1月1日夕に起きた能登半島地震。深刻な被害の状況が少しずつ明らかになるとともに、多くの人が避難生活を続けています。タイムライン形式でお伝えします。 ■■■1月27日■■■ 11:20 能登空港、羽田便が再開 家族との再会に「安心した」 滑走路などに被害が出た能登空港(石川県輪島市)で、全日本空輸(ANA)の羽田―能登便の運航が再開された。 午前11時20分ごろ、羽田から62人が乗るボーイング機が到着。ゲートから出てきた千葉市の香林(こうりん)相子さん(49)は、石川県能登町の実家に住む両親と久々に再会し、「顔を見て安心した」と話した。 定期便は羽田―能登の1日2往復だったが、2月29日までは火木土の週3回、1日1往復の臨時便が運航される。 10:30 能登8市町の4.4万戸で断水続く 奥能登は下水被害甚大 石川県の馳浩知事が記者会見で、8市町の約4万4100戸で断水が続いていると説明した。下水道は、被害が甚大な奥能登の2市2町の管路320キロで点検を終え、そのうち71%が被災したという。 発災当初は16市町の最大11万戸で断水した。大規模な断水の原因の一つとして、馳知事は「県の防災計画の地震の被害想定が26年間、見直されていなかった」と述べ、「一昨年の知事就任後、見直しの指示をしていたが、国でやっている調査研究を待っていたところだった」とした。 7:00 能登の七尾、穴水、志賀へ一般ボランティア第1陣出発 被害が甚大な能登半島の1市2町へ、全国から募集した一般ボランティアの派遣が始まった。 石川県が用意した4台のバスで、75人が金沢市の県庁を出発。七尾市へ17人、穴水町へ15人、志賀町へ43人が向かった。被害を受けた住宅の中から壊れた家具などを運び出したり、災害ごみの置き場に持って行ったりする。 夕方には金沢へ戻る予定。被災地はまだ道路事情が悪く、宿泊場所の確保も難しいため、一般ボランティアは県が窓口となって受け付けている。 ■■■1月26日■■■ 17:00 富山県の避難者がゼロに 一時は4千人以上が避難 富山県は26日、能登半島地震による県内の避難者がゼロになったと発表した。一時は4千人以上が避難していた。 県は応急対応が終わったとして、同日17時に「県災害対策本部」を「能登半島地震県復旧・復興本部」に切り替えた。 ■■■1月25日■■■ 18:00 輪島中学校の集団避難施設に県外の教員を派遣 文科相 盛山正仁・文部科学相が、能登半島地震で石川県輪島市の中学生が集団避難している同県白山市の施設を視察。輪島市の教員の負担を減らすため、他県の教職員を送ることを明らかにした。 26日から、愛知(名古屋市)、福井、広島の3チームの計9人が白山市の施設で活動する見通し。盛山氏は「学校や地域が具体的に何をどうしてほしいのかが大事」としつつ、「(輪島の教員は)24時間休まる暇もありませんから、まずは手伝ってほしい」と説明した。 馳浩知事や被災市町の教育長から、学校施設の復旧、児童生徒の居住場所や学用品の確保への支援などを求められたとし、「お子さんが元気に走り回る、笑い声が聞こえる、そういうような教育現場を戻さないといけない」とも語った。 16:00 のと鉄道、29日から代行バス運行へ 通学時間帯中心に 石川県穴水町の吉村光輝町長は、県災害対策本部員会議で、能登半島地震で甚大な被害を受けて運休中の第三セクター「のと鉄道」(同町)が、29日から代行バスを運行すると明らかにした。 県企画振興部によると、運休中の七尾―穴水間(33・1キロ)に代わり、朝夕の通学時間帯を中心に運行するという。鉄道は、七尾―能登中島間(16・3キロ)の再開を2月中旬に予定するが、それより先の穴水までの区間(16・8キロ)の再開は未定だ。 10:55 被災地で空き巣など32件の犯罪を確認 国家公安委員長 松村祥史国家公安委員長は25日の定例会見で、能登半島地震の被災地でこれまでに空き巣など32件の犯罪を確認したと明らかにした。石川県などは被災者のホテルなどへの二次避難を進めており、松村氏は「捜査を徹底することはもとより、被災地の防犯対策を強化することが極めて重要だ」と述べた。 警察庁によると、石川県内で24日17時時点で32件の犯罪を確認した。避難後の住宅への空き巣といった窃盗事件が28件、不同意わいせつ事件や器物損壊事件が計4件あったという。 警察は石川県の3市4町にある60カ所の避難所や街頭に、計60台の防犯カメラを設置。警察官約260人によるパトロールも行っているという。 10:30 石川県管理の道路、最大時2割弱が通行止め 奥能登に集中 石川県の馳浩知事は、能登半島地震の影響で、県が管理する道路225路線のうち最大42路線87カ所が通行止めになったことを明らかにした。全体の2割弱にあたる。県によると、このうち20路線54カ所が奥能登2市2町に集中したという。 通行止めが最も多くなったのは、4日午前8時時点だった。その後、道路上のがれきを処理して緊急車両の通行を確保する「道路啓開」が進んだが、「県道輪島浦上線」(輪島市)の一部は、少なくとも数カ月を要するという。馳知事は「早期復旧に全力で取り組む。こういう状況なので、不要不急の一般車両の被災地方面への出控えをお願いしたい」と語った。 ■■■1月24日■■■ 11:00 支援金増額は「公平の確保が課題」 林官房長官が慎重姿勢 林芳正官房長官は午前の記者会見で、自然災害による被災世帯への支援金の上限引き上げについて、「過去の震災や、現在も支給が継続している災害における被災者との公平の確保という課題もある」と述べた。立憲民主、日本維新の会、国民民主の野党3党は能登半島地震を受け、上限を300万円から600万円に引き上げるよう求めているが、慎重な姿勢を示した。 林氏は支援金について、「財産の損失を補塡(ほてん)するものではなく、見舞金的な性格として、被災者を側面的に支援するものと位置づけられている」と説明。他の災害との公平性の確保について触れたうえで、「災害復興住宅融資や税制上の対応など、他の支援策との組み合わせも含め、被災者の生活再建のために被災地の実情を踏まえた総合的かつきめ細かな対応を検討していく」と述べた。 08:30 輪島の小学校で児童・生徒の受け入れ始まる 能登半島地震で被災した石川県輪島市の西部に位置する市立門前東小学校で24日、児童・生徒の受け入れが始まった。安全が確認された校内の空きスペースを活用し、子どもたちが集える場を提供。市教育委員会の担当者は「子ども同士で顔を合わせて少しでも安心してもらいたい」と話す。 午前8時半ごろ、徒歩や保護者の送迎で子どもたちが同小に集まってきた。「おはよう」「久しぶり」などと声を掛け合っていた。 先生に抱きついて再会を喜ぶ姿も。娘を車で送迎した40代の母親は「娘は抱き合って喜んでいた。気分転換にもなる」と話した。 […]
「日比谷野音」の休止、1年先延ばし 建て替え事業者の応募ゼロ
土舘聡一2024年1月27日 17時00分 民間事業者による建て替えが計画されていた東京都立日比谷公園大音楽堂(通称・日比谷野音、千代田区)を、都が整備することになった。建設資材が高騰し、都の募集に応じる事業者がいなかった。想定より準備期間が必要になり、今年10月とされていた今の野音の使用休止時期は来年9月末まで延ばされた。 都が25日に発表した。野音の建て替えは、整備と運営を担う民間事業者を公募する「パークPFI」方式で予定していた。しかし、昨年11月までの募集に応じる事業者がなかった。説明会の出席事業者に事情を聴くと、資材高騰を理由にあげる声が多かったという。 都の担当者は「再公募も検討したが、手が挙がる見通しもない。早く新しい施設を提供するための判断」と話す。ただ、新施設は28年4月ごろの利用開始予定だったが、遅れる可能性があるという。 野音は1923年に日本最初の大規模野外音楽堂として整備され、改修を経て現在は「3代目」。矢沢永吉さんや尾崎豊さんら多くのアーティストがライブをした。セットが炎上したキャロルの解散コンサートや、キャンディーズの解散宣言など「伝説のステージ」の舞台にもなった。 前回の改築から約40年が経ち、老朽化が進んでいる。再整備計画によると、雨天も対応できるようステージ上や観客席の前方に屋根が設置される。(土舘聡一) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
幼い男の子に向いた性的関心 逮捕後に指摘された「小児性愛」
「犯罪だとわかっていたが、はっきり拒否されていないと感じ、回数を重ねてもばれなかったので罪の意識が薄れていった」 強制性交等罪などで起訴された30代の男性は、数年にわたって10人以上の男の子にわいせつな行為を続けた理由を記者にこう説明した。 10代後半にネット上で「ショタコン」という言葉を見て、自分のことだと思った。幼い男の子に対して性的関心を抱くことを意味する言葉。《何で自分はこうなんだろう》。戸惑い、心に秘めた。 18歳のときに初めて彼女ができた。性的な対象は男の子だったが、恋愛対象は女性だった。交際相手の女性と性行為をするとき、頭の中で相手を男の子に変換したこともあった。 【連載】子どもへの性暴力 「子どもへの性暴力」企画の第9部では、加害について考えます。記者は男性と拘置所で30回ほど面会し、男の子にわいせつな行為をするようになった経緯ややめられなかった理由について話を聞きました。加害や被害について詳細に書いている部分もあるため、性的な描写で気分が悪くなった方は無理に読み進めないでください。 男の子への性的関心が実際の… この記事は有料記事です。残り2585文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
路上の変圧器にデジタルサイネージ 放置自転車防止で社会実験 大阪
原田達矢2024年1月27日 13時15分 大阪市北区役所と関西電力送配電は25日から、路上にある変圧器に放置自転車を防止するための広告を出すなどの社会実験を始めた。駐輪場の情報が分かるようにするほか、一部の変圧器の上には、AIカメラがついたデジタルサイネージ(電子看板)を設置する。 路上変圧器とは、無電柱化に伴い、変圧器などの機器類を納めた路上のボックスのこと。実験では、国道2号と四つ橋筋沿いにある13カ所の変圧器に、放置自転車防止に関する情報も含めラッピング広告をする。また、うち3カ所にデジタルサイネージを置く。 こうした変圧器では、「このエリアは放置自転車禁止地区です」といった文言や、シェアサイクルの利用料金、駐輪場の位置や空き情報がわかるサイト「北区駐輪場マップ」のQRコードなどが示される。 区はこうした事業の費用を、広告収入で賄うことを目指している。今回の実験は3月末まで。実験は来年度、他の地域にも広げる方針で、区内全域で導入できるかどうか検証する。 実験に参画する「北新地みらい会議」の田頭泰会長は「放置自転車で救急車が通れない道もある。この機会に駐輪場の利用者が増え、放置自転車が少しでも減ってほしい」と話した。(原田達矢) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
キャンパスで練習、学生が「先生役」…部活地域移行の助っ人は大学
有料記事 西岡矩毅 福井万穂2024年1月27日 13時30分 昨年11月末、土曜日の午後。福岡大(福岡市城南区)のキャンパス内にある陸上競技場に、近くの中学校3校の陸上部員約50人が集まり、走り込みなどの練習をしていた。先生役は、福岡大陸上部の学生たちだ。 「砲丸投げやったことある?」 学生の問いかけに、中学1年生の松浦礼奈さんは「やったことないです。やってみたかった」と、はにかみながら笑顔で答え、練習が始まった。 学生が砲丸の投げ方の手本を… この記事は有料記事です。残り1494文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同性愛はあかんこと? あの授業に導かれて 「私すごく今幸せです」
大学受験に向け血眼な子、冬休みが楽しみな子……。1997年11月末、同志社高校(京都市)3年A組の教室は、いつも通りざわざわしていた。 キリスト教学を担当する原田博行先生が、普段と変わらぬ調子で切り出した。 「今日は同性愛についての授業をします」 同性愛を公表している歌手の笹野みちるさんのことを話し始めた。大学生の頃からの親友だという。 授業を聞いていた井上ひとみさんは、同じクラスに好きな女の子がいた。 幼い頃から、母に連れられて教会に通った。同志社中に入学すると、朝の礼拝で聖書の一節を読む。「同性愛はあかんことなんや」。そう思わされるような話ばかりだった。 でも、先生は言った。 「僕はクリスチャンとして、同性愛を否定しない。その人がその人らしく生きることを応援するのがキリスト教やと思う」 先生になら話してもいいかな。心が揺れ始めた。 誰にも言わないまま、迎えた卒業 授業の終盤、先生が問いかけ… この記事は有料記事です。残り1453文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Think Gender 男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「冬の使者」ナベヅル、今年まだ見られず 見学者落胆、原因は不明
本州唯一のナベヅルの越冬地、山口県周南市の八代盆地で新たなツルの飛来が丸2カ月も途絶えている。今季越冬しているのは昨年11月にやってきた4羽だけ。数が少ないうえ、観察スポットとして一般開放されている餌場に近づこうとせず、見学者らを落胆させている。 県内を強い寒波が襲った24日午後、光市の写真愛好家、田村光政さん(84)は野鶴(やかく)監視所でカメラを構えた。雪化粧した八代で餌をついばむ姿はぜひとも撮りたい構図。だが、目の前に広がる餌場の水田にツルはまったく現れなかった。 銀世界にうごめく3羽をとらえたのは監視所から南西に400メートルほど離れた竹やぶのそば。1000ミリの望遠レンズで引きつけて撮影したが、納得のいく1枚はものにできなかった。「ちょっと遠すぎますね。トリミングして画像を引き伸ばすとぼやけてしまう。もっと近くに来てほしいのですが」と苦笑した。 メッセージノートには「見えない 見えない 見えない」 市鶴いこいの里交流センター… この記事は有料記事です。残り1011文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
スペースワン、3月にロケット打ち上げへ 4度延期、初の快挙なるか
和歌山県串本町にある民間小型ロケット発射場を運営するスペースワン(本社・東京)は26日、初めてのロケット打ち上げを3月9日午前11時から正午の間に実施する計画を発表した。今後、内閣府への申請を経て正式に決定する。成功すれば、民間が運営する発射場としては国内初となる。 同社の幹部が、串本町で開かれた地元自治体など関係機関の会合で「準備が進展し、見通しが立った。3月9日に打ち上げることをめざす」と説明した。ロケットには政府の小型衛星を搭載する。 1号機の打ち上げは当初、2022年3月末をめざしていた。だが、新型コロナウイルスや国際情勢が影響して部品調達が遅れるなどしてこれまでに計4回、延期された。 同社によると、必要な部品が… この記事は有料記事です。残り411文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国交省、ダイハツの商用トラック3車種の「型式指定」取り消し
中村英一郎2024年1月27日 10時30分 ダイハツ工業の車両認証試験を巡る不正で、国土交通省は26日、同社のトラックタイプの商用車3車種について、大量生産に必要な「型式指定」を取り消した。一連の不正問題で、国の処分が確定したのは初めて。 指定取り消しとなるのは、ダイハツ・グランマックスとOEM(相手先ブランドによる生産)供給しているトヨタ・タウンエースとマツダ・ボンゴ。エアバッグの衝突試験で、衝突検知時にエアバッグを自動で作動させる必要があるにもかかわらず、タイマーを仕込んで作動する不正な加工を施していた。 ダイハツは「トヨタの全面的な支援を受けながら再生に取り組んでまいります」、親会社のトヨタ自動車は「皆様のご不安に、ダイハツとともに誠心誠意対応してまいります」などとするコメントを発表した。 国交省が「型式指定」を取り消したのは、日野自動車と豊田自動織機に続き、3例目。取り消し日までに生産された車両には効力は及ばないという。 国交省によると、取り消し処分を受けた企業は、新車種などを開発した際、審査がより厳格になり、期間も長くなるという。(中村英一郎) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ICU高校② 禁止事項は三つだけ 「小金井の森」で得た仲間と刺激
後藤夕さん(3年) 小3から中1の途中まで、父の仕事でフランスに住んでいました。フランスでは、現地校やインターナショナルスクールに通い、日本に帰国後は都内の公立中に通っていました。日本はすごく好きなんですけど、日本の中学校は体育で「前へならえ」をやるなど、ちょっと軍隊みたいで……。フランスと違う点が多くて、窮屈に感じるところがありました。 そんなときに、ICU高校を知りました。自分のような帰国生が多く通っていることに加え、学校説明会で感じた自由な校風にひかれました。 この学校、主な禁止事項は「… この記事は有料記事です。残り1255文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル