技能実習生や留学生が、海を渡って続々と日本にやってきている。外国人どうし、あるいは外国人と日本人の間の「予期せぬ妊娠」で生まれる赤ちゃんもいる。 想定外の妊娠であれば、妊婦が医療機関の支援を受けられなかったり、赤ちゃんが遺棄されたりするリスクは高まる。 加えて、外国人の母親から生まれた子には別のリスクもつきまとう。どの国籍も得られない「無国籍児」になってしまうリスクだ。 婚前出産がタブーの国から来た留学生 2年前、関東地方に生まれた男の子もそんな一人だ。 関東地方の一軒家。2歳の男の子が、床一面に広がるおもちゃの間を跳びはねながら、50代の里父に抱っこをせがんだ。 拡大する男の子は里父の指をぎゅっとつかんだ 男の子が里親夫婦のもとにやってきたのは、生後わずか7日目だった。夫婦にとって里親になるのは2度目だったが、新生児は初めて。あまりの小ささに驚いた。夜中も3時間ごとにミルクを代わる代わるあげた。ぐんぐん育ち、いまは12キロになった。 男の子の両親は、ともに南アジアの国の出身だ。でも、男の子の国籍はない。 「無国籍って何?」。預かるにあたってそのことを聞いた夫婦は、そう言って顔を見合わせた。 男の子はなぜ無国籍になってしまったのか。 支援にたずさわった関係者によ… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
警察宿舎→感染者用改修→利用せず元に戻す 計48億円
東京五輪・パラリンピックで警備にあたる警察官用の東京都内の宿舎を、新型コロナウイルスに感染した人を受け入れる施設として改修したものの、利用されないまま元の状態に戻すことになった。警察庁などへの取材でわかった。改修と再改修に要した費用は計約48億円にのぼるという。 施設の管理や運営を担っていた都は「ホテルの方が宿泊療養に適していた」などと説明している。 警察庁によると、宿舎は東京都江戸川区と江東区、大田区の臨海地区の4カ所に建設されたプレハブの施設。五輪の警備のため全国から派遣される部隊の隊員が寝泊まりするために警察庁の予算で用意された。 コロナ感染者の増加を受けた政府の対策の一環として、軽症・無症状の人たちが療養する施設に使う方針が決まり、完成間近だった昨年4月から改修を始めた。大部屋に仕切りを設けて個室に変え、トイレや浴室を増やしたほか、駐在する看護師のためのスペースをつくるなどした。昨年度の補正予算で改修費約40億円が計上され、実際に約37億円が使われたという。 4カ所で計800人ほどの受け入れが可能だったというが、一度も使われなかった。その後、五輪を控えて警察官の宿舎に戻すことになり、今月初めから再改修の工事が始まった。再改修には今年度の関係予算のうち約11億円が充てられる。警察庁によると、仮に療養施設に利用されていても、五輪の警備に間に合うように元の状態に戻す予定だったという。 警察庁の担当者は「使うかどうかの判断や運営方針については話す立場にない」としている。関係者によると、警察庁と厚生労働省などとの間で、施設の管理、運営は都が担うことを確認しており、改修も都が主導して行った。厚労省から3月ごろ、警察庁に「都が使う状況にない」と連絡があったという。 厚労省の担当者は「改修が決まった昨春は風評被害の懸念があり、軽症者用のホテルが確保できるか分からない状態だった。都によるホテル確保が進み、結果的に使われないことになった」と説明。都の担当者は「民間のホテルの方がアメニティーなどもそろっていて、宿泊療養に適していたため、ホテルを優先的に使用していた」と話した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東電社長「深くおわび」 柏崎刈羽原発のテロ対策不備
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策の不備が相次いだ問題で、東電の小早川智明社長は7日、新潟市内で記者会見を開き、自身を含む役員4人が月額報酬の30%を6カ月間、自主返納すると発表した。再発防止のため、核の防護対策に詳しい外部の専門家の協力を得て、社内で原因究明を進めていくという。 一連の問題で、原子力規制委員会は3月末、柏崎刈羽原発での核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出す方針を決定。東電は弁明の期限とされた7日、命令を受け入れる意向を規制委に文書で伝えた。命令は近く確定する。 小早川社長は「地域の皆様をはじめ、広く社会の皆様に多大なる不安と不信を与え、心から深くおわび申し上げます」と陳謝。今後の対応として、10年前の福島第一原発事故までさかのぼり、社内で安全文化や核物質管理の重要性についての認識が根付いていたか、組織的な課題を検証していくことなどを挙げた。 同原発では昨年3月以降、立ち入り制限区域の不正侵入を検知する設備が故障したのに点検や保守を怠り、実効性のある代替措置も長期間講じられていなかった。昨年9月には社員による同僚の認証カードを使った中央制御室への不正侵入も起きていた。 規制委が、原因の背景に経営層の関与が不十分だったことを指摘したことについて、小早川社長は「経営側がどのようなイニシアチブを発揮するべきであったかは、これから詳細に調査し、改善するところは改善する」と述べた。(川村剛志) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
川で溺れ男児が死亡、助けようとした男性不明 板橋
7日午後4時半ごろ、東京都板橋区蓮根3丁目の新河岸(しんがし)川で、「小学生の男の子が流されている」と110番通報があった。警視庁によると、区内の小学2年の男児(7)が溺れ、約1時間半後に救助されたが、その後死亡が確認された。 男児を助けようとして川に入った成人とみられる男性も行方不明になり、警視庁や東京消防庁が捜している。男性の身元は分かっていないが、男児の保護者ではないという。 警視庁志村署などによると、男児は川の右岸の公園で友人2人と遊んでいた。 友人のサンダルが川に落ちて流されたため、ほかの友人2人と合流して棒などを使って回収しようとしたところ、男児が足を滑らせて川に転落したという。近くにいた男性2人が川に入り、うち1人が流された。 現場は、都営地下鉄三田線西台駅の北約450メートル。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
TOEIC・英検、受験料値上げ コロナで会場費が高騰
英語民間試験「TOEIC」を実施する国際ビジネスコミュニケーション協会(東京都)は7日、10月以降に行う「Listening & Reading」の受験料を値上げすると発表した。現行の6490円から7810円に引き上げる。新型コロナウイルス感染症の影響で、会場費や予防対策の人件費などが増えているためという。 協会によると、値上げは昨年4月以来で、その他の試験の受験料は据え置く。コロナ禍で取りやめていた試験を昨年9月に再開したが、大学などから会場を借りにくくなり、ほかに借りているホテルなどの民間の会議室の借用料が高額となっているという。 一方、中高生の受験者が多い「英検」を実施する日本英語検定協会(東京都)も2月、今年度の検定料の値上げをホームページ上で発表した。協会によると、本会場での1~5級の全級の検定料を1300~2300円、学校など準会場での2~5級の検定料を300~1千円、それぞれ引き上げる。同様にコロナ禍の影響で会場確保や感染予防のコストが増えたという。 英語民間試験は大学や高校の個別入試などでも活用されており、値上げにより受験生の負担増が懸念されている。(伊藤和行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北方領土でサーフィン合宿 ロシア代表に北海道内で困惑
東京五輪への出場を目指すサーフィンのロシア代表チームが、北方領土の国後島で合宿を始めた。ロシアでは合宿を「わが国領内で歴史上初めて、サーフィンの五輪向け選手団の公式練習が始まった」(サハリン州のASテレビ)などと報道。海を挟んで隣接する北海道根室市では困惑の声が出ている。 ASテレビなどによると、合宿は6人の選手が参加し、今月14日まで続ける予定という。合宿に向け、国後島の太平洋岸で練習に適した場所を調査し、島北部の爺爺(ちゃちゃ)岳を望む海岸など4カ所が選ばれた。2日には、サハリン州の州都ユジノサハリンスクをロシアサーフィン連盟の幹部らが訪問。州当局者らと、国後島を世界のサーフィンの名所とする可能性などを協議したという。 一方、根室市では東京五輪終了後、卓球とバドミントンのロシア選手団を招いて歓迎行事を予定している。市は「国後島をロシア領として合宿するのは、実効支配の誇示につながりかねない」(北方四島との交流担当者)とし、日ロ交流への影響を懸念する。千島歯舞諸島居住者連盟の宮谷内亮一根室支部長(78)は、「北方領土では、スポーツは政治利用から離れ、ビザなし交流などに資する形で行うべきだ」と話している。(大野正美) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
入管法改正は「改悪」 小島さん、せやろがいさんら訴え
拡大する記者会見するお笑い芸人のせやろがいおじさん(左)とエッセイストの小島慶子さん=2021年4月7日午後2時39分、東京・霞が関、鬼室黎撮影 在留資格を失った外国人を入管施設で長期収容する問題の解消を狙って政府が今国会に提出した出入国管理法改正案をめぐり、難民申請中の当事者や関心を寄せる著名人らの有志の会が7日、東京・霞が関の厚生労働省で記者会見した。出席者らは「(改正案は)改悪」などと訴え、改正案の廃案を求めた。 改正案は、母国が紛争中の人などを想定して難民に準じる「補完的保護」としての在留を認めるしくみをつくったり、逃亡の恐れが低ければ一定の条件下で施設外での生活を認める「監理措置」という新たな枠組みを設けようとしたりしている。 だが、そもそも現状の難民認定率はわずか0・4%(2019年)と低い水準にある。現行法には「難民認定の手続き中は送還しない」という規定があるが、改正案には申請3回目以降はこの規定の適用外とする内容が盛り込まれた。このため、強制送還のリスクが高まるといった課題も多く指摘されている。 トルコから迫害を逃れて来日… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
看護学院側、パワハラは認めず 学生・保護者ら反発
北海道立江差高等看護学院(伊東則彦学院長)の学生たちが「複数の教師によるパワハラ」を告発した問題で、学院を所管する道は7日、学生と保護者を対象に説明会を開いた。学生との意思疎通を図るため教師を増やすなどの対応を示したが、現時点でパワハラは認定しない方針で、学生や保護者は「問題の本質のすり替えで、分かっていない」と反発を強めている。 学院は道立の専修学校で、学生や卒業生らによると、教師の強圧的な言動で多くの学生が留年や休学、退学に追い込まれたという。道は学生らの訴えを受け、3月17、18日に学生や教師らに聞き取り調査を実施。学生は今年3月までの1年間の教師による言動を記録した文書を提出し、抜本的な改善を求めた。 文書には日付や教師名とともに、「講義に出させてもらえず、単位が取れなかった」「執拗(しつよう)に休学を促された」「課題の提出物を床に投げ捨てられた」「指導してもらった用紙に『は?』とだけ書かれた」「あなたに指導する価値がないと言われた」「看護学実習で肩を強く引っ張られ、尻もちをついた」などの内容が詳細に記録されていた。 聞き取りや文書などを踏まえ、道は対応策を検討。7日の保護者説明会には約20人が参加し、道からは田原良英・道医務薬務課長らが出席した。 説明会で道が示した対処方針に… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「含まれない」一転、泡消火剤に有害物質 空自那覇基地
航空自衛隊那覇基地(那覇市)で2月に泡消火剤が飛散する事故があり、那覇基地は7日、泡消火剤に発がん性が疑われる有害物質が含まれていたと発表した。発生直後は「含まれない」と沖縄県や那覇市に伝えていたが、地元紙の独自調査で含まれている可能性が指摘され、調査していた。那覇基地は県や那覇市に通知し、謝罪した。 事故は2月26日、基地内のタンクで、泡消火剤の入れ替え中に配管が破損。風にのって一部が基地外に流出した。直後、那覇基地は泡消火剤にPFOS(ピーフォス)は含まれず、毒性はほとんどないと説明していた。 7日の発表によると、含まれていた有害物質は、有機フッ素化合物のPFOSやPFOA(ピーフォア)。いずれも基地内外で検出され、基地内の水路では、国の水質管理の目安(暫定目標値、PFOSとPFOAの合計で1リットルあたり50ナノグラム)の約127倍にあたる6390ナノグラムが計測された。基地外では目安を下回った。 一方、那覇市は、保育園の駐車場にも泡消火剤が飛んできたことを確認し、那覇基地とは別に調査。3月末までに有害物質が含まれていることがわかり、城間幹子市長は7日、「これまでの自衛隊の説明とは異なる結果について、市民の不安感を増長させ、大きな憤りを覚えている」とのコメントを出した。市によると、泡消火剤が舞ってきた周辺の園庭は現在も使用中止にしているという。(寺本大蔵) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
教科書に載った「ゼッケン67」 あの選手の孫が日本で
1964年の東京五輪。男子陸上1万メートルの決勝で、大観衆を沸かせたセイロン代表選手がいた。最下位ながら最後まで走りきった姿は人々を感動させ、小学校の国語の教科書でも取り上げられた。あれから約半世紀。選手の孫(29)が、群馬県渋川市で介護福祉士として働いている。異国の地になじめず、一度はスリランカに帰ろうとしたが、最後まであきらめなかった祖父の姿に支えられた。 「たった一人で三周 びりで完走」「勝者も敗者も 偉大だった」 当時の朝日新聞にはこんな見出しが躍る。 カルナナンダ選手(当時28)は周回遅れとなり、他の選手のゴール後、一人で3周した。最初はあきれたように見ていた7万の観衆だが、脇腹を抱えながら懸命に走る姿に吸い寄せられ、最後は優勝したかのような万雷の拍手と歓声でゴールに迎えた。 日本の教科書にも 71、74年度の小学4年の国語の教科書(光村図書)にも「ゼッケン67」という題名で紹介された。物語はカルナナンダ選手の言葉で結ばれている。「国には、小さなむすめがひとりいる。そのむすめが大きくなったら、おとうさんは、東京オリンピック大会で、負けても最後までがんばって走ったと、教えてやるんだ」 カルナナンダ選手は74年に母国の湖に転落して亡くなったが、娘のネルムさん(56)は孫のオーシャディーさんに、東京五輪でのできごとや父との思い出を繰り返し話した。亡くなる前年には、日本で陸上のコーチとして働きたいと、就職先を探していたという。 日本になじめず「死んじゃう」 ネルムさんから話を聞いて日本に興味を持ったオーシャディーさんは、コロンボ大学を卒業後、日本の学校で学びたいと考え、2016年10月に来日した。まずは日本語を習得しようと、前橋市の日本語学校に通った。1年半で卒業したが、日本語はさほど上達せず、食べ物も文化も違う日本になじめなかった。大学時代の友人のSNSをのぞくと、国連や国の役所、教師として活躍。結婚して子育てをしている友人もいた。「みんなが先に進む中、自分だけが取り残されている」と孤独に感じた。 「このままじゃストレスで死んじゃう。もう帰らせて」。ネルムさんに泣きながら電話すると、祖父の言葉を伝えられた。 「負けてもいいから、何かを始… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル