有料記事 宮野拓也、グラフィック=米沢章憲2022年11月28日 16時00分 多くの犠牲者が出た放火事件、乾燥した空気と強風による大火、大規模地震に伴う木造住宅の延焼――。国内でも、様々な要因で大きな被害に至る火災が発生してきた。もし火災に遭遇してしまったらどう行動すればよいのか。普段からどんな備えができるのか。(宮野拓也、グラフィック=米沢章憲) 2019年の京都アニメーションの放火殺人事件は、36人が亡くなる大惨事となった。最も厳しい状況に置かれても、何とか命を守ることはできないのか――。事件後、京都市消防局は負傷者らから聞き取るなどして避難行動を分析、検証し、「火災から命を守る避難の指針」を20年3月に策定した。 大雨や土砂災害は1から5までの警戒レベルが設定され、それに応じた避難行動が求められる。一方、火災には警戒レベルに相当するものがない。そこで市消防局が独自に1から3の「火災人命危険レベル」をつくり、指針に盛り込んだ。火災に遭遇した人自身が自分でレベルを判定し、それに応じた行動を取ることが重要、としている。 「レベル1」は火災は発生しているが、階段には煙がなく、階段で地上、下階への避難が可能な状況だ。「レベル2」は煙で階段が使えない。ベランダから避難器具を使って避難したり、一時スペースへ避難したりするなどして、階段以外からの避難が必要になる。 煙に覆われた それでもできることはある 最も深刻な「レベル3」は… この記事は有料記事です。残り1611文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
三重県川越町の工場で作業員3人が一時生き埋めに 1人の死亡を確認
2022年11月28日 16時24分 28日午前11時20分ごろ、三重県川越町の石膏(せっこう)ボードメーカー「チヨダウーテ」四日市工場から、「工場内の集塵機(しゅうじんき)で作業中の男性3人が生き埋め状態になった」と、119番通報があった。同県四日市市消防本部などが、正午すぎに1人を救出し、その際、意識はあったという。午後1時半ごろには2人目を救出したが、搬送先の病院で死亡が確認された。残る1人は午後3時ごろに救出され、心肺停止の状態で病院に運ばれたという。 消防や警察、会社の説明では、事故は燃やした木くずを冷やす冷却装置で起きた。3人は定期点検で装置内に入っていた。その際、装置上部から何らかの理由で木くずが落下し、生き埋め状態になったとみられる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
狙われる医療法人、コロナ禍の経営難につけ込む 大阪、福岡で事件に
新型コロナウイルス禍で経営に打撃を受けた医療法人が狙われている。再建話に乗って現金をだまし取られたり、融資制度の仲介を持ちかけられて多額の手数料を取られたりする被害が相次いでいる。経営悪化につけ込む手口で、倒産した法人もある。(河野光汰、華野優気) 大阪府内でクリニックなどを経営する医療法人が、東京都内のコンサル会社から買収の打診を受けたのは昨年冬のことだった。 提示された買収額は約20億円。会社代表の女性は高級外車に乗り、高級ブランドバッグを手にしていた。「中東から多額の資金を引っ張れるなどと景気のいい話ばかりだった」と医療法人の関係者は振り返る。 事前に数千万円の経営コンサル料を求められたのを不審に思い、代表者が所有する本社ビルを調べると、債権者に仮差し押さえされていた。医療法人は疑問を抱き、交渉を打ち切った。 このコンサル会社は「帝凰(ていおう)グループ」。大阪府警は28日午前、同社代表の佐藤留美容疑者(52)を別の医療法人に対する業務上横領容疑で逮捕した。 捜査関係者によると、逮捕容疑は今年7月、大津市内で診療所などを運営する医療法人の資金1億円を横領したというもの。佐藤容疑者はM&Aの仲介会社を通じて買収を持ちかけていたという。 佐藤容疑者は、大阪市淀川区の医療法人から5千万円を詐取した容疑などでも逮捕、起訴されている。起訴状などによると、昨年8月、買収することで合意していた医療法人側に「5千万円を担保にして、1億円の融資を受ける」などとうそを言い、5千万円をだまし取ったとされる。捜査関係者によると医療法人は経営再建を迫られていたという。 信用調査会社によると、この医療法人は精神科クリニックのほか介護施設も運営し、設備投資に伴う借入金の返済に追われていた。さらにコロナ禍で患者や利用者が減り、収益が落ち込んでいたという。医療法人は被害後の昨年末、民事再生手続きに入った。 捜査関係者は「新型コロナで経営悪化した医療法人を狙った手口だ。被害にあった医療機関の経営が傾けば、地域医療にも影響が及ぶ恐れがある」と指摘する。 ■医療機関向け融資制度悪用も… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ギョーザ好きの「極秘ファイル」 200店を食べ歩き、データを分析
「みまつ食品」商品開発担当の加藤静香さん(34) 自身を「ギョーザ女子」と名乗る。手にしているのはギョーザのぬいぐるみ。 「昔は『ギョーザが好きだ』なんて女性が大声で言えないこともあったそうですが、いい時代になったと思います」 勤め先は中華総菜の製造・販売会社「みまつ食品」(前橋市)。商品開発の立案をしながら群馬、栃木、埼玉の3県にあるギョーザ店を訪ねた。その数、ざっと200店。と言っても、ただの食べ歩きではない。仕事のための覆面調査だ。 極秘のファイルを特別に見せてもらった。キャベツや白菜、肉やニンニクの配合、皮のもちもち感のほか、値段や店の雰囲気などが細かく記入され、点数化されている。キャベツのカットの仕方、皮と具の結着具合もチェックしている。 「そのデータを分析し、おいしいギョーザはどうあるべきかを日々研究しているのです」。星の数が五つで満点。だがそんな店はそう多くはないという。 「たかがギョーザ。されどギョーザ。誰からも親しまれる食品ですが、とても奥深い」 「群馬は隠れたギョーザ王国」 前橋市に生まれた。子どもの… この記事は有料記事です。残り614文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
93歳の男をひき逃げ容疑で逮捕 淡路島で駅伝練習中の高校生が軽傷
2022年11月28日 13時30分 軽トラックで男子高校生をひき逃げしたとして、兵庫県警は27日、同県南あわじ市の無職の男(93)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕し、28日発表した。男子高校生は軽傷。男は容疑を認めているという。 南あわじ署によると、男は25日午後1時20分ごろ、南あわじ市榎列大榎列の市道で軽トラックを運転中、男子高校生(15)と衝突し、そのまま逃げた疑いがある。男は買い物帰りだったという。 高校生は転倒し、右ひじや背中にけがをした。高校生は南あわじ市で27日にあった近畿高校駅伝のために県外から淡路島に来ており、練習でランニングしていたという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
弦楽器の弓、国際取引の規制強化で合意 材料が絶滅危機のおそれ
中米・パナマで開かれたワシントン条約締約国会議は最終日の25日、バイオリンなど弦楽器の弓の材料に使われるブラジル産の木が絶滅するおそれがあるとして、国際取引に輸出国の許可が必要になる現行の「付属書Ⅱ」を維持した上で、材料のほか、完成品や部品も新たに輸出の規制対象とする修正で合意した。 ペルナンブコ(別名・ブラジルボク)と呼ばれる木で、弦楽器から優れた響きを引き出す弓の材料としてプロ奏者の間で広く使われている。ブラジル政府は当初、「楽器パスポート(音楽許可証)」を持つ演奏家以外、国際取引をほぼ全面的に禁止する「付属書Ⅰ」への格上げを提案。事務手続きの煩雑さなどから、国境を越えた演奏活動に支障が出かねないとの懸念がオーケストラや演奏家らの間で広がっていた。 日本政府の会議関係者らによると、ブラジル政府が、付属書Ⅱを維持した上で、新たな注釈として「すべての部品、派生品、および完成品(を規制の対象とする)。ただし、完成した楽器、完成した楽器の付属品、完成した楽器の部品の再輸出を除く」との内容の修正案を提出し、25日、コンセンサスで合意された。 ブラジルから完成品が輸出される場合には、新たに許可証が必要になるが、すでに海外に存在する製品については対象外となる。関係者によると、ブラジル国内の在庫登録や完成品の弓のトレーサビリティー(生産、流通過程を追跡可能にする)システムの構築、植林支援などが今後の課題になるという。 演奏活動への影響を懸念する… この記事は有料記事です。残り423文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
丹沢が人気、神奈川の遭難件数は全国4位 初心者向き登山に潜む危険
山岳遭難件数が全国ワースト4位の神奈川では、紅葉シーズンである11月の遭難者数が1年で最も多いという。高い山がある印象のない県内で、なぜ山岳遭難が多いのか――。遭難の約3割を占める大山(標高1252メートル)で行われた県警山岳救助隊のパトロールと訓練に記者(23)が同行した。 紅葉が見頃を迎え始めた16日の午前8時半。晴れ渡る空の下、丹沢山系の大山のふもとに着き、ひんやりと透き通った空気に心地よさを感じた。 お土産屋が並び、色づいた山は風光明媚(めいび)で、険しそうに見えない。気軽に登山を体験するにはうってつけの山なんだと思わせる。 大山は東京都内からも近く、標高約700メートルまでケーブルカーで上ることができるため、ビギナーの登山客に人気だ。 この日は平日にもかかわらず、多くの人が集まっていた。十分な装備で固めた高齢者のグループや、犬を連れた人、乳児を背負った人まで。県警山岳救助隊の北條保徳警部補の指導のもと、準備体操をしてから入山した。 ごつごつとした大きな岩や木の根が四方に張った登山道が続く。1年前まで大学の野球部で活動していた記者は体力に自信があり、意気揚々と足を進めた。 山の中で転倒してけが。痛くて自力では歩けない。そんなときに頼りにするのが山岳救助隊です。記事後半では、入社1年目の記者がロープを使って急斜面を降りる訓練を体験した様子を紹介します。 絶景の山頂で襲ってきたものは しかし、登り始めて数十分… この記事は有料記事です。残り2048文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
博報堂など4社を新たに家宅捜索 業界全体で談合か 五輪テスト大会
東京五輪・パラリンピックのテスト大会業務をめぐる入札談合事件で、東京地検特捜部と公正取引委員会は28日午前、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、新たに広告大手の「博報堂」(東京都港区)など4社に家宅捜索に入った。博報堂は、25日に捜索を受けた最大手「電通」に続く広告業界2位。業務を受注した9社のうち、捜索が入った企業は計6社となり、事件は業界全体に広がった。 このほかに28日に捜索を受けたのは、広告大手「東急エージェンシー」(港区)、イベント制作会社「セイムトゥー」(千代田区)、番組制作会社「フジクリエイティブコーポレーション(FCC)」(江東区)。 談合が疑われているのは、各競技のテスト大会の実施計画を立案する業務で、東京五輪・パラ大会の組織委員会が発注した。 2018年5~8月に計26件の競争入札があり、9社と1共同企業体が落札。捜索を受けた企業はいずれも落札企業だった。1件あたりの契約額は約6千万~約400万円で、総額は約5億4千万円だった。 関係者によると、テスト大会の発注を担った組織委大会運営局の次長(当時)、組織委に電通から出向していた職員、電通本体の担当者の3人が、各社の意向をふまえて受注調整を主導した疑いがあることが判明している。特捜部と公取委は、発注者と受注者が一体となって談合したとみて調べている。 博報堂はメディア事業のほか、スポーツや文化イベントの運営を幅広く手がける。今回の入札では、自転車とホッケー会場の2件を約4千万円で落札した。 東急エージェンシーは東急グループの一つで、テレビやラジオなどの広告制作を中心に事業を展開する。ウェートリフティング、テニスの会場など3件を約6500万円で落札した。 セイムトゥーは主にスポーツの国際大会を運営し、競泳とトライアスロン会場の2件を約6500万円を受注した。 FCCはテレビ番組やイベントの企画制作などを手がけ、柔道・空手とビーチバレー会場の2件を約4千万円で落札。25日に捜索を受けたイベント制作会社「セレスポ」と構成する共同企業体としても1件(約1300万円)契約した。 メールなどでの事前調整の結果、26件の競争入札の大半は1社しか参加しなかったことも判明している。 捜索前の取材に対し、談合への関与について、博報堂は「調査中で、現時点ではお答えできない」、東急エージェーンシーは「回答を差し控える」、FCCは「事実ではない」と回答した。セイムトゥー幹部は「(談合は)なかったと把握している」と話した。 五輪テスト大会の計画立案業務(26件)を落札した企業 (※1件は入札が不調。金額は合計、10万円以下は四捨五入) セレスポ 5件 1億1600万円 電通 5件 8千万円 アサツーディ・ケイ 3件 1億400万円 東急エージェンシー 3件 6500万円 セイムトゥー 2件 6500万円 博報堂 2件 4千万円 フジクリエイティブコーポレーション(FCC) 2件 4千万円 FCC・セレスポ 1件 1300万円 電通ライブ 1件 1100万円 大広 1件 400万円 計25件 5億3800万円 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京都のスピーキングテスト、中学生約7万人が受験 遅刻の生徒も
有料記事 本多由佳、土舘聡一2022年11月28日 6時30分 東京都教育委員会が全国で初めて民間企業と共同実施し、結果を都立高校入試に活用する英語スピーキングテストが27日に都内であった。都内の公立中3年生の95%にあたる約7万6千人が受験を申し込んでおり、円滑に運営されるか注目されていた。テスト後、都教委は「大きなトラブルは確認されていない」とした。 テストは都立高校や民間施設など都内197カ所で行われ、公立中3年生を中心に約6万9千人が受験した。テスト後に都教委は、欠席連絡を受ける電話回線が一時つながりにくかったり、複数の生徒が会場を誤って遅刻したりするトラブルを確認したと発表した。 テストは、同じ会場内の生徒が2組に分かれ、時間差で同じ問題を解く形式だった。テスト後にSNS上で、受験生とみられる「隣の教室の解答の声が聞こえた」という投稿が見られたが、都教委は「報告を受けていない」と説明した。 テストの運営は、都教委から… この記事は有料記事です。残り529文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小金井市長選で元市議の白井亨氏が初当選 市立園廃園「撤回」を訴え
東京都小金井市長選は27日投開票され、無所属新顔で元市議の白井亨氏(47)が、無所属新顔で共産党地区委員長の小泉民未嗣(たみじ)氏(44)=共産推薦=を破り、初当選を果たした。当日有権者数は10万2093人。投票率は35・59%(前回40・89%)で、1995年の39・26%を下回り、過去最低となった。 白井氏はJR東小金井駅前の事務所で開票状況を見守り、その様子を応援してくれた人たちに向けてオンライン中継。午後10時半、当選が確実になると、支援者から花束を贈られ、ガッツポーズをした。当選の理由について、白井氏は8年余の市議としての活動を挙げ、「評価と期待をしてもらったのだと、ひしひしと感じる」と述べた。 西岡真一郎前市長の辞職につながった、市立保育園2園を廃止する条例改正の専決処分への対応について報道陣に問われると、「12月市議会に元の条例に戻す条例改正案を出したいが、議会側との調整も必要」と話した。 白井氏は市議時代に市民との対話に力を入れ、市政の課題解決につなげてきたと政治家としての実績をアピール。政党などの支援を受けない「完全無所属」を強調して「みんなでつくる街にしよう」と訴え、支持を集めた。選挙中には、保坂展人・世田谷区長らが街頭での応援に駆けつけた。 長年の懸案である新市庁舎建設については、「早期建設」を打ち出した。現在、福祉会館との複合施設とする計画が実施設計までほぼ完了している。着工に至らない状況に対し、「混迷に終止符を」と訴えた。 野川沿いの自然が残る地域を通る予定の都市計画道路については、「今止めなければ取り返しがつかない」と主張。事業化の凍結とともに、廃止も含めた都市計画の検証や見直しをするよう都に要望した上で、協議を求めていく姿勢を示した。 小泉氏は市立園廃止の専決処分の「撤回」に加え、市立園5園すべてを維持・発展させていくと主張。新市庁舎建設については「約10億円のコストダウン」などが可能な別のプランがすでにあると、白井氏との違いを強調。現計画から変更することで生まれる財源を使い、困窮する市民の生活支援の充実を図るなどと訴えたが、及ばなかった。 前市長の唐突な辞職に端を発した市長選。小泉氏の出馬表明は告示の2日前。難航した候補者探しの末の立候補だった。自民党も候補者を立てようと動いたが、擁立には至らず、保守層からは「投票先がない」との声も上がっていた。 また27日は新顔3人が立候補した同市議補選(被選挙数2)も投開票された。(井上恵一朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル