最近、書店に行くと家庭向けの「性教育本」がずらりと並んでいます。ネットで子どもの世界が広がるなかで、親の焦りや戸惑いを感じます。性を教えるのは、何のためなのでしょう。 歴史社会学者・田中ひかるさん「現代日本の女性の生理回数、不自然に多い」 私は、女性の月経が社会の中でどう位置づけられてきたかを研究してきました。 その立場で思うのは、女性にとって「初経教育」は、人生を左右するほど大事だということ。性教育は「妊娠、出産の仕組みを教える」のが主軸になっていますが、生理との付き合い方を教えることも重要です。「今はよい生理用品があるし、生理痛や月経前症候群などの不調が現れても、対処法があるから大丈夫」と安心させ、勇気づける内容であってほしいのです。 というのも、かつて女の子たちは、初経の訪れと同時にさまざまな心配事を抱えたり、諦めたりしなければなりませんでした。生理用ナプキンは分厚いのにブルマーをはかねばならず、プール授業の見学も認めない学校もありました。さらに、重い生理痛によって、男子と同じように学んだり働いたりすることを諦めた人も大勢いたのです。それは個人にとっても社会にとっても大きな損失でした。 2021年の現在、生理用品は著しく進化し、重い生理痛も経血過多も医療で解消できるようになりました。低用量ピルもあるし、黄体ホルモンで月経を止めるリングも保険が適用されています。 「自然な」生理を止めることへの反対意見もありますが、現代日本の女性の生理回数が「不自然に」多すぎることにも目を配るべきでしょう。 平均値での比較ですが、明治時代、子どもを5人産んだ女性の生理は約50回。一方、子どもを2人産んだ現代の女性は、その9倍の約450回で、これが子宮内膜症多発の一因でもあります。 田中さんはこのあと、世の中の月経観には「2度転換期があった」と語ります。後半では、性教育をテーマにするコミックエッセーを執筆したフクチマミさんが、親世代も価値観のアップデートが必要と論じます。 明治以降、長い間、女性の犯… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1692文字/全文:2460文字 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
札幌で酒類提供自粛 北海道が「まん延防止」で追加対策
北海道は、新型コロナ対応の特別措置法上の「まん延防止等重点措置」が9日から道に適用されることを受け、8日午後、道庁で新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開いた。会議では感染が急拡大している札幌市を対象に、新たな対策を行うことを決定。飲食店での酒類提供自粛やイベントの人員制限、企業の出勤者7割削減など、緊急事態宣言に準じた対応を取る。一連の対策は9日から順次開始し、31日まで実施する。 鈴木直道知事は会議で、「(重点措置は)札幌市を対象とする地域限定の緊急事態宣言ともいえる極めて強い措置。全道へのまん延を防ぐ最後のとりでだ」と述べ、道民に感染拡大防止策への協力を呼びかけた。 札幌市内の飲食店に対しては12日から、酒類の提供自粛(客の持ち込みも含む)を要請し、営業時間は午後8時までとする。要請に応じた事業者には、中小企業は1店あたり3万~10万円、大企業は最大20万円の支援金を出す。 イベント開催については11日から、人員の上限を5千人とし、場内での酒類の提供自粛(客の持ち込みも含む)を求める。イベントの開催時間は午後9時までとする。参加者が1千人を超える場合は道への事前相談も求める。 飲食店以外のスポーツ施設やパチンコ店、スーパー銭湯など人が集まる施設でも、酒類の提供自粛やイベントの人数制限などを求める。 このほか、企業にはテレワークや時差出勤により出勤者数の7割削減を目指すよう求めるほか、札幌市営地下鉄や市電の終電繰り上げ、学校行事(運動会、体育祭、修学旅行など)の中止や延期、縮小を求める。 札幌市内での新たな対策(9~31日、順次実施) 「重点措置」適用を受けた札幌市内での対策(9~31日、順次実施) ◆飲食店・カラオケ店への要請(12日から) ・営業時間は午前5時から午後8時まで(継続) ・酒類提供を終日自粛(店内持ち込み含む) ・カラオケ設備の利用自粛 ・支援金は中小企業で1店あたり1日3万~10万円、大企業は最大20万円(調整中) ◆イベントは人数5千人以下。営業は午後9時まで。酒類提供は終日自粛(11日から) ◆時差出勤やテレワークなどで出勤者7割減を目指す ◆運動会、修学旅行など学校行事の中止や延期、縮小 ◆百貨店や映画館などの営業時間は午後8時まで。酒類提供は終日自粛(12日から) ◆終電の繰り上げ(市営地下鉄30分、市電20分)、大通駅とさっぽろ駅で検温実施(12日から) (不要不急の外出・往来の自粛、市立・道立施設の休館、学校部活動の原則休止なども継続) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
黒板の字、消したい小学校の記憶 4年後メールが届いた
神奈川県湯河原町の湊祐太朗さん(18)にとって、小学校の6年間は消したい記憶だった。アサガオを教室で観察するのが怖かった。チョークの音も「手を洗おう」という貼り紙も耳や目にうるさくて、掃除用具入れに隠れて出てこなかったこともある。先生たちには「だだをこねない」とよく叱られた。 でも、5年生で担任になった柏木伸一先生(39)は違った。教室に入れないでいると、校舎4階の角にある小さな算数教材室にいていいと言ってくれた。そして1メートル四方の黒板をひっぱり出してきて「思ったことを何でも書いていいよ」と白いチョークをくれた。 何を書こうか。いじめてくる同級生の名前を書いた。「ふざけんな」「おれだけ悪者にされている」……。思いつくまま手を動かすと、端から端まですき間なく埋まった。柏木先生は「すごいね。こんなにたくさん書けるんだ」となぜかほめてくれた。 それからは、卒業するまでそこが居場所になった。我慢の限界が来ると逃げ込み、やり場のない怒りを黒板にぶつけた。静かな空間にいると、気持ちが落ち着いた。 柏木先生には、湊さんが「気持ちをどうしていいか分からず苦しんでいる」ようにみえた。当時、教師7年目。「しんどい子の側に立ちたい」と大学で児童福祉を学び、耳の聞こえない子が通う学校でボランティアをした経験もあった。 湊さんは、私立中高一貫校に進んだ。成績上位で学級委員も務める一方、道端で小学校の同級生に会っても目をそらし、小学校には立ち寄らないようにしていた。 卒業から4年がたった2019年3月のことだ。 「転勤になります。一度、学校に来ませんか」。柏木先生からメールが届いた。 離任式のあとで「見せたいも… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:496文字/全文:1210文字 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新緑輝く2.4キロ メタセコイア並木見ごろ 滋賀
田辺拓也2021年5月8日 17時00分 高さ20メートル以上の巨木が整然と並ぶ、滋賀県高島市マキノ町のメタセコイア並木が新緑の季節を迎えている。 長さ2・4キロメートルほど続く道沿いに植えられた木々は約500本。周辺の整備をする「マキノのメタセコイア並木を守り育てる会」によると、4月中旬から新緑が芽吹き始めたという。 1981年に地元の果樹生産組合が栗園の防風林として植樹したのが始まりで、当初の苗木は2メートルほどだった。秋にかけて葉の緑色が濃くなっていき、11月ごろから赤黄色に染まっていくという。(田辺拓也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北方領土に旧日本軍の地下要塞か ロシア研究者が調査
北方領土の択捉島に残る飛行場や陣地など旧日本軍関係の施設について、ロシアの歴史家らによる調査が行われ、その概要をサハリン州のネットメディア「サハリン・インフォ」が報じた。北方領土のこうした施設は現在、日本側からの調査がきわめて難しく、貴重な記録となっている。 旧日本軍施設などの概要をまとめたのは、サハリン州郷土博物館を拠点に、千島列島の日本関係の施設を長年調べてきたイーゴリ・サマリン氏ら。サマリン氏らは昨年9月から10月にかけ、真珠湾攻撃のため旧日本海軍が集結した単冠(ひとかっぷ)湾に残る旧天寧飛行場など、択捉島中部から北部の遺構の状況をまとめた。 一升瓶や皿の破片も 調査によると、旧天寧飛行場の滑走路跡は、ロシア軍のプレベストニク飛行場の滑走路と並行して残されていた。飛行場近くの海岸地帯には、小型防御用陣地「トーチカ」が数十メートルの間隔でいくつも並んでおり、中には壁の厚さが4メートルのものもあった。旧日本軍のものと見られるが、一部は旧ソ連がつくった可能性もあるという。 サマリン氏らは、島北部の別飛(べっとぶ)から北のオホーツク海沿いに残る旧日本陸軍の飛行場跡も調べた。トウロ沼近くにある飛行場の滑走路は縦5メートル、横4メートルのコンクリート床板を並べてつくられ、一升瓶や皿の破片といった軍部隊で使われた遺物も見つかった。 活火山の硫黄岳を望む最北部太平洋側のトシルリ周辺の海岸には、旧日本軍の大規模な地下要塞(ようさい)とみられる遺構もあった。 複雑な通路でトーチカや射撃… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
容疑者、スマホで被害者宅周辺を撮影か 茨城一家殺傷
茨城県境町の住宅で2019年9月、夫婦が殺害され、子ども2人が重軽傷を負った事件で、夫婦に対する殺人容疑で逮捕された岡庭由征(よしゆき)容疑者(26)=埼玉県三郷市=のスマートフォンから、事件前に被害者宅の周辺を撮影したとみられる動画が見つかったことが、捜査関係者への取材でわかった。 岡庭容疑者宅と現場は約30キロ離れており、茨城県警によると、被害者家族との接点は見つかっていない。県警は動画が撮影された状況などを調べている。 岡庭容疑者の逮捕容疑は19年9月23日午前0時40分ごろ、住宅2階の寝室で小林光則さん(当時48)と妻美和さん(同50)の首や胸などを刃物で複数回刺し、殺害したというもの。県警は岡庭容疑者の認否を明らかにしていない。 捜査関係者によると、過去に同じような事件に関与した人物を調べる過程で岡庭容疑者が浮上した。 茨城県警から連絡を受けた埼玉県警が昨年11月、殺人予備容疑で岡庭容疑者宅を家宅捜索。押収したスマートフォンから、被害者宅の周辺を撮影した動画が見つかった。事件後に張られた規制線が映り込む区域が撮られていたが、規制線は映っておらず、撮影は事件前と判断したという。 岡庭容疑者は運転免許を持っておらず、普段はスポーツタイプの自転車に乗っていたという。県警は自転車で現場を訪れた可能性があるとみている。公共交通機関が使われた形跡はないという。 事件では、当時小学6年だっ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:191文字/全文:800文字 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
熊本県で新たに111人が感染、過去最多 熊本市82人
熊本県と熊本市は8日、新たに111人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。1日あたりの新規感染者の発表人数としては1月8日の101人を超え、これまでで最多となった。111人のうち、熊本市が82人を占めた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
酒類提供自粛で「絶望的」 札幌の飲食店に一段の打撃
北海道は「まん延防止等重点措置」が適用されたことを受け、感染が急拡大している札幌市での新たな対策を決定。すでに時短を求めている飲食店には、12日から「酒類提供の自粛」を求める。繁華街の飲食店は食事とともに酒を楽しむ店が多い。ただでさえ時短でダメージを受けていたところへ、追い打ちをかけるような「酒類提供の自粛」で厳しい対応を迫られている。 札幌・ススキノで焼酎バーを経営する女性は8日、店を当面休業すると決めた。12日から休業する予定だったが、8日の感染急増を受け前倒ししたという。 10席だけの小さな店。これまでも道や札幌市の時短要請には従ってきた。それでも店を存続させるため、SNSで営業継続を知らせ、大型連休中の5月1~4日はランチ営業でおでんやカレーを出してしのいできた。 折れそうな心を奮い立たせてきたが、酒類提供の自粛要請は「手足をもがれるようなもの。今は途方に暮れるばかりです」。休業に向け、食材を処分しながら嘆いた。 工夫をこらしながら営業を続けてきた飲食店にとって、酒類提供自粛は一段と厳しい要求となる。 「(集客は)絶望的だ」。札幌・ススキノの焼き肉店「焼肉 上を向いて歩こう。」の店主の神田隆さんは言う。 すでに時短で売り上げは通常… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
水面下で検討「東京ロックダウン」 幻と終わった規制策
新型コロナという未知のウイルスが首都・東京を襲ってから1年余り。「強く短く」をうたった3度目の緊急事態宣言は延長を余儀なくされた。感染拡大をどう抑え込めばいいのか。その宣言前、東京都の水面下の動きが、内部資料や関係者の証言から判明した。 ◇ 3月28日、東京・西新宿。都庁舎の一室で、小池百合子知事ら都の最高幹部が一堂に会していた。 朝から降っていた雨は、昼過ぎにはやんでいた。2カ月半続いた2度目の「緊急事態宣言」が解除されて初めての日曜日。その前日は天候に恵まれ、都内の公園にはマスクをしないで飲食する花見客の姿が見られた。午後9時までとする営業時間短縮要請を守らない飲食店も出始めている。 感染拡大対策は、人の流れを抑えること――。折に触れ、こう発信してきた小池知事は、焦っているようにも見えた。「ウイルスにとって良い環境をつくらない週末であってほしい」と事前に呼びかけたが、人出が収まることはなかった。 拡大する好天に誘われ、ボートや橋の上から桜を見る人たち=2021年3月27日午後、井の頭恩賜(おんし)公園、朝日新聞社ヘリから、迫和義撮影 小池氏と最高幹部らの会合が開かれたのはそんな時だ。毎週日曜日に開催される勉強会。出席した都の幹部は、配られた資料のあるページに目をとめた。 「1week 5km 10km ステイ」 なんだ、これは――。 「ここまで強力にやるのか……」。勉強会の資料には、都の幹部が「事実上のロックダウン」と感じた、具体的な自粛要請の内容が書かれていました。 その幹部が驚きとともに38… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国内感染者、4カ月ぶり7千人超 14道県で過去最多に
新型コロナウイルスの国内の感染者は、8日午後7時現在で、新たに7244人が確認された。1日あたりの人数としては過去4番目に多く、今回の緊急事態宣言の期間中では最多となった。7千人を超えるのは1月16日(7042人)以来、4カ月ぶり。地域別では14道県で過去最多となり、都市部だけでなく地方に感染が拡大していることがうかがえる。 厚生労働省によると、重症者数は7日時点で1131人となり、過去最多だった6日と同数だった。 感染者が最多だったのは東京都の1121人、次いで大阪の1021人。東京が大阪を上回ったのは3月30日以来となった。1日あたりの感染者数が過去最多となったのは、北海道と群馬▽新潟▽石川▽愛知▽滋賀▽岡山▽広島▽香川▽福岡▽佐賀▽長崎▽熊本▽大分の各県。九州では5県で最多を更新した。 この状況について、大型連休の影響を指摘する声があがった。「外出や旅行をした中で、陽性になった人が出ている」(東京都の担当者)、「レジャーで県内を訪れた人が多かったことが影響しているのではないか」(群馬県の担当者)。新潟県では連休明けの6日に受診した人が多く、県担当者は「連休中に受診を控えた反動とみられる」と話した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル