介護老人福祉施設で利用者の男性を殴るなどして死なせたとして、警視庁は24日、東京都足立区にある「ケアホーム花畑」の介護福祉士、福沢薫容疑者(54)=足立区一ツ家2丁目=を傷害致死の疑いで逮捕し、発表した。「昼食介助中に右太ももをつねられ、腹が立ち1発強く殴ってしまった」と容疑を認めているという。 捜査1課によると、福沢容疑者は8月19日ごろ、久保栄治さん(81)=足立区=の顔を右手で殴る暴行を加えてけがを負わせ、翌20日、搬送先の病院で急性硬膜下血腫などで死亡させた疑いがある。久保さんは19日からショートステイで施設を利用していた。 福沢容疑者は久保さんの顔のあざについて、「柵にぶつかった」という虚偽の報告を施設側にしていた。久保さんは19日夜は意識があったとみられるが、20日朝に容体を確認したところ、久保さんが呼びかけに応じなくなり、不審に思った別の職員が同日午後2時ごろに119番通報し、事件が発覚した。(増山祐史、遠藤美波、長妻昭明) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中銀カプセルタワー旅立ち、海も越え 「この建物しかできない奇跡」
真っ白な海上コンテナのような外観。和歌山県立近代美術館の前に置かれたのは、8月下旬のことだ。 直径1メートルほどの円窓を、来館者は不思議そうにのぞき込んでいく。 室内は、無駄をなくした宇宙船を思わせる。 わずか10平方メートルほどの空間に、作り付けのテレビや冷蔵庫、大きめのベッド。ユニットバスがあるが、台所設備はない。 オーディオは、ソニーのテープレコーダー。当時の最先端だ。 「人間の生活に何が一番必要か。一つの答えが詰まっている」。学芸員の井上芳子さん(55)は言う。 こうしたカプセル型の居室140個を積み重ねたような集合住宅が、東京・銀座にあった。 「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」。世界的な建築家の故・黒川紀章氏が設計し、1972年に建てられた。 個性的な外観で愛されてきたが、老朽化などの理由から2022年に解体された。 そのカプセルの一つが、和歌山でアート作品となって、「中銀カプセルA908」という名が付いた。2棟あったタワーのうちA棟の9階8号室だった。 建築思想は実現しなかった でも… カプセルタワーは、黒川氏らの建築家グループが提唱した建築思想「メタボリズム(新陳代謝)」の代表作とされる。 生き物の新陳代謝のように、建築も時代や用途の変化に応じて空間や機能を取り換えて成長させる――。 そうした思想のもとに、カプセルを取り外して移動や交換ができるようにデザインされていた。 ただ、移動や交換は一度も実現しなかった。そして、半世紀の時を経て解体へと向かう。 半世紀を経て旅立ちの時を迎えた黒川紀章氏のカプセル。記事の後半では「第二の人生」を写真とともに紹介しています。 オーナーや住人らが14年に立ち上げた「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」は、状態のよいカプセル23個を修復し、活用の道を探った。 ここから続き 国立民族学博物館、国立文楽… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
夫殺害の被告、二審も懲役11年 医師のALS事件捜査の過程で浮上
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者への嘱託殺人などの罪で起訴された元医師の息子らと共謀し、自身の夫(当時77)を殺害したとして、殺人罪に問われた山本淳子被告(78)の控訴審判決が24日、大阪高裁であった。坪井祐子裁判長は、懲役11年とした一審・京都地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。 高裁判決によると、山本被告は、息子の直樹被告(46)=殺人などの罪で懲役13年判決、控訴中=と、その知人で医師の大久保愉一被告(45)=同罪などで起訴=と共謀。2011年3月、長野県内の病院に長期入院していた夫を退院させ、都内のアパートに移動させた後、殺害した。山本被告は、夫のアパートを下見したり、役所への死亡届を出したりするなどした。夫は死亡時に病死とされ、解剖を経ずに火葬された。 山本被告側は「殺害計画を具体的に認識していなかった」として無罪を主張した。だが、坪井裁判長は、山本被告が夫の死亡前に火葬場について調べていたと指摘。「計画段階からその実現に向けて動いており、重要な役割を果たした」と判断した。 この事件は、ALS患者への嘱託殺人事件の捜査過程で浮上し、夫の死亡から約10年後に立件された。直樹被告も一審判決を不服として控訴しており、今年12月25日に控訴審が始まる。大久保被告の公判はまだ始まっていない。(森下裕介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
障害者施設問題、事業者に食材費などの徴収記録を義務化 厚労省検討
障害者向けグループホーム(GH)を全国展開する運営会社が利用者から食材費を過大徴収していた問題を受け、武見敬三厚生労働相は24日の閣議後会見で、食材費の徴収額を個別に記録して外部からチェックできる仕組みを検討する方針を示した。光熱水費などでも同様の対応をとる考えで、「制度の実効性を担保できるように取り組んでいく」と述べた。 運営会社は「恵」(本社・東京都)。愛知県の監査では、同県内に二十数カ所あるすべてのGHで、開設当初から食材費を過大徴収していた。 問題を踏まえて厚労省は23日の審議会で、利用者から徴収する食材費や光熱水費、日用品費などについて事業者に記録を義務づける対策案を提示。各事業所が地域と連携した会議体を設け、「地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れる取り組み」の導入案も示した。今後、具体策な内容を検討する。 全国の自治体に不適切徴収の確認も要請 また同省は20日、全国の都… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「相馬野馬追」7月末→5月開催へ 猛暑で馬2頭死ぬ 変更前倒し
国の指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」の執行委員会(委員長=門馬和夫南相馬市長)は23日、記者会見を開き、野馬追の開催日程の変更について文化庁と協議した結果、同庁から「特段の異議はない」と回答があったと発表した。猛暑を避けるための変更で、来年から5月最終の土・日・月曜の3日間開催となることが実質的に決まった。 文化庁の回答は17日付。これまでの7月末開催から、2カ月前倒しすることを文書で了承したという。 今後は、野馬追の歴史や伝統を継承するための組織「相馬野馬追保存会」の中にある専門委員会で、日程変更に伴う課題や留意点などを整理し、保存会と執行委員会が臨時総会を開いて正式に日程変更を決める。 門馬氏は会見で「国からの回… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
伊能忠敬が測量の旅で味わった? 「江戸めし」のレシピ、給食で再現
江戸時代に初めて実測の日本地図を作った伊能忠敬はどんな食事を口にしながら全国を巡ったのか。古文書を頼りに「江戸めし」を再現して給食に出す試みがあった。さて、そのお味は? 10月10日、長野県伊那市にある高遠中学校。この日の給食に「鮭(さけ)の幽庵(ゆうあん)焼き」「南瓜(なんきん)すいとん」「野菜の酢みそ和(あ)え」「菜めし」の4品が並んだ。ふだんとは違ったメニューに生徒たちは神妙な面持ちで味わっていた。 この日は高遠町地区の3小中学校で「江戸めし給食」が児童生徒約360人に用意された。 企画したのは同市教育委員会。その中心となったのは、4月から市地域おこし協力隊員として活動している前田和弘さん(47)=佐賀県出身=だ。 前田さんは地元に残る古文書のデジタル化と活用に取り組んでいる。伊能忠敬が高遠藩領(現在の伊那市など)の測量に訪れたときの史料が残っていることに着目。当時振る舞われた料理を再現することにした。 古文書には「鱈」「花かつを」とだけ書いてあった レシピの根拠にしたのは市立… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アルピニストの野口健さん、児童とお米脱穀 世界農業遺産の宣伝大使
世界農業遺産「高千穂郷・椎葉山地域」のアンバサダー(宣伝大使)でアルピニストの野口健さん(50)が23日、高千穂町立田原小に現れ、児童と一緒にコメの脱穀をした。 高千穂町は日本有数の棚田が広がり、世界農業遺産に認定されている。同校は夏前の田植えから今月の稲刈り、乾燥まで全て手作業でやり、この日を迎えた。 野口さんの同席を知らされていなかった子どもたちは姿を見ると大歓声。早速①牛乳パックで脱穀②すり鉢に入れソフトボールでもみすり③口で吹いてもみ殻飛ばし④コメを瓶に入れ棒で突いて精米――の、身近な道具を使った作業を、野口さんのアドバイスを受けながらこなした。 その後、野口さんを囲み、地球温暖化がヒマラヤの氷河を溶かしていることや、現地の農家もまだ同じように手作業でコメ作りしていることに聴き入った。 4年の佐藤結香さん(10)は「すり鉢でするのに力が要った。昔の人は大変だったなと思う」。世界農業遺産になっていることを知らない子が多かったが、野口さんは「いまは実感できなくても、きょうの体験を通して、いつか故郷のすばらしさを思い返す日が来る」と話していた。(星乃勇介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中学の技術科、免許外の教員最多 「情報」に詳しい教員の確保課題
小学校でプログラミング教育が必修化され、高校では「情報Ⅰ」が始まった。2025年の大学入学共通テストでは「情報Ⅰ」が加わる。そうしたなか、小学校と高校の情報教育をつなぐ中学の技術・家庭科をめぐって課題が浮かんでいる。国も対策に乗り出した。(編集委員・宮坂麻子、久永隆一) 今年7月、相模原市立大沢中学校。コンピューター室で中1の技術・家庭科の技術分野の授業が行われていた。 生徒たちがパソコンに向かって取り組んでいたのは、オリジナルデザインの定規の設計だ。目盛りに間違いはないか、使いやすいか、などを確認し、各生徒が教室内のレーザー加工機にデータを飛ばして形にする。 「まだ軟らかい!」と試作品を手に喜ぶ生徒。予想通りの形にならなかった生徒が、再びパソコンに向かい、失敗の理由を真剣に探っていた。 中学の技術科、情報教育も柱の一つだが… 中学の技術・家庭科の技術分… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旅するチョウ・アサギマダラが和歌山飛来 羽にペンでマーキング調査
旅するチョウで知られるアサギマダラが、関西各地に飛来している。和歌山県日高町・美浜町境の西山(標高328・7メートル)の山頂付近では、300匹以上のアサギマダラが、フジバカマの花の上を飛び回る幻想的な光景が見られる。 アサギマダラは夏を過ごす北海道から、南西諸島、台湾などに越冬する「あさぎ色」のチョウ。全国各地の飛来地では、市民団体によるマーキング調査が行われており、チョウの羽には、油性ペンで捕獲した場所、日付などが書き込まれている。調査によると、秋の南下の際には、2千キロ以上移動する個体も確認されているという。 西山はアサギマダラの飛来地として知られ、秋になると自生する植物に集まっていた。昨年、日高町などが、マーキング調査や観光地化のために、好物とされるキク科のフジバカマの畑を整備した。「アサギマダラの谷」と名付けられ、1カ所に数百匹が集まるようになったという。 西山では、天候によっては11月中旬ごろまで飛来が続く。(金居達朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ジャガー、ネコ科だけど泳げる? 東山動植物園に新たな施設オープン
【動画】東山動植物園に「ジャガー舎」がオープンした=良永うめか撮影、東山動植物園提供 東山動植物園(名古屋市千種区)に24日、ジャガーの生態を観察できる施設が新たにオープンする。今月2日に神戸市立王子動物園からやってきたばかりのメスのジャガー「マヤ」(2)が暮らしている。 施設名は「ジャガー舎」。屋内には運動場2室と寝室7室、屋外にも運動場2区画を備える。ジャガーが動ける広さは500平方メートル以上に及ぶ。生息するメキシコで絶滅が危惧される現状などを紹介するコーナーも設けた。 施設の目玉は、深さ2メートルの室内温水プールだ。園によると、ジャガー用のプールとしては日本一の深さだという。 屋外運動場には岩場の斜面があり、上り下りする姿も観察できる。擬木などを生かした樹林地も再現した。動物園の今西鉄也副園長(52)は「ネコ科の動物としては珍しく、泳いだり潜ったりできる。ジャガーらしい動きをご覧いただきたい」と話す。 東山動植物園では11月19日まで「秋まつり」が開かれている。(良永うめか) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル