能登半島地震発生から2週間が経つが、石川県輪島市の鵠巣(こうのす)地区では、いまでも一部で孤立状態が続いている。 近隣の小学校に孫らと避難している水口美子(よしこ)さん(76)は、用水路の水を使って洗濯をしていた。「避難所は周りにも気を使うし、清潔にしないと」。 自宅は地震で電気と水道が断たれているため、16日には金沢市へ避難する。「川の水で洗濯なんて初めて。水は冷たいけど、避難所にいるよりも気が晴れる。落ち込んでいても仕方ないし、生きていればなんとかなる」と話した。(西岡臣) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
避難所視察の首相、直談判に虚を突かれる場面も 問われるこれから
能登半島地震の発生から2週間を前に、岸田文雄首相が初めて被災地を視察した。インフラの復旧などが一定程度進み、被災者の声を直接聴く状況になったと判断した。首相官邸は今回の視察で何を意識し、これから何が問われるのか。 13日後の視察、こだわったタイミング 首相は14日午前から、深刻な被害を受けた石川県輪島市や珠洲市の避難所などを訪れた。避難している高齢者に「皆さんの思いをしっかり受け止め、全力で頑張りますので、どうか心を強く持ってください。しっかり希望を持てるように努力します」と声をかけた。 大規模な災害が起きると、行政トップの首相は発生からそう遠くない時期に被災地に入るのが常だ。自ら被害の状況を確認し、被災者の支援や復旧・復興に向けた判断に役立てる意義があるとされる。一方で、警察による警備など負担も伴うため、発災直後の視察は難しい面もある。 首相は今月4日に「できるだけ早く被災地に足を運びたい」と語っていたが、実現は発生から13日後になった。官邸内では「人命救助が続いている中で、受け入れ態勢が整わない」(首相周辺)「現地が迷惑する」(幹部)などと、早期視察に慎重な声があった。 2016年の熊本地震では、当時の安倍晋三首相が熊本県の被災地を訪れたのは発災から9日後だった。11年の東日本大震災では、翌朝に菅直人首相(当時)が被災地の宮城、福島両県などをヘリコプターで上空から視察。「津波の被害が大きいと実感した」などと話した。地上からの視察は状況が整わず、初めて被災地の岩手県陸前高田市に入ったのは22日後となった。その後、菅氏は被災地に何度も入ったが、福島県の避難所で被災者から「もう帰るんですか」と抗議を受けたこともあった。 「リスク覚悟の判断、できていない」自民内から漏れる批判 今回の岸田首相の視察では… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
灯籠倒れ、壁は亀裂「当面休館」も 世界遺産や国宝など文化財に爪痕
能登半島地震は、数多くの文化財にも爪痕を残している。世界遺産に登録されている富山県南砺市の相倉(あいのくら)集落では、合掌造りの屋根が損傷し、民俗館が休館に。国宝の寺なども被害に遭った。県内では修復できないほどの報告はないが、国宝や国の重要文化財は文化庁と協議しながらの対応になる。 県教育委員会が集計した文化財の被害は43件(国指定16▽国登録11▽国選定3▽県指定13)。重文の被害16件には国宝の瑞龍寺、勝興寺(高岡市)も含む。 国宝の瑞龍寺、勝興寺も被害 江戸時代を代表する仏教建築として山門、仏殿、法堂(はっとう)が国宝の瑞龍寺。禅堂などの壁が傷ついたり、はがれたりした。山門と仏殿の間にある灯籠(とうろう)が倒れたが、元に戻された。寺の関係者は「2日から通常のお参りをしている」と話し、参拝には影響ないという。 国宝2棟、重要文化財10棟… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】首相、珠洲市の避難所に 馳知事「早く現金支援を」
1月1日夕に起きた能登半島地震。深刻な被害の状況が少しずつ明らかになるとともに、多くの人が避難生活を続けています。タイムライン形式でお伝えします。 ■■■1月14日■■■ 12:01 首相、珠洲市の避難所に 馳知事「出来るだけ早く現金支援を」 被災地を視察中の岸田文雄首相は、馳浩・石川県知事や泉谷満寿裕・珠洲市長らとともに、避難所となっている同市内の緑丘中学校を訪問した。 入浴施設の受付をしている生徒が「(避難者の)皆さんの幸せだなっていう顔が見られて、とてもうれしいです」と語ると、首相は「やっぱりこういうときだから、シャワーは本当にありがたいと思う。引き続き、よろしくお願いします」などと語った。 馳知事は避難している人たちについて「着の身着のままこうやって来ました。当座のお金がない。だからお金を使いたくても、欲しい物があっても買えない」と説明。「できるだけ早く現金を皆さん方に支援できるようにお願いします」と要望した。首相は「出来るだけ早く用意するようにします」と約束した。滞在時間は25分間だった。 10:46 岸田首相「希望持てるように努力」 輪島中を訪問 被災地に視察に入った岸田文雄首相は、坂口茂・輪島市長や馳浩・石川県知事らとともに、避難所となっている輪島中学校に到着し、30分ほど滞在した。 避難所のボランティアが「ここは最初は900人いたけど、いまは500人前後で落ち着いています。今後どうなるのか。自宅がもうこれ以上、耐えられないという方がまた入ってくるということもありますし、流動的です」などと状況を説明。首相は「物資は、やっぱりここに取りに来ないと。避難所ごとですよね。地域に直接はないんですね」などと質問していた。 首相は学校内の廊下で、避難している高齢者に「皆さんの思い、しっかり受け止めて、全力で引き続き頑張ります。しっかり希望を持てるように努力します」などと声をかけた。 10:35 岸田首相、輪島分屯基地で自衛官らを激励 震災後、初めての被災地視察に向かった岸田文雄首相は、石川県輪島市の航空自衛隊輪島分屯基地に到着した。首相は自衛隊、警察、消防の隊員らを前に、これまでの活動に謝意を示し、「ご自身が被災されている方々も大勢いると思う。引き続き多くの被災された皆さんに寄り添って頂き、心を通わせて頂き、不安に、そして将来に対する希望にしっかりと応えて頂きますよう、心からお願いを申し上げる」と激励した。あいさつが終わると、一人ひとりと握手を交わした。 09:00 2次避難の相談コールセンター 石川県が開設 地震の被害が大きい輪島、珠洲、七尾、穴水、能登、志賀の6市町の被災者が、金沢市以南や県外のホテルや旅館(宿泊料は無料で、罹災(りさい)証明は不要)に一時的に身を寄せる2次避難について、石川県は14日、相談を受け付けるコールセンター(0120・266・755)を開設した。土日祝日を含む午前9時~午後6時に受け付ける。 午前9時から電話がひっきりなしにかかり、約20人のオペレーターが、人数や車の有無、希望などを聞き取って相談に乗っていた。情報は市町と共有し、移動手段と宿泊先を手配するという。2次避難の前段階で、現在の避難先より環境の良い避難所に移る1・5次避難の相談にも応じる。 ■■■1月13日■■■ 17:00 ボランティア登録は約8200人 受け入れ開始は「まだ」 石川県は、県ホームページで6日から事前登録を受け付けている災害ボランティアの登録数が、12日時点で約8200人に達したと発表した。県外からが約5900人、県内からが約2300人。 県は個別の民間ボランティアについて、緊急車両の優先などを理由に自粛を求めている。 ただ、馳浩知事は12日の災害対策本部員会議で、「ボランティアをいつ来ていただけるようにするか、考える段階に入った。高齢化率が50%近い被災地域で、後片付け、ごみの搬送などで人手をそろそろお願いせざるを得なくなってきた」と発言していた。 知事は13日、記者団に「私自身も含め、発災当日から入りたい気持ちだが、道路がなかなかつながっていない。水道も停電もある。食料も自立できていない。そういったことを考えると、まだ号令をかけるタイミングではない」と述べ、早期のボランティア受け入れには慎重な姿勢を見せた。 18:00 子どもの心のケア、石川県が電話相談窓口 石川県は13日、能登半島地震で精神的なショックを受けたり、困難な生活を余儀なくされたりした子どもの心のケアや進路、学習の相談に乗る電話相談窓口を15日から3月末まで設けると発表した。 被災した小学生から高校生までの児童生徒と保護者が対象。安心感の回復のため臨床心理士が相談を受ける「能登半島地震・子供のこころ相談テレホン」(0120・48・0874)は平日午後1時~同6時半。進路や学習に関する相談は「能登半島地震・進路・学習相談テレホン」(0120・873・783)は平日午前9時~午後5時45分。 16:00 厚生労働省は13日、能登半島地震で被災した高齢者施設などに15日から介護職員らを応援派遣する予定だと明らかにした。被災地で不足する介護の担い手について、全国の都道府県を通じて応援を依頼したところ、約30人が15日から現地入りできると回答があった。 派遣先は高齢者施設のほか、旅館やホテルを「2次避難所」として活用するまでの「1・5次避難所」。今後、さらに応援派遣を増やしていく考えだ。 15:00 中学生の集団避難、250人が同意 最大震度7を観測した能登半島地震で、石川県輪島市は13日、集団避難を検討していた中学生の生徒401人のうち、250人の保護者が避難に同意していると明らかにした。準備が整い次第、約100キロ離れた同県白山市の体験学習施設に避難する。 市は管内の3中学がすべて避難所となり、校舎や運動場、通学路の損傷が激しいことから「子どもの学ぶ機会を確保する」と集団避難を検討。13日までに通信アプリで保護者の意向を確認した。避難を希望しなかった151人についても「公平に学びの機会を提供する」とし、意向の変更にも柔軟に対応するという。 11:00 死者の氏名公表、馳知事「公益性あるが遺族に配慮必要」 石川県の馳浩知事は記者会見で、能登半島地震での死者の氏名を公表するかどうかについて問われ、「その人が生きていた証し、なぜ人生の最後を迎えなければならなかったのかは、やはり公益性がある。しかし、それを望まない遺族もいるとすれば、そこには配慮が必要」と述べ、市町の首長とともに慎重に判断する考えを示した。 県によると、県職員や市町職員が避難者の1・5次避難や2次避難などにあたっており、事務的な準備は進めているものの、公表するまでには至っていない状況だという。 09:30 大学入学共通テストが13日、全国で一斉に始まった。1日目は、地理歴史・公民、国語、外国語がある。2日目の14日は理科と数学が行われる。 金沢市の星稜高校3年山倉花菜さん(18)は、バスで参考書を読みながら受験会場の金沢大学にやって来た。「塾で勉強中に揺れて不安で数日は勉強に集中できなかった。力を発揮して頑張りたい」 ■■■1月12日■■■ 16:00 輪島市と珠洲市で応急仮設住宅を着工 石川県の馳浩知事は災害対策本部員会議で、「避難者の応急的な住まいを確保するため、本日、輪島市、珠洲市で応急仮設住宅を着工した」と説明。「(住宅を増やし)必ずみなさんをふるさとに戻します。ですから、今は命を守るためにも、一度、2次避難所に移ってもらえませんか。お願いします。数カ月かかるかもしれませんが、必ずみなさんを戻しますから。氷点下のところにいるのは勘弁してください」などと述べ、被災地域外に避難するよう呼びかけた。 馳知事は会議後、着工した応急仮設住宅の建設場所のうち3カ所が津波浸水想定区域内にあることについて、記者団に対し、「土地がないという理由だけではない。現場からの要請で『コミュニティーを維持したい』という声があり、浸水区域であったとしても応急に避難できる場所が隣接しているので、避難態勢を整える」と説明。今後も、津波や洪水などのリスクがある土地であっても建設する考えを示した。 15:00 […]
「終わりです」家や仕事だけでなく 8カ月前より強い地震が奪った
また大地震が来た。8カ月前よりも強い揺れが――。能登半島地震は、昨年5月の震度6強による被害からはい上がろうとしていた石川県珠洲市の人々を打ちのめした。 「これで終わりですね」 同市正院町正院。1階部分が完全に潰れた自宅の前で、タクシー運転手の浜塚喜久男さん(69)は、たばこを吹かしながらつぶやいた。 「このサッシも新しかったんです」 あたりにはガラスの破片が飛… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学生結婚、そして子育て… 「卵」がつないだ縁、教え子からの贈り物
家庭科の魅力は「学んだこと全部が生きていく上で役に立つ」という点。 大人の1日を「睡眠」「仕事」「暮らし」に分けた時、この「暮らし」を充実させるのが家庭科だ。 そこをおざなりにしたら、人生の3分の1を無駄に過ごすことになるから、もったいないよ――。 高校で家庭科を教えているK先生(48)は、そんなことを伝えたくて教壇に立っている。 自身が進学校で受験勉強に明け暮れていた頃、学ぶことに苦痛を感じていた。 でも、大学で家庭科を専攻したことで変わった。 「私は勉強が嫌いなんじゃなくて、受験勉強が嫌いだったんだ」 学ぶ目的がはっきりしたことで、枕元にテキストを置いて寝るほど楽しくなった。 そんなK先生にとって、忘れられない授業がある。 四半世紀近い教員生活の中で、たった1度しか実施していない授業。 自身も妊娠中で初出産を控えた中で「今、この子たちとやるしかない」と踏み切った。 3週間6コマを使った授業の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
粗大ごみに挟まった9万円着服 処理施設職員ら、焼き肉店で飲食費に
長野県伊那市や駒ケ根市など8市町村のごみ処理や消防などを担う上伊那広域連合(伊那市)は13日、運営する不燃物や粗大ごみなどの処理施設「クリーンセンター八乙女」(箕輪町)の職員が、運び込まれたごみの中に混入していた現金を拾得物として届け出ずに着服し、飲食費に使っていたと発表した。 同連合によると、昨年7月に粗大ごみとして運び込まれたソファに計9万円の現金が挟まっていた。8月に焼き肉店で開いた職場の懇親会で、職員10人が拾得した9万円のうち5万2千円分を使い込んだという。 10月、監査委員に匿名の手紙が届いて発覚。同施設は過去からごみに混入していた小銭などをため込み、職員の飲料代や菓子代などに回していたという。12月末、立て替えた9万円とプールしていた小銭全額の計約9万5千円を「遺失物」として県警に届け出た。 同施設では14人の職員が勤務しており、会計年度職員を含め全員が公務員。記者会見した同施設の竹村和弘所長は「遺失物横領罪の事実を隠蔽(いんぺい)して警察に虚偽の報告をし、以前から金をプールして飲食に使ってきた。深くおわびする」などと謝罪した。 また、同席した長谷川洋二弁護士は「現金の取得を隠した上、実際に拾得していない現金を遺失物として届け出るのは、窃盗罪と公正証書原本不実記載罪に当たる。県警に口頭で申告した」と話した。(安田琢典) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
フォロワー200万人から一転 体に生じた異変、SNSの厳しい現実
「まじめろ」のアカウント名で活動する男性(19)は、興奮を抑えられなかった。 動画投稿アプリ「TikTok」を始めてから1カ月ほど。投稿した1本の動画が1日で4千万回再生された。 アカウントのフォロワー数を示す数字が、どんどん更新されていく。あっという間に20万人増え、60万人になった。 5日後、再生回数は9400万回まで到達。爆発的なヒットとなった。 「気分を落ち着かせるのに必死だった」 投稿した動画は、「検証系」と呼ばれるジャンル。水に入れると動物の形をしたスポンジに変形するカプセルを、台所洗剤で満たしたボウルに入れてみるとどうなるのか。実験した様子を1分程度にまとめている。 動画は結果がわかる寸前で終了する。「次回の動画を見たい」という視聴者にフォロワーになってもらう作戦だ。たわいもない動画にも見えるが、とくに海外の視聴者にウケた。 フォロワーは2カ月後、200万人にのぼった。 「ここまでの流れは、本当に完璧で、想像を上回っていた」 盛り上がりに気づいた国内のあるSNSのコンサルタント会社から、動画制作のため数百万円の「経済的支援」をしたいとのオファーがあった。ショート動画をさらに盛り上げてほしい、という趣旨だった。 その支援金で2022年8月、家賃月15万円で東京・世田谷の1DKマンションを借りた。神奈川県内の実家を出て一人暮らしを始め、動画づくりに専念する生活が始まった。 朝7時に起きてから日付が変わるころまで、動画づくりや編集に没頭。2カ月後には、1日15本ペース、月500本ほどの動画を投稿した。 「頑張ればフォロワーは1千万人にだってなる。そうなれば誰かに声をかけられ、もっといっぱいお金も稼げるはず」 そう信じて、寝る間を惜しんで投稿を続けた。 だが、異変は突然やってきた。 フローリングの床に敷いた布団から、起き上がれない。まったく気力が湧かず、じっとしたまま、ただ寝て過ごす。 翌日以降も同じだった。日が高くなってもカーテンは開けられない。暗い部屋で、いまが何時なのかもわからない。自炊もやめ、食事は宅配の牛丼とハンバーガーだけになった。 原因は明らかだった。Tik… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】岸田首相が被災地視察 自衛官らに「寄り添い心通わせて」
1月1日夕に起きた能登半島地震。深刻な被害の状況が少しずつ明らかになるとともに、多くの人が避難生活を続けています。タイムライン形式でお伝えします。 ■■■1月14日■■■ 10:35 岸田首相、輪島分屯基地で自衛官らを激励 震災後、初めての被災地視察に向かった岸田文雄首相は、石川県輪島市の航空自衛隊輪島分屯基地に到着した。首相は自衛隊、警察、消防の隊員らを前に、これまでの活動に謝意を示し、「ご自身が被災されている方々も大勢いると思う。引き続き多くの被災された皆さんに寄り添って頂き、心を通わせて頂き、不安に、そして将来に対する希望にしっかりと応えて頂きますよう、心からお願いを申し上げる」と激励した。あいさつが終わると、一人ひとりと握手を交わした。 09:00 2次避難の相談コールセンター 石川県が開設 地震の被害が大きい輪島、珠洲、七尾、穴水、能登、志賀の6市町の被災者が、金沢市以南や県外のホテルや旅館(宿泊料は無料で、罹災(りさい)証明は不要)に一時的に身を寄せる2次避難について、石川県は14日、相談を受け付けるコールセンター(0120・266・755)を開設した。土日祝日を含む午前9時~午後6時に受け付ける。 午前9時から電話がひっきりなしにかかり、約20人のオペレーターが、人数や車の有無、希望などを聞き取って相談に乗っていた。情報は市町と共有し、移動手段と宿泊先を手配するという。2次避難の前段階で、現在の避難先より環境の良い避難所に移る1・5次避難の相談にも応じる。(朝倉義統) ■■■1月13日■■■ 17:00 ボランティア登録は約8200人 受け入れ開始は「まだ」 石川県は、県ホームページで6日から事前登録を受け付けている災害ボランティアの登録数が、12日時点で約8200人に達したと発表した。県外からが約5900人、県内からが約2300人。 県は個別の民間ボランティアについて、緊急車両の優先などを理由に自粛を求めている。 ただ、馳浩知事は12日の災害対策本部員会議で、「ボランティアをいつ来ていただけるようにするか、考える段階に入った。高齢化率が50%近い被災地域で、後片付け、ごみの搬送などで人手をそろそろお願いせざるを得なくなってきた」と発言していた。 知事は13日、記者団に「私自身も含め、発災当日から入りたい気持ちだが、道路がなかなかつながっていない。水道も停電もある。食料も自立できていない。そういったことを考えると、まだ号令をかけるタイミングではない」と述べ、早期のボランティア受け入れには慎重な姿勢を見せた。 18:00 子どもの心のケア、石川県が電話相談窓口 石川県は13日、能登半島地震で精神的なショックを受けたり、困難な生活を余儀なくされたりした子どもの心のケアや進路、学習の相談に乗る電話相談窓口を15日から3月末まで設けると発表した。 被災した小学生から高校生までの児童生徒と保護者が対象。安心感の回復のため臨床心理士が相談を受ける「能登半島地震・子供のこころ相談テレホン」(0120・48・0874)は平日午後1時~同6時半。進路や学習に関する相談は「能登半島地震・進路・学習相談テレホン」(0120・873・783)は平日午前9時~午後5時45分。 16:00 厚生労働省は13日、能登半島地震で被災した高齢者施設などに15日から介護職員らを応援派遣する予定だと明らかにした。被災地で不足する介護の担い手について、全国の都道府県を通じて応援を依頼したところ、約30人が15日から現地入りできると回答があった。 派遣先は高齢者施設のほか、旅館やホテルを「2次避難所」として活用するまでの「1・5次避難所」。今後、さらに応援派遣を増やしていく考えだ。 15:00 中学生の集団避難、250人が同意 最大震度7を観測した能登半島地震で、石川県輪島市は13日、集団避難を検討していた中学生の生徒401人のうち、250人の保護者が避難に同意していると明らかにした。準備が整い次第、約100キロ離れた同県白山市の体験学習施設に避難する。 市は管内の3中学がすべて避難所となり、校舎や運動場、通学路の損傷が激しいことから「子どもの学ぶ機会を確保する」と集団避難を検討。13日までに通信アプリで保護者の意向を確認した。避難を希望しなかった151人についても「公平に学びの機会を提供する」とし、意向の変更にも柔軟に対応するという。 11:00 死者の氏名公表、馳知事「公益性あるが遺族に配慮必要」 石川県の馳浩知事は記者会見で、能登半島地震での死者の氏名を公表するかどうかについて問われ、「その人が生きていた証し、なぜ人生の最後を迎えなければならなかったのかは、やはり公益性がある。しかし、それを望まない遺族もいるとすれば、そこには配慮が必要」と述べ、市町の首長とともに慎重に判断する考えを示した。 県によると、県職員や市町職員が避難者の1・5次避難や2次避難などにあたっており、事務的な準備は進めているものの、公表するまでには至っていない状況だという。 09:30 大学入学共通テストが13日、全国で一斉に始まった。1日目は、地理歴史・公民、国語、外国語がある。2日目の14日は理科と数学が行われる。 金沢市の星稜高校3年山倉花菜さん(18)は、バスで参考書を読みながら受験会場の金沢大学にやって来た。「塾で勉強中に揺れて不安で数日は勉強に集中できなかった。力を発揮して頑張りたい」 ■■■1月12日■■■ 16:00 輪島市と珠洲市で応急仮設住宅を着工 石川県の馳浩知事は災害対策本部員会議で、「避難者の応急的な住まいを確保するため、本日、輪島市、珠洲市で応急仮設住宅を着工した」と説明。「(住宅を増やし)必ずみなさんをふるさとに戻します。ですから、今は命を守るためにも、一度、2次避難所に移ってもらえませんか。お願いします。数カ月かかるかもしれませんが、必ずみなさんを戻しますから。氷点下のところにいるのは勘弁してください」などと述べ、被災地域外に避難するよう呼びかけた。 馳知事は会議後、着工した応急仮設住宅の建設場所のうち3カ所が津波浸水想定区域内にあることについて、記者団に対し、「土地がないという理由だけではない。現場からの要請で『コミュニティーを維持したい』という声があり、浸水区域であったとしても応急に避難できる場所が隣接しているので、避難態勢を整える」と説明。今後も、津波や洪水などのリスクがある土地であっても建設する考えを示した。 15:00 石川県への義援金37.5億円 能登半島地震で被災した石川県内の人を支援する義援金について、11日現在で約37億5千万円を受け付けたと県が発表した。県は日本赤十字社県支部や県共同募金会と連携して義援金を12月27日まで受け付けており、県が受け付けた義援金のほかに日本赤十字社県支部が約6億円、県共同募金会が約1億2千万円を受け付けたという。 11:50 災害復旧時、就労要件に関わらず保育所の利用可能 加藤鮎子・こども政策担当相は12日、閣議後の会見で「災害の復旧活動をされている場合には、保護者の就労状況に関わらず保育所などの利用の必要性が認められる」と述べた。同日、全国の自治体に周知を促す通知を発出した。 通知では「保育所の利用をすみやかに開始した上で、支給認定の手続きはその後に実施するなどの配慮をお願いします」と明示した。同庁はほかに、災害の影響で保育所などが利用できなくなった場合に、転園せずに別の施設を利用できることも周知した。受け入れ先が定員を超えても特例的に認める。 11:20 首都圏などでも1万2千人分確保 能登半島地震の2次避難先 能登半島地震の被災者向けにホテルや旅館などを活用する「2次避難所」について、林芳正官房長官は記者会見で、石川県など北陸4県以外に「三大都市圏の宿泊施設で約1万2千人分を確保している」と述べた。北陸4県と隣接県では計約1万3千人分を確保しているという。 林氏によると11日時点で、北陸4県で約9300人分、隣接する長野、岐阜、滋賀各県を加えると最大で約1万3千人分の宿泊施設などを確保。加えて、三大都市圏でも約1万2千人分を確保したという。 […]
「まだ屁が出る」戦乱と赤貧を生きた水木しげる 令和を照らす言葉は
世界で戦火が絶えない今、先行きの不透明さを感じる今、激戦地も赤貧生活も越えて生き抜いた水木しげるさんがいたら、どんな言葉をくれるでしょう――。 水木プロダクションの取締役として、父が生んだ漫画「ゲゲゲの鬼太郎」などの作品を後世に伝える長女・原口尚子さん。インタビューの後編です。 なまけものになりなさい 水木しげるの言葉です。これは「老いてからのんびりできるよう若い頃は火の玉のように働け」という意味。ユーモラスな言い回しですが、実はそんな熱が込められているのです。 父の来し方を振りかえると、働けど働けど貧乏神から逃れられませんでした。それでも40歳を前に母・布枝と見合い結婚で所帯を持ちます。電気代が払えないこともある、ぎりぎりの暮らしでした。 「売れないから」と約束した原稿料の半分しかもらえないこともありました。作品を抱え、飛び込み営業をしたこともあったそうです。 苦楽をともにした母は、そんな時代への愛惜をエッセー『ゲゲゲの女房』(実業之日本社)に描き、テレビドラマにもなりました。 人気が出始めた水木の、たまの息抜きはドライブでした。 ふいに家族を誘い出し、母の運転で出かけるのですが、決まって家具店など父の好きな店に立ち寄ります。家族の中心はあくまでも父。令和の子育てのような動き方など考えられません(笑)。 テレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」のブームが起きると、近所の子どもたちも、ゲッゲッゲゲゲのゲと、楽しげに歌っていました。本当にありがたいことでした。 「おとうちゃんの漫画には未来がない」 父の答えは でも、水木しげるの娘、というイメージが私につきまとうようになります。 幼い頃から絵を描くのが好き… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル