狩野浩平2023年6月3日 13時00分 文化人類学者で映像作家の太田光海(あきみ)さん(33)は東京都立青山高校の卒業生だ。南米・アマゾンの熱帯雨林で撮影した映画が、国際映画祭などで高く評価された。国際色あふれる活動の原点は、東京のど真ん中で過ごした高校時代にあるという。 高校時代は自己主張の強い方で、基本的に「いじられキャラ」だったという太田さん。入学直後の授業で先生から質問が投げかけられた時、周りを気にして誰も発言しない中、勢いよく手をあげて「モノカルチャー経済です!」。その後、「モノカルチャー太田」というあだ名が付いた。 思い出深いと振り返るのは文化祭の「外苑祭」。同級生が作ったある映像作品が、映像作家になるきっかけになったという。 人が入れる箱を置き、同級生が1人ずつ箱の中に入っていく様子を撮る――。その同級生は、人が入るシーンだけをつなげて、あたかも箱の中に無限に人が入っていくかのように編集した。「映像ってこんな表現ができるんだ」。そう衝撃を受けたという。 進学校で知られる青山高校。ただ太田さんは「文化的感性の鋭い人が多い」と話す。周囲の原宿、表参道、渋谷にはおしゃれなカフェやギャラリーが多く、「通学するだけでも若者のカルチャーに触れられる」。太田さんは軽音楽部で、よく友達とCDショップに行き、その選曲に「高校生なのにすごいディープな音楽を聴いていて、刺激を受けた」と振り返る。 現在は海外を舞台に活躍する。「世界を回って気づいたのは、青高の周りには世界都市・東京を象徴する施設が集中しているということ。国立競技場、明治公園、神宮球場。外苑の風を受けながら学んだことが基礎になり、熟成されて意味を持っているのだと、大人になった今ひしひしと感じています」(狩野浩平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
機内で手渡された英文の手紙 意外な送り主に「なんて優しい伝え方」
「こんにちは、機内での暇つぶしにどうぞ!(Hi, this is in-flight entertainment!)」 通路側に目をやると、1人の男性がほほえみながらチャックつきの透明な小袋を配っていた。 英語はあまりよく聞き取れなかったけど、何だか楽しそうな雰囲気は伝わってきた。 5月8日、北米旅行を終えた札幌市の明里さん(22)が乗り込んだ東京行きの飛行機。 もうすぐすると、カナダのバンクーバー空港を飛び立つ。 スチームクロック(蒸気時計)が映えるバンクーバーの街並みに、フロリダのディズニーランド――。 人生初の海外は思う存分楽しめたけど、時差ぼけで体はだるく、10時間超のフライトはちょっと憂鬱(ゆううつ)だった。 さて、何の映画を見て乗り切ろうか。 そう考えていた時のことだった。 男性が自分のところにやってきた。 「怪しい人には見えないけど、何を配っているのかな?」 みんなが笑顔で受け取っていたので、自分もひとまずもらってみた。 「あ、そういえば……」 男性の顔を見て、明里さんは、搭乗口前で子どもと並んで歩いていた人物だったことを思い出した。 手紙を翻訳したら 手に取った袋を見てみた。 金色の紙に包まれたキャンディーと赤い耳栓。 そして、英文がつづられた小さな紙きれが二つ折りで入っていた。何かの手紙のようだ。 明里さんは、観光中に頼りっきりだったスマホのアプリで英文を翻訳してみた。 手紙の送り主は、意外な人物だった。 《こんにちは。ぼくたちはリ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
次期大河ドラマの「紫式部」 都を離れた唯一の地で人生を「追体験」
「源氏物語」で知られる紫式部は、生涯で一度だけ京の都を離れて過ごしたことがあるという。現在の福井県越前市だ。生没年すらはっきりしないなど、今も謎が残る平安時代の作家だが、市内には彼女の人生の一コマを追体験できる場所がある。 「顔と体の向いている方向が少し違います。顔は地元の日野山、体は京都に向いているんです」 5月24日、市観光協会のボランティアガイド西岡義勝さん(78)が、観光客に説明していたのは、台座を含む高さ5メートルの紫式部像。全国でも珍しいという平安貴族の住居を模した寝殿造りの庭園の隅にあり、霊峰・日野山を望む。 「こんな住まいで何を思って… この記事は有料記事です。残り1260文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東海道新幹線、東京―名古屋で午前中は運休続く 正午以降に再開予定
細沢礼輝2023年6月3日 10時00分 大雨の影響で2日午後から運休が続く東海道新幹線は、3日も始発から東京―名古屋間で運転見合わせが続いている。 JR東海によると、沿線の線路設備に異常が無いか点検を終えたうえで、同日正午以降に運転を再開する予定。名古屋―新大阪間は午前中、毎時1本程度の「こだま」を運行する予定という。(細沢礼輝) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
水没した車両から救出の男性、死亡確認 記録的大雨の愛知県豊橋市
2023年6月3日 6時55分 記録的な大雨に見舞われた愛知県豊橋市で、水没した車両から60代とみられる男性が救助され、その後死亡が確認された。 豊橋署によると、2日午後10時10分ごろ、同市下条東町の冠水した道路で、水没した軽乗用車を消防隊が発見し、車内にいた60代くらいの男性を救出した。男性はその後、搬送先の病院で死亡が確認された。 市によると、別の救助要請で出動していた救助隊が軽乗用車を発見したという。同署は男性の身元の確認を進めている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
凶器を持って逃走か、62歳の男性殺害事件 新潟県上越市の住宅街
有料記事 鈴木剛志 井上充昌 初見翔2023年6月3日 7時00分 新潟県上越市大貫4丁目の住宅の駐車場で、住人の男性が頭から血を流して倒れているのが見つかり、まもなく死亡が確認され、県警は2日、殺人事件として上越署に捜査本部を設置した。男性の頭部には殴られた跡が複数あったという。 上越署捜査本部などによると、殺害されたのは自動車販売業の中村礼治さん(62)。発見時、頭部は血まみれの状態だった。この住宅で一人暮らしをしていたという。 1日午後7時45分ごろ、「近くで言い争う声が聞こえた」と近くの住民から署に通報が入り、直後には別の住民から「何かで殴るような音がした」と110番通報があった。この住民2人は何者かが中村さんを殴っているような様子も目撃しているという。 現場から黒っぽい服装の中肉中背の人物が立ち去ったといい、県警は何らかの事情を知っているとみて行方を追っている。 現場は、えちごトキめき鉄道の高田駅から南西に1キロほどの住宅街にあり、北陸新幹線の上越妙高駅と上信越自動車道の上越高田インターチェンジにも近い。(鈴木剛志、井上充昌、初見翔) 現場に近い小中学校は臨時休校に 事件後、現場周辺は広範囲に… この記事は有料記事です。残り491文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
オープンテラスを憩いの場に 広島・基町再開発ビル、デザイン案公表
興野優平2023年6月3日 7時00分 広島市中区基町に市や朝日新聞社などが高層ビルを中心とした大規模複合施設を建設する再開発事業について、有識者らが提言する「市都市デザインアドバイザー会議」が2日、同市役所であった。これまでに出た「オープンスペースの有効活用」「広島らしさ」を求める意見を踏まえて、事業者側がビルのデザイン案を示した。 デザイン案によると、相生通りに面するビル1階には高さ約16メートルの吹き抜けの広場を設置。6階にはオープンテラスを設け、イベント時にはステージとなるスペースも確保する。市民に親しまれる憩いの場を目指す。 コンセプトを「新しいにぎわいと交流の基点」として、広島の新たなランドマークを目指すという。広島城の石垣や太田川など、広島を想起させる「水」「緑」「石」を意識したデザインにする。 基町の再開発事業に関しては、昨年の第1回に続き今回は2回目の会議となる。田中貴宏・広島大学大学院先進理工系科学研究科教授ら8人の委員が出席し「6階のスペースのデザインにもう少し遊び心がほしい」「四季を感じられるように」などの意見が出た。(興野優平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生成AI、市長あいさつや議会答弁の下書きに活用 岡山・真庭が指針
ChatGPT(チャットGPT)などの生成AI(人工知能)について、岡山県真庭市の太田昇市長は2日の会見で「積極的に活用、利用していきたい」と述べ、市独自の利用マニュアルなどを作り運用を始めたと発表した。市によると、生成AIのマニュアルとガイドラインの作成は岡山県内の自治体では初めてで、利用例として市長のあいさつや議会答弁の下書きなどを挙げている。 チャットGPTはインターネット上で使える対話型AIで、質問や依頼文を入力すると、文章で答えが示される。 市総合政策課は、生成AIを導入する理由について「市民生活の質の向上、市役所内の業務効率化と効果的な実施に役立つ可能性がある」とする。そのうえで、利用事例や注意事項を明記したマニュアルとガイドラインを作成した。法律や知能情報学の専門家である加賀山茂・名古屋大名誉教授や原口誠・北海道大名誉教授ら、市の政策アドバイザーの指導を受けたという。 生成AIの利用例としては、市長のメッセージやあいさつの下書き、議会答弁の下書きなどを業務で使う「公式使用」に挙げている。職員個人が利用する場合の「自己使用」は、メールなどの文書の下書きや、リポート・報告書などの作成支援を例示している。 さまざまな「利用例」 学習支援も 利用する時の留意点では、プ… この記事は有料記事です。残り736文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「人が流された」 和歌山で河川氾濫、海南市などに「緊急安全確保」
2023年6月2日 16時39分(2023年6月2日 21時29分更新) 大雨の影響で2日、避難情報で最も警戒レベルの高い「緊急安全確保」が和歌山県の海南市、紀美野町、九度山町、広川町に出た。 紀美野町などによると、同町釜滝の真国川で「人が流された」という通報があった。流されたのは成人とみられるという。県警岩出署によると、午後5時ごろ紀の川市中鞆渕で男性が流されたと住民から連絡があった。冠水した道路を、ロープにつかまって渡っていた男性という。 県は2日午後2時15分、和歌山市と海南市を流れる亀の川で氾濫(はんらん)が発生したと発表した。海南市内では中心部が冠水。一部地域の住宅も浸水した。市によると、29カ所に避難所を開設し、午後1時時点で少なくとも10カ所に約50人が避難しているという。避難所になった海南保健福祉センター(同市日方)は1階が浸水し、避難した人が2階へ移ったという。 和歌山県内では午後4時半までに、和歌山市の和田川▽海南市の日方川、加茂川▽紀美野町の貴志川▽湯浅町の山田川▽広川町の広川▽印南町の印南川▽みなべ町の南部川の各観測所で、氾濫危険水位を超えたことが発表されている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
土師さん「記録は子の生きた証し」廃棄した家裁、消極姿勢浮き彫りに
刑事罰の対象年齢を引き下げる少年法改正につながるなど、大きな影響を与えた神戸連続児童殺傷事件。その記録を、なぜ裁判所は廃棄してしまったのか。最高裁の報告書からは、保存に消極的だった姿勢が浮き彫りになった。遺族の土師守さん(67)は2日に会見し「私はこの事件は歴史だと思っている。裁判所は、歴史的資料だという考えが欠けていた」と述べた。 最高裁は、少年事件の記録の保存期間を「少年が26歳に達するまでの期間」と定める一方、全国的に社会の耳目を集めた事件などは、期間後も残す「特別保存」の対象としている。 先月公表された最高裁の報告書によると、同事件の記録の廃棄に先立って、神戸家裁の廃棄担当者は「特別保存の要件に当たる可能性がある」と考え、当時の所長に話を持ちかけた。 だが所長は、自身が事件記録を特別保存とするか否かを判断する立場にあるとの認識が欠けていたため、廃棄担当者に意見を述べたり判断したりすることはなかったという。 そのため担当者は自身が判断しなければいけないと思い、「神戸家裁で特別保存にした事件はない」「少年事件は非公開で一般の民事事件とは異なる」と考え、廃棄を決めたという。 「貴重な資料で保存すべきだ」とする裁判官の声もあったが、保存に結びつくことはなかった。 この日、事件で淳君(当時11)を亡くした土師さんは神戸家裁で、最高裁職員から直接、内容の説明と謝罪を受けた。 説明後に会見を開いた土師さんは、廃棄の経緯に触れ「怠慢だなと思った」と指摘。「記録は、再発防止や検証のためにも、被害者支援のためにも必要」とし、何より「被害者遺族にとっては子どもが生きた証しでもある」と強調した。(黒田早織) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル