東京都心にそびえ立つ六本木ヒルズ。世界的に著名な外資系の金融機関やIT企業が入居する超高層のこのビルの一室で、上司に呼び出された。 「きょう、荷物をまとめて出ていって」 言われるがまま、デスクや資料を片付け始めた。 東大を卒業してから9年間、土日も関係なく働き続けたのに、同僚との別れを惜しむ間もない。 むしろ、「早くして」とせかされた。 最低限の荷物をまとめ、オフィスを後にした。 残りの荷物は郵送で届いた。 井出有希さん(44)にとっ… この記事は有料会員記事です。残り2736文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
太宰治をしのぶ「桜桃忌」 ゆかりの茶屋で「富嶽百景」を朗読、配信
太宰治の短編小説「富嶽百景」を、大学生たちが、舞台となった天下茶屋(山梨県富士河口湖町)で朗読する。「富士には月見草がよく似合う」の一節で知られる名作が生まれた場所で太宰をしのんで収録し、後日、オンラインで配信する。 企画したのは、大正大学(東京都豊島区)教授の外川智恵さん(53)。父親が天下茶屋を営み、茶屋は実家だ。2階にある文学記念室で保管する資料の管理も担当してきた。 外川さんは以前、テレビのアナウンサーやラジオのDJなどをしていたことがある。太宰の作品も朗読し、収録してきた。現在、教壇に立つ大正大学の表現文化学科で、コロナ禍でなかなか活動する機会がなかった教え子たちに太宰の作品を朗読してもらい、より多くの人に太宰のよさを知ってほしいと考えた。 これまでも有志の学生たちが太宰の「走れメロス」などを朗読し収録してきたが、一般に披露するのは初めて。外川さんの夫で、文学座の演出家望月純吉さん(50)も、朗読の指導をしている。 太宰治(1909―1948)は青森県生まれ。「富岳百景」のほか「斜陽」、「人間失格」など自らの苦悩や壮絶な生き様を投影させた作品で知られています。6月19日は「桜桃忌」と呼ばれ、東京・玉川上水で入水した太宰治の遺体が見つかった日で、誕生日でもあります。 学生らが朗読、後日配信へ 太宰は、1938年9月から… この記事は有料会員記事です。残り414文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
相次ぐ給食費の値上げ、仕方ない? 地域で異なる負担、どう考える
食材価格の値上げに伴い、学校給食の値上げの動きが相次いでいます。こうした動きや、公教育における給食の在り方について、学校給食に詳しい跡見学園女子大の鳫(がん)咲子教授(行政学)に話を聞きました。 値上げは仕方ないことなのか ――給食費の値上げが相次いでいます。 世界では給食費が無償の国もありますが、日本では学校給食法で「食材費は保護者負担」とされています。現在の制度では、食材費が値上がりした場合、基本的に、食材費の値上げ分が保護者の負担に跳ね返ります。 一方で、値上げをしなければ、給食の質が落ちてしまう問題が生じます。いずれも、生活が困難な家庭ほど影響を受けます。給食のない夏休みに体重が減る子もいます。子どもの健康の下支えという役割を、給食は担っています。 ――とすると、値上げは仕方ないことなのでしょうか。 問題は、保護者負担を増やす… この記事は有料会員記事です。残り2029文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マグロ、イカ、アジ・・・約20分で9皿、回転ずし店で無銭飲食容疑
2022年6月18日 11時33分 回転すし店で無銭飲食したとして、福岡県警南署は17日、住所不定の自営業の男(58)と、住所不詳のアルバイトの男(49)=すべて自称=を詐欺の疑いで現行犯逮捕し、発表した。2人は互いに「相手におごってもらうつもりだった」と話し、容疑を否認しているという。 署によると、2人は17日午後1時40分ごろから午後2時ごろ、福岡市南区大楠1丁目の回転すし店で、マグロ、あぶりチーズサーモン、生タコ、赤貝、イカ、あぶりエビチーズ、漬けマグロ、アジといったすしなどを9皿(計990円分)を食べた。食べ終えると、会計をするそぶりをしたが、実際にはレジで代金を支払わずに店を出た疑いがある。 この店から署に「5月中旬ごろから、2人組の男に数回、食い逃げされている」と、事前に相談があった。逮捕当日は、署員が店内の防犯カメラの映像を確認に来ていた際に、たまたま2人が来店したという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「科学を元気に」若手研究者ら団体設立 環境改善の声、政治に届ける
社会や行政、政治との対話を通じて日本の科学を「元気に」しようと、若手科学者らがNPOを立ち上げ、都内で18日、総会を開く。日本の科学の目下最大の課題は研究力の回復だ。科学者や科学を支援する様々な人たちの声を集め、研究環境の改善などの政策提言を行っていく。いわゆる「学術会議問題」などで、ぎくしゃくする学術と政治・行政の関係を改善させる思惑もある。 NPOは「日本科学振興協会」(JAAS=小野悠、馬場基彰代表理事)。設立には準備委員会の委員約200人が関わり、賛同する人は約800人に上る。賛同者は大学などの研究者が38%、学生が12%、そのほかは企業や自営業、メディア関係者など多彩だ。委員の半分が30歳代以下と若い。人文科学、理学、工学などの幅広い分野の研究者や企業研究者もおり、現在は会員を広く募集している。 総会では、研究環境の改善のほか、基礎研究を応用に結びつけるイノベーションのあり方などをめぐるパネル討論が行われる予定で、日本学術会議の梶田隆章会長ら科学界の大御所のほか、政界からは自民党の船田元衆院議員らが参加、立憲民主党の泉健太代表もメッセージを寄せる。 京都大で物理学を研究する馬場基彰代表理事によると、設立は4年前、委員の1人が研究現場の実情や問題意識を自民党の「科学技術基本問題小委員会」の関係者にメールしたのがきっかけという。「研究制度の改善のため、もっと多くの声を政治家に届けてほしい」という返信を受け取った。政治の側にも「危機感」を持つ人たちがいることを知り、知人らに声をかけ、賛同する若手科学者が集まった。 協会が活動のお手本とするの… この記事は有料会員記事です。残り806文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
街でヒグマに襲われ140針 44歳、1年前の恐怖体験を語る
人口197万人の北都・札幌市の住宅街にヒグマが迷い込み、住民ら4人を次々に襲った事故から、18日で1年になる。全身に140針縫うなどの大けがを負った男性が、恐怖の体験をつぶさに語った。 「黒っぽいヒグマのような動物がいる」 札幌市東区の住宅街から市民の110番通報があったのは、昨年6月18日午前3時半ごろ。東区は周辺に山林がなく、それまでヒグマの出没は想定されていなかった。だが、情報は正しかった。 北側に広がる石狩地方の山々からやってきたとみられるヒグマは、体長161・2センチ、体重158キロ、満4歳のオス。緑地や水路を伝って出てきた所は、都市だった。 目撃通報は相次ぐ。北海道警… この記事は有料会員記事です。残り1267文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ペンギン園舎のガラス割れる「ハンマーでたたかないと無理な割れ方」
2022年6月18日 8時09分 和歌山城公園動物園のフンボルトペンギン園舎のガラスが16日午後2時ごろに割れたと和歌山市が17日に発表した。ペンギン8羽や来園者にけがはなかった。修理するまで展示を中止する。 和歌山市によると、厚さ8ミリのガラスを2枚重ねあわせていて、表側だけが割れたので水漏れはなかった。ハンマーなどで力いっぱいたたかないと無理な割れ方だという。「ボーン」という音を聞いた近くの飼育員によると、まわりに誰もいなくて石やBB弾なども転がっていなかった。県警が原因を調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「厳禁」の再冷凍ワクチンを2千人超に接種 沖縄・うるまの医療機関
沖縄県うるま市は17日、市内の医療機関で、新型コロナウイルスワクチンを誤った方法で保管し、市民に接種していたと発表した。冷蔵で保存しておくべきところを再冷凍して保管し、2千人以上に延べ4500回以上接種したという。これまでのところ健康被害は確認されていないという。 市によると、市内の医療機関1カ所で昨年4月24日から今年6月2日まで、再冷凍したファイザー社製ワクチンを市民2149人と市外の122人に延べ4500回以上接種していた。厚生労働省の手引で、再冷凍は「厳禁」とされている。 記者会見した中村正人市長は… この記事は有料会員記事です。残り274文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
5歳児餓死事件判決 「伝えたいことがある」裁判長から母親への言葉
有料会員記事 中山直樹、城真弓、鈴木優香 板倉大地2022年6月17日 21時28分 福岡県篠栗町で2020年4月、三男の翔士郎ちゃん(当時5)を餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の碇(いかり)利恵被告(40)の裁判員裁判で、福岡地裁(冨田敦史裁判長)は17日、碇被告に懲役5年(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。 判決で冨田裁判長は「本来頼るべき母親から、十分な保護を与えられなかった被害者のつらく悲しい気持ちは計り知れず、客観面では相当悪質だ」と断じた。 一方で、碇被告が「ママ友」の赤堀恵美子被告(49)=同罪などで起訴=から「生活全般を実質的に支配された被害者としての側面もある」と指摘。支配により碇被告自身の睡眠や食事も不足し、判断能力が低下していたことなどが事件の主な要因だとした。 赤堀被告の指示に従わざるを得ないと判断した心情は「相応に理解できる」としたが、「親族に助けを求めるなど命を助ける行動はできた。その責任を果たさなかったことに一定の非難は免れない」として、実刑が相当だと結論づけた。 判決を読み上げた後、冨田裁判長は碇被告に対して「裁判員と話し合って、伝えたいことがある」と前置きし「碇さんが子どもの母親であることに変わりありません。社会に戻った時、(翔士郎ちゃんのきょうだいである)子どもの成長に寄り添えることを願っています。そしてその日を目標に強く生きてほしいと思います」と説諭した。碇被告は「ありがとうございました」と答えた。 裁判員の思いは 判決後、裁判員6人と補充裁… この記事は有料会員記事です。残り1433文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原発の「安全神話には頼れない」小熊英二さん、判決に見たあいまいさ
原発をめぐる日本社会の動きを追ってきた歴史社会学者の小熊英二・慶応大教授に、判決が問いかけるものを聞いた。 今回の判決で、電力会社の責任が重くなったともいえます。国の監督責任を狭く解釈した判決と考えられますから、電力会社にしてみれば、国に言われなくても災害を予測して安全対策を施す責任は事業者にあると宣告されたようなものです。電力会社が原発を運転するハードルが上がったとも言えるでしょう。 そもそも原発とは、核を扱うものです。過酷事故がおきたら民間企業が負担しきれない可能性がある。そのため米国では事業者の賠償責任額に上限があり、それを超えたら大統領が議会に補償計画を提出することになっています。つまり最後は国が補償する。最終責任は国にあるわけです。 ところが日本では、国の責任が明確でなかった。 最終責任追う制度、反対したのは 1961年制定の原子力損害… この記事は有料会員記事です。残り1127文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル