福井万穂2021年5月15日 16時40分 沖縄が日本に復帰して49年を迎えた15日、米軍基地の負担軽減などを求めるアピール行動が、沖縄県北中城村のキャンプ瑞慶覧ゲート前であった。平和団体の代表ら約30人が集まり、普天間飛行場(宜野湾市)の早期の閉鎖・返還や、名護市辺野古への移設反対などを訴えた。 復帰後の1978年からこの日に合わせて開かれてきた「平和行進」は、新型コロナウイルスの影響で2年連続の中止となった。行進は、米軍基地や沖縄戦跡をめぐりながら平和を訴えるもので、例年県内外から数百~数千人が集まっていた。中止を受け、今年はせめて少人数でも現状を発信したいと企画された。 実行委員長の山城博治・沖縄平和運動センター議長(68)は「来年は(復帰から)50年を迎えるが、基地のない平和な沖縄への願いは遅々として進まない。この日を機に、私たちが戦争の餌食となるようなことは絶対に許さない、との思いを新たにしたい」と語った。(福井万穂) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
100円カレンダー、居酒屋で思わぬ効能 防犯協会作成
1枚のカレンダーが群馬県内で存在感を放っている。値段は100円(税込み)。今年分は2万枚以上刷られたが、すぐに在庫がなくなるほどの盛況ぶりだ。このカレンダー、思わぬ「効能」が人気の秘密という。 前橋市大手町2丁目にある「やきとり居酒屋明星」。まもなく開店30年になる老舗の壁に、そのカレンダーは貼ってあった。白バイに乗った2人の警察官。背景には、雪化粧の壮大な浅間山。「群馬」の「警察」であることが一目で分かるようにと、今年は初めて合成写真にした。 「お客さんとして来る警察官が毎年持ってきてくれる。これが貼ってあると、警察官が寄っている、と思われるのか、うちでは変なトラブルは全然ない」と店主の木原義隆さん(78)は語る。 カレンダーをつくっているのは県警の関係団体「県防犯協会」だ。毎年2万数千枚を刷る。 カレンダーには「群馬県警察」「群馬県防犯協会」「群馬県交通安全協会」の3団体が名を連ねる。県警のマスコットキャラクター「上州くん」「みやまちゃん」も登場し、県防犯協会のスローガン「みんなでつくろう 安心の街」の言葉を掲げる。 「合成しないでアピールしたい」 協会によると、カレンダーは運送業界や金融機関などの民間のほか、各警察署が数百枚単位で購入してきた。 ただ最近は、個人で買い求める人も増えている。購入者の中には「一人暮らしの親に玄関に貼ってもらう」「店の外から見えるところに貼りたい」という声があるという。 「特殊詐欺などで自宅に来る犯罪者を退散させる効果を狙ってのことでは」と協会の久保雅則・事務局次長は話す。昨年11月に発行した広報「防犯ぐんま」でも「詐欺や押し売りの対策になるなど、防犯に役立っているとの声が多く寄せられた」と紹介している。 今年のカレンダーの在庫はなく、増刷する予定もないという。協会ではすでに来年分の図柄を検討している。「できるだけ合成しないで群馬の防犯をアピールできる写真にしたい」と久保次長は話している。 カレンダーの注文は毎年10月ごろから受け付ける。問い合わせは県防犯協会(027・221・2230)。(寺沢尚晃) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
イルカのオキちゃん、沖縄と半世紀 何度も荒波乗り越え
半世紀近く前、日本に復帰してまもない沖縄に移り住んだ1頭のイルカがいる。沖縄美ら海水族館(沖縄県本部町)で、日本最長の飼育記録を更新中の「オキちゃん」だ。観光ブームやテロ事件の波紋、念願の出産、コロナ禍と、荒波も乗り越えながら、オキちゃんはきょうもジャンプ。 「オキちゃん」は、1972年5月15日の日本復帰を記念した一大事業のマスコットマークの名前だった。75年から開かれた沖縄国際海洋博覧会(海洋博)。当時の資料には「世界の人々が従来の暗い沖縄観を拭い去り、沖縄に対する認識を新たにする機会になる」と書かれている。 復帰前、米軍統治下の沖縄を訪れるのは慰霊や戦跡巡りが中心だった。広大に残された米軍基地をめぐる問題もある。海洋博は、そうした「暗い」イメージを塗り替えようと、政府などが主導した観光戦略だった。 青い海にサンゴ礁、亜熱帯の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
美味しいにおいがしてきそう 食品サンプルの動画公開中
添田樹紀2021年5月15日 14時00分 大阪・ミナミにある食品サンプル職人の養成校「デザインポケット食品サンプルクリエイターズスクール」が、卒業制作展をインターネット上(https://www.frajschool.jp/exhibition2021)で開いている。卒業生の20~30代の女性5人が、和洋中の様々な作品をそれぞれ動画で紹介中だ。 作品は「肉」がテーマ。みそ汁やご飯、漬けものが付いたとんかつ定食や、アイスコーヒーやフライドポテトと並ぶハンバーガー、サシが入ったすき焼き用の牛肉など、各自の集大成となる作品がそろう。 拡大する漬けたソースから持ち上げた瞬間の串揚げの食品サンプル 漬けたソースから持ち上げた瞬間の串揚げや、グラスが結露しているように加工してキンキンに冷えた様子を表現した生ビールなど、こだわったポイントや苦労した点を解説した動画もある。 スクールは、食品サンプルの製造販売会社「デザインポケット」(大阪市中央区)が2015年に始めた。5人は9期生で、これまでに約40人が修了したという。オンラインでの卒業制作展は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて初めて実施した。 動画は公開を続け、今後の卒業生の作品も追加していく予定という。同社の倉橋幸子社長(39)は「外出自粛中ですが、自宅から目で楽しんで」と話した。(添田樹紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「フィアンセに」60代女性の来店 主任はピンときた
SNSなどを通して外国人との恋愛だと信じ込ませてお金をだまし取る「国際ロマンス詐欺」の被害を未然に防いだとして、熊本中央署は11日、ゆうちょ銀行熊本支店(熊本市中央区)に感謝状を贈った。 熊本中央署と同支店によると、3月29日午後2時ごろ、1人で来店した熊本市の60代女性が「フィアンセに送金したい」と言い、窓口で現金約100万円の送金を申し出た。対応した同支店主任(当時)の高松奈津代さん(55)が不審に思い、窓口責任者に相談。責任者らが女性を説得し、同署に通報した。 女性が相手とやりとりしたメールには不自然な日本語が並び、カタカナで書かれた外国の名前と口座番号があった。それでも女性はだまされているとは思ってもいない様子だったが、窓口責任者から、国際連合広報センターが注意喚起をしているホームページを見せられ、納得したという。 同署によると、女性はフェイスブックで相手とやりとりを始めたといい、「イエメンで国連の医師として仕事をしている」「帰国の資金がほしい」といったメッセージが送られていた。 高松さんは「『フィアンセ』と聞いてピンときた」と振り返った。熊本中央署によると、国際ロマンス詐欺では被害者に恋愛感情を錯覚させるため「フィアンセ」という言葉を使うことが多く、高松さんもそれを認識していた。「国連」の関係者などを名乗ることも、被害者の信用を得るために多く使われる手口だという。 支店長の田島晋一さん(59… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:175文字/全文:791文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海を渡った蔵書が壁一面 そこはハリーポッターの世界
拡大するモリソン書庫が入る東洋文庫。建物全体が書庫のため窓が極端に少ない=2021年4月28日、東京都文京区、井手さゆり撮影 ため息が出るほど美しい書棚が東京・駒込にひっそりとある。並ぶのは数々の歴史的な書物。あの人気映画に入り込んだようだ。 館内に入れば、そこはハリーポッターの世界。吹き抜けの書庫は、高さ約10メートルの天井まで書棚が伸び、本が壁を埋め尽くす。約2万4千冊は革や布で装丁され、味わい深い。東洋文庫ミュージアム(東京都文京区)の「モリソン書庫」は、訪れた人を魔法学校の図書館に足を踏み入れた気分にさせる。 拡大する東洋文庫のモリソン書庫=東京都文京区、井手さゆり撮影 入り口でもらったパンフレットによると、1924年に設立された東洋文庫は日本最古、最大の東洋学専門図書館で、蔵書は100万冊を超える。 記事後半では、地元で人気のグルメスポット紹介や会員登録すると応募できるプレゼントもあります。 モリソン書庫は、専門図書館… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ちぐはぐ対応で札幌は「感染爆発」 緊急事態の北海道
新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象に、北海道が追加されることが14日、決まった。期間は16~31日。宣言見送りの方向だった前日から一転、深刻な感染状況を受けて国が方針転換した。鈴木直道知事は、札幌など感染が急拡大している地域で酒類提供飲食店への休業要請など強い措置を行い、「メリハリを取った対応」で抑え込みを図る。しかし、これまでの道と札幌市のちぐはぐな対応の結果、すでに札幌では「感染爆発」の状況に陥っている。 急転直下だった。14日午前、政府の「基本的対処方針分科会」で西村康稔・経済再生相が北海道を宣言地域に加える方針を示したことが道庁内に伝わった。幹部は「(「札幌限定」の緊急事態宣言を示した)昨日の道議会での知事発言は何だったんだ」。鈴木知事に西村氏から伝えられたのはこの日午前だったという。 13日までの道のメインシナリオは、国の適用後に道が対象区域を指定できる「まん延防止等重点措置」の対象拡大だった。現在の札幌市から、石狩振興局管内の市町村、小樽市、旭川市に拡大し、感染拡大地域を抑え込む。そのうえで政府には「札幌限定の緊急事態宣言」を要望した。ただ地域限定の宣言が行われたことはなく、政府は13日中に見送りの方針を固めていた。鈴木知事は「前日に(見送りとの)総理のコメントがあり、緊急事態宣言ではないと思っていた」という。 特措法に基づく緊急事態宣言が道に出されるのは、昨年の「第1波」の対応で当初7都府県が対象となり、後に国が全国に広げた昨年4月16日以来。宣言が発出されると、知事が国の基本的対処方針に基づき「緊急事態措置」を定める。道内では、5月9日から31日まで札幌市に「まん延防止等重点措置」に基づく対策が講じられているが、さらに一段強い措置が取られることになる。 鈴木知事によると、全道域では、不要不急の外出自粛や飲食店に午後8時までの時短(酒類提供は午後7時まで)を要請する。また、感染が急拡大している札幌市を含む石狩管内の市町村、小樽市、旭川市は重点対策を講じる。酒類を提供する飲食店やカラオケ店に休業を要請するほか、それ以外の飲食店は午後8時までの時短を求める。大規模商業施設にも午後8時までの時短を要請するほか、日中も様々な施設に休業を求める方向で検討する。15日に開く道対策本部会議で決定する。 地域に差を付けた対策に鈴木知事は「初めての対応だが、道ではメリハリが付けられる。札幌市も望んでいたことで、一番わかりやすい」と述べた。 ただ、今回の緊急事態宣言発… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:2377文字/全文:3446文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
沖縄観光、コロナで見えたもろさ 米軍統治のひずみ今も
沖縄は日本復帰から15日で49年を迎える。米軍基地に依存する経済から抜け出す力となってきた観光産業は、コロナ禍の直撃で、2年前の観光客1千万人から急落し、危うさが浮き彫りとなっている。全国のなかでも、沖縄での影響は深刻とみられる。背景には、米軍統治下で生まれ、なお解消されないひずみがある。 平年より5日早く梅雨入りした沖縄は連日、湿度が90%を超え、うだるような暑さが続く。那覇市の女性(53)が中学生の息子と2人で暮らす築50年ほどのアパートは、じっとしているだけで汗ばむが、エアコンはオフのままだ。「いつまた、クビを切られるか。節約ですよ」 国際通り近くに立地するホテルで清掃のパートをしている。シフトは月15日で収入は10万円ほど。しかし先日、「勤務日数を減らします」と社長に告げられた。大型連休中も、半分は空き室だった。 同僚30人とクビ 衝撃の失業率 5年ほど勤めた人気のリゾー… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「空間除菌」スポ庁購入 コロナ対策、厚労省は推奨せず
朽木誠一郎2021年5月15日 7時10分 スポーツ庁が、オリンピックの新型コロナウイルス感染症対策として、人への有効性や安全性が未確立な技術である「空間除菌」をうたう空気清浄機を購入していたことがわかった。厚生労働省によると、現在、医薬品医療機器法(薬機法)にもとづいて新型コロナ対策を標榜(ひょうぼう)できる空間除菌の家電や雑貨はなく、専門家からは問題視する声が出ている。 同庁によると、当初は空間除菌のAIロボットなどの購入を検討していたが、厚労省が推奨していないことなどを受けて取りやめた。しかし、空間除菌をうたう空気清浄機の導入は進めた。AIロボットの検討については「空間除菌に対する認識が甘かった」としたうえで、空気清浄機については「できるだけ換気をすることは必要だと考えた」と説明している。 同庁は昨年度の第3次補正予算で「国立競技場等における新型コロナウイルス感染症対策」として20億円を計上し、方法に「空間除菌等」を含めていた。オリンピック期間中に執行され、国立競技場の会議室などに複数台の空気清浄機が設置される予定で、総額は数十万円規模の見通し。 空気中の新型コロナウイルス対策として、厚労省は「こまめな換気」のみを推奨。感染症対策コンサルタントで看護師の堀成美さんは「空間除菌」について「不安ビジネスでもあり、人々や社会に負担を増やしているのはよくない。スポーツ庁が購入すると国によるお墨付きを与えることになり問題だ。業者の宣伝に惑わされず、必要な対策を実施してほしい」と指摘する。(朽木誠一郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
毎日検温、「ワクチン」投与…カキツバタ名所の復活劇
カキツバタの名勝地として知られる愛知県知立市の無量寿寺で、一時は軒並み立ち枯れの危機にひんしたカキツバタ群が復活を遂げている。地元の保存会が行政とタッグを組み、足かけ4年を費やして紫色の花を咲かせた。 「はい、16・5度」。カキツバタを守る地元「八橋旧跡保存会」のメンバーが連日、寺の中にある「八橋かきつばた園」の池の水温を測っている。菌が繁殖しにくいよう、水温を細かく管理するためだ。 平安時代の歌人在原業平の歌にも詠まれたカキツバタに異変が起きたのは、2010年ごろからだった。葉っぱの先端が黄色くなり、次第に根っこまで広がって最後は立ち枯れ状態に。原因が分からないまま年々悪化していった。 保存会によると、「最悪」と… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル