5月19日 21時13分 東京都内で19日午前、固定電話が一時つながりにくくなる通信障害が起きた。NTT東日本が調べたところ、新型コロナウイルスのワクチン予約電話を制御する作業での人為的な設定ミスが原因と判明。23区内を中心に約64万件の固定電話に影響があったという。 同社によると、障害が起きたのは19日午前8時10分から10時50分まで。番号が03で始まる23区を中心とした地域で、光ファイバーを使うIP電話「ひかり電話」の一部がつながりにくい状態になった。 同社の説明では、ワクチン予約の電話の集中を受けた対策として、ある自治体の受け付け電話番号を制御対象に設定する作業を18日にした際、ひかり電話の管理に使っている番号を誤って入力。この結果、03地域のひかり電話が広く制御対象となり、電話をかけても「ただいま電話が混み合っています」という案内が流れる例が相次いだという。 ワクチンの予約電話をめぐっては、都内の一部で、通信量が処理能力を超えて一般回線まで通話制限に至る問題が6日に発生。NTT東日本と西日本は、携帯電話会社などと連携して、あらかじめ把握した自治体の予約受け付け番号を制御対象に設定する対策を続けている。(江口悟) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
4日で休園にメッセージ続々 北九州市のバラフェア
吉本美奈子2021年5月19日 21時30分 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、福岡県の3度目の緊急事態宣言で臨時休園中の響灘緑地グリーンパーク(北九州市若松区)では、再開に向けてバラの手入れが続いている。5月8日からバラフェアが始まったが、わずか4日で休園に。 訪れる人がいなくても、園内の植物の世話は日々続けられる。広報の高山将吾さん(30)は、SNSのインスタグラムやフェイスブックで毎日、花や園内の様子を紹介している。 休園が決まり、スタッフへのメッセージを募集したところ、すぐに予想を超える約200通のメッセージが届いた。「約30年子どもから孫までお世話になっています」「毎年楽しみで何度も何度も通っています」「スタッフの皆様、お体に気をつけて下さいね」 バラ園の手入れをするスタッフ10人は、30代から80代まで幅広く、中にはSNSを利用していない人もいる。高山さんは全てのメッセージを並べて印刷。大きなポスター3枚分になった。 メッセージを初めて見た80代の男性は「うれしいねぇ。こんなに思ってくれているなんて」と、びっしりと並んだ言葉に顔を近づけてつぶやいた。 今年のバラは例年より1週間早い開花だったため、最初の見頃は過ぎた。バラフェアの開催は6月6日までの予定で、次の「2番花」に向け、スタッフはメッセージを励みに手入れを続けている。(吉本美奈子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル