北海道東部の太平洋沿岸で1952(昭和27)年3月4日、津波が襲い、死者28人、行方不明者5人が出た「十勝沖地震」から70年が過ぎた。その後も道内では死者・行方不明者が出る震災が計8回起き、次は千島海溝・日本海溝沿いの巨大地震が懸念されている。札幌管区気象台地震情報官の阿南恒明さん(58)に道内の地震の特徴や、命を守るための注意点を聞いた。 ――52年の十勝沖地震の特徴を教えてください。 午前10時22分に発生したマグニチュード(M)8・2の大地震です。浜中町霧多布(きりたっぷ)地区など太平洋沿岸では、流氷を伴う津波が押し寄せ、家屋が流されるなど被害が出ました。同じような被害は、国内でほかに確認されていません。 北海道で活発な地震活動 十勝沖からロシア・カムチャ… この記事は有料会員記事です。残り1564文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
土で作られた日本最古の塑像、「異例」と呼ばれるその訳とは
当麻寺・弥勒如来坐像 奈良県葛城市の当麻(たいま)寺金堂には、塑像(そぞう)で日本最古とされる「弥勒(みろく)如来坐像(ざぞう)」(国宝)が安置されています。制作年代は白鳳時代の681年ごろです。 粘土などの土で形を作る塑像ですが、表面に布を貼り、上から漆と金箔(きんぱく)が施されています。高さは2・2メートルで、厚みのある体やふっくらと張りのある顔が重厚感を放っています。 弥勒如来は、釈迦の入滅後、56億7千万年後に人間界に現れて人々を救う未来仏のことです。「当時の人々は弥勒さまとともに仏になって、苦しみから解放されることをここで願ったのでしょう」と当麻寺奥院の川中教正副住職(44)は話します。 日本最古の塑像であることと… この記事は有料会員記事です。残り304文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生きづらさも発達障害もありのままに 文章を書くことで広がる世界
私は、発達障害がある長男(22)には好きなことを伸ばして成長してほしいと思ってきた。「書くこと」で何を得られているんだろう。本紙朝刊の「声」の投稿者を訪ねた。 青森県三沢市の米軍基地。「トイレで手を洗い、容器に採取して……」。山根寛子さん(43)は、迷彩服に身を固めた米兵に流暢(りゅうちょう)な英語で話しかけた。基地で違法薬物の検査のための検体採取の仕事をしている。 私は文を書くことが長所です 事務職員 山根寛子(青森県 41) 「絵を描くことは私の長所だ」という中学生の投稿を読んだ。「自信がない私にとって、たった一つの自分の強みだと感じる」とあった。私も同じと気づいた。成人後、発達障害との診断を受けた。自信がなく、取りえもないと思っていた。でもこの方と同じように好きなこと、つまり書くことを続けてきた。少しずつ自信を持てるようになった。(2020年4月24日、「声」欄投稿要旨) つまずきを感じたのは大卒後、就職をしてからだった。得意の英語を生かし、決まった作業は着実にこなす。だが、複数の仕事が重なると混乱した。上司らが「普通はできるでしょ」といらだつたびに「消えたい」と思った。職場を転々とし、スーパー事務員だった2015年、うつ病と診断され休職。その後退職し、16年3月に現在の仕事に就いた。 5年ほど前、知人から「発達… この記事は有料会員記事です。残り793文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日野自動車が緊急会見へ 会長と社長が出席、排ガス不正で説明か
2022年3月4日 12時53分 日野自動車は4日、同日午後4時から都内で緊急記者会見を開くと発表した。下義生会長と小木曽聡社長が出席する。関係者によると、エンジンの排ガスなどの数値に関する不正なデータについて説明するとみられる。データを国に提出して生産に必要な認証を取得したとの疑いがあるという。 日野は排ガス関連のリコール(回収・無償修理)をくり返している。2020年4月には、中型トラックの排ガス防止装置などに不具合があったとして4万351台のリコールを国土交通省に届け出た。21年12月にも、大型トラックの排出ガス発散防止装置に不具合があったとして、4万7291台のリコールを国交省に届け出た。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「瞳の光が変わった」 間宮祥太朗さんが「破戒」で演じた静けさと熱
被差別部落に生まれた青年の葛藤を描いた映画「破戒」(原作・島崎藤村)が7月に全国公開される。 部落差別の根絶をめざし、1922年3月3日に当事者たちが創立した「全国水平社」。100周年を記念して制作された映画で、京都市左京区で3日に開かれた記念集会で先行上映された。 上映に先立ち、主人公の青年・瀬川丑松役を演じた俳優の間宮祥太朗さんと映画監督の前田和男さんが対談し、撮影の舞台裏や映画の見どころを語った。 間宮さん 初めて読んだ原作に「心を込めて演じたい」 間宮 去年8月に京都で撮影をしました。ものすごく暑かったんですけど、撮影は静かに着々と進みました。 前田 去年夏ごろにクランクインして、先ごろ完成したんですけれども、みなさんのおかげでいい映画になったと思います。この映画を見て、部落問題を知っている人も知らない人も、分け隔てなくざっくばらんに語り合うことのできる空気を醸成するきっかけになればと思っております。 司会 主演のオファーが来たときはどんな気持ちでしたか。 間宮 実は「破戒」の原作を読んだことがありませんでした。主演を引き受けさせていただくまでに原作を、その後、台本を読ませていただきました。普遍的な映画になる予感がしたので、心を込めて演じたいなと思いました。 司会 真剣に向き合いたいという思いでしょうか。 間宮 そうですね。自分の体や言葉、感情を通して主人公の丑松とその周りの背景にある物語がストレートに伝わればいいなと思って演じました。 前田 この映画のプロデューサーと30年くらいの付き合いがあって、部落差別の問題であったり人権問題だったりをテーマにドラマなどをつくってきました。ですから「今度、破戒をやりたいんです」と聞いたときは、特に驚きもせず、「ああそうか」という感じでした。われわれが積み上げてきた仕事の延長上に「破戒」があった。(「破戒」は)目標でもあったということです。 司会 役作りについて。 間宮 演じる上で一番意識をしたのは、あくまで丑松の日常、丑松がどう居るかっていうところでした。静けさみたいなものが出せるように意識しました。とにかく静かに、静かに世間と自分を見つめながら、日々を生きている印象。その静けさをすごく意識しました。 司会 監督からは何か指示を? 前田 そうですね。丑松というのは、常に不安、孤独、恐怖、悔しさといった、葛藤と苦悩にまみれたネガティブな感情が渦巻いている。そのなかに志保(役・石井杏奈)に対する恋心だったり、友人の同僚・銀之助への友情だったり、子どもたちに対する親愛の情だったり、正と負の感情がぐるぐるしている。その感情をどう表現していくかっていうのは、映画俳優が映画俳優であるための「命」であると僕は思っています。(木下恵介監督や市川崑監督が作った)過去の「破戒」2作で演じられた丑松とは違う地平に立とうと話した。そういう意味で、間宮祥太朗は違う次元にいってしまった。 前田監督「山の向こうの大きな希望へ」 司会 それほどいい演技でしたか。 前田 ええ。あのね、一つだけ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高校3年生、商業の検定「8冠」を達成 「高校入試よりがんばった」
県立龍野北高校電気情報システム科3年の谷川大明さん(17)が、全国商業高等学校協会主催の検定試験で、2月に商業経済検定1級に合格した。これで9種目あるうち8種目で1級に合格。同協会によると、受験者は商業高校や商業科の生徒が多く、昨年度は合わせて約120万人が受験を申し込んだが、今年度「8冠」を達成したのは107人だという。 子どものころから計算好き 子どものころから計算するこ… この記事は有料会員記事です。残り461文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コーヒー消費、レギュラーがインスタント上回る レトロ喫茶が新鮮?
数字は語る コーヒーがずいぶんと身近なものになっている。国内で1人が1週間に飲む杯数を全日本コーヒー協会が調査したところ、11・53杯(2020年)だった。隔年で調べていて、02年以降の最近10回では最多になった。興味深いのはタイプ別。レギュラーが伸びて4・41杯と、インスタントの4・00杯をわずかながら上回った。 一般的にコーヒー豆を焙煎(ばいせん)して粉にひいたものがレギュラーだ。味わうにはドリップ(抽出)の手間がかかるし、値段も高い。それでも伸びてきた最近の要因にコンビニの功績がある。13年ごろから、いれたてを100円ほどで飲めるようになり、ヒットした。 「もう一つ、新型コロナで在宅時間が増えた影響が若干あるでしょう」と、全日本コーヒー商工組合連合会の萩原孝治郎代表理事会長。「コーヒーをいれる余裕ができて、いろいろな豆を楽しみたい、といった興味を持てるようになった」 喫茶店もレトロ調の「純喫茶… この記事は有料会員記事です。残り530文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
差別され、沈黙させられる理不尽さ 安田菜津紀さんが語る提訴の意義
「ルーツを語るのに勇気のいる社会は、健全ではない」。フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは最近、そのことに改めて気づいたと語ります。きっかけは亡き父、そして講演などで出会う大学生や高校生たちとの対話でした。 1年余り前、亡くなった父のことを記事に書きました。 父は私が中学2年の時に亡くなったのですが、高校2年でパスポート取得のため戸籍を取った時、父親の欄に「韓国籍」という文字を見つけ、すごくびっくりしました。 父は在日コリアン2世で、私が小さい時に日本籍を取るまでは韓国籍だったんです。でも、ルーツを語ることはありませんでした。 「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれる水平社宣言から100年。日本初の人権宣言と言われ、社会のあらゆる人権問題の克服に向けた原点となってきました。誰にも潜みうる差別の心を溶かす「熱」と、すべての人を等しく照らす「光」を手にできるのか。人間の尊厳を重んじる宣言の精神を改めて見つめます。 講演などでそのことに触れる機会が増えるにつれて、大学生や高校生から相談を受けるようになりました。 「自分も親が在日コリアンだということを後になって知った」「でも友だちが何げない会話の中で『韓国が嫌い』と言った時、口をつぐむしかなくなる」というような相談です。 「自分は在日コリアンですが、ネットをのぞくと北朝鮮や韓国に対するたくさんの差別がある。私はこの社会で生きていけないのではないか」と言って、ホロホロ泣いた高校生がいました。 年配の人の中にも「私も在日コリアンなんだけど、あなたみたいに勇気がない。だからその勇気を応援したいの」っておっしゃる人がいた。 想像はしていましたが、改めて気づきました。やはりこの社会の中でルーツを語るのには、まだ勇気がいる。父も隠していたのは、決して珍しいことではないんだと。そして、そんな状況は健全ではないと思いました。 差別は存在しない? 気づいていないだけかも 部落差別の問題でも、出自を… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
住宅4棟が焼け2人死亡、1人意識不明 飛び降りた少年もけが
4日午前7時25分ごろ、東京都品川区大井3丁目の2階建て住宅付近から出火した。東京消防庁と警視庁によると、この住宅の延べ約400平方メートルのうち約300平方メートルが焼け、隣接する3棟にも一部延焼した。 火元とみられる住宅から病院に搬送された70代くらいの男女、80代くらいの女性の計3人が死亡。16歳の少年も2階のベランダから飛び降りてけがをしたという。 4人はこの住宅で暮らしていたとみられる。署などは、4人の身元を確認している。 現場はJR大井町駅の南西約650メートルの住宅街。 「お父さん、お父さん」泣き叫ぶ声 近くに住む自営業の男性(6… この記事は有料会員記事です。残り311文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
LPガス供給先、紹介料は「一戸10万~20万円」 過熱する現場
埼玉県内でLP会社を営む男性(78)には、近くで新しいアパートが建つと、決まって電話がかかってくる。 1月上旬にも、「LPガスの供給先を紹介する。一戸当たり10万~20万円(の紹介料)を払うか、アパートに設置する給湯器などガス設備の料金を負担してほしい」と誘われ、断った。 男性にとって、LPガスの新しい供給先はのどから手が出るほどほしい。しかし給湯器などは本来、建物の所有者が負担して設けるものだ。それをガス会社が負担して設置した場合、その費用はどうやって回収するのか。男性は「採算を考えると、消費者に高いガス料金を払ってもらう必要が出てくる」と打ち明ける。 男性は主に埼玉県や茨城県で… この記事は有料会員記事です。残り810文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル