熊本に赴任した昨春、慈恵病院(熊本市)の取材を始めた。予期せぬ妊娠をめぐる現実の一端が見え始めた昨年12月に西日本の10代女性が匿名のまま赤ちゃんを産むと、病院が独自に導入している内密出産を望み、一人で退院した。病院の会見で断片的に浮かぶ女性の境遇から、私は国内初の事例になるのではないか、と予感した。 蓮田健院長ら病院関係者の言葉には、赤ちゃんの命を守る責任感と緊迫感がにじんだ。原稿を書く私はといえば、「赤ちゃん」という言葉の実感がつかみきれなかった。女性は退院の日、泣きながら赤ちゃんを抱っこしたという。その赤ちゃんを知らずして、命の重みや関係者の思いを伝えてよいのか。「赤ちゃんに会わせてもらえないでしょうか」。取材の際に院長にお願いした。 新生児室の前に案内された。ガラスの向こうで看護師に抱かれた赤ちゃんが、顔をじっと見上げながら小さな手を愛らしく動かしていた。幾度となく記事に「赤ちゃん」と書いた、その子だった。母親の女性が「かわいい」と言い、何度も泣いて、それでも別れた我が子――。 帰り際、院長は「この子には… この記事は有料会員記事です。残り572文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
施設か親元か、児相と家裁で分かれた見解 専門家「記憶にない事件」
神奈川県大和市の自宅で次男(当時7)を窒息死させた容疑で母親が逮捕された事件で、次男の保護をめぐる児童相談所と家庭裁判所の見解が分かれた。施設に入所させようとした児相の申し立てを家裁が却下。親元に帰った次男は命を落とした。専門家は「記憶にない事件」としつつ、判断の難しさを指摘している。 「絶対渡さない」 2017年4月、上田綾乃容疑者(42)は、次男の雄大さんを保護しに来た県の児相職員に激しく抵抗した。自宅アパートの近隣住民が目撃していた。その直前に内縁の夫との間にできた三男が1歳5カ月で死亡していた。2週間後、児相が保育所にいた雄大さんを強制的に保護。電話で伝えると、上田容疑者は「(児相に対し)犯罪をしても構わない」と声を荒らげたという。 三男が亡くなる約15年前には、前夫との間にできた長男が生後5カ月、長女が生後1カ月で死亡。上田容疑者が危害を加えたかどうか分からなかったが、児相は3人の子どもが亡くなった事態を重く見た。雄大さんを一時保護した2カ月後、施設への入所を決めた。 児相「家庭での養育最善ではない」 児相の責任者は「きょうだいが亡くなる原因がはっきりするまでは、家庭での養育は最善ではないと考えていた。子どもの命にかかわる恐れのある親子関係と認識していた」と話す。 一時保護と異なり施設入所措… この記事は有料会員記事です。残り936文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
会社内で集団暴行か 男性死亡、傷害致死容疑で同僚5人逮捕
2022年2月25日 8時56分 岩手県警奥州署は、奥州市胆沢小山の会社員、三田義朗さん(38)の顔を殴るなどして死亡させたとして、会社の同僚の男5人を傷害致死容疑で逮捕し、24日に送検した。いずれも容疑を認めているという。 同署によると、逮捕されたのは一関市滝沢の及川孝将(30)、同市三関の伊藤誠二(48)、同市山目の渡邊翔(31)、奥州市前沢駅東の和田貴晶(23)、同市前沢谷記の佐々木明珠(32)の各容疑者。21日午後6~7時ごろ、奥州市の社内で、5人で三田さんの顔を殴ったり腹を蹴ったりし、死亡させた疑いがある。 22日夜に市内の病院で死亡が確認された。同日に病院から署に通報があり、発覚した。署がトラブルの有無や死因を調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
沖縄から冬季五輪選手を 県内唯一のスケートリンク、夢支え四半世紀
北京冬季五輪で盛り上がりをみせたウィンタースポーツ。北海道や新潟、長野など雪国出身の選手が多いが、南国沖縄でもフィギュアスケートやアイスホッケーの競技者がじわりと増えている。四半世紀前にできた県内唯一のスケートリンクが、子どもたちの夢を支えている。 那覇空港から車で約20分の沖縄県南風原(はえばる)町。小高い丘の斜面にスポーツ娯楽施設「サザンヒル」はある。 沖縄でも吐く息白く 北京大会まっただ中の今月14日、縦約60メートル横約30メートルのリンクでは学生や親子連れ、米軍関係者ら約30人がスケートを楽しんでいた。場内の温度は8度ほど。吐く息は白く、20度近い屋外とは別世界だ。 沖縄唯一のスケートリンクがある「サザンヒル」は、ボウリング場や岩盤浴が併設された県民憩いの場です。羽生結弦選手や紀平梨花選手も滑りに来たことがあります。記事の後半では、そのリンクを舞台にしたカーリング漫画の秘話を紹介します。 オープン当初から支えてきた支配人の儀間真実(ぎままさみ)さん(57)によると、1972年以前の米軍統治時代も本土復帰後も県内にリンクはあった。約1千人がリンクにひしめき合いながら楽しんでいた時期もあったというが、維持費や客足の不安定さから長くは続かなかった。そんな中、県内のスポーツ施設運営会社の社長が97年、「沖縄でアイススケートは無理」と融資を渋る銀行を押し切ってオープンさせたのが、いまのリンクだ。 軌道に乗るまでの道のりは長… この記事は有料会員記事です。残り1315文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
みそ汁「左奥」は関西の文化? 芸能人SNSに指摘のコメントも
関西のご飯はうまい。安い。量も多い。3年前に住み始めて以来いつも満腹、大満足だ。ただ、街の小さな定食屋で食べるとき、気になることがあった。みそ汁の位置が時々、慣れ親しんだ手前右ではなく、左奥にあるのだ。幼い頃、東北の実家で母から「ご飯は左、みそ汁は右!」とたたき込まれたというのに。 あまりマナーに厳しくない家で育ったのかな。ぼんやり失礼なことを考え、置き位置を変えていたが、私の視野が狭いだけだった。情報サイト「Jタウンネット」が2018年1~2月に「しっくりくるみそ汁の位置」について都道府県ごとに尋ねたところ、東日本では「手前右」の人が多数を占めたものの、西日本は「左奥」と答えた人が半数を超える県が多かった。特に大阪、京都、兵庫の関西3府県では7割を超えた。 「左手で持つので……」 大阪のJR天王寺駅そば、阪和商店街にある「信濃」も、すべての定食メニューでみそ汁が左奥にある。 店長の嶋田雅博さん(55)は「実家も周りの店も同じ。左手で持つので左奥が食べやすいと思いますけど……」。店員の大学生、福島佳(けい)さん(20)も「右にあったら、左奥に置き直します」と断言する。 農林水産省が作った和食のガイドブックには、一汁三菜の基本として「手前左にご飯を、手前右には汁」とある。東京農業大学応用生物科学部の前橋健二教授によると、「左が上位、右が下位」という古来の考えから、大切なものとされる米を左に置き始めたと考えられるという。一方、汁ものにはそうした慣習は見当たらず、「鎌倉時代に一汁一菜が定着したときから、見た目のバランスがよい手前右が続いたことで今の配膳につながったのでは」とみる。 ■「大阪商人」の作戦?… この記事は有料会員記事です。残り803文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「一票の格差」訴訟、「違憲状態」 昨年の衆院選で福岡高裁那覇支部
「一票の格差」が最大2・08倍だった昨年10月の衆院選で、弁護士グループが沖縄の四つの小選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決が24日、福岡高裁那覇支部であった。谷口豊裁判長は選挙を「違憲状態」と判断しつつ、選挙無効の請求は棄却した。原告側は上告した。 昨年の衆院選をめぐっては、弁護士グループが14の高裁・支部に計16件の同種訴訟を起こした。今回の福岡高裁那覇支部の判決は全国で15件目。24日時点で、「合憲」は8件、「違憲状態」は7件となった。判決が出そろった後、最高裁が統一判断を示す見通し。 福岡高裁那覇支部は、格差が… この記事は有料会員記事です。残り169文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
校内から入試の解答用紙を持ち出し容疑 佐賀の高校元講師を逮捕
私立佐賀学園高校(佐賀市)の前期入学試験で、受験生36人の採点前の国語の解答用紙が紛失し、県警佐賀北署は24日、同校の元非常勤講師浜口達容疑者(29)=佐賀県小城市牛津町乙柳=を偽計業務妨害の疑いで逮捕し、発表した。「間違いありません」と容疑を認めているという。署は動機を捜査中としている。 発表によれば、浜口容疑者は在職中の1月20~21日、校内に保管されていた解答用紙を自宅に持ち出し、同校の業務を妨害した疑いがある。同校は1月20日、前期入試を県内6会場で実施。このうち93人の受験志願者がいた同県唐津市内の会場で試験後に回収した、国語の解答用紙36人分が紛失していることに翌日気づいたという。 署は2月2日、浜口容疑者を… この記事は有料会員記事です。残り208文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
今年の桜の開花、平年並みか 都心は来月22日、「休眠打破」順調
吉沢英将2022年2月24日 18時59分 日本気象協会は24日、各地の桜の開花予想日を発表した。平年並みのところが多く、最も早いのが熊本市で3月21日。東京都心では22日としており、予想通りなら史上最速の開花となった昨年より8日遅くなるという。 主な地点での開花予想日は、福岡市3月22日▽名古屋市23日▽大阪市26日▽広島市27日▽仙台市4月6日▽札幌市25日――など。前年夏にできた花芽が一度休眠し、冬の寒さで目覚める「休眠打破」が、この冬にたびたび流れ込んだ寒気の影響で順調に進んだとみられるという。 協会では、全国49地点の開花予想日をホームページ(https://tenki.jp/sakura/expectation/)で公開している。(吉沢英将) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
泣き寝入りしないで! 連合が4月にフリーランス向け電話相談会
フリーランスで働く人たちが直面する報酬支払いの遅れや一方的な契約変更などの問題について、労働組合の中央組織・連合は取り組みを強化する。 3月2日夜にはアニメ業界をテーマに、28日夜には心身の悩みに焦点をあてたイベントを催す。 4月を「みんなでつながる! フリーランス月間」(https://jtuc-network-support.com/minfree/)と位置づけ、契約課題をテーマにした「アイデアソン」を4週にわたって開催。当事者と有識者らが課題解決に向けたアイデアを競う。3~4日には、契約や仕事で抱えたトラブルについて労働問題に詳しい弁護士が無料で電話相談に応じる「泣き寝入り禁止110番」を開く。 コロナ下で、飲食宅配代行サ… この記事は有料会員記事です。残り202文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「低栄養認識しながら放置」4歳女児死亡、両親に懲役7年
埼玉県伊奈町の自宅で2017年12月、当時4歳の長女を虐待して死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われた父親の岩井悠樹被告(32)と母親の真純被告(30)の裁判員裁判の判決が24日、さいたま地裁(北村和裁判長)であった。北村裁判長は両被告に懲役7年(求刑・懲役8年)を言い渡した。 判決によると、2人はトイレがうまくできない長女の心ちゃんにたたくなどの暴行を加えていた。17年12月上旬からは心ちゃんが低栄養状態にあると認識していながら、下着をはかせずに自宅の廊下に放置し、同月21日に低体温症で死亡させた。 2人は心ちゃんの股間を拭く… この記事は有料会員記事です。残り178文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル