全国に展開する大手ファストフードチェーンの新卒採用の内定をもらってから、1カ月が過ぎたころだ。 大学4年生の男子大学生(22)は自宅でスーツを着て、ノートパソコンに向きあっていた。画面の先には、内定を出してくれた企業の採用担当者がいた。 会議が始まってすぐ、就職の内定を辞退したいことと、その理由を告げた。 「SNSの世界で、生きていこうと思います」 知り合いからは、安定した道に進むべきだとこぞって反対された。反対されるとわかっていたから、親には相談さえしなかった。 それでも、SNSで生計を立てる自信はあった。 「アノニマス」というアカウント名で、動画投稿アプリ「TikTok」や投稿サイト「YouTube」に動画を投稿。ほかのSNSも合わせて、フォロワー数は100万人を超える。 福岡市の繁華街で、通行人に「ストリートスナップの写真を撮らせてほしい」と声をかけ、相手が応じてくれるまでの短い会話のやりとりを撮影する。それを1分ほどにまとめた動画が人気となり、いまでは道行く人から逆に声をかけられるなど、若者の間で知られた存在だ。 動画投稿に本格的に取り組みはじめたのは昨年1月。自身の知名度と影響力をどうしたら高められるか、それをどう生かすべきなのか。 ずっと考え続けたすえに、就職の内定を断り、SNSの世界に飛び込むことを決断した。 ヒントは海外の人気動画、予想を超えてフォロワー急増 原点にあったのは、貧しかった少年時代の経験だ。 子どものころ、すり切れた畳… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自動運転バス、つなげて電車に? 全国初の試乗会始まる 東広島
JR西日本は広島県東広島市内で、サイズの異なる2台のバスを自動運転で隊列走行させる実証実験を続けている。昨年11月に始まった国内初の試みだ。1月10日からはバス路線で一般向けの試乗会も始まり、記者も乗り心地を体験した。 【動画】広島県内の公道で、自動運転の連節バスの試乗会が始まった 実験は、市中心部のJR西条駅から広島大学東広島キャンパスを結ぶ公道で行われている。運行するのは、通常より長い車体に多くの乗客を乗せられる「連節バス」。自動運転で走る区間は緩いカーブの3・2キロで、このうち1・5キロの区間では別の自動運転バスと隊列を組んで走る。 これまで乗客は乗せてこなかったが、10日の初回の試乗会には記者を含む約20人の報道陣がバスに乗り込んだ。急発進や急ブレーキに備えてヘルメットをかぶって乗車した。 出発点は広島大学東広島キャ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
避難し、孤立集落経験の受験生「負けたくない」 共通テスト始まる
大学入学共通テストが13日、全国で一斉に始まった。2025年1月実施のテストからは「情報」が追加されて6教科8科目になるため、現行の5教科7科目での試験は今回が最後となる。 「ピンチをチャンスに」、思いを胸に 金沢市では午前7時半ごろ、冷たい雨が降る中、受験生たちが試験会場の金沢大学に続々と到着した。 友人と試験室に向かった金沢学院高校(金沢市)3年の中平恋姫(こいき)さんは、1日に起きた能登半島地震で液状化の被害が大きかった石川県内灘町から来た。自宅周辺は道がゆがんで家が傾き、「周りはもうぐちゃぐちゃです」。 地震が起きたときは家族と自… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福島県職員らが家屋の被害調査で応援 北陸の被災地で願ったことは
能登半島地震の被害が大きい富山県氷見市で12日、家屋の被災状況の調査が始まった。「一日も早い生活再建を」という思いで、東日本大震災の被災地・福島の県職員4人も応援に入った。 市によると、市内の住家被害は全壊16棟、半壊22棟。各種支援を受けるには、建物の被害を認定する罹災(りさい)証明書が必要で、地震後の申請件数は2460件を超している。 この日の調査は、罹災証明書を発行するためのもの。調査対象となった市北部の姿地区には、57世帯113人が暮らす。地震で家屋や納屋があちこちで全半壊し、断水が続く。地区の集会所に7世帯11人が避難している。 調査で福島県の職員「地震特有の被害が大きい」 福島県災害対策課主幹兼副課長の箭内(やない)良次さん(49)は「家の壁がやられ、傾きもある。局所的に地震特有の被害が大きい」と話した。福島県内59市町村と県で昨秋組織した「ふくしま災害時相互応援チーム」の枠組みで、今回初めて出動した。 箭内さんは氷見市職員らと家屋の傾きや壁、基礎、屋根の状態を確かめた。これらのデータは、全壊から一部損壊まで6段階の判定に必要だという。 箭内さんは東日本大震災の際… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高齢者は重荷なのか 社員は「ばあちゃん」危機だから誓う起業家の夢
人手不足が連鎖すれば、一人一人にのしかかる負担は大きくなる。前向きな未来を描くため、危機を突破する鍵はどこにあるのか。 連載「8がけ社会」 高齢化がさらに進む2040年。社会を支える働き手はますます必要になるのに、現役世代は今の8割になる「8がけ社会」がやってきます。今までの「当たり前」が通用しなくなる未来を私たちはどう生きるべきでしょうか。専門家の力も借りながら、解決に向けた糸口を探ります。 高齢者を社会の「負担」と捉えれば、現役世代が減る「8がけ社会」が重苦しくなるのは避けられない。そうした未来は必然なのか。 福岡市から車で1時間ほど。筑後川上流にあるうきは市の山あいを進むと、元々保育園だった建物からにぎやかな声が聞こえてきた。 「最近、寒くなってきたねえ」「今日は昼過ぎに帰って畑仕事だ」。出勤した社員たちが雑談を交わしつつ、今日の仕事内容を相談していた。 社員の大半は「ばあちゃん」 社員は約20人。その大半が75歳以上の女性、通称「ばあちゃん」が働く。そんな株式会社「うきはの宝」の調理場には、ばあちゃんの知恵が詰まった商品が並ぶ。スイーツや調味料、日持ちする総菜など手作りの商品を次々と開発し、オンライン販売の売れ行きは好調だ。特に30~40代の女性に支持されている。 近所で採れた柿の皮を、まっすぐ伸びた姿勢で手際よくむいていく。まるで80代とは思えない社員の一人、内藤ミヤ子さん(87)が「家にいても旦那と二人で刺激がない」と打ち明けると周囲は大笑い。「働くようになって健康になった。病院にも行っていないしサプリも飲んどらん」と胸を張った。 雇用に加え、高齢者の生きがいも作ってビジネスにできれば、地域全体は元気になる。同社を創業した大熊充さん(43)は「世代間対立や老害という言葉がとても嫌いで」、会社を作った動機はそんな「固定観念」への反発だったという。 入院で知った、ばあちゃんのエネルギー うきは市出身だが、30代まではデザイナーとして働きづめだった。生活を犠牲にして働く中で「社会や地元のためになっているのか」との疑問が何度も頭をもたげた。 20代の頃、バイク事故で長期間入院した。一緒に入院していたばあちゃんたちは、うるさいほどおせっかい。でもそれが、落ち込む自分を元気づけてくれた。 記事の後半では、あらゆる仕事の現場を人手不足が襲う「8がけ社会」の危機を突破する鍵を探ります。テクノロジーを駆使する起業家は「楽しさ」が社会を変える力になる、と語ります。 まるでお荷物のように言われ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
輪島の火災跡で「遺骨らしきもの複数発見」 富山県警が活動報告
能登半島地震を受け、石川県に派遣されていた富山県警広域緊急援助隊が12日、活動の模様を報道陣に報告した。大規模火災があった石川県輪島市での捜索で、遺骨の可能性があるものを発見した状況や、被災者の感謝の言葉に励まされた心境を語った。 隊員28人は7日に出発し、金沢経由で能登に向かった。八田俊寛中隊長によると、土砂崩れや崩落による悪路に加え、雪の影響もあって一部の目的地には入ることさえできなかった。 実際に捜索活動ができたのは9日午後。地震後、大火に見舞われた輪島市河井町で、犠牲になっている人がいないか捜した。みぞれが降る中、隊員らは焼け跡のがれきを取り除き、灰や泥の中にひざをつき、手探りで掘った。結果、遺骨ではないかと思われるものを複数発見し、石川県警に引き継いだという。 八田中隊長は「もし亡くなった方なら、体の一部も出てこないのは家族にはつらいこと。人命救助はできなかったが、心を救うところに微力ながら貢献できたのでは」と述べた。 10日には、警察の部隊として初めて同市門前町の皆月地区に入り、全員の安否を確認した。隊員は住民から「富山も大変なのにありがとう」「皆無事だから、帰れなくなる前に戻って」と温かい声をかけられたという。(佐藤美千代) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自民党「刷新本部」、安倍派メンバー9人に裏金か 10人が参加
自民党派閥の政治資金パーティー事件を受けて党が設置した「政治刷新本部」(本部長・岸田文雄首相)をめぐり、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派、98人)からメンバー入りした10議員のうち9人がパーティー収入の一部を裏金にしていた疑いがあることが、関係者への取材でわかった。 正当性に疑義 刷新本部は11日に初会合を開いたが、適格性が疑われる議員が法改正などを議論することになり、本部自体の正当性が問われる。 関係者によると、安倍派では… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
千葉県庁近くに「接待部屋」国道工事贈収賄、コロナ後公共事業依存か
千葉県北千葉道路建設事務所発注の工事入札を巡る贈収賄事件で、贈賄側の竹内建設の売上高が2期連続で減収だったことが、県などへの取材で分かった。新型コロナの影響で受注額が伸びなかったためとみられる。県警は贈賄容疑で逮捕した同社社長の竹内一雅容疑者(51)が、売り上げの大半を占める公共事業の入札で有利な取り計らいを期待し、贈賄工作を繰り返したとみている。 県建設・不動産業課などによると、同社の2021年6月期決算の売上高は、コロナ禍で滞っていた工事が完了するなどしたため約32億625万円に上った。その後は減少し、23年6月期決算で3割減の約22億5670万円に落ち込んだ。 一方、完成工事の売り上げに占める公共工事の割合は、21年の78%から23年に89%まで増加。全体の売上高が減る中で、同社が公共工事への依存を強めていった可能性が高い。 捜査関係者などによると、竹内容疑者が北千葉道路建設事務所長の白藤徹容疑者(54)=収賄容疑で逮捕=の接待に使っていたとされる県庁近くのマンションの一室は、竹内容疑者が20年12月に購入したとみられる。約70平方メートルの室内にソファやワインセラーが置かれ、キャバクラ店のようなきらびやかな内装だが、生活感はなかったという。(宮坂奈津、マハール有仁州、鈴木逸弘) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「取扱数ダントツ」アピールのSBI証券 株価操作で一部業務停止
企業の新規株式公開(IPO)をめぐり株価を不適切に操作しようとしたとして、金融庁は12日、インターネット証券最大手のSBI証券に対し、金融商品取引法に基づく一部業務停止命令を出した。複数の役員も関与しており、重い処分に踏み切った。(女屋泰之、東谷晃平) 勧誘によるIPO株の売買受託を12日から1週間停止させる。また、2月13日までに、内部管理体制の強化などの業務改善計画を提出するよう指示した。SBI証券は「厳粛に受け止め、再発防止と信頼回復に全力で努める」とのコメントを出した。 金融庁によると、問題になったのは2020年12月~21年9月、SBI証券が上場手続きを中心となって担う「主幹事」として関わった企業3社のIPO。上場後に市場で最初に取引が成立する「初値」が、株を売り出す際に事前に決めた「公開価格」を下回らないよう、買い注文を出すことを投資家に依頼。顧客の機関投資家9社と一般投資家174人から買い注文を受け付け、「作為的な相場形成」をした。当時の常務取締役ら複数の役員も関与していたという。 初値が公開価格を割れば投資… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「被告、殺人ノウハウ蓄積」 知人の元医師証言 ALS嘱託殺人公判
2019年11月、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の京都市の女性患者(当時51)から依頼を受けて殺害したなどとして、嘱託殺人などの罪に問われた医師、大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判が12日、京都地裁であった。証人尋問が始まり、共犯として有罪判決を受けた知人の元医師、山本直樹被告(46)=医師免許取り消し、控訴中=が出廷し、大久保被告について「(証拠を残さず)殺人するためのノウハウを蓄積していたと思う」と述べた。 両被告は嘱託殺人事件のほか、山本被告の父(当時77)を11年3月に殺害したとして、殺人罪でも起訴された。山本被告は「大久保被告の単独犯行だ」と無罪を訴えたが、一審判決で両事件とも共謀が認められた。 両被告は20年以上前の医学生時代に知り合ったとされる。山本被告は大久保被告について「真面目で志が高く、尊敬していた」と話した。一方、大久保被告からは、医療行為に紛れさせて殺害する「マニュアル」など三つの文書が自身の元に送られてきたとし、「広く普及させれば、理想とする世の中が実現すると考えていたと思う」と述べた。 山本被告の父の殺害事件をめぐっては、大久保被告に09年12月ごろから、入退院を繰り返す父について相談していたと説明。父の入院先から延命治療を勧められたことを伝えると、「生きる屍(しかばね)を作るな」と反対されたと証言した。 大久保被告の弁護側は両事件とも無罪を主張。父殺害事件は、現場となった都内のアパートの室内に大久保被告が入った際、心肺停止状態の父と山本被告が2人でいたなどと訴えている。山本被告はこの点について、「私が室外で電話をしている10分ほどの間に、大久保被告と父が2人きりになり、その後死亡した。(殺害方法は)知らなくていいと言われた」と、自身の公判と同様の説明をした。(光墨祥吾、森下裕介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル