地方季評 田中輝美さん 64万人。何の数字かというと、日本で2021年に人口が減少した数だ。私が暮らす島根県の人口と大きく変わらない。減少は当面続き、幅が拡大するという推計もある。では、これからの人口減少にどう向き合っていけばいいのか――。ヒントになるのが、交流人口でも定住人口でもない第三の人口の考え方「関係人口」だ。 16年ごろに生まれた新しい言葉で、離れている特定の地域に愛着を持ち、商品を継続的に買ったり、通ってイベントやお祭りを手伝ったりする人たちを指す。どの地域でも思い当たる、または、自分自身が当てはまっているという人もいるかもしれない。 関わる側から見ると短期間訪れる交流や観光ではなく、長期間暮らし続ける定住でもない、間にある新しい地域との関わり方だ。地域側から見ると観光客よりも関わりが深いが定住はしない人たちで、「観光以上、定住未満」とも言われる。政府が「地方創生」の一環で推進し、全国の自治体を中心に知られるようになった。 人口減少に伴い、各地で引っ… この記事は有料記事です。残り1632文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
離れた台風でも豪雨なぜ 流れ込む2方向の水蒸気、台風3号も要注意
遠い南方に台風がある時に本州などが豪雨に見舞われるのはなぜか。台風が2方向からの水蒸気の流れ込みを強めるメカニズムについて、九州大と防災科学技術研究所のチームが5日、発表した。今月の台風2号でも大雨の一因になったとみられる。 新たに発生した台風3号も南西から日本列島に近づいてくる見通しで、チームは警戒を呼びかけている。 7日昼までの総務省消防庁のまとめで死者・行方不明者6人、40人以上のけが人が出た台風2号は、本州南の太平洋沖を進んだが、梅雨前線を刺激したことで豪雨をもたらしたと考えられている。台風が離れていても豪雨になる例は知られてきたが、詳しいメカニズムは分かっていなかった。 九州大の川村隆一教授(気象学)らのチームは、梅雨前線が存在する7月の日本列島周辺を想定し、台風の経路を少しずつ変えて降雨や水蒸気の流れ込みの動きをシミュレーションした。 その結果、台風が日本列島の南方にあっても、多量の水蒸気が台風の反時計回りの風によって九州地方から近畿地方までの西日本に流れ込み、豪雨が発生することが分かったという。 台風よりさらに南方の南シナ海から日本列島まで、多量の水蒸気が連なって流れ込むことから「水蒸気コンベヤーベルト」と呼ばれる現象だという。 さらに今回のシミュレーションでは、日本列島南東の太平洋高気圧の西縁から西日本に向かって流れ込む水蒸気も、台風の影響で強まることが明らかになった。 水蒸気コンベヤーベルトに加え、南~南東側からも温かく湿った空気が流れ込むことで、豪雨をさらに強めている可能性がある。 川村さんによると、台風2号… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
バンド「鶴」メンバーがデザイン ゼロカーボン啓発へオリジナルロゴ
脱炭素社会への意識を高めてもらおうと、埼玉県鶴ケ島市は、市独自の「ゼロカーボン」のロゴマークを作った。8月から省エネに取り組む店舗などを「鶴ケ島市ゼロカーボン推進店」に認定し、ロゴマークを活用してもらう。 同市は3月、2050年までに二酸化炭素の排出量の実質ゼロをめざす「ゼロカーボンシティ宣言」をした。啓発に向け、ロゴマークを制作することにした。 デザインしたのは、市出身の3人組バンド「鶴」の神田雄一朗さん。市の「ふるさと応援大使」として、これまでに市制30周年のロゴマークをデザインしたこともあった。 今回は「0」と「C」、無限… この記事は有料記事です。残り271文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
護衛艦内で隊員自殺「パワハラや長時間労働が原因」 両親が国を提訴
海上自衛隊護衛艦「あけぼの」の乗組員だった海士長の西山大弥さん(当時20)が自殺したのは、上司のパワーハラスメントや長時間労働が原因だとして、西山さんの両親が国に約7800万円の損害賠償などを求める訴訟を起こした。 長崎地裁佐世保支部(矢崎豊裁判長)で7日、第1回口頭弁論があり、国側は請求を棄却するよう求めた。 西山さんは2019年に入隊。その年の10月から海自佐世保基地を母港とする護衛艦「あけぼの」の乗組員をしていたが、21年2月に護衛艦内で自殺した。 訴状などによると、西山さんは19歳だった20年9月ごろ、複数の未成年の同僚らと飲酒。その後、上司から1人だけ反省ノートを書くよう「指導」を科されたり、上司が「真に反省した」などと評価できるまで船からの外出を認められない罰を約2カ月受けたりしたとしている。 さらに、亡くなる前日、同僚の依頼で米軍基地内でファストフードを買って帰ったところ、上司から基地内の買い物が禁止されているなどとして激しく叱責(しっせき)されたという。原告側はこうした行為がパワハラにあたると主張している。 西山さんの自殺をめぐっては昨年6月、海上自衛隊佐世保地方総監部が「公務災害」を認定。その後、遺族に対して、長時間の時間外労働が精神疾患の発症と自殺につながったとする説明があったという。 原告側は、長時間労働の実態を明らかにするよう求めた上で、国側に長時間労働やパワハラを防止する義務があったのに、注意を怠ったと指摘している。 閉廷後、西山さんの両親が代理人の弁護士と記者会見を開いた。父・賢二さん(48)は「息子がどうしてこういう風に亡くならないといけなかったのか。戻れるのであれば辞めていいよと言いたい」と語った。原告側の代理人弁護士は「時間外労働が長時間に及んだのもパワハラの結果であると考えており、自殺の真の原因はパワハラにあったと考えている」と主張した。 防衛省は取材に「継続中の裁判については、今後の裁判に影響を与えかねないことから、お答えできない。関係機関と検討のうえ、適切に対応してまいります」とコメントした。(岡田真実) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
秋葉原の無差別殺傷事件から15年 現場交差点に朝から悼む人の姿
遠藤美波 長妻昭明2023年6月8日 9時20分 東京・秋葉原の歩行者天国で2008年6月、7人が死亡し、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件から8日で15年となった。加藤智大・元死刑囚(当時25)=昨年7月に死刑執行=がトラックやナイフで通行人を襲った現場には、犠牲者を悼む人たちが訪れ手を合わせた。 現場となった交差点には、この日朝、花やお茶が備えられていた。近くの会社に勤める水野駿平さん(32)は通勤途中に現場を通りかかり、手を合わせた。当時は高校生。事件翌日の朝刊に載った、血まみれのけが人を心肺蘇生する救急隊員の写真が忘れられないという。「会社の後輩でも事件を知らない世代が増えてきた。立ち止まらずにはいられなかった」と話した。 事件を機にナイフの販売規制が強まった。大規模イベントでは、車の突入対策で大型車を壁のように配置するようになるなど、街頭の安全対策が進んだ。また、遺族や被害者の支援が進むきっかけにもなった。 ただ、その後も無差別に人を襲い、傷つける事件は後を絶たない。2019年には川崎市で登校中の児童らが刃物で襲われ小6女児ら2人が死亡。同じ年には「京都アニメーション」が放火され36人が亡くなった。21年には東京の京王線や小田急線での刺傷事件や、26人が犠牲になった大阪市のクリニック放火殺人事件が起きた。(遠藤美波、長妻昭明) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
人出は5類移行前とほぼ変わらず コロナ禍前の9割に回復
新型コロナウイルスの5類移行から8日で1カ月。人の流れはこれまでと比べて変化したのか。渋谷(東京)、名古屋、梅田(大阪)、天神(福岡)の4駅周辺の人出について、ソフトバンクの子会社「アグープ」のデータを使って調べた。 5月25~31日の1週間と、5類移行前の4月20~26日の人出を比べたところ、渋谷で97%、名古屋で98%、梅田で100%、天神で102%とほぼ横ばい。午後7時台の時間帯別で見ても、横ばいの傾向は変わらなかった。5類移行前と人出はほぼ変わらない様子がうかがえた。 また、5月25~31日とコロナ禍前の2019年の同時期(5月23~29日)の1週間も比べた。渋谷88%、名古屋90%、梅田92%、天神87%で、かつての9割ほどにまで人出が戻ってきていることがうかがえた。(長野佑介) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
刺され、心を病んだ青年 1年間寄り添った 秋葉原事件の被害者支援
東京・秋葉原で日曜日の歩行者天国にトラックが突っ込み、17人が死傷した事件から15年が経った。昨年7月には加藤智大(ともひろ)・元死刑囚に刑が執行された。突然日常を奪われた遺族や被害者に寄り添い続けた警察官にとって、6月8日の記憶は原点となっている。 事件発生から約3時間後。警視庁犯罪被害者支援室に警部補で配属されたばかりだった奥田暁宏さん(53)=現・警視=は、現場近くの万世橋署にいた。「大変なことが起きてしまった」 同署には、被害者支援に特化した対策本部が同庁で初めて設置された。44人が集められ、奥田さんもその1人だった。 遺族の待機場所を同署に設けた。葬儀の付き添い、報道対策、食料などの買い出しの手伝い。遺族に寄り添う「直接的支援」が初めて本格的に行われた。 負傷者についても病院への送迎・付き添い、職場や学校への連絡、カウンセラーの紹介にあたった。こうした支援が終わったのは、事件から約1年半後だった。 重傷負った青年の両親からもらった言葉 奥田さんの記憶に強く残るの… この記事は有料記事です。残り775文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
多度大社の上げ馬神事 たたく行為は「不適切」 三重県が改善指導へ
三重県桑名市の多度大社で5月にあった県無形民俗文化財「上げ馬神事」について、上げ馬を奉納する氏子組織や大社に対し、県が近く口頭で改善を指導する方針を固めたことが、県への取材でわかった。法被やロープで馬をたたくなどの行為を複数回確認したといい、県は動物愛護管理法に基づき、「虐待とまでは言いきれないが不適切」と判断した。 例年5月4、5日に神事があり、今年はコロナ禍を経て4年ぶりに開かれた。武者姿の若者を乗せた馬が急坂を駆け上がり、頂上にある高さ1・5~2メートル程度の土壁を乗り越えられるかどうかで、農作物の出来を占う。約700年前の南北朝時代が起源と伝わり、1978年に県無形民俗文化財に指定された。 今年は、氏子組織「御厨(みくりや)」の6地区の馬がそれぞれ3回ずつ計18回挑んだ。うち成功とされたのは、人の手によって壁の上に引っ張り上げられた3頭のみだった。 県が問題視したのは、坂を駆け上がる馬を鼓舞するため、地区の人たちが出走前に法被やロープでたたいたり法被を振り回したりした行為。大声を出す行為もあったという。県職員らが監視していて目撃した。 県や市、御厨総代会などでつ… この記事は有料記事です。残り588文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
雨の日は奥行きのある新緑に 「床みどり」が見ごろ 京都・実相院
新緑のカエデが床に映り込む「床みどり」が、京都市左京区の実相院で見頃を迎えている。 約300年前に造営された客殿「滝の間」の床は、つやを出すために毎朝磨かれていて、4月ごろから芽吹きはじめたカエデの葉の緑色が漆黒の床に映える。天候により見え方が異なるといい、同院執事の岩谷泰輔さん(68)は「日差しの弱い雨や曇りの日には、より奥行きのある緑が見られる。晴れた日なら、日の傾いた夕方がおすすめ」と話していた。 滝の間の「額縁」からは「床… この記事は有料記事です。残り169文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
潮干狩りは史上最強のアウトドア この道70年、「超人」が語る魅力
【動画】横浜市の海の公園で潮干狩り体験会が開かれ、この道70年の「超人」がマテガイ採りのコツを伝授した=小林直子撮影 潮干狩りシーズンも終盤。横浜市金沢区の人工海浜「海の公園」でこの時期に開かれる横浜シーサイドライン(横浜市金沢区)主催の潮干狩り体験会は、募集開始からわずか1分間で50人の定員枠が埋まってしまうほどの人気イベントだ。 教えるのは、この道70年の自称「潮干狩り超人」。シーサイドラインの潮干狩り広報部長、原田知篤さん(73)だ。 「塩を穴に入れた方がいいよ」「(マテガイの)足を切らないように、少し引っ張り合って駆け引きして」 4日の体験会では、原田さんがマテガイの採り方のアドバイスをすると、参加者たちは次々に採れたマテガイをバケツの中へ。 横浜市港南区の奈須陽子さん(39)は11歳と8歳の息子2人と参加した。1時間半ほどで94個を採ったといい、「想像以上に子どもたちが夢中になっていた。また家族で来たい」。 初めての潮干狩りは3歳のとき 「史上最強のアウトドア」。原田さんは潮干狩りをこう表現する。 山口県出身。自宅は山間部にあり、周囲はどこを見渡しても山だった。 世界を駆け回るオーボエ奏者だった原田さん。「潮干狩り超人」を名乗るようになったのは、あるきっかけがありました。 初めて潮干狩りをしたのは3… この記事は有料記事です。残り1391文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル