新型コロナウイルス感染症の「第3波」などで生じた最大の患者数が、22都道府県で想定を上回っていたことが朝日新聞の取材でわかった。都道府県が必要な病床数を決めるための患者の最大想定数は、早期に強い対策を取って患者の増加を抑えることを前提とした厚生労働省のシナリオに基づいていた。だがそうした対策が取られず、結果的に患者数の見積もりが甘くなり、病床逼迫(ひっぱく)につながったといえる。 朝日新聞は2月、都道府県に、自宅療養なども含む患者が最大になった時期と人数を尋ね、全47都道府県から回答を得た。東京、千葉、大阪では1月に最大想定数の3倍以上になっていた。神奈川や京都などの6府県は1月、沖縄県は昨年8月に2倍を超えていた。 昨夏時点、東京の患者の最大想定数は6435人。4千人が入院し、確保する病床は4千床。大阪では最大2088人。1009人が入院し、確保する病床は1615床だった。 患者が最も多かった時期、入院が必要な状態の患者の入院調整が困難なケースが「連日生じた」または「散発した」という都道府県は28。うち20は患者数が一時、最大想定数を上回っていた。 想定を上回る患者が生じた原因の一つは、厚労省が示した「シナリオ」と現実にずれがあったためだ。 「第1波」の収束後の昨年6月、厚労省は次の流行に備えて都道府県に病床確保計画をつくるよう求めた。厚労省は患者数がどう推移するかシナリオを示し、都道府県は、地域で多い年代も考慮して患者の最大想定数を計算。一定割合の患者が入院する設定で、必要な病床数とホテルの部屋数を決めた。 ずれたシナリオ、見直されないまま シナリオは、流行の早期に都道府県が「社会への協力要請」を出すことが前提だった。昨春の緊急事態宣言のときの外出自粛や営業自粛などと「同等の効果」がある強い対策とされた。その結果、流行が拡大する前に感染が収束する設定だった。対策を要請する発動基準は、1週間の新規感染者が人口10万人あたり2・5人に達してから7日以内。この感染者数は東京では1日平均50人ほどに相当する。 だが、都道府県が計画をつくっていた時期と前後して「第2波」が来た。医療、検査態勢は第1波よりも拡充しており、政府は経済再開に傾いていた。都市部ではある程度感染を許容する状況に変わっていた。 しかし、都道府県が確保する病床数を決めるための「早く強い対策」を前提とした厚労省のシナリオなどは変わらず、第3波に突入した。 厚労省は近く、第3波を上回る感染者を想定した計画作りを都道府県に求める。危機管理に詳しい中央大法科大学院の野村修也教授は、「シナリオ通り進まなかったのに病床確保の計画が見直されないまま、第3波を招いてしまった」とみる。危機対応がシナリオ通りに進まないことはあるとした上で「国と自治体の間で、病床確保という真の目的がもっと真摯(しんし)に共有されていれば、計画を臨機応変に修正するための調整や協議が途中で行われたはずだ。計画作りが仕事の目的になってしまうと、次もまた同じことを繰り返すことになりかねない」と指摘する。(阿部彰芳、松浦祐子、姫野直行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ感染、6日連続で1千人超 東京は256人
1都3県に出された緊急事態宣言の最終日となった21日、新型コロナウイルスの国内の感染者は午後8時半現在で、新たに1119人が確認された。1千人を超えるのは6日連続。死者は19人増えた。 東京都の新規感染者は256人。21日までの1週間平均の感染者は301・1人で、前週比は107・9%だった。 3月に入ってから感染者が急増している宮城県の新規感染者は112人。県は同日、仙台市全域の接待を伴う飲食店などに営業時間の短縮を要請すると発表した。期間は25日夜から4月12日朝までで、午後9時から翌日午前5時まで営業しないよう求める。県は18日に県独自の緊急事態宣言を出し、4月11日まで県内全域で不要不急の外出を自粛するよう呼びかけている。 山形県では31人の感染を確認。1日あたりの感染者数としては、昨年12月12日の22人を上回り、過去最多となった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
埼玉に2人の新井康之町長 越生と宮代の同姓同名が対面
同姓同名の町長が初対面――。今年2月の埼玉県越生町長選で初当選した新井康之町長(76)が18日、宮代町役場に同町の新井康之町長(63)を訪ねた。 宮代町総務課によると、越生町の新井町長が町議時代、2017年秋に宮代町で同姓同名の町長が誕生したことに「刺激され、現在に至っている」とあいさつ。宮代町も、越生町の梅を使った特産品を宮代町の農産物直売所で販売していることを紹介。「何か不思議な縁がありますね」と話が弾んだという。 意見交換では、災害時相互応援協定や友好都市などについても話題に上がり、今後、まちづくり全般で情報交換、協力していく方向で一致。「一緒に埼玉県を盛り上げていこう」と2人で声をそろえたという。(加藤真太郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
紀州徳川の殿様献上料理 400年経て元証券マンら再現
紀州徳川家の殿様献上料理が400年の歳月を経て再現された。お造りや酢の物、お吸い物など驚くほど現代の和食と共通点が多く、当時の食文化の豊かさが感じられる。3月から和歌山市の料亭のメニューに加わった料理の再現には、郷里で店や地域を守る3人の半生が込められていた。 拡大する紀伊徳川家の菩提(ぼだい)寺である長保寺を訪れ、初代藩主が400年前に食べただろう料理をおそなえする西廣真治さん 和歌山から南に七つ目の、小さな駅から30分ほど歩くと、創建1千年を超える長保寺がある。国宝の本堂や多宝塔、大門がある寺域の裏山には1万坪もの墓地が広がる。うっそうとした木々に囲まれたそこは、紀伊徳川家の歴代藩主と奥方の霊がまつられている。初代藩主頼宣は山に囲まれた要害堅固のこの地を菩提(ぼだい)寺に定めた。いざというときの陣地にするつもりだったらしい。 和歌山市の料亭「ちひろ」の西廣真治社長(50)は3月5日、大きな岡持ちを持った料理長を連れて寺を参拝した。瑞樹正哲(たまきせいてつ)住職(66)が出迎えた。「ふだんはめったに通さないのですが」。住職が案内したのは藩祖の位牌(いはい)をまつる「御霊殿」だった。 西廣さんはこの日、頼宣が伊勢に鷹(たか)狩りに行った際に食べた献上料理を再現して持参した。料理長が岡持ちから取り出し、霊前にお供えする。タイやマグロの刺し身、ヒラメにキクラゲの膾(なます)、蒸したマダイ、焼いたホタテなど10皿。それにお吸い物とタコのご飯がつく。400年前の献立だが、洗練された盛りつけといい、上品な味つけといい、現代の高級和食と寸分違わない。 拡大する刺し身や貝の焼きもの、タイを蒸したものなど今の日本の和食と驚くほど似ている。これにご飯とお吸い物がつく。400年前に藩主に供された料理の全体の5分の1程度にすぎないというが、55歳の記者はこれでも満腹になる だが「いえ、いえ」と料理長は言う。「どれもこれも、ふだん店で出す料理の2倍の手数がかかります」。魚も野菜も塩も土地の品を使い、しょうゆが普及する以前に広く使われていたという「いり酒」(梅干しを日本酒で煮だしたもの)も調味料として使った。西廣さんがあえてそんな手間がかかる料理を出すことにしたのは、コロナ禍で沈む観光地や飲食街に「少しでも話題を」と思ったからだった。そして店で本格的に売り出す前に藩祖の仏前に献納したのだった。 いまは、こうして和歌山の活性化に情熱を傾ける西廣さんだが、店を継いだ当初は「和歌山を逃げ出したくてたまらなかった」と言う。 ■「どうせ、坊ちゃんに料理… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
1億5千万円を持ち逃げした疑い マンション購入の名目
現金1億5千万円が入ったスーツケースを盗んだとして、警視庁は茨城県取手市井野団地の職業不詳、林大雄容疑者(33)を窃盗の疑いで逮捕し、21日発表した。マンションの購入費として被害者に現金を用意させ、持ち逃げしたとみられるという。調べに対して、「スーツケースは持っていったが、だましたり盗んだりはしていない」と容疑を否認しているという。 組織犯罪対策2課によると、林容疑者は3月1日午後3時半ごろ、東京都千代田区のホテルのロビーで、中国籍の職業不詳の男性(23)から現金やパスポートが入ったスーツケースを盗んだ疑いがある。2人は、男性の親族を介して知り合ったという。 林容疑者は、東京・麻布にあるマンションをめぐり「本来は5億だが、コロナの影響で安くなったので1億5千万で買える」と男性に売買契約を持ちかけて、呼び出していた。 ホテルで会った際に「他の商談があるので待っていてほしい」「多額の現金を持つのは危ないので私が預かる」と男性にうそを言い、スーツケースを持ち去ったという。 林容疑者が戻ってこないことを不審に思った男性が110番通報していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
子どもの命、3割は「救えた」 事故検証続けるCDR
全国で年間4千人近くにのぼる子どもの死には、どれだけの「防げたはずの命」があったのか――。 18歳未満で亡くなった全ての子どもの死因を多角的に検証し、予防策を考える取り組みが各地で始まっている。滋賀県の検証では「県内の死亡事例の3割は防げた可能性がある」と分析された。どのような取り組みなのか。何が再発を許していたのか。 昨年7月。大津市内にある県の合同庁舎で開かれた会議に、約20人が集まった。 県内の主要病院の小児科医師、医師会の理事、県警の検視官室長、地検検事、子ども家庭相談センターの所長、県の健康医療福祉部の幹部……。会議の冒頭で、とりまとめ役の医師の一杉正仁(ひとすぎまさひと)・滋賀医科大教授(社会医学)は「医療機関だけでさまざまな死因調査をするのは困難です。関係機関の垣根を越えて臨みたい」と連携を呼びかけた。 事故や病気、虐待、自殺などで亡くなった全ての子どもについて、死亡の経緯や治療状況、家庭環境などの情報を集約して関係者や専門家が多方面から検証、予防策を導き出す取り組みは、「チャイルド・デス・レビュー」(CDR、予防のための子どもの死亡検証)と呼ばれる。米国や英国では定着している制度で、死亡例を減らす効果が報告されている。 だが国内では、子どもの死亡事故が学校で起きれば文部科学省、保育施設で起きれば厚生労働省、製品が原因なら経済産業省や消費者庁……と縦割りで情報を管理。検証作業が分断され、有効な再発防止策が共有されにくかったり、はざまで抜け落ちたりするケースがあると専門家らは指摘する。 そこで厚労省は昨年4月から、滋賀県を含む7府県に予算を補助し、CDRの取り組みを試験的に開始。各府県は検証の結果を3月末までに報告書にまとめ、知事と厚労省に提出する予定だ。 「究極の目標は子どもの死亡事故をゼロにすること。再発防止策を講じれば、今すぐにでも救える命がある」。一杉教授はそう訴える。 滋賀県では、関係機関の調整や情報収集にあたる「連絡調整会議」と、会議のメンバーに有識者を加えた「検証委員会」を設置。2018年1月~20年12月に亡くなった18歳未満の子ども、計131人のケースを一つ一つ分析した。 検証のための基礎資料は、死亡診断書に基づいて作成され、保健所で管理される「死亡小票」。本来は厚労省の人口動態調査のための資料だが、県はCDRに使うための目的外使用を同省に申請。同省によると、死亡小票を用いた死因検証は全国的にも珍しいという。 滋賀医科大に設置された事務局… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「1日も忘れたことはねぇ」 石に刻んだ望郷の思い
10年がたった復興への歩み。東日本大震災の被災地を写真で伝えます。 拡大する故郷への思いや旧居までの距離、方角を刻んだ石=2020年12月27日午後、福島県本宮市、福留庸友撮影 東京電力福島第一原発の事故で、福島県浪江町から県央の本宮市に避難した今野幸四郎さん(84)は、新居の庭にテーブル状の石を置いた。顔なじみに囲まれ、自然の中で酪農を営んでいた故郷への思いを刻むためだ。 浪江の家は帰還困難区域にあり、自由に帰ることができない。将来の見通しは立たないままだ。「希望が持てない。何にも悪いことはしてない。自然の中で周りの人とつつましく生きていただけなのに」と悔しさを隠せない。 拡大する今野幸四郎さんが盆や彼岸に墓に供えるのは、避難先の本宮市で夫婦で育てた菊。墓参りに来られない集落の人の分も合わせ、40ほどの墓に菊を供える=2020年9月18日、福島県本宮市、福留庸友撮影 酪農は息子に引き継ぎ、時々手伝っている程度だが、浪江とは夫婦で関わり続けている。 盆と彼岸には墓へ足を運び、来られない親戚や知人の分まで花を供える。年末には神社のしめ縄を取り換え、年越しの準備。地域の仲間が集まって親睦を深め、牛を弔った「牛魂祭」は、震災後は夫婦だけで続けている。 石には旧居までの距離と方角も彫った。毎晩、寝る前には故郷の方角を見つめる。「1日だって、むこうの生活を忘れたことはねぇ」(福留庸友) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マラソン開催の北海道も落胆 五輪海外客断念
今夏の東京五輪・パラリンピックで、海外在住の一般観客を受け入れないことが決まった。道内では札幌市でマラソン、競歩、サッカーの開催が予定されており、競技を通じ世界に北海道の魅力を訴えたかった関係者は落胆する一方、今後の準備に切り替えるべきだという声もあがった。 北海道陸上競技協会・橋本秀樹専務理事は「海外のファンに自然豊かな札幌のコースを見てもらいたかった」と語った。「選手は自分の人生をかけてトレーニングを積んでいる。アスリートファーストを考え、大会運営に万全を期したい」と競技のある8月まで入念な準備を進める方針だ。 サッカーは札幌ドームで1次リーグの男女、計10試合が予定されている。北海道サッカー協会の石井肇専務理事は、2002年日韓ワールドカップ(W杯)や19年ラグビーW杯では、「大通公園で、ファンが国を越えて交流しあっていた」と、国際色豊かな交流が大会を彩ったという思いがある。SNSでの発信など観戦に訪れられないファンへの展開力を強化する必要性を訴え、「(海外客見送りは)非常に残念だが、新しいチャレンジをしなければならない」と話した。 道内の観光業界では、コロナ禍… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ばんえい最強」の牡馬が引退レース 激戦も及ばず
帯広競馬場(北海道帯広市)で開かれたばんえい競馬で21日、ばんえい重賞最多記録25勝の「オレノココロ」(牡(おす)11歳、槻舘重人厩舎(きゅうしゃ))が、引退レースに臨んだ。最高峰の重賞レース「ばんえい記念」に出走し、10頭中4着で最後を締めくくった。 オレノココロは、2012年5月にデビュー。13年に重賞初制覇を果たし、通算成績173戦52勝と一時代を築いた。最重量の1トンのソリを引く「ばんえい記念」を17、18、20年の3度制し、重賞レースは歴代最多の25勝で「ばんえい史上最強」の呼び声も高い。 21日の「ばんえい記念」では、19年の覇者「センゴクエース」(牡9歳)や、地方競馬・中央競馬の連勝記録31を持つ「ホクショウマサル」(同10歳)、重賞15勝で同じく引退レースとなる「コウシュハウンカイ」(同11歳)など、実力馬10頭が名を連ねた。 オレノココロのオッズは単勝2・7倍の一番人気。第2障害手前まで各馬ほぼ横並びだったが、第2障害に苦戦。最後の追い上げも及ばなかった。激戦を制したのは、昨年、このレース3着で連勝記録が途切れたホクショウマサルだった。 オレノココロの手綱をとった鈴木恵介騎手は「自分自身でこのレースに向けて完璧に仕上げていたのですが、悔しい。(この日積もった雪で)馬場が軽かった。ラストランを迎えたオレノココロ、本当に頑張ってくれました。ありがとう」とコメントした。(中沢滋人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
餓死の三男へ「ごめんね」 トイレ隠れメモ、女に不満も
福岡県篠栗(ささぐり)町のマンションで昨年4月、5歳の男児を餓死させたとして母親と知人の女が逮捕された事件で、男児らへの食事制限を強める女に対し、母親が不満の言葉をメモに書き残していたことが捜査関係者への取材でわかった。トイレなどで隠れて書いており、福岡県警は母親が女の指示通りに動くようになっていた一方、内心では反発していたとみている。 母親は碇(いかり)利恵容疑者(39)、女は赤堀恵美子容疑者(48)。2人は2019年8月ごろから碇容疑者の三男、翔士郎(しょうじろう)ちゃんの食事を制限し、昨年4月18日に餓死させたとして保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された。碇容疑者は容疑を認め、赤堀容疑者は「一切やっていない」と否認している。 県警によると、赤堀容疑者は「あなたの夫が浮気している」「他の保護者が悪口を言っている」とうそをつき、碇容疑者を不安にさせたり孤立させたりする一方、架空の訴訟やトラブルを解決したように装うことで信頼させ、指示通り動くようマインドコントロールしていったとみている。 その上で、架空の裁判費用を捻出するためだとして、一家の食事制限を指示。翔士郎ちゃんに対しては、一人で留守番ができないとして、たたいたり押し入れに閉じ込めたりしたという。 捜査関係者などによると、県警は碇容疑者のマンションを家宅捜索した際、碇容疑者が書いた複数のメモを発見。赤堀容疑者に対して「顔も見たくない」といった不満を書いたもののほか、「翔ちゃん、きょうも食べれんかったね。ごめんね」と書かれたメモも見つかったという。 メモは碇容疑者が自宅のトイレ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル