埼玉県公園緑地協会(さいたま市)は8日、指定管理している13の県営公園で「水着撮影会」に使用許可を出さないことを決めた。これまで過激な水着やきわどいポーズを避けることを条件に許可していたが、今月24、25日に予定されていたイベントをめぐり、過去に条件が守られていなかったことが判明。他の撮影会でも「ルールが守られるかわからない」とみて判断したという。 協会によると、問題となった水着撮影会は民間主催で、しらこばと公園(越谷市)のプールで水着姿のタレントを撮影する有料イベント。同公園でたびたび開かれていた。協会は今回も、主催者側から連絡を受け、使用について打ち合わせをしていたという。 しかし先月末、市民から「過激なポーズで撮影されていた」「18歳未満のモデルが出演していたのでは」などと情報が寄せられた。 協会がインターネットで調べ… この記事は有料記事です。残り477文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「喫茶代の30%還元します」 モーニング王国・岐阜市が秋に新事業
保坂知晃2023年6月9日 19時30分 コーヒーの料金を支払うと軽食がサービスで付いてくる東海地方でおなじみの「モーニング文化」。岐阜市は、独特の文化を市内外にアピールしようと、市内の喫茶店でキャッシュレス決済をすると、料金の30%分をポイントで還元する事業を始める。期間は11月1日~12月27日。 事業費1億200万円を盛り込んだ補正予算案を9日開会の市議会定例会に提案した。 市によると、還元ポイントは1人5千円が上限。11月は市内で「ぎふ信長まつり」が開かれる。昨年は俳優の木村拓哉さんが、主役の織田信長役として目玉の「騎馬武者行列」に登場して多くの人が訪れた。まつりの来訪者らに喫茶文化をPRする狙いだ。 総務省の2022年の家計調査によると、全国の県庁所在地と政令指定都市の1世帯あたりの「喫茶代」は、岐阜市が1万5616円で全国1位。全国平均の7527円の2倍以上となっている。同じくモーニング文化がある名古屋市は2位(1万3427円)だった。対象店舗は今後募集する。(保坂知晃) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
廃棄食材で育った実験ウニ 「丼いっぱい食べたい」
小川裕介2023年6月9日 19時49分 海藻を食い荒らす厄介者のウニをうどん店などの廃棄食材で育てる。そんな実験が進む福岡県宗像市で9日、蓄養したウニの試食会があった。 近年、ウニは藻場がなくなる磯焼けの一因とされ、身入りも悪く駆除されてきた。プラントメーカーが引き取り育て、商品化をめざす試みだ。 口にすると、昆布やタケノコの風味がほのかに広がる。共同研究する九州大の栗田喜久准教授は「丼いっぱい食べたい」と太鼓判を押した。(小川裕介) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海底から見上げると「夜空の星みたい」 沖縄・石垣島でサンゴの産卵
2023年6月9日 20時00分 沖縄・石垣島北部の伊原間沖で、7日夜にサンゴの産卵が確認された。その様子を撮影したのは地元のダイビングショップ「石垣島イエローサブマリンDS」の峰洋二さん(48)。 峰さんによると、午後10時過ぎ、水深約10メートルの海底に広がるサンゴが一斉に産卵を始めた。ピンク色で直径約一ミリの卵は海中を浮遊し、卵を食べようと小魚が集まっていたという。 水中から見上げるとライトで照らされた卵が(夜空の)星のように見えた。峰さんは「卵が無事に着床してサンゴの海が広がるといいな」と話した。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あのバケツリレーを忘れない 復興支えた住民ら、神戸・長田で同窓会
阪神・淡路大震災で、住民が一丸となって火災を食い止めたことで知られる、神戸市長田区の真野地区。震災の犠牲者を悼む集会を5年ごとに開いてきたが、復興を率いた世代は高齢化が進み、多くの関係者が亡くなった。10日、最後の「同窓会」が開かれる。 地区の復興とまちづくりをとりまとめてきた清水光久さん(83)に5月、地元の集会所で話を聞くと、こう語った。「最後の会にするつもりだ」 1995年1月17日。長屋や工場が密集するまちで、火はあっという間に燃え広がった。「水かけるんや」。消防団分団長の声が飛ぶ。100メートル以上離れた銭湯から、残り湯を運ぶバケツリレーが始まった。幅2・7メートルほどの道に並んだ住民は100人に上ったとも言われる。 長田区では約4800棟が全焼。地区によっては9割が全半壊・全半焼したが、真野地区約2600戸のうち全焼は43戸にとどまった。 小学校の体育館などに開設し… この記事は有料記事です。残り832文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
道の駅に全国でも珍しいバーが開店 ただし、帰りは代行や鉄道で
ドライブの途中に寄るというイメージの道の駅。そこに、洋酒や地酒が楽しめるバーがオープンした。道の駅を所管する国土交通省や全国「道の駅」連絡会(東京)によると、全国には1204カ所の道の駅があるが、酒類に特化したバーができるのは珍しいという。 バーは、福井県美浜町に2日に開業した道の駅「若狭美浜はまびより」にできた。JR美浜駅前にあることから、駅前の立地という特性を生かした出店だ。 地名の「郷市(ごいち)」と道の駅の裏側に位置することから、店名は「51Bar Uragawa(ウラガワ)」。町内にはバーがないといい、地元で電気工事会社を営む植中敬二さん(39)が、「町民らが集まり、語り合う場になれば」と始めた。 同連絡会のアドバイザー小山源昭さんは「道の駅にお酒を提供するバーと聞くと疑問に思う人もいるかもしれないが、道の駅はそれぞれ個性を発揮した方が良い。地域を元気にするのが施設の目的の一つでもある」と話す。 植中さんは昼間は電気工事を… この記事は有料記事です。残り314文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全仏V加藤未唯、地元の京都府・市が特別表彰 「不運を乗り越えた」
武井風花 八百板一平2023年6月9日 16時30分 京都府と京都市は9日、テニスの4大大会の一つ、全仏オープンの混合ダブルスで初優勝を果たした加藤未唯(みゆ)選手(28)=京都市出身=の活躍をたたえ、それぞれ賞を贈ると発表した。府スポーツ賞の特別栄誉賞と市スポーツ最高栄誉賞が贈られる予定だ。 加藤選手は、ティム・プッツ選手(ドイツ)とペアを組んだ全仏オープンで8日に初優勝を決めた。女子ダブルスの4日の試合では、加藤選手が打った球がボールガールを直撃し、危険な行為とみなされて失格となった。アクシデントを乗り越えた快挙に注目が集まっている。 西脇隆俊知事は9日の記者会見で「不運な失格を乗り越え、大会を制覇され、大きな感動を与えていただいた」と述べた。京都市の門川大作市長は「優勝は不断の努力と絶対に諦めない姿勢のたまもので、大変素晴らしく大いに感動した」などとするコメントを発表した。 京都市内のテニススクールに通っていた加藤選手は、立命館宇治中学校・高校を卒業している。府と市が加藤選手に贈る賞はいずれも、国際大会での優勝など、特に顕著な成果を収めたスポーツ選手や団体を対象にしたものだという。(武井風花、八百板一平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
保育所で広がる、おむつのサブスク 宮崎県は補助金で親の負担を軽減
保護者が子供の名前を書いて持たせ、使ったおむつは袋に入れて回収する。宮崎県は、保育所などのそんな運用を変え、定額の負担で使い放題になる「おむつサブスクリプション」に取り組む施設を支援し始める。使った後に施設で処分する費用も補助し、保護者や施設の経済的・精神的負担を軽くして子育てしやすい環境をつくる狙いだ。 美郷町のうなま保育所。取材に訪れた7日、おむつが湿った園児を保育士が座らせ、手早く新しいものにはき替えさせていた。はいていたおむつも替えたおむつも、いずれも使い放題のものだ。「気持ちよくなって良かったね」 町は今月、町社会福祉協議会が運営する町立の3保育所でおむつのサブスクを始めた。トイレのトレーニングを始める2歳の誕生日まで、園児が使うおむつやおしりふきを専門の事業者が届け、定額を支払う仕組み。在庫が少なくなって連絡すると、翌日には補充されるという。 町は2021年度末から、施設で使ったおむつの処分を始めていたが、事業者の提案を受けて今年1~3月にサブスクを試したところ、保護者からも施設からも好意的な反応が寄せられ、本格導入した。 5歳と2歳の男児を預ける母親(43)は、試行期間にサブスクを「体験」した。「仕事から帰って、夜な夜なおむつに名前を書く必要がなくなった。子供とふれあう時間が増え、ゆとりができたと思います」 施設側も助かっているという。施設がおむつを買いに行かねばならないとしたら、店まで距離があることが負担になってしまう。 うなま保育所の友枝雅代所長(54)は「持ち帰ってもらうことも含め、一人一人に合わせて管理するのが大変だった。サブスクはおむつのサイズだけ気にすればいいし、『なくなりそうです』と保護者に伝え忘れる心配がなくなり、ありがたいです」と話す。 保育士の人手不足にもメリット 町は、保育士確保にも好材料になるとみている。専門職のため、町内だけで人材を確保できない場合、近隣にも求人を呼びかけることになる。町の担当者は「近くの市町村から勤務してもらうのに、給与の競争では限界がある。負担軽減がアピールポイントになると期待します」。 県こども政策課によると、おむつサブスクはここ数年で広がり始め、県の調べでは昨年度、県内6市町で20の保育所やこども園などが取り組んだ。 補正予算案に3200万円を計上した「おむつの負担軽減モデル事業」では、希望する市町村を募り、こうしたサブスク利用料の3分の1ずつを上限に県と市町村が補助、保護者の負担は月1千円程度になると想定している。併せて、おむつの処分費も3分の1を上限に施設に補助する。都道府県レベルでのサブスクの支援は全国初という。 対象年齢が高い幼稚園より、保育所や小規模保育事業所などのニーズが高いとみており、25年度には、170施設がサブスクを導入することをめざす。 県こども政策課の担当者は「少子化対策に特効薬はない。こうした事業を積み重ねることで子育て環境の改善につなげたい」と話している。(中島健) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ポルノグラフィティや島谷ひとみさん 広島出身者が音楽で願う平和
G7広島サミットを機に、広島県出身のアーティストたちが、平和への思いを込めた新曲を発表したり、平和をテーマにした音楽フェスを企画したりしている。音楽を通じて平和への願いを共有しようとしている。 尾道市因島出身のロックバンド「ポルノグラフィティ」は広島に思いをはせた新曲「アビが鳴く」を5月31日にリリースした。 曲のタイトルは、ギターの新藤晴一さん(48)がサミットと平和を思い浮かべてつけたという。「アビ」は瀬戸内海で冬を過ごす渡り鳥で、県の鳥に指定されている。「あの夏を語れる者も一人二人と去って」など広島の情景から平和を願う歌詞が続く。 県と協力して広島ゆかりの場所や、人、思い出の写真をSNSで募り、メッセージビデオも制作する。 ツイッターやインスタグラム、県のSNS「日刊わしら」で、「#大切なひろしま」「#応募」の二つのハッシュタグをつけて投稿して応募する。18日まで。「アビが鳴く」の一部は特設サイト(https://www.pornograffitti.jp/25th/)で聴くことができる。 ボーカルの岡野昭仁さん(48)は「大切な故郷広島が、世界にとっても大切な場所になることを願い歌った曲です」とコメントした。 11月12日には広島市西区の広島マリーナホップ第2駐車場で、音楽フェス「PEACE STOCK 78’ HIROSHIMA 2023」が開かれる。呉市の倉橋島出身の歌手島谷ひとみさん(42)や、広島市安佐南区出身のシンガー・ソングライターHIPPY(ヒッピー)さん(42)が発起人を務める。著名アーティストや地元ゆかりの歌手らが集い、1万人規模のフェスとなる見込みだ。 タイトルの「78」は「戦後78年」を意味し、平和に過ごしてきた日々の蓄積とそれがもたらす幸福という思いを込めた。来年は「79」に更新し、広島に加え、長崎、東京、沖縄での開催も企画しているという。 島谷さんは「平和に感謝して、みんなで喜ぶ日があってもいいのでは」と思い立ったという。5月の記者会見で「みなさんも思いはいっぱいある。音楽という武器で思いを共有したい」と語った。 チケットは7月下旬から販売予定。料金は6900円から。小中高生は2千円割引、5歳未満は無料。問い合わせは、主催するPEACE STOCK実行委員会(info@peacestock.jp)へメールで。(黒田陸離) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「建設ディレクター」は2024問題の打開策になるか 新井恭子さん
「建設ディレクター」という仕事の生みの親だ。建設現場での業務を事務面でサポートする役割で、現場監督の長時間労働に悩む中小の建設会社から打開策として注目される。近年、この民間資格の取得希望者が急増している。 背景にあるのは、いわゆる「2024年問題」。「働き方改革」の一環で19年に施行された改正労働基準法は、時間外労働の上限を罰則付きで定めた。業界によっては5年の猶予期間が設けられたが、その猶予は来年3月に終わる。猶予を受けた業界はトラックドライバーに影響が及ぶ運輸業界が有名だが、建設業界もその一つで、業者の摘発が増えたり工事が滞ったりする懸念の声もある。 厚生労働省がまとめた産業別の年間実労働時間を見ると、建設業は22年度に1965・6時間で、全産業の平均と比べて2割多い。 もともと、自身は建設業と無縁の世界にいた。短大の家政学科から観光関係の前職を経て、父が創業した会社で働き始めたのが24歳のころ。建設事務機器の販売やメンテナンスをする会社だった。最初は事務職だったが、営業職に配置転換され、取引先の建設会社と接するようになった。 時は、電子化が徐々に進んでいた07年ごろ。あるとき、ソフトウェアの導入サポートをしていた取引先に呼ばれて赴くと、社員みんなが殺気立っていた。「役所への提出は明日や。この画面、全然わからへん」。画面上のフォーマットを見ると、真っ白だった。 「会社ひとつひとつの問題じゃない。これは業界全体の課題や」 建設業界の課題をみんなで共有し、乗り越えられないか――。知り合いの建設業者に声をかけ、セミナーを09年に開いた。最初、参加したのは3人。小さな規模でも地道に続けて、仲間を増やしていった。 そのころから現場監督の負担は大きかった。朝から現場で下請けの技能者たちを指揮し、夕方以降は作業の進捗(しんちょく)を記録したり翌日以降の計画を練ったりする事務作業。業務は多岐にわたり、負担や責任が大きい。 現場監督の仕事を分離できないか。アイデアは浮かんだが、昔気質の職人肌の人たちが多い業界。「そんなん要らん、ワシが自分でやる」。そう言われたことは数え切れない。 潮目が変わったのは、女性活躍が叫ばれ始めた16年。ドローンなどのICT活用により生産性の向上が求められた時期でもあった。あたためていた建設ディレクターを17年に発表し、同じ年に協会も設立。建設業への女性の参入と責任あるポストにつきやすくする狙いもあった。 協会で2カ月養成して資格を得る建設ディレクター。17年は40人に満たなかったが、通算で今年4月までの申込者数は1086人にのぼる。全国各地の企業に散らばる建設ディレクターが定着するか、ここからが勝負だ。 「インフラ支える建設業に誇りを」 ――建設業界での2024年問題は、あまり知られていないのでは。 大手メディアで扱われる機会が少ないですが、いま業界は大騒ぎです。インフラ整備、防災、減災、災害復旧をなりわいとする業界。2024年問題によって新しい技術開発ができないばかりか、既存のインフラ維持もできなくなる。特に地域の中小企業は、人手不足で工事を完遂できないかもしれないという危機感があります。 ――負担の大きい現場監督を助ける建設ディレクターを、どのように養成していますか。 私たち建設ディレクター協会が主催する講座を受けてもらいます。講座では工事の流れや専門用語、デジタル技術を活用した書類をつくるために必要な知識について演習を交えて学びます。IT書類作成の専門家に講師になってもらって、その技術を建設現場で使えるようにします。全48時間のカリキュラムで、受講には約2カ月を要します。初めて業界に触れる人にも対応できるよう、どういう産業なのか建設業の社会的役割についても説明します。 ――すごい勢いで増えていますね。 今年は4月までの申込者数が256人になりました。昨年の3倍増ペースです。ここ数年、デジタル技術はさらに高度化していますし、国などが定める基準も変わります。たとえば、スマホとクラウドを使って工事データを管理できるようになったので、それにも対応する講座にしています。 ――お父さんは建設に関係するお仕事でしたが、どんな子ども時代を過ごされましたか? 特に何か得意なものとか取りえがあったわけではなく、地味な女の子でした。強いて言えば料理が好きでした。今は、好きな料理ができず下手になっていて、そんなストレスもありますが……。短大の家政学科を出て別業界で就職。「腰掛け」って言ったら悪いけど、長く勤め上げるという感覚はなかったんです。 そこまで全く建設と関係なく過ごしてきましたが、父の会社が忙しくなって、手伝うために入りました。建設業の事務機器販売から始まった会社で、当時は積算ソフトの販売もしていました。事務職としてジャンジャン鳴る電話を受けるんですよ。「パソコンが使えない、ファイルが開けない」と。その後、10年くらい経って営業職になりました。 ――その間、相当な勉強をされた。 取引先からの電話対応のため、専門用語を解説した本やルールブックを買いあさりました。営業職になった後も、知識を得て接すれば、それまで相手にしてくれなかった技術者も反応してくれるようになりました。それに、現場のことを教えてくれる人も出てきまして。わからないことはその人に尋ねて、知識を増やしました。 父から経営を任されたのが、今から10年ちょっと前。ウチも残業時間が多く、午後8時とかに取引先に行くのは当たり前。それで「ようがんばっているな」って評価される、これは良くないと思っていました。経営者になる少し前からパソコンのソフトを使ったリモートサポートを導入しました。お客さんは一刻も早く問題解決してほしいということで夜に私たちが対応することもあったのですが、夜に行くことより早くリモートで解決できたんです。 ――建設業界を取り巻く環境は厳しいと聞きました。 年齢別就業者を見ると、55歳以上が35%に対して20代は1割程度。働く女性比率は2割に満たない。早期離職率は高いし、高度経済成長期に建設したインフラは老朽化し、維持修繕の工事は増える見通し……。データは2、3年前のものですが、こうした課題を解決する策として考えていたのが建設ディレクターです。 残業時間の削減だけを目的にしたものではなかったのですが、残業時間の上限規制を前に中小の建設会社のニーズと合致した形です。 数年前に改めてやったのですが、現場監督の仕事は251の項目に整理できます。このうち現場の管理業務は4割、残り6割が書類業務です。この書類業務のうち6割は建設ディレクターに担わせることが可能です。 ――いま力を入れておられることは? 全国各社に散らばる建設ディレクターを、離脱させることなく定着させることです。それによって会社の雰囲気が良くなるようにとも思っています。「支援を業務として確立する」と言ってくれる取引先もいます。昨年、業務連携のプログラムとして「TEAM SWITCH」を立ち上げました。 私の根底にあるのは、誰しもが使うインフラを支える建設業ってすごいなという思いです。しんどい仕事かもしれない。だからこそ、働きやすい職場であってほしいし、若い人や女性たちに誇りをもって積極的に参画してほしい。そのための仕組みになればいいなと思います。 新井さんのプロフィル ★1972年、京都市に生まれる。2人姉妹の次女。 ★90年、地元の短大の家政学科に入学(写真上は短大時代に友人と。本人は左端)。 ★96年、家業の京都サンダー入社。 ★2007年、事務職から営業に配置転換され、技術者の声を聞く中で建設業界の課題を知る。 ★09年、技術者の技術力向上のためのセミナーをスタート。 ★12年、父親の会社を継承し社長に就任。 ★14年、「建設未来京都フォーラム」開始。建設業の課題を共有する場を提供する。 ★17年、建設ディレクター育成事業をスタート、一般社団法人「建設ディレクター協会」設立(写真下は18年の打ち合わせ。本人は左奥)。 ★19年、建設ディレクター育成事業で京都女性起業家賞の最優秀賞を受賞。 ★22年、技術者と建設ディレクターの連携プログラム「TEAM SWITCH」を立ち上げて企業を支援。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル