2017年の臨時国会召集をめぐる同種訴訟で、昨年6月の那覇、今年3月の東京に続き、三つの地裁判決が出そろった。いずれも憲法判断はせず、原告側の訴えを退けた。だが、今回の判決は那覇と同様、要求があれば、内閣には合理的な期間内に召集する法的義務があり、違反すれば違憲と評価される余地があるとした。 衆議院事務局のまとめでは、1948年以降に要求があった計38回のうち、原告側が主張する「20日以内」の召集は7回。今回の安倍内閣(17年)の98日は、176日だった佐藤栄作内閣(1970年)以降では最も長い。 長谷部恭男・早大教授(憲法)は、憲法53条後段が定める臨時国会召集の趣旨について「法的義務と明確にした点で、裁判官と憲法研究者の間で解釈のコンセンサスができた」と評価する。一方で「98日間も放置したことに、裁判官は目をつぶっていいのか。控訴審の行方に注目したい」と話した。(中村建太、米田優人、編集委員・豊秀一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
臨時国会の召集「憲法上の義務」 岡山地裁、請求は棄却
憲法53条に定められた臨時国会の召集要求に、内閣が約3カ月間応じなかったことは憲法違反にあたるかが争われた訴訟の判決が13日、岡山地裁であった。野上あや裁判長(奥野寿則裁判長代読)は、要求があった場合、内閣は召集について「単なる政治的義務ではなく、憲法上の法的義務」を負うとの判断を示した。一方、憲法違反にあたるかは判断せず、原告側の国家賠償請求を棄却した。原告側は即日控訴した。 同種訴訟は全国の3地裁に起こされ、昨年6月に那覇地裁、今年3月に東京地裁が判決を出した。3地裁とも憲法判断をせずに原告側の訴えを退けたが、那覇地裁と岡山地裁はともに内閣が召集の法的義務を負うと認め、「違憲と評価される余地はある」とも言及した。 問題とされたのは、野党が2017年6月22日、森友・加計(かけ)学園問題を審議するため、召集を求めた臨時国会。当時の安倍晋三内閣は98日後の9月28日に召集したが、審議には入らず、冒頭に衆院を解散した。 憲法53条は後段で、衆参いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会を召集しなければならないと定める。時期についての定めはない。 召集を求めた一人の高井崇志・衆院議員=比例中国=は18年2月、「遅くとも要求から20日以内に召集すべきなのに、長期にわたって放置したのは憲法に違反する」として、国に110万円の国家賠償を求める訴訟を岡山地裁に起こした。 裁判では、内閣の臨時国会の召集について、裁判所の審査対象になるか▽召集要求に長期間応じないのは国会議員の権利侵害にあたるか――などが争われた。 原告側は、内閣によって国会の活動が妨害されており、司法が審査を放棄することは許されないと主張。国会議員として質問や討論をする権利が侵害されたと訴えた。国側は、召集するかは高度な政治的行為であり、裁判所の審査の対象外だと反論。要求した召集が実現しなかったとしても、国会議員個人の権利侵害にはあたらないとしていた。(中村建太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
1歳迎えたダウン症の我が子へ 心からの「ありがとう」
生まれてきてくれて、ありがとう。心からそう思っているよ――。ダウン症児の母12人が、1歳を迎えた我が子へのメッセージを集めた冊子をつくった。誕生を素直に喜べなかった時期を経て、かけがえのない存在と思えるようになった経験を、同じ境遇の人たちに届けたいという。 冊子は「1stBirthdayMessage(ファーストバースデイメッセージ)」。企画した石山裕未さん(38)=千葉県柏市=は「子どもを愛し続けられるか不安に思う人もいるかもしれない。けど、きっと大丈夫」と話す。 正常ではないんだ、という衝撃、が一番近い感情だったかも 長女の出産から約3時間後、医師からダウン症と告げられた。パニックになり、夫の薫さん(38)に抱きついて泣いた。 娘はダウン症に由来する心疾患で入院し、大きな手術を受けた。家族3人の生活が始まったのは、生後4カ月が過ぎた頃だった。 もっと抱きしめて、頰ずりして、大好きだよと伝えればよかった。あの時だけの彼女の匂いや体温、手触りをもっとインプットしておけばよかった ほかのダウン症児の母親は、どんな暮らしをしているんだろう。インスタグラムでつながりを求め、子連れで公園に行き、お茶をする友達ができた。 それでも不安は尽きなかった。娘は2歳になっても歩き始めず、母親たちの投稿を読み返した。「強い思いで子育てしている人がいることが励みになった」 インスタでは、1歳の誕生日に合わせ、その1年間を振り返る投稿を多く見つけた。我が子をかわいいと思えない時期があったことや、少しずつ成長する姿を見て、自分も仕事に復帰しようと考えるようになったこと。「それぞれの家族の物語が詰まっていました」。石山さん自身、フリーランスで企業の業務改善を提案する仕事と子育てを両立している。 冊子づくりを思い立ったのは1月。インスタで交流する母親たちに協力を求めた。愛知や広島、山口など住む場所もそれぞれで、会ったことがない人が半数以上。2月からクラウドファンディングサイトで資金を募り、目標額の250万円を超える支援が集まった。 冊子には当時の投稿に加え、今の心境を載せた。ほかの母親たちはこんな言葉を寄せている。 ダウン症があっても親バカしていいんだってことを教えてくれた 将来のことを悲観して育てていくのはなんだかもったいない気がして。せっかくだから、『何ができるか』を夢見てもいいんじゃないかなーと 石山さんは「いろんな子がいるように、いろんな育児がある。孤独と不安を感じている親たちが、前向きになれる手助けをしたい」と話す。 B5判40ページ。生まれたばかりのダウン症児を育てる親たちに冊子を届けたいとしている。問い合わせは製作委員会(1stbirthdaymessage@gmail.com)。(後藤隆之) クラウドファンディングで支援募る 石山さんらは、クラウドファンディング「A―port」(http://t.asahi.com/wkbf)で支援金を募っている。支援してくれた人に冊子などを提供する。16日まで。 ダウン症 正式名称はダウン症候群。染色体の突然変異により、筋肉の緊張を維持することが難しく、知的発達の遅れや心疾患を伴うことが多いが、個人差がある。書道や絵画など芸術分野で才能を発揮する人もいる。最初に報告した英国人医師ジョン・ラングドン・ダウン氏から名付けられた。国立成育医療研究センター(東京)の推計では2010~16年の毎年、ダウン症児は約2200人生まれたという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
無国籍の乳幼児が急増 上川法相「子どもの大事な問題」
無国籍の乳幼児が急増している問題をめぐり、上川陽子法相は13日の閣議後会見で、「(在留統計で)無国籍の方の存在は承知している。不法滞在者は統計で把握しておらず、子どもの国籍がさだかではない状況が生じていることは認識している」と、問題の所在を把握していることを明らかにした。 日本の国籍法は原則、親の国籍を受け継ぐ血統主義だが、国内で生まれて「父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき」は日本国籍を取得できる同法2条3項について言及。「補充的に(生まれた地の国籍を得られる)生地主義を採用することで、できるだけ日本で生まれた子が無国籍とならないように措置を講じている」と、現状の取り組みを説明した。 無国籍となっても「不利益を被ることが無いよう、関係機関と連携し、適切に相談対応をおこない、出入国管理法上の取り扱いについて積極的に広報する体制をとりたい」とも話し、状況の改善をめざしていく考えを示した。 日本で生まれた子どもが、在留カードに外国人の母の国名が書かれているにもかかわらず、実際はその国で出生手続きがとられずに事実上無国籍の状態となったケースもある。上川法相は「この国で生まれた子どもの権利の基盤がそれで失われているなら問題だ。子どものたいへん大事な問題として掘り下げたい」とし、「出入国在留管理庁の制度がどう運用されてきたのか。私自身、丁寧にいろんな角度から取り組みたい」と、解決に前向きな姿勢を示した。 法務省の在留外国人統計によると、無国籍の乳幼児(0~4歳)は、3年前に比べて約3・5倍に増えて、2019年末時点で213人。20年6月末時点で217人となっている。このほか、在留管理上では無国籍と把握されていなくても、どこの国籍も得られていない事実上の無国籍の子どもたちもいるが、統計上は把握されていない。(藤崎麻里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「コロナ撲滅」大だこに願いを乗せて 座間市で秋に祭り
江戸時代から200年以上続く神奈川県座間市の伝統行事「大凧(おおだこ)まつり」の実行委員会が、新型コロナウイルスの早期収束を願って「コロナ 撲滅」の文字が書かれた大凧を市役所1階に展示した。まつりは感染拡大防止のために5月上旬から秋への延期が決まっている。 大凧は3・6メートル四方の2間凧。まつりは11月3日の市制施行50周年記念式典の前後に、例年2日間の日程を1日だけにして開催する予定で、展示はそれまでの10月末まで。また、毎年、大小10個ほどの凧が揚げられるが、今年はこの2間凧を含めて3個になる。市の担当者は「多くの人に見てもらって、勇気を与えることができたら」と話している。(上嶋紀雄) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
文科相「学生に転嫁やめて」 共通テスト手数料の増加に
大学入学共通テストの実務を担う大学入試センターが、利用大学から徴収する成績提供手数料を、現行の750円から2年かけて倍増することについて、萩生田光一文部科学相は13日の閣議後会見で、利用大学に対し「間違っても(値上げ分を)学生に転嫁するのはやめてもらいたい」と述べた。 萩生田氏は会見で「大学入試のセーフティーネットとして共通テストが果たす役割は高まり、安定的な実施のため成績提供手数料などの見直しが必要」と説明。共通テストの成績だけで合否を判定する一部の大学を念頭に、「受験生から相当額の受験料を徴収しつつ、センターに750円の手数料のみを納めている実態がある」と指摘。その上で「今まで750円で提供してきたが、これが(来年に)1200円になったといって、(大学が)受験料をさらに2千円も3千円も値上げすることがないように」とクギをさした。 成績提供手数料は、共通テストを利用して入学者選抜を行う大学が、センターから受験生の成績提供を受ける際に納める手数料。今年1月の第1回共通テストは成績1件あたり750円だったが、センターは来年の第2回共通テストは1200円、2023年以降から1500円に値上げする方針を決め、国公私立大学に通知した。(伊藤和行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】桂文枝さん、聖火受け取り「いらっしゃーい」
新型コロナウイルスの感染が急拡大し、まん延防止等重点措置が先行適用された大阪府で13日、東京五輪の聖火リレーがスタートしました。公道ではなく、一般の観客がいない万博記念公園内を走る異例の方式。走者の様子や思いをタイムラインで速報します。 拡大する万博記念公園の聖火リレーに笑顔で臨む寺川綾さん=2021年4月13日午前9時29分、大阪府吹田市、柴田悠貴撮影 12:00 公園閉鎖、外の人「やむをえない」 リレーは万博記念公園を閉めきって実施されている。 公園の入り口を通りかかった大阪市の50代男性は、「公園で走るのは知っていた。こんな状況だから、やむをえないでしょ」。近くのショッピングセンターに向かう途中だった大阪府吹田市の50代女性は、「こういう場所があってよかったんじゃないですか。コロナ禍だし、誰にも迷惑をかけなくていいと思います」と話した。 拡大する太陽の塔の周りを走る聖火リレー=2021年4月13日午前11時44分、大阪府吹田市、朝日新聞社ヘリから、白井伸洋撮影 11:45 リトグリのかれんさん「力を送りたい」 走り終わったランナーたちはコースから少しはずれた建物に集まり、報道陣の取材に応じた。 原則として無観客だが、警備員たちに守られての走行に、「物々しさにびっくりした」と話すランナーもいた。 ボーカルグループ「Little Glee Monster」(リトグリ)のかれんさんは、「一時は中止になるかもという不安もあった。普段は歌でエールを伝えているが、今日はランナーとして力を送りたいと思いながら走った」と話した。 10:25 桂文枝さん「いらっしゃーい」 前の走者と 吉本興業所属の落語家、桂文枝さんもランナーとして万博記念公園内を走った。前の走者から聖火を受け取ると、2人でお決まりのギャグ「いらっしゃーい」を披露した。 走り出してからは報道用のヘリコプターが飛ぶ空を時折見上げ、指を掲げながら次の走者へとつないだ。 拡大する30番目走者の桂文枝さん=2021年4月13日午前10時26分、大阪府吹田市の万博記念公園、甲斐江里子撮影 09:55 15歳の橋本さん走る 見守る父「うれしい」 特別支援学校に通う橋本健亮(けんすけ)さん(15)は、家族たちに見守られながら走り出した。橋本さんには生まれつき身体に障害があり、父の洋之さん(48)は「生きているだけでも精いっぱいの時期もあった」と話す。 無事に200メートル走りきった健亮さんを、洋之さんはビデオカメラを回しながら見守った。「公道でみんなに応援してもらえないのは残念だけど、(健亮さんが)力強く、堂々と走ってくれてうれしい」 拡大する補助具をつけながら走った橋本健亮さん=2021年4月13日午前9時56分、大阪府吹田市の万博記念公園、甲斐江里子撮影 09:19 鎮守美奈さんにトーチキス 定刻になると、第1走者で歌舞伎役者の片岡愛之助さんが、車に先導されながらゆっくりと走り出した。スタートした直後にはスタッフなどから拍手があがったが、その後は報道陣のシャッター音やヘリコプターの音が響いた。 片岡さんは笑顔で沿道の報道陣らに手を振りながら、第2走者の鎮守美奈さんが待つポイントへ。片岡さんは「よろしくお願いします」と言いながら、鎮守さんにトーチキスをした。 拡大する第1走者の片岡愛之助さん(左)から第2走者の鎮守美奈さんへ最初のトーチキス=2021年4月13日午前9時19分、大阪府吹田市の万博記念公園、甲斐江里子撮影 09:15 片岡愛之助さんが第一走者 聖火リレーがスタート。第1走者は歌舞伎役者の片岡愛之助さん。 大阪府堺市南区の小学6年、浜田奈穂(なお)さん(11)は、母親の裕美さんの応援をするため、父親と祖母と万博記念公園に来た。 「せっかくだから」と習っているチアリーディングのポンポンをもって、片岡さんも応援することにしたという。「友達に聖火リレーを見に行くと昨日話したら、めっちゃすごい、と言われました」 拡大する大阪府の第1走者の片岡愛之助さん=2021年4月13日午前9時16分、大阪府吹田市の万博記念公園、甲斐江里子撮影 感染拡大の大阪、どう走る? 万博記念公園では、園内に約3キロのコースを作って15区間に分け、1人あたり約200メートルずつ走る。ランナー1人について家族など最大4人まで観覧できるようにしたが、スポンサーの車両は走らず、リレーの隊列の車両は最小限に絞り込んだ。13、14の両日に開かれる。 公道での実施の場合、大阪府内の走者は約200人が予定されていたが、公園内となり、実際に何人が走るかは不明だという。 13日夕には公園内の広場で、日本フェンシング協会の太田雄貴会長(35)や音楽グループ「GENERATIONS」、書道家の武田双雲さん(45)らを招いた式典が無観客のライブ配信で開かれる。 ◇ 大阪府と東京五輪組織委員会は、新型コロナウイルスの感染拡大で「まん延防止等重点措置」が大阪府に適用され、不要不急の移動自粛が求められたとして、公道での聖火リレー中止を決めた。 3月25日に福島県を出発した聖火リレーは13日で20日目で、公道でのリレー中止は全国で初めて。 大阪府の吉村洋文知事が、重点措置の適用を政府に要請する方針を示したのは3月29日。吉村知事は4月1日、大阪市内では聖火リレーを中止する方針を表明したが、7日になって府内全域の公道での中止が決まった。この日に万博記念公園で代替する方針も示されたが、概要が発表されたのは9日の深夜になった。 ◇ 14日で五輪開幕まで100日となる。重点措置は12日から東京都や京都府、沖縄県にも適用されている。聖火リレーは今後、不要不急の移動自粛が全国で求められる中で実施されることになる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被爆語り部の岡田恵美子さん死去 ノーベル授賞式で代表
国内外で広島での被爆体験を証言してきた語り部の岡田恵美子さんが10日、大動脈解離のため死去した。84歳だった。葬儀は近親者のみで行った。喪主は夫の隆さん。 8歳の時、爆心地から2・8キロで被爆。12歳の姉を失った。2000年から、広島市の平和記念資料館の「証言者」として活動。米国など海外でも体験を伝え、15年のノーベル平和賞の授賞式には被爆者代表として招かれた。 「悲しむ人が世界に多いだろう」 今年度も証言者として活動する予定で、9日の委嘱書交付式に出席したばかりだった。ともに参加した小倉桂子さん(83)は「悲しむ人が世界に多いだろうな」と急な別れを惜しむ。 式の後に開かれた証言者の懇談会の終わり間際、岡田さんは、核兵器禁止条約への批准を日本政府に求める署名への協力を呼びかけたという。「核兵器廃絶のためがんばりましょう」との力強い言葉が小倉さんの胸に残った。「行動力のある彼女らしいなと思った」と振り返った。 突然倒れたのは翌10日。世界から訪れる人に被爆体験を聞く機会を提供する「ワールド・フレンドシップ・センター」(広島市)の集まりでのことだった。森下弘名誉理事長(90)は「本当に残念。ショックだった」。20年以上、親交があったというNPO法人「ANT―Hiroshima」(同)理事長で被爆2世の渡部朋子さん(67)もその場にいたという。「最後の最後まで平和のために働かれた」と語る。 銃撃されたマララさんに折り鶴を贈る パキスタンのノーベル平和賞受賞者、マララ・ユスフザイさんが12年に銃撃された際に折り鶴を贈るなど原爆関係以外の活動も積極的に行ったといい、渡部さんは「悲しみ、つらさを抱えている人に思いを寄せ、自分に何ができるか考えて行動した人」としのんだ。 岡田さんは若い世代とも交流した。広島市在住のシンガー・ソングライターのHIPPY(ヒッピー)さん(40)は岡田さんの証言を聞き、歌をつくった。「血のつながった祖母のようだった。いつも背中を押してくれた」と悲しんだ。「命をかけて、命の尊さを教えてくれた。次の世代に伝えていくことが僕たちの役目」と決意する。(岡田将平、三宅梨紗子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
感染拡大の大阪で聖火リレー 公道は中止、異例の方式
新型コロナウイルスの感染拡大で「まん延防止等重点措置」が適用され、公道での東京五輪聖火リレーが中止された大阪府で、代替となるリレーが13日、万博記念公園(吹田市)で始まった。感染防止対策として原則無観客で、閉めきった公園内を周回する異例の形式となる。 3月25日に福島県を出発した聖火リレーは13日で20日目で、公道でのリレー中止は全国初。14日で五輪開幕まで100日となる。 大阪府と兵庫県、宮城県で5日に始まった重点措置は、12日から東京都や京都府、沖縄県にも適用されている。聖火リレーは今後、不要不急の移動自粛が全国で求められる中で実施されていくことになる。 13日は午前9時15分から、ランナーの家族やスタッフ、報道陣が見守る中、第1走者が走り出した。 万博記念公園では、園内に約3キロのコースを作って15区間に分け、1人あたり約200メートルずつ走る。ランナー1人について家族など最大4人まで観覧できるようにしたが、スポンサーの車両は走らず、リレーの隊列の車両は最小限に絞り込んだ。府内の走者は約200人が予定されていたが、公園内で実際に何人が走るかは不明だという。 13日夕には公園内の広場で、日本フェンシング協会の太田雄貴会長(35)や音楽グループ「GENERATIONS」らを招いた祝賀式典が、無観客のライブ配信で開かれる。 14日も万博記念公園で行われた後、聖火リレーは15日からは徳島県を皮切りに四国に移る。23日の大分県から九州を走る予定になっている。 聖火リレーを巡っては、島根県の丸山達也知事が2月に中止検討を表明したが、4月に入って実施すると発表した。鳥取県の平井伸治知事は規模を縮小する方針を示しており、12日には愛媛県の中村時広知事が松山市内で中止すると表明した。(小林太一、甲斐江里子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「鬼滅」の禰豆子、聖地を案内 声優が「バスガイド」
山梨県丹波山村を走る西東京バス(東京・八王子市)の車内に、アニメ「鬼滅の刃」禰豆子(ねずこ)役の声優、鬼頭明里さんのアナウンスが流れる。作品の「聖地」人気に着目した企画で、路線バスの利用者や村の知名度アップを狙う。ただ、今月下旬の予定は、新型コロナウイルスの感染拡大で延期も検討されている。 鬼滅の刃の主人公、竈門炭治郎(かまどたんじろう)と禰豆子の出身地は雲取山(2017メートル)と設定されている。村にはその登山口があり、訪れるファンも多い。 この人気にあやかって地元の魅力をアピールしようと、村ではアニメの声優による「バスガイド」を企画。同社も「二つ返事」で協力することになった。 依頼したのは、禰豆子役の声優、鬼頭明里さん。鬼滅の刃以外にもアニメ「ラブライブ! 虹ケ咲学園スクールアイドル同好会」などに出演、歌手としても活躍している。 声の収録は3月。村内に15カ所ある停留所の名前や由来、観光情報などを吹き込んだ。例えば、雲取山の登山口となる「鴨沢」では、「狼(おおかみ)が神の使いとして伝わる七ツ石神社への登山口はこちらです」と案内。ユニークな名前の「お祭」では、「平安時代、平将門がここで宴を開いたことが地名の由来とされています」と流れ、「丹波山温泉」では、温泉施設や特産物をPRする。 企画した村総務課の寺崎美紅さんは「バスの乗客が減ると路線の存続にも関わる。利用者は『山梨の丹波山』ではなく『奥多摩』と思っている人も多く、村のことを知ってもらいたい」と話す。 車内放送は、「奥多摩駅~丹波」(平日3、土曜・休日は1日6往復)「奥多摩駅~鴨(かも)沢西」(平日含め1日5往復)の2系統、山梨県内を走る際に流れる。4月下旬を予定したが、東京都に「まん延防止等重点措置」が12日に適用されたことを受け延期を検討している。(永沼仁) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル