1941年4月、茨城県の山あいにある大子(だいご)町の黒沢国民学校に、師範学校を卒業したばかりの菊池博子さんが着任した。19歳になったばかりだった。 当時、学校には子どもたちから「メリー」の名で慕われた人形があった。 その14年前、日本人移民の排斥問題で悪化した日米関係を憂慮したアメリカの団体から、日本に贈られた約1万3千体の「青い目の人形」のひとつだった。 41年12月8日、太平洋戦争が始まる。 ほどなくして菊池さんは、校長からメリーを燃やすよう命じられた。青い目の人形は「敵性人形」と見なされ、各地で処分の対象となっていた。 太平洋戦争のさなかに着任した新米教師と、学校に飾ってあった人形の物語。60年以上経った後に流した涙のわけとは。70歳を超えた教え子たちが語り継いでいます。 もし見つかれば…処分されていたのは 菊池さんは、図書室の人目に… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
近畿の国税滞納残高、2年連続増加 特例猶予後も納税できず
堀之内健史2022年8月5日 16時00分 大阪国税局は5日、2021年度の近畿2府4県の国税の滞納残高を発表した。年度末の滞納残高は1091億円(前年度比10%増)で2年連続増加した。 新型コロナウイルス対応で20年度に納税猶予の特例制度が導入されたが、猶予期限の1年間を過ぎても納税できない個人や法人が多く、21年度中に生じた新たな滞納が前年度比44%増(1112億円)となったことなどが影響した。 国税局による滞納者の財産の差し押さえ件数は、対面調査が進むなどして約6千件。コロナ流行前の年間約1万件には及ばないものの、前年度の2・5倍となった。(堀之内健史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
愛犬を抱えて避難、不安な一夜 戻った自宅には胸の高さまで浸水の跡
東北・北陸地方で3日から続いた記録的な大雨で、5日朝時点で岩手県と山形県で計2人の安否がわからないままとなっている。国土交通省によると、9県の45河川で氾濫(はんらん)を確認した。福井県や滋賀県では5日朝も猛烈な雨が降り、警戒が続いている。 「辺り一面泥だらけ。片付けのため人手が欲しい」 山形県境に接し、3~4日に激しい豪雨に見舞われた新潟県関川村。高田地区に住む会社員須貝和栄さん(62)は5日朝、くたびれた様子でつぶやいた。 3日からの雨で自宅の1階が浸水する被害を受けた。この地区では、住民たちが迅速に避難したが、多くの家で1階部分が泥につかった。 須貝さんが異変に気づいたの… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福井の国道、大雨で大渋滞 ごった返すコンビニ「引き返すかな」
大雨の影響で、福井県内の国道8号は5日朝、越前市と敦賀市間の29・5キロが通行止めになり、各地で大渋滞が発生した。 越前市畑町のコンビニエンスストア駐車場は、足止めされた人たちのトラックや自家用車でごった返した。 敦賀市のトラック運転手、一ノ宮茂樹さん(46)はこの日、午前7時に同市を出発した。隣接する南越前町で10トンの砂利を積み、敦賀市に戻ってセメント会社に運ぶ、普段なら2時間もあれば往復できるルートだったが、「8号線に乗って帰ろうと思ったら、警察に『通行止め』と言われて止められた」。 砂利の運び先には事務所を通… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ポケモンが札幌をジャック リアルとARでモンスターと遭遇
日浦統2022年8月5日 13時00分 世界で10億人以上がダウンロードした人気スマートフォンゲームのイベント「ポケモンGOフェスト2022」が5日、札幌市内で始まった。ウェブサイトで3千円のチケットを購入した参加者は拡張現実(AR)の技術を使い、珍しいポケットモンスターとの遭遇を楽しんだ。 毎夏、国内外各地で開かれるフェストは、コロナ禍ではオンライン開催が主となった。今夏からはリアル開催が本格復活し、札幌市でのイベントはドイツのベルリン、米国のシアトルに次いで3カ所目となる。日本でのリアル開催は3年ぶり。 札幌市は、観光振興に生かそうとイベントを誘致。7日までの期間中、市内にはピカチュウとダンサーによるショーやラッピング路面電車、ポケモンをデザインした装飾などが登場し、フェストを盛り上げる。 ポケモンGOは、2016年に開発されたスマホ向け位置情報ゲーム。現実世界にポケットモンスターが飛び出してくるような感覚が受けて、老若男女がポケモンを探して歩き回る社会現象を生んだ。 ゲームの開発・運営を担うナイアンティックはゲームを観光振興に生かすねらいで、宮城や鳥取などの自治体とイベントの共同開催に取り組んでいる。(日浦統) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
村上春樹ライブラリーで新しい本との出会い 総文参加の生徒
第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)は2日、文芸部門の「文学散歩」があった。全国から集まった約200人の高校生らが、松尾芭蕉や森鷗外ら文豪の記念館やゆかりの土地を、七つのコースに分かれて散策した。 「見せ方がおしゃれ。読んだことのない本がずらり並んでいて圧倒されました」。宮城第一高校2年の小宮瑠華さん(17)は、新宿コースの目的地の一つで、早稲田大学の中に昨秋開館した「村上春樹ライブラリー」に足を踏み入れた感想を口にした。 村上氏の著書の初版本約220冊や、翻訳本など1100冊が収められている。「有名文学館ではなく、多様な文化の発信地にしたい」という村上氏の希望で、多様な作家がつづった音楽、食事など様々なジャンルの本が集められた。 象徴的なのは、地下へ続くト… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原爆で犠牲の兄と向き合った77年 万灯流し支えた海運会社の男性
長崎原爆の日の8月9日夜の慰霊行事「万灯流し」を、裏方として約20年支えた海運会社の男性がいる。原爆で3人の兄を失い、港の復興とともに育った。行事の縮小に直面するなか、犠牲者の記憶をつなぎたいとの思いを強くしている。 数百の灯籠(とうろう)が、水面に光の筋をつくる。かつて川を埋め尽くした犠牲者に祈りを捧げる万灯流しは戦後まもなく、爆心地近くの住人たちの手で始められた。 1995年からは灯籠をいかだに載せ、船で引っ張るようになった。崎永剛さん(79)が会長を務める「崎永海運」の船だ。 崎永さんの実家は、長崎市松山町の爆心のほぼ真下。当時2歳の崎永さんは母と郊外に疎開していたが、3人の兄を失った。 家業を継いでいた28歳の長兄はまるきり行方不明。旧制五高(現熊本大)から帰省していた20歳の次兄は、「恩師にあいさつに行く」と自転車で市内に出かけたっきり戻らなかった。3番目の兄は16歳で、長崎医科大(現長崎大医学部)の付属医学専門部の1年生。同級生と浦上川の支流に逃げ延び、水を求める姿が最後に目撃されていた。 崎永さんに3人の記憶はほとんどない。だが、実家にある勉強机の一番下の引き出しには、兄の遺品が束になって入っていた。 達筆の手紙に、「甲」が並ん… この記事は有料会員記事です。残り735文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
森林浴じゃない、博物館浴って? 「見学すれば癒やされる」検証進む
博物館や美術館を見学した後、「何となく落ち着いた」「力がわいた」などと気分の変化を経験した人も多いはず。その「何となく」を科学的に証明しようという研究が日本で進められている。森林浴なみに「博物館浴」と名付けられた癒やし効果に期待が寄せられている。 博物館の癒やし効果を研究するのは、福岡市にある九州産業大学の緒方泉教授(博物館学)。九州・沖縄の博物館・美術館と協力して、2020年度に博物館浴の実証実験を始めた。国の補助を受け、これまで中高生と大学生、博物館関係者の計約300人が参加した。 6月下旬、福岡県の飯塚市歴史資料館で実験が行われ、大学3年生11人と一緒に記者も参加した。実験は血圧計による生理測定と、筆記による心理測定。見学の前後の変化を比べる。 気分はポジティブ 低血圧も正常値近くに 記者と学生は控室でまず血圧と脈拍を測った。続いて配られた調査票には「集中できない」「気がはりつめる」など35項目の感情の動きを表す言葉が並ぶ。それぞれについて、「少しあった」「かなりあった」など自分の心理状態に近い表現を5択で選んだ。 その後、展示室を1人で自由に10分間見学した。かつて炭鉱で栄えた筑豊のまち。明治・大正時代に石炭を採掘する等身大模型が目をひいた。 控室に戻り、見学前と同じ測… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
川が氾濫、2階で見た教諭「これはもうだめや!」 園児50人と避難
氾濫(はんらん)した梯(かけはし)川のすぐそばにある石川県小松市の認定こども園「中海こども園」では、4日午前11時過ぎから園児や職員らが次々と避難した。登園していた園児約50人と職員約20人が無事だという。 保育教諭の男性(44)によると、大雨・洪水警報のためこの日は20人近くの園児が欠席していたが、約50人は通常通り登園した。園長らがテレビとインターネットで大雨の情報を集める一方、園児らは通常通り先生たちと過ごしていた。 雨脚が強まっていた午前11時ごろ。雷を伴う大粒の雨が「ザー」という音を立てて降り注いでいた。この教諭らが2階のベランダに出ると、梯川の支流の滓上(かすかみ)川の水があふれ、川沿いに広がる田んぼに流れ込んでいた。 「これはもうだめや!」 200メートルほど東、梯川… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「厳しい意見出た」 安倍氏銃撃事件、警察庁が国家公安委に報告
安倍晋三元首相が奈良市で銃撃され殺害された事件で、警察庁は4日に開かれた定例の国家公安委員会に、警護警備の検証作業の状況と、再発防止にむけた見直し案の方向について報告した。二之湯智国家公安委員長がこの日の記者会見で明らかにした。 警察庁は事件4日後の7月12日、検証と見直しのためのチームを設置。チームは警護警備にかかわった奈良県警の警察官らからの聞き取りなどを通じて、事実関係の把握や問題点の整理を進めてきた。 4日の国家公安委について二之湯氏は「長時間にわたり議論が交わされ、大変厳しい意見も出た」と説明。来週はもともと休会のところ、10日に臨時の委員会を開き、引き続き議論するという。二之湯氏は「8月中に一定の結論を得て、警護警備の強化にむけこれからも警察庁を指導していく」と述べた。(編集委員・吉田伸八) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル