開発に加え、地球温暖化により、各地で砂浜が消えていく――。ツバルやモルディブなど南の島だけのできごとではない。国内でも心配されていることだ。あの映画の舞台となった砂浜では今、見るも無残な光景が広がっている。 ♪砂に書いた名前消して 波はどこへ帰るのか 桑田佳祐さんがメガホンをとった映画「稲村ジェーン」(1990年公開)の主題歌、「真夏の果実」の一節だ。 7月上旬、映画の舞台となった神奈川県鎌倉市の稲村ガ崎を訪れると、岬西側の七里ガ浜の所々で「砂」が消え、むき出しになった岩々を「波」が洗っていた。 閉鎖された稲村ガ崎海水浴場、住民の生活にも影響 「以前は、砂鉄を多く含む黒… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
消防隊員も救急車に 第7波で逼迫、仮眠なく20時間働きっぱなしも
7月中に東京都内(稲城市と島嶼(とうしょ)部を除く)で救急車が出動してから現場に到着するまでにかかった時間の平均は12分超となり、8分半を切っていた前月の6月と比べて40%以上長かったことが東京消防庁のまとめでわかった。新型コロナウイルスの「第7波」と、猛暑による熱中症の増加が重なったことが背景にあるとみられる。同庁職員の感染も相次ぎ、人繰りも厳しくなっているという。 同庁によると、今年7月の到着時間の平均は12分6秒で、6月の8分24秒と比べて約44%にあたる3分42秒長くかかっていた。昨年1年間平均の7分20秒からは65%、一昨年の6分29秒からは約87%長かった。救急要請が多すぎて対応しきれていないといい、最寄りの消防署では足りず、遠方の署からの応援車両を待たざるを得ないような事態が多発しているという。 「非常編成」で臨むも…… 1日当たりの救急車の出動件数は一昨年、昨年とも平均2千件ほどだったが、今年7月1日は3274件、同2日は3188件を記録。過去最多の3382件(2018年7月23日)に次ぐ件数だったほか、18、19両日も3066件、3069件となるなど3千件前後の日が相次いだ。 同庁はこうした事態に対し、稼働する救急車の台数を増やす「非常編成」を組み、通常の275台に予備用の車両も追加で出動。それでも出動可能な救急車のうち、実際に出動中の台数の割合を示す稼働率が95%を超えることがしばしば起きている。7月中には99%を記録した日もあった。 コロナと熱中症の「ダブルパンチ」に職員自身の感染拡大という、過去にない事態に直面している消防庁。記事後半では現場の救急隊員の声も取り上げています。 その非常編成も組むのは容易… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ライチョウ家族が中央アルプスでついに放鳥 母鳥がヒナ抱く場面も
小野智美2022年8月16日 18時00分 【動画】ライチョウ家族を中央アルプス(長野県)山中に放鳥=那須どうぶつ王国提供 那須どうぶつ王国(栃木県那須町)から中央アルプス(長野県)に移送された国の特別天然記念物ライチョウの3家族19羽が14日までに山中へ放たれた。濃霧の中を家族で歩き、寒風から守るように母鳥がヒナを抱く姿が見られた。 現地のライチョウを動物園で繁殖させてから返す環境省の「復活作戦」で、佐藤哲也園長は「ヒナが厳しい冬を越えて中央アルプスでの繁殖に参加できることを期待しています」とコメントを出した。 園では、母鳥3羽を足輪の色から、「赤」「白」「黄色」と呼んでおり、14日の放鳥は白と黄色の2家族で、前日に放たれた赤家族も近くに現れた。園の獣医師原藤芽衣さんと飼育リーダー荒川友紀さん、飼育員平居未羽さんも放鳥に立ち合った。放たれたヒナをみて、原藤さんらは「4日ぶりに見たら、ポヤポヤの頭の毛がおとなの毛になっていて成長したなとびっくり」と驚いていた。(小野智美) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
身の丈に合わぬパワー持ったPTA 必要なのは「指輪物語」
東京都小学校PTA協議会(都小P)が、日本PTA全国協議会(日P)からの退会を決めました。長年、課題視されてきた日Pの存在意義やあり方に再び注目が集まっています。2008年に「PTA再活用論」でPTA問題を世に問うた作家の川端裕人さんは、「PTAには『指輪物語』が必要」と言います。どういうことでしょうか。 かわばた・ひろと 1964年生まれ。2007年から09年にかけて東京都世田谷区立小学校のPTA副会長を務める。著書に「PTA再活用論」「『色のふしぎ』と不思議な社会」など。 ――今回の動きをどのように見ていますか。 「連合組織の役割を問い直す、いいきっかけになっていると感じています。これまでPTAは、学校ごとのPTA(単P)の問題ととらえられてきました。『PTAは必要なの?』という話題でも、対象となっていたのは単Pです」 「確かに、非常に多くの人が単Pで大変な思いをしていることは事実ですし、連合組織の活動のために、単Pから人がかり出されている問題もあります。でも僕は、今回は連合組織のあり方を多くの人に考えてほしいと願っています」 「会員規模」に数えられても、意見反映されぬ保護者 ――川端さんが考える日Pの問題とは。 「日Pホームページにある会長のあいさつで、『800万人の会員規模にも及ぶ組織』と記載されています。普通に読めば、800万人の会員がいると思うでしょうが、日Pの正会員は、都道府県などの連合組織だけです。だから、『会員規模』に数えられている人たちは、直接意見を反映してもらえる立場ではないのに、日Pの勢力に資する人数として語られています」 都小Pの日Pからの退会を機に、連合組織のあり方を再考したいという川端裕人さん。記事後半では、ニュージーランドで体験した保護者組織やその連合組織の役割をヒントに、現在の日本の問題点を指摘しています。PTAが自ずと持ってしまう「パワー」についても話しています。 「かつて一PTA会員として… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
極限状態だった2年間 元シベリア抑留者が語る「後ろめたさ」の理由
第2次世界大戦終戦後、旧満州(中国東北部)などにいた日本兵らが、ソ連軍によってシベリアなどに連行され労働を強制された。約58万人が連行され、過酷な環境のなか約6万人が命を落とした。愛媛県宇和島市堀端町の元会社員阿部喜教(よしのり)さん(96)も連行された一人だ。2年1カ月、飢えや寒さ、重労働に耐えた。 阿部さんは愛媛県畑地村(現宇和島市)生まれ。8歳のとき朝鮮半島の釜山に移住し、平壌の陸軍予備士官学校に在学していた19歳で終戦を迎えた。その直後、満州から逃げてきた日本の民間人を平壌の近くで警護中に、ソ連軍の捕虜となった。 1945年の秋ごろ、ウラジオストクの収容所に連行された。道中では幾日も歩かされた。「これはもう死ぬ思うた。落後したら銃殺ですけんね」 倍のノルマを課せられ 札幌とほぼ同じ緯度にあるウ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
進まぬシベリアの遺骨収集 「必ず迎えに」過ぎゆく時間に焦り
77年前の8月15日、長い日本の戦争が終わった。だがその直後、旧ソ連軍は千島列島の占守(しゅむしゅ)島に侵攻。多くの日本人がシベリアに強制連行され、過酷な労働を強いられた。一人、また一人。終戦にたどり着きながらも、異国の地で無念の死を遂げた人々がいた。 終戦直後、樺太(現サハリン)から旧ソ連軍にシベリアへ強制連行された北海道利尻町の吉田欽哉さん(96)は唇をかむ。極寒の地で自ら埋葬した日本人の遺骨を持ち帰りたい。そんな思いを、外務省によるロシアへの渡航中止勧告が阻む。「必ず迎えに……」。約束を果たせぬまま、時間だけが過ぎていく。 仲間たちを弔ったのは抑留翌年の1946年6月中旬、20日間滞在した収容所の時だった。収容所に送られた7人に与えられた仕事は、棺の移し替えだ。ノルマは1日4体。土日を除く毎朝8時、馬に乗った将校と出発し、1時間余り歩いて墓地に向かった。 仲間に誓った、遺骨の帰国 そこには「土まんじゅう」と… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
維新カラーの政策「歯止め効かず」 大阪府市の財政どう変わった
大阪府と大阪市のトップを地域政党「大阪維新の会」が占めるようになって10年。選挙の街頭演説などで維新は府市の財政再建の成果を訴えるが、府市の財政はどう変わったのか。 「我々は大阪の再生と成長をずっと掲げてきた。大阪市も大阪府も、着実に財政状況はよくなっている」 2月16日、大阪維新前代表の松井一郎氏は、大阪市長として新年度予算案を発表する記者会見でそう語った。会見場で配られた資料には、2028年度に大阪市が国の普通交付税に頼らない「不交付団体」となる可能性が記されていた。不交付団体は、税収が恵まれた東京都など一握りの自治体に限られる。 さまざまな指標はたしかに改善している。松井氏が「一番重要なポイント」と話す経常収支比率。100に近づくほど財政が硬直化しているとされるが、大阪市の場合、2004年度に103・6%まで上昇していた。それが、19年度には93・4%まで改善し、政令指定市の平均97・3%を下回る。固定費の割合が減り、お金を自由に使える裁量が増える。 市の貯金にあたる財政調整基金は22年度予算で2118億円まで増えた。コロナ禍ではこれを財源に、公立小中学校の給食無償化を打ち出した。 松井氏は同じ会見で、「ありとあらゆる改革を通じて、スリムな筋肉質な体質に改善した」と強調した。ただ、財政状況の改善は、維新の力だけによるものとは言い切れない。 連載「維新の実像 大阪はどう変わったか」(全3回)はこちら 大阪府市での施策を「実績」として訴え、昨秋の衆院選と今夏の参院選で議席を伸ばした維新の会。維新が大阪府知事、大阪市長のダブル選挙を制してから10年で、大阪はどう変わったのか。「副首都」「民営化」「財政」の三つの側面から検証します。 企業の本社機能が集まる大阪… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
混み合うコミケ会場、他人のリュックを見る男を20分尾行したら…
東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた国内最大規模の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」でスリをしたとして、警視庁は、埼玉県所沢市の会社員の男(38)を窃盗容疑で現行犯逮捕し、16日発表した。男は容疑を認め、「混雑している場所で立ち往生している女性がいて、リュックの中の物が盗めそうだと思った」と話しているという。 捜査3課によると、男は13日午後0時10分ごろ、東京都江東区有明3丁目の東京ビッグサイトで、同人誌の販売ブースの前を歩いていた10代女性が背負ったリュックの中から、現金約2千円やキャッシュカードなどが入った財布を盗んだ疑いがある。 会場内で警戒中の同課員が、買い物客のリュックに不自然に視線を向ける男を発見。20分ほど尾行したところ、女性の後ろに回り込み、リュックのチャックを開けて財布を抜き取る現場を確認し、その場で逮捕した。女性は被害に気づいていなかったという。 男は「コミケにブースを出す… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「車内の熱で肉は焼けるか」 焼き肉店が実証動画で熱中症を注意喚起
猛烈な暑さが続く中、エアコンを止め、閉めきった車の中で肉が焼けるのかを検証する動画がインターネット上で話題だ。熱中症の危険性を広く伝えるため、前橋市や群馬県高崎市で焼き肉店を営む「ホルモンしま田」が制作・配信した。 「炎天下の車内に置き去りにされた子どもが亡くなる悲劇が絶えない。熱中症の危険性を訴えたかった」 同社の担当者はそう話す。動画は約6分。前橋の最高気温が38~39度との予報が出た日の午前中に実験し、その様子を撮影した。 実験は、上州牛のもも肉をアルミホイルで包み、車のダッシュボードの上に置き、時間の経過とともに肉の温度や車内の温度を測定するもの。冷蔵庫から出した直後の肉の芯温は12度ほどだったが、約3時間後には65度くらいになった。 車内の温度も実験開始ととも… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
人口の5割が「老年」の夕張市 奮闘した「よそ者」市議の思い
今年の人口動態調査で、65歳以上の「老年人口」の割合が53・5%と全国の市で最も高かったのが、北海道夕張市だ。全国唯一の財政再建団体になってから15年。かつて11万人を超えた人口はこの春、7千人を割り込んだ。東京23区よりも広いこの街で最年少市議の今川和哉さん(33)は、市内で唯一の司法書士で、不動産会社の社長も務める。平成生まれの「よそ者議員」に夕張はどう映っているのか。この街への思いを語ってもらった。 いまがわ・かずや 札幌市出身。北海学園大学法学部卒。在学中に司法書士試験に合格。22歳で夕張市に移住して開業。2014年に不動産会社「夕張開発」を設立。15年の統一地方選で夕張市議会議員に当選し、現在2期目(無所属)。妻と娘の3人家族。 ――すごいところに事務所を構えていますね。 「ここは廃校になる前の夕張小学校です。家賃は月3万円。22歳の時に初めて夕張に来て司法書士事務所を開業しました。最初は市役所そばの夕張商工会議所2階に構えて、その後、こちらに移りました。社長をつとめる不動産会社『夕張開発』の本社もここです」 ――なぜ司法書士になったのですか。 「マイペースな性格で、普通の社会人にはあまり向いていないと考えて、大学に入ってから司法書士の勉強を始めました。大学3年の時に受けた試験で合格しました。当時20歳で、その年度の試験では全国最年少でした。4年生になり司法試験を目指して法科大学院進学も考えましたが、実家に余裕がなく、すでに奨学金を受けていたこともあり諦めました。そして札幌市内の大手司法書士事務所に就職しました」 ――夕張に来るきっかけは?… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル