2022年6月17日 16時30分 北海道・知床半島沖の観光船沈没事故で、国土交通省から事業許可取り消し処分を受けた「知床遊覧船」(北海道斜里町)の桂田精一社長が17日、処分を受け入れる意向を表明した。 桂田社長はこの日、コメントを発表。その中で乗客の家族らに謝罪したうえで、「(処分の)結果を受け入れる所存であり、審査請求や取り消し訴訟の手続きをとる予定はない」とした。同社は処分前に国交省に出した陳述書で「監督官庁である国にも事故の責任がある」と主張していた。 4月23日に起きた沈没事故では、同社が運航する観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の乗客・乗員計26人のうち14人が死亡し、12人が行方不明になっている。国交省は、同社が昨年、複数回の事故を起こした後も違反行為を繰り返し、今後も重大事故を起こす可能性が高いとして、全国の旅客船で初の事業許可取り消し処分を16日に出した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【判決骨子】国が想定外の津波、防波堤でも防げない可能性 原発訴訟
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は17日、国の責任を認めない判決を言い渡した。判決理由の骨子は以下の通り。 公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的等に照らし、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、国家賠償法1条1項の適用上違法となる。そして、国が公務員による規制権限の不行使を理由として国家賠償責任を負うというためには、上記公務員が規制権限を行使していれば被害者が被害を受けることはなかったであろうという関係が認められなければならない。 本件事故以前の我が国における原子炉施設の津波対策は、津波による原子炉施設の敷地の浸水が想定される場合、防潮堤、防波堤等の構造物を設置することにより上記敷地への海水の浸入を防止することを基本とするものであった。したがって、経済産業大臣が、2002年7月に公表された「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(本件長期評価)を前提に、電気事業法(改正前のもの)40条に基づく規制権限を行使して、津波による福島第一原子力発電所(本件発電所)の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを東京電力に義務付けていた場合には、本件長期評価に基づいて想定される最大の津波が到来しても本件発電所の1~4号機の主要建屋の敷地(本件敷地)への海水の浸入を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置が講じられた蓋然(がいぜん)性が高い。 そして、08年に東京電力に報告された本件長期評価に基づく津波の試算は、当時考えられる最悪の事態に対応したものとして、合理性を有する試算であったから、経済産業大臣が上記の規制権限を行使していた場合には、上記の試算された津波(本件試算津波)と同じ規模の津波による本件敷地の浸水を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置が講じられた蓋然性が高いといえる。 ところが、現実に発生した地… この記事は有料会員記事です。残り1342文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ガンダム監督が語るウクライナ侵攻 「正義」への幻滅が生んだ世界観
サブカル界の住人にとっては、生ける伝説とも言える存在だ。 安彦良和(やすひこよしかず)さん。74歳。「虹色のトロツキー」など歴史に材をとった漫画作品の巨匠だが、何より、放映40年が過ぎてなおシリーズが続くアニメ「機動戦士ガンダム」の生みの親のひとりとして知られる。監督を務めたその最新作が今月、公開された。 正邪を離れ、さめた目で戦いを描く独特の作品世界には、東西冷戦下の世界観と、安彦さん自らの半生への内省が色濃くにじむ。かつて社会主義思想に傾倒して学生運動に身を投じ、「正義」に幻滅したという安彦さん。ウクライナ侵攻で多くの人々の命と暮らしが理不尽に踏みにじられているいま、何を思うのか。その戦争観と歴史観を縦横に語ってもらった。 「緩衝国家」という難題を描き続けた ――安彦さんが2018年から連載を続けている「乾と巽―ザバイカル戦記―」は、ロシア革命や日本のシベリア出兵を扱っていますが、かつてのウクライナのような「緩衝国家」が大きなテーマですね。 「ロシア革命後に極東ロシアに生まれたザバイカル共和国は、日本がつくった傀儡(かいらい)国家だとされていますが、実態としては、革命の東進を防ぐための緩衝国家でした。その後、極東共和国にのみ込まれますが、これも、レーニンらのボリシェビキ政権が日本軍との直接対決を回避し欧州対応や国内経営の安定化に集中するために建国させた緩衝国家です。日本がシベリアから完全撤退すると用済みになり、ソ連邦に併呑(へいどん)されますが」 「ウクライナ問題であらためて『緩衝国家』がキーワードになっていますが、きちんと調べてみると、そのあり方は多様ですね。ロシアと1300キロも国境を接するフィンランドはNATO(北大西洋条約機構)に加わってきませんでしたが、EU(欧州連合)加盟国で西側陣営にいて、それでいてロシアとも友好条約を結んでいる。今回のNATO加盟の意思表明はロシアにとって誤算でしょうが、緊張をさらに高めかねない。それほど長い国境線でNATOと接する事態は、旧ソ連の衛星国や中立国を挟んで東西が向き合った冷戦時代にもなかったことですから」 「ガンダム」の生みの親のひとりとして知られる安彦良和さんが監督を務めた最新作「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」が今月、公開されました。かつて学生運動に身を投じた安彦さんの半生を、インタビューで振り返ります。全6回でお届けします。 「大国に翻弄(ほんろう)される危険を常に抱えた緩衝国家の生存には様々な方法があるし、微妙な立ち位置だけに、外交も内政もそれだけデリケートで難しいかじ取りを求められるということです。だから、ウクライナの親ロ派と親欧米派はいずれも失敗したのだと、僕は思っています。そもそも国内には両勢力の根深い対立があったわけですから」 ――ロシアによるウクライナ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
南極観測船や元軍事基地の公園…お台場が切り離せない意外な過去
日中は大型ショッピングモールをそぞろ歩きし、夜はライトアップされたレインボーブリッジをゆったりと眺める……。お台場でそんな休日を過ごしてみたいと、記者(30)はかねて思っていた。広島県出身で、現地を訪れたのは高校の修学旅行の一度きり。今春の異動で初めて住むことになった東京。「ぶらりふらり」を書くことになり、それならとまずは取材で訪ねてみることにした。 ところで、お台場ってそもそもどんなところなんだっけ。地図を見ると、北端に不自然なひし形がある。現地に着くと、「台場公園(第三台場)」と書かれた看板が立っていた。 調べてみるとお台場は、1853年の黒船来航後、当時の徳川幕府が砲台設置のために築造した防衛拠点だったという。地元の品川区立品川歴史館によると、御殿山(同区)や伊豆半島などから土砂や石を運んで一帯を造成。将軍を指す「御」を付けて、「御台場」と呼ばれるようになった。当初は11基の築造計画があったが、財政難で完成したのは後の追加も含め6基まで。その後、海運の障害になるなどの理由で4基が無くなり、現存するのは台場公園として整備された第三台場と、その西側にある第六台場の2基だけだという。「ゆりかもめ」が走り、ホテルや商業施設が立ち並ぶ「お台場」は、戦後の東京港の整備の一環で造成されたもの。当時の「御台場」とは直接関係ないという。 第三台場にはコンクリート製の砲台が二つある。当時、大砲の最大飛距離は約3キロ。黒船の接近を待って撃つ構えだったという。ただ当時のものは木製で、現在あるのは「同じような形で後に作ったもの」と学芸員。木製だった当時から、大砲が実戦に使われたことはないという。 台場には他にも弾薬庫やかま… この記事は有料会員記事です。残り1171文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
検察トップの検事総長に甲斐行夫氏
2022年6月17日 13時49分 政府は17日の閣議で、林真琴・検事総長(64)の辞職を承認し、後任に甲斐行夫・東京高検検事長(62)を充てる人事を決めた。発令日は24日。 林氏は2020年5月、賭けマージャン問題で辞職した黒川弘務氏の後任として東京高検検事長に就任し、同年7月に検事総長に昇格した。検察の信頼回復を担いつつ、吉川貴盛・元農林水産相の鶏卵汚職事件や日大元理事長の脱税事件などを指揮。最高検にはサイバー犯罪に対応する専門部署を新設した。 甲斐氏は法務省刑事局の勤務が長く、東京地検検事正や高松、福岡、東京の3高検の検事長を歴任した。東京高検検事長には落合義和・最高検次長検事が就く。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国の基準を無視、独自の固定資産税ルール 岩手・北上市が30年以上
岩手県北上市が、木造家屋の固定資産税を課税する際、総務省の基準を無視し、独自のルールを適用し続けていた。そのため、補塡(ほてん)金を支払ったり、追徴したりする事態に陥っている。誤りは1991年の市町村合併前から続き、正確な課税額は算出できない。精算には少なくとも2年以上かかり、数千万円の費用が必要だという。ずさんな課税ミスのつけは、市民に回ってくる。(小幡淳一) 16日午前の市議会一般質問で、高橋孝二議員が市の対応や問題点を取り上げ、「おわびは相手に伝わってはじめて成立する。間違いを認め、市民にわかるように説明責任を果たすべきだ」と訴えた。 固定資産税の評価は、総務省が全国一律に設けた基準に従って行われる。家屋調査で資材や設備などを確認し、基準表で定めた四つの区分に分け、経年で補正する仕組みだ。 ところが、北上市は区分を分けず、自動的に特定の区分にして課税額を算出していた。その結果、余計に課税したり、低い税額で市の収入が減ったりした。 市によると、原因は合併前の旧北上市が契約していた当時の電算システムで、区分ごとに入力できる仕様になっていなかった。 誤りに気付くタイミングは過去に何度もあった。 1991年の合併前に行われた協議で、総務省の基準通りにしていた旧和賀町と旧江釣子村と差が生じるとして、新市での運用を検討。しかし、件数で全体の約7割を占める旧北上市の方式に従うことになった。 その後も、担当職員が不自然さに気付いても、問題意識が共有されず、表面化することはなかった。 合併から約20年後。市の電算システムを更新することになり、コンペで契約先を選定する際、参加業者から区分ごとに入力するのが適正な処理だと指摘され、ようやく誤りに気付いたという。 市議会で追及され やっと「改める」 誤りに気付いても、市の対応は後手に回った。 2012年に導入した新シス… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
親父狩りにけんか、その私が厨房立つまで 社会復帰阻む「前科あり」
服役による履歴書の空白に悩み、就職活動に前向きになれない。大阪府警によると、谷本盛雄容疑者(当時61)は事件の約5年前、就労相談に訪れた大阪市此花区役所でそんな姿を見せていた。「(前科が)殺人未遂だと告げると支援者の態度が変わって傷ついた」と話したという。 昨年12月17日午前、大阪市北区の雑居ビル4階のクリニックに男がガソリンをまいて火を付け、患者やスタッフら26人が犠牲となった。大阪府警は3月、通院していた谷本盛雄容疑者(当時61)を殺人や現住建造物等放火などの疑いで書類送検した(容疑者死亡で不起訴)。 九州地方に住む40代の元受刑者の男性は、「私も履歴書に事実を書く勇気がなかった」と話す。詐欺に関わり、約10年前に3年半ほど服役した。 逮捕が知られると、妻子が残る自宅に無言電話がかかってきた。妻は職場で「新聞見たよ。まだいるの」と言われ、退職の求めだと感じた。 男性は出所後も前科を知られるのが怖かった。ハローワークではどの求人も履歴書が必要だ。それが要求されない派遣農作業員として数カ月働いてしのいだ。 かつての職場の社長が「戻ってこい」と声をかけてくれた。前科を知る同僚の視線に耐える自信がなく、いったんは断った。だが、新しい仕事を覚えるのも難しく、最終的に元の職場に戻ったという。 お好み焼き店の厨房に 昨年末に出所した玉田恭兵さん(34)は今、大阪市中央区のお好み焼き店「千房」の厨房(ちゅうぼう)に立つ。 16歳で少年院に入った。成人後も仲間と「おやじ狩り」を繰り返し、25歳から5年間刑務所で過ごした。 出所後、ハローワークに行っても仕事は決まらなかった。酒とたばこにおぼれ、酔ってはけんかした。暴行事件を起こし、昨年初めに再び収監された。 刑務所内で出所後の仕事をあ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「楽団作らないか」突然のLINE 吹奏楽、コロナでは終われない
新型コロナウイルスの影響で思うように活動できないまま卒業していった吹奏楽部員たちが、楽団を結成した。出身校の枠を超えて50人あまりが集まり、今夏に故郷の茨城で演奏会を開く。突き動かしたのは、「このままでは終われない」という思いだった。 2020年3月、圓谷夏音(つむらやなおと)さん(19)=北海道大2年=は、茨城県立水戸第一高校の2年生だった。吹奏楽部ではテューバを担当し、指揮者をしていた。 全国の小中高が一斉休校になり、部活動もできなくなった。毎年3月末の定期演奏会や学校祭は開けず、5月には吹奏楽コンクールの中止が決まった。 3年生になっても、休校で友達とも会えない日々が続いた。自分たちには何ができるのか。将来どんなことができたら、面白いのか。そんなことを一日中考えていた。 当時、個々が自宅などで録画した演奏動画を編集して一つの曲に仕上げるリモート合奏が流行していた。その動画を見ながら「いいな」と思う一方で、別の思いも抱いた。 「本当にめざしたいのはこれじゃない」 コロナの前は、音楽を通じて… この記事は有料会員記事です。残り1340文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
食べログ裁判で違法とされたアルゴリズム運用 欧州では規制、日本は
月間の利用者が8千万人を超える「食べログ」。飲食店に点数をつける「アルゴリズム(計算手順)」の運用について、東京地裁が独占禁止法違反を認定した。アルゴリズムは今や様々な分野で使われ、透明性確保に向けたルールづくりが国内外で進むが、日本はまだ限定的なものにとどまる。 インターネットを使う人にとって、デジタルプラットフォーム(DPF)事業者が独自に定めるアルゴリズムは、日常生活に欠かせないものになっている。 店舗や商品、サービスをランク付けして表示するオンライン仲介サイトは、飲食店だけでなく、宿泊施設、医療施設、映画や不動産など、幅広い分野で利用されている。アルゴリズムが導き出す順位は、事業活動に大きな影響を及ぼすこともある。 今回の判決は、食べログのアルゴリズム運用が、公表した説明から踏み出していた点を問題視した。DPFの多くは不正防止や営業秘密を理由にアルゴリズムの詳細を開示していないが、不公正な運用が現にあることを示した。 国内外でルール作り、でも日本は… アルゴリズムの透明性や運用上の懸念は近年、国内外で高まっている。 公正取引委員会は19年の報… この記事は有料会員記事です。残り672文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学校のお便りはまるで謎解き、埋もれる情報 「昭和で止まってる」
学校から保護者に配られるプリントがあまりに多く、まるで「プリント地獄」のよう――。そんな声を紹介した記事に、多くの反響が寄せられました。 どうやら、問題は「量の多さ」だけではないようです。届いた声からは、ほしい情報がバラバラの紙に書かれており、情報収集だけでも一苦労の実態が見えてきました。 分かりにくさを改善する策はないのか。学校側の実情は。取材しました。 ママ友に問い合わせ、ようやく判明 「あれは、どこに書いてあるの?」 小学3年の長男が横浜市立の小学校に通う女性(47)は、学校からのお便りの分かりにくさに頭を悩ませる。 新学期目前の4月はじめごろ。まず、「いつから登校すればいいのか」でつまずいた。 「結局、始業式って何日なのかな。これって学校便りには書いてなかったよね?」 同じ学校に通う子を持つ「ママ友」4人のグループラインに投稿した。 「クラス便りの裏に書いてあったよ」。数分後にこう返ってきた。 「裏か、見逃してたわ」とつぶやいた。 こうしたグループラインでの情報共有は必須だ。お便りは週に15枚ほど。量も多いが、必要な情報がバラバラの紙に書かれていて一元化されておらず、見つけにくいと感じる。 保護者として特に知りたいのは、持ち物や時間や場所、提出書類の締め切り日などだ。だが、それがどこに書いてあるのか探すのに一苦労だ。 記事の後半では、分かりにくいお便りになる学校側の事情や専門家の改善のためのアイディアを紹介します。 「大量のプリントから答えを… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル