石垣明真2024年1月11日 20時00分 元同僚の女性教諭(当時47)を殺害し、遺体を遺棄したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた元帯広農業高校教諭の片桐朱璃被告(36)について、札幌高裁(成川洋司裁判長)は11日、「一審判決は、多角的視点を欠いて結論を導き出しており、不合理だ」などとして、承諾殺人罪を認定した一審・釧路地裁判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。 一審判決によると、片桐被告は2022年5月30日、帯広市内の駐車場にとめた車の後部席で、女性の首をシートベルトで絞めて殺害。同日夜に市内の雑木林に遺体を埋めた。 一審判決では、殺害直前に片桐被告が「もう死ぬしかない」と持ちかけ、女性が2度うなずいた点について、「(女性の)承諾は、被告が一緒に死ぬことを前提にしていた疑いがある」とした。 一方、殺害は片方しか死ぬことができない方法で行われていて、女性はそのことに気付く機会があったと認定。女性は首を絞められる際に抵抗しなかったことなどから、「自分のみが死ぬことを容認した上で、殺されることを承諾していた疑いを生じさせ、被告が共に死ぬことが必須の前提条件になっていたと認めるに足りない」とした。そのうえで、片桐被告が女性と一緒に死ぬつもりはなかったと認められるが、承諾殺人罪が成立すると結論づけていた。 これに対し、高裁判決は「(女性は)尋常ではない心理状態の下で衝動的に死ぬことを決意した」などと指摘し、心中する方法の不自然さに気づいていたとは言いがたいとした。また、女性が抵抗しなかったとしても、「単に抵抗する暇もなく意識が消失したとみるのが自然だ」ともした。 女性が2人の関係が続くことを強く望んでいた経緯なども含めると、「被告が共に死ぬことが、女性が自らの死を容認する必須の条件だったというべきだ」とも指摘。一審判決は「女性が置かれていた状況や心理状態などの考慮すべき事項を検討することなく結論を導き出した」とした。そのうえで、殺人罪の適用を前提とした量刑の議論が不十分なため、地裁で審理を尽くす必要があるとした。(石垣明真) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災外国人に多言語支援 震災で生まれたNPO、能登地震でも連携へ
阪神・淡路大震災をきっかけにできたNPO「多言語センターFACIL(ファシル)」(神戸市長田区)が今年、設立から25年を迎える。困り事を抱える外国人住民の通訳・翻訳から事業を始め、今では行政や企業、病院からも依頼を受けるビジネスに成長。四半世紀にわたる経験を生かし、能登半島地震の被災外国人支援でも連携を始めた。(玉置太郎) FACILの立ち上げから理事長を務めた吉富志津代さんは今月5日、能登半島地震で被害を受けた石川県や各自治体の国際交流協会の担当者らと、オンライン会議をもった。多言語支援で以前から連携してきた県内NPOに依頼を受け、被災外国人の支援について助言した。 現地からは「外国人住民が避難所までたどり着いていない」「同じ国の出身者に支援物資を届けたいという要望がきた」などの相談があった。 吉富さんは阪神大震災の経験を踏まえ、「日本語の情報が分からず孤立しがちな人に、行政の側から外国人コミュニティーや雇用する企業を介してアプローチする必要がある」と伝えた。FACILとしても連携していくという。 能登半島地震と外国人住民 石川県によると、県内に住む外国人は一昨年末時点で約1万7千人。国籍別ではベトナム(約5千人)と中国(約4千人)が多い。在留資格別では技能実習(約4千人)が最多で、被害の大きい能登半島北部の6市町にも約600人の技能実習生がいた。県は「多言語支援センター」を設け、相談対応や災害情報の翻訳にあたっている。 相次いだ被災外国人からの相談 阪神大震災が起きた1995年1月17日早朝、吉富さんは神戸市北区の自宅にいた。強く揺れたが、マンションの被害は大きくはなかった。 長田区で火災の被害が大きいと報道で知り、関わりのあったカトリックたかとり教会に連絡を入れた。教会が支援活動の拠点になっていた。 神父から「来てくれたら仕事はある」と言われ、応援に駆けつけた。周囲は焼け野原。救援物資や県外ボランティアの受け入れに奔走する中、日本語での情報が理解できず戸惑う外国人住民から、次々に相談を受けるようになった。 吉富さんは外国語大でスペイン語を学び、震災直前まで関西にあるボリビアなどの領事館で働いていた。90年に日系人の就労が自由化され、南米から来日した日系人家族の相談を数多く受けた経験をいかした。 被災後の長田でも避難所や支援制度の情報をスペイン語に訳し、チラシにして配った。教会を拠点にした多言語ラジオ「FMわぃわぃ」の立ち上げにも参加。多くの外国人住民も活動を支える側に加わった。 吉富さんには一つの思いが芽生えた。多言語での支援は必要な専門技術なのに「なぜボランティアなんだろう」と。ビジネスに育てないと続かない、と考えた。 自分の本業が忙しい人は、震災から時間が経つにつれ活動から遠ざかっていく。外国人自身が母語を活用して収入を得られるようにしたい、という思いもあった。 99年6月、ボランティア仲間ら数人で「FACIL(ファシル)」を設立。スペイン語で「易しい」を意味する。地域住民による「コミュニティービジネス」をめざし、通訳・翻訳の価格は一般業者の8割ほどに抑えた。既存の業者からは「価格破壊だ」というクレームも来たという。 当初は個人からの依頼が主で、行政や入管の窓口に出す書類の翻訳が多かった。知人らに声をかけ、翻訳は9言語から対応を始めた。 依頼は徐々に増え、昨年度は約1800件に。自治体や民間企業からの受注も多く、多言語発信の企画段階から携わることもある。対応言語は74に広がり、アフガニスタンのダリ語や、スペインの一部で使われるカタルーニャ語の依頼にも応じた。 医療通訳「心のケアも」 活動のもう一つの柱となったのが医療通訳だ。2005年にモデル事業として始め、今は9病院と提携。年間数百件の依頼を受ける。 医療通訳を担うグェン・ティ・ホン・サ(日本名・神山〈こうやま〉みつき)さん(35)はベトナム出身。6年前、初めて同行した病院での経験が忘れられないという。 神山さんは当日朝に依頼の電… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ニワトリ食べられた! イタチ捕まえた! 山村留学で育つ子どもたち
群馬で住人が最も少ない上野村。日航機墜落事故のあった御巣鷹の尾根があり、取材で通った。出会った小学生から「東京では取材を受けることなんてそうないんだよ」と言われ、大人びた口調に興味を引かれた。首都圏の子どもたちが、自然の中で共同生活しながら成長している。(川村さくら) 昨年12月上旬、午後3時半ごろ。「ただいまー」。学校からスクールバスで、子どもたちが群馬県上野村の「山のふるさと合宿 かじかの里学園」に帰ってきた。 みな食堂へ入っていくと、ノートやタブレットを広げて宿題を始める子、本を読む子、ピアノをひく子、卓球を始める子……。 よく見ると、手の甲にあかぎれがある子が多いことに気がついた。「都会の人間はこの(村の)寒さに慣れてないんだよ」。一人が教えてくれた。 入浴や洗濯を終えて午後6時。指導員と子どもたちで作った夜ごはんを食べる。この日のメニューはサラダとカレーとリンゴ。おのおので皿洗いを済ませ、午後7時過ぎにはミーティングをする。 園では毎日「キャプテン」が決まっており、司会を務める。指導員が連絡事項を伝えると、子どもたちはノートにメモする。 「子どもたちが自分の言葉で考えることが大切」 この日はそこから、「イタチ裁判」が始まった。 かじかの里の生活とは 記事後半では、かじかの里での子どもたちのくらしや、子を送り出している親の思いを紹介します イタチは朝、外のニワトリを… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
世代論は未来予測 原田曜平さんが「ゆとり→さとり」言い換えた理由
Re:世代論④ マーケティングアナリスト・原田曜平さん 多様化が叫ばれる現代、好みや価値観における世代間の差が縮まっているとの調査が発表され、「価値観でつながろう」との声も上がる。「世代論」は必要なのか、どう向き合えばいいのか。今こそ「世代論」を問い直し、新たな形を探りたい。 世代論といえば、マーケティングの世界からの発信が目立つ。世代をくくり、広めてきた人はどう考えているのか。「Z世代」「さとり世代」の著書があり若者研究でも知られる、マーケティングアナリストの原田曜平さん(46)に聞いた。 ――多様化の時代とも言われ、人それぞれに違いがあるなかで、世代でくくることについてどう考えますか。 とても難しいですが、世代というのは一定の効果はあると思います。昔に比べて「世代論」は下火になっているように感じている人が多いと思うんです。価値観が多様化して、同じ40歳でも、環境志向が非常に高い人もいれば、そうじゃない人もいる。昔の方が世代でくくれて今の方が多様化していると感じている人が多いでしょうけど、僕はむしろ正反対だと思っていて。世代論が今こそ、効果的なものになってきた、という感覚がある。 ――効果的、とは? 一番分かりやすいのが、例えばZ世代がどれだけTikTokを使っているか。その割合は50%を超えてきていますが、30~50代で見るとまだ20%ぐらいしか使われていない。 僕が若い頃は自分の親世代も若者もテレビを見ていた。トレンディードラマで名をはせた「月9」か、深夜バラエティーかという差はあるかもしれないけど、基本同じようなものを見ていたわけです。 ところがTikTokでバズるのは、テレビでは取り扱わないようなものもかなり多い。フォーマットも違うし、秒数も違うし、かかっている音楽も違うし、作り手もなんならプロから素人になっていて、全く違うものを見ているんです。 むしろ今は、世代間ギャップが最も起きている時代で、もっと世代に注目すべきだと、思っています。 ――そもそも「若者」としての特徴があると思いますが、時代ごとに違う若者になるのでしょうか。 デジタル化が進んで、接しているメディアにしても摂取する情報にしても変わってきた。インターネット第一世代という意味で言うと、今の団塊ジュニアのなかの50~51歳ぐらいから変化が出ているとも言える。やはり分かりやすいのはZ世代で、初めてテレビの利用率をユーチューブの利用率が抜いた、というように相当な変化が起きている。最強のマスメディア・テレビはとうとう、Z世代にとってはマイノリティーになってしまった。これからさらに顕在化してくるでしょう。 「そもそも世代論って浅いもの」 ――世代について一般的にも語られるし、私たちメディアも語りたがりますが、そもそも世代論って何のために必要なのでしょうか。 「そもそも世代論って浅いも… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
私人逮捕系「スーパードミネーター」逮捕 交際相手から現金詐取容疑
難病と偽り、交際中の女性から治療費の名目で現金250万円をだまし取ったとして、警視庁は職業不詳の沢田優容疑者(28)=横浜市西区=を詐欺の疑いで逮捕し、11日に発表した。容疑を認めているという。 沢田容疑者は「私人逮捕系」と呼ばれ、ユーチューブチャンネル「スーパードミネーター」(登録者数約9万人)で活動していた。 町田署によると、沢田容疑者は2020年10月14日、交際していた東京都八王子市の20代女性にLINEで「自分は難病で、治療費に3千万円が必要だ」とうそのメッセージを送信するなどして、現金250万円をだまし取った疑いがある。 「客から金引く、普通のこと」と供述 2人は、沢田容疑者が以前働いていたボーイズバーに女性が客として来店したことがきっかけで知り合い、交際していた。沢田容疑者は「水商売をやる者として、客から金を引くのは普通のことだ」などと供述しているという。(三井新) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災地での救助活動を報告 能登半島地震で大阪の消防や警察
能登半島地震で救助活動などにあたり帰任した大阪市消防局や大阪府警の職員ら計11人が10日、府庁で現地での活動について報告した。吉村洋文知事や横山英幸市長らを前に、がれきの中からの救出劇や、苦労したことについて語った。 大阪市消防局の職員は、生存率が下がるとされる「災害発生後72時間」を迎えた中での救出について話した。 4日、石川県輪島市内の1階が潰れた2階建て住居で救助にあたった。2階の床を撤去しながら捜索を進めると、80代の女性を発見。呼びかけに反応があり、手を握ると握り返したことから、「生存救出につながる」と感じたという。 このほか、現地では学校の体育館が宿泊場所となったが、窓ガラスが割れていて寒さでなかなか寝付けなかったことや、余震でたびたび活動を止めざるを得なかったことなどが職員から報告された。 吉村知事は「気候を含めて過酷な状況。今後もできる限りの救助活動をお願いしたい。お疲れ様でした」、横山市長は「(報道で)大阪という背中の文字を見るたびに大変誇らしく思った」とねぎらった。(吉川喬) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
存じてますわ?知ってるぜ? 両陛下に役割語の講義 講書始の儀
天皇、皇后両陛下が学術研究の第一人者から講義を受ける「講書始(こうしょはじめ)の儀」が11日、皇居・宮殿であった。年のはじめに学問奨励のために行われるもので、約150年の歴史がある。 日本語学が専門の金水(きんすい)敏・大阪大名誉教授が「ことばのステレオタイプ『役割語』について」、刑事訴訟法学が専門の井上正仁・東京大名誉教授が「捜査法の進化と課題」、物理化学が専門の西川恵子・千葉大名誉教授が「ゆらぎで探る物質の構造」について講義した。 金水名誉教授は、日本語は「… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
トランスジェンダー公表の弁護士に殺害予告、男に実刑判決 大阪地裁
トランスジェンダーを公表している仲岡しゅん弁護士(大阪弁護士会)に殺害予告のメッセージを送ったとして、脅迫罪に問われた無職の男(39)=東京都品川区=に対し、大阪地裁は11日、懲役10カ月(求刑懲役1年6カ月)の実刑判決を言い渡した。角田康洋裁判官は「被害者がLGBTに関して被告と異なる意見を表明しているとして脅迫に及んだ。身勝手な考えに基づく犯行だ」と述べた。 判決によると、男は昨年6月3~5日に計9回、仲岡弁護士が所属する法律事務所のホームページの問い合わせフォームから「メッタ刺しにして殺害する」などと送信した。角田裁判官は「生命さえも猟奇的に脅かそうとする内容も含まれ、被害者に与えた恐怖心は大きい」と指摘。前科なども踏まえ、実刑が妥当と結論づけた。 角田裁判官は男に対し、「あなたがお話しした『二度としない』という気持ちを忘れずにいてください」と説諭し、男は「はい」と答えてうなずいた。(山本逸生) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「願いをかなえるために行った」 ALS嘱託殺人、医師側が無罪主張
光墨祥吾 西崎啓太朗 森下裕介2024年1月11日 10時47分 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者(当時51)の依頼を受けて殺害したなどとして、嘱託殺人などの罪に問われた医師、大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判の初公判が11日、京都地裁で始まった。大久保被告は殺害行為を「間違いありません」と認めた一方、「ただ、願いをかなえるために行ったことです」と主張した。 弁護側は、自己決定権を保障した憲法13条に照らせば、「被害者の願いを実現した行為に、嘱託殺人罪を適用して処罰することは憲法に違反する」とし、無罪にすべきだと訴えた。 大久保被告は2019年11月、知人の元医師、山本直樹被告(46)と共謀。京都市内の女性のマンションを訪れ、女性の依頼を受け、胃に直接栄養を送る「胃ろう」に薬物を注入し、急性薬物中毒で死なせたとされる。 また、11年3月には山本被告らと共謀し、山本被告の父(当時77)を入院先の長野県内の病院から退院させ、東京都内のアパートに移動させた後、何らかの方法で殺害したとして、殺人罪にも問われた。大久保被告は「私はやっておりません」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。 検察側は冒頭陳述で、大久保被告が「医療に見せかけて高齢者や障害者を殺すことに多大な関心を持っていた」と主張。嘱託殺人事件で弁護側が主張する違憲性については、女性の病状を詳しく把握した上での殺害行為でないことや、報酬が支払われていたことなどを挙げ、「刑事責任を問える」と反論した。 山本被告はすでに両事件で京都地裁から実刑判決を受け、控訴中。地裁は昨年12月、嘱託殺人事件などについて、山本被告を懲役2年6カ月(求刑懲役6年)とした上で、大久保被告が犯行を主導し、「用意した薬品を女性に注入して殺害した」と認定。「高度の倫理性が求められる医師でありながら、主治医や親族にも秘密裏に殺害に及んだ」と述べた。 父殺害事件は昨年2月の判決で、両被告の共謀を認定し、山本被告を同13年(同20年)とした。(光墨祥吾、西崎啓太朗、森下裕介) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】避難所生活の感染症対策チームが発足 7人態勢で対応
1月1日夕に起きた能登半島地震。被害の深刻な地域を中心に、道路やライフラインの途絶が続いています。タイムライン形式でお伝えします。 ■■■1月11日■■■ 09:15 避難所生活の感染症、対策チームが発足 長期化が懸念される避難所生活の感染症を防ぐための対策チームが発足した。厚生労働省感染症対策課長をトップに、石川県や応援の福島県、鳥取県の職員ら7人態勢で対応にあたる。避難所では新型コロナやノロウイルスなどの感染症が発生しており、石川県庁での発足式で、馳浩知事は「(避難所での感染症は)災害関連死に直結するので、緊急的に対応が必要と思っている。全体的なコントロールをお願いしたい」と語った。 ■■■1月10日■■■ 10:00 「人骨のようなもの」発見 馳知事が会見で 石川県の馳浩知事が記者会見で、地震の発生後に大規模火災が起きた輪島市河井町の現場で、「人骨のようなもの」が発見されたと明らかにした。遺体の一部かをふくめて詳細は確認中だという。観光地の「輪島朝市」がある市中心部の現場では、9日から警察や消防による安否不明者の大規模な捜索が行われている。 また馳知事は、13日に被災地に入る岸田文雄首相に、自身も同行すると述べた。具体的な場所について調整しているという。 ■■■1月9日■■■ 18:00 新潟県長岡市で震度5弱 佐渡付近が震源 9日午後5時59分ごろ、新潟県佐渡付近を震源とする地震があった。気象庁によると、新潟県長岡市で震度5弱、新潟市や石川県七尾市、輪島市などで震度4を観測した。震源の深さは約10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは6・0と推定される。 沿岸で若干の海面変動があるかもしれないが、被害の心配はないという。 17:50 石川と富山 6万2952戸で断水続く 厚生労働省は9日午後3時時点の水道被害の状況を公表した。石川、富山両県の6万2952戸で断水が続いている。前日から約7400戸減少した。 両県では計15市町が断水している。石川県では、七尾市で約2万600戸、輪島市で約1万戸、志賀町で約8800戸、珠洲市で約4800戸などとなっている。 14:00 石川県の死者202人に 珠洲市91人、輪島市81人 石川県は9日午後、地震による死者が202人になったと発表した。安否不明者は102人だった。 県によると、9日午後2時現在で、死者は珠洲市91人、輪島市81人、穴水町20人、七尾市5人、志賀町2人、能登町2人、羽咋市1人。午前の時点より、珠洲市で20人、穴水町で2人増えた。行方不明者は珠洲市1人、輪島市は確認中としている。 地震のためとは断定できないが、連絡がとれなくなっている安否不明者は輪島市86人、珠洲市15人、七尾市1人だった。 11:55 木原稔防衛相は記者会見で、昨年4月に沖縄県の宮古島周辺で墜落し、任務飛行を停止していた陸上自衛隊のヘリコプター「UH60JA」について、能登半島地震で任務に参加させると説明した。「道路網の寸断や被災地域が沿岸部に集中している特性を踏まえると、狭い地域にも着陸ができる中型ヘリの運用が必要」と述べた。 現地の天候次第をみながら9日以降、小松基地(石川県)から輸送艦「おおすみ」に展開させ、孤立地域に物資を輸送する予定だという。UH60JAは昨年4月の事故で乗っていた隊員10人が死亡。訓練飛行は6月に再開したが、任務飛行は行われていなかった。 一方、木原氏は被災地で活動する自衛隊員を8日から200人増やし、約6300人態勢になったと発表した。この日からは、医官や歯科医官が孤立集落での巡回診療を始めたという。 11:50 国税の申告や納税などの期限を延長 能登半島地震を受け、国税庁は9日、石川県と富山県に納税地のある個人・法人について、国税の申告や書類提出、請求、納付などの期限を延長すると発表した。1月1日以降に到来する国税の申告・納付などの期限を全税目について自動的に延長する。いつまで延長するかは、被災者の状況に配慮して今後検討する。 また、両県以外に納税地がある能登半島地震の被災者も、所轄の税務署に申請すれば期限延長を受けられる。この申請は、期限が過ぎて状況が落ち着いた後、申告・納税などと同時に行うこともできる。 11:00 避難所や高齢者施設でノロウイルスなど約30人確認 武見敬三厚生労働相は9日、石川県内の避難所や被災した高齢者施設で、ノロウイルスを含む消化器感染症の患者が8日までに約30人確認されたと明らかにした。 厚労省は、国立国際医療研究センターの感染症専門医2人を含む災害時の感染制御支援チームを現地に派遣している。 10:00 政府、物資支援に予備費47億円支出へ 政府は9日の閣議で、能登半島地震の被災地への物資支援のため、今年度予算の予備費から47億4千万円を支出することを決めた。閣議後の非常災害対策本部会議で、岸田文雄首相は「(被災地の要請を待たない)プッシュ型支援を加速させるため迅速に執行し、被災地の状況改善に充ててほしい」と述べた。 政府は別途、復旧・復興対策に備えるため、新年度当初予算案に盛り込まれた予備費を今の5千億円から積み増す方針。自治体による復旧事業に国庫補助率の引き上げなどの特例措置を適用するため、能登半島地震を「激甚災害」に指定する方針も示している。 【動画】被災地の珠洲市、輪島市が雪に覆われた=吉山健一郎撮影 10:00 石川県内の死者、12人増え180人に 最大震度7を観測した能登半島地震で、石川県は、死者が前日から12人増えて180人になったと発表した。地震のためとは断定できないが、連絡がとれなくなっている安否不明者は、8日午後2時現在では323人だったが、安否確認ができたことなどから120人になった。 県によると、9日午前9時現在で、死者は輪島市81人、珠洲市71人、穴水町18人、七尾市5人、志賀町2人、能登町2人、羽咋市1人。行方不明者は珠洲市1人、輪島市は確認中としている。安否不明者は輪島市100人、珠洲市19人、七尾市1人。 ■■■1月8日■■■ 16:30 石川県内で1万7千戸の停電続く 全面復旧の見通し立たず 斎藤健経済産業相が経産省で会見し、8日午後時点で石川県内の1万7千戸で停電が続いている状況だと明らかにした。北陸電力が他社からの応援も得て1千人規模で復旧作業を続けているが、道路損壊で進入できない地域や配電設備が激しく損壊している場所もあり、全面復旧の見通しは立っていない。 経産省や北陸電力は200人以上を収容できる大規模避難所への電源車活用を優先しており、8割以上の避難所で電力供給が可能になったという。一方で積雪の影響もあり、復旧工事のリスクは下がっていない。電力復旧について、斎藤氏は「いまの時点でいつまでにどうなるというのはなかなか申し上げにくい。不確定要素が多いということをぜひご理解いただきたい」と語った。 […]