道路の陥没が起きた東京都調布市の市道の真下で行われたトンネル工事について、東日本高速道路(NEXCO東日本)は19日、記者会見を開いて説明した。陥没と工事の因果関係は「可能性は考えられる」としつつ断定は避けたが、調査が進むまで同様の工法で使われる掘削機4台の稼働を見合わせるという。 東京外郭環状道路(関越―東名)を施工する「シールド工法」によるトンネル工事で、9月14日に陥没現場の地下約40~50メートルを掘削機が通過した。壁面を固めながら掘り進むこの工法は、一般的に「陥没に強い」とされているという。 会見では、この1カ月間に周辺住民から工事の振動が原因とみられる外壁の損傷や、地面のひび割れなどの報告が数件寄せられていたと明らかにした。同社は現地の確認をしてきたが、陥没との関連は「断定できない」とした。 この工事は全工程の4割ほどを掘り進んだところだった。現時点で、他の掘削ルートの地表部で同様の陥没は見られていないという。同社は今後、ボーリング調査や地下水の成分分析に加え、周辺地域の地歴をあらためて確認する。工事の再開についてはめどがたっておらず、原因究明を進めた上で判断するとした。(大山稜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
美智子さま、86歳に 医療従事者らの努力に心寄せる
上皇后美智子さまは20日、86歳の誕生日を迎えた。宮内庁が発表した近況によると、新型コロナウイルスの感染拡大を気にかけ、外出を控えるなど上皇さまと静かな日々を過ごしている。医療従事者らの努力に心を寄せ、スポーツや音楽など活動を自粛する人々の置かれた厳しい状況を案じているという。 美智子さまは3月末に皇居から仙洞仮御所(東京都港区)に転居した。上皇さまと朝夕に庭を散策するのが日課で、これまでの日々を振り返って話をすることが多いという。庭には阪神淡路大震災の復興・鎮魂のシンボル「はるかのひまわり」、全島避難した三宅島噴火被災者から贈られた溶岩に施された寄せ植え、岩手県大槌町のハマギク、福島県の学童から送られた種を育てたアサガオなどが皇居から移され、これらの花々に水をやるなどして手入れをすることも日常の一部になっている。 朝食後に上皇さまと本を音読する習慣は続けており、多くの人から寄せられる手紙や著書などに目を通すのも日課だ。 体調については、5月以降、ほぼ毎日午後には体温が37度を超え、翌朝平熱に戻る症状が続く。昨春からの体重の減少は少し落ち着いたが、回復には至らず、心不全の診断指標のBNP値は高い状態という。最近は、乳がん手術後のホルモン療法が原因とみられる左指のこわばりがある。 7月の熊本県など九州地方などでの大雨被害では、犠牲者を悼み、被災者や被災地の様子を案じていた様子だった。東日本大震災の被災地の復興状況もいつも心に懸けているという。 美智子さまの日常の大半は、上皇さまに寄り添い支えることに費やされ、上皇さまが日々楽しく過ごせるようにきめ細かく心を配っている様子だという。(長谷文、杉浦達朗) 宮内庁、美智子さまの近況を公表 上皇后美智子さまの誕生日にあたり、宮内庁は近況を公表した。全文は次の通り。 本年3月31日、平成5年12月から26年余お住まいになった皇居吹上御所から仙洞仮御所にご移居になりました。 この頃から新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されたため、ご移居後はお出ましや人をお招きになることもなく、陛下とお二人で静かな日々をお過ごしになりました。この間、毎日、侍医や侍従に国内外の感染状況をお尋ねになり、永井皇室医務主管から説明をお受けになるなどして、この新しい感染症に注意を払ってこられました。そして、医療従事者、感染症専門家、国や自治体関係者の懸命の努力、感染リスクがある中で日常生活を支える市井の人々の献身に心をお寄せになり、生業を制限され、スポーツや音楽その他の芸能活動等を自粛する人々の置かれた厳しい状況を案じてこられました。 新型コロナウイルスの感染が依然として続いていることから、今年はすべてのお誕生日行事と恒例の御祝御膳もお控えになります。 沖縄慰霊の日、広島・長崎原爆の日、終戦記念日には、御在位中と変わりなく仙洞仮御所で陛下と共にご黙禱(もくとう)になり、また、宮中祭祀(さいし)が行われる時間はいつもお慎みになっていらっしゃいます。 本年7月、熊本県など九州地方等で大雨による洪水被害が発生しましたが、これまでと同様に報道を注視され、犠牲者を悼み、彼災者、彼災地の様子を案じていらっしゃいました。また、東日本大震災の被災地のその後の復興状況をいつもお心に懸けていらっしゃいます。 今年5月以降、ほぼ毎日、午後にお熱が37度を超え、翌朝に平熱に戻る原因不明の症状がおありで、今も続いています。安静になさっているわけではありませんが、やはり、ご移居前の長期間にわたる、時として早朝から夜遅くに及ぶお引き移りのためのお仕事のお疲れが未(いま)だおありだと拝察されます。 昨春からのご体重の減少は、少し落ち着かれたものの未だご回復に至らず、心不全の診断指標であるBNP値も高い状態が続いています。最近は、乳がんご手術後のホルモン療法によると思われる左手指のご不自由がおありで、ご移居後は数人の日本人作曲家の曲目を練習されることを楽しみになさっていらっしゃいましたので、おさびしいことだと思います。今まで出来ていたことを授かっていたこととお思いになるのか、お出来にならないことを「お返しした」と表現され、受け止めていらっしゃるご様子です。 陛下との朝夕のご散策では、これまでの日々を振り返られることが多く、昭和35年の徳仁親王殿下(当時)ご出産7カ月後のハワイを始めとする16日間に及ぶアメリカ各州、また、その2カ月後の28日間に及ぶイラン、エチオピア、インド、ネパールへの外国ご訪問、昭和、平成の時代にそれぞれほぼ二巡された地方へのご旅行(上皇后さまは昭和期の高知県、平成期の香川県ご訪問は1回)、心を尽くしてお務めになった宮中祭祀、ご家族で昭和天皇、香淳皇后と過ごされた日々、国民学校時代に同じ国定教科書で学ばれ、お二人とも特にご記憶が深い「巻雲」という雲や、「野菊」という唱歌のことなどを懐かしそうにお話しになっていらっしゃいます。時折の陛下のお尋ねに60年を超える歳月を共に歩まれた上皇后さま故にお答えになれるお話も多く、お二人で楽しそうに記憶を辿(たど)られるお姿は、お側(そば)で拝見していて何か長閑(のどか)で豊かさに包まれていると感じます。 軽井沢のユウスゲ、阪神淡路大震災の復興・鎮魂のシンボル「はるかのひまわり」、全島避難した三宅島噴火被災者から贈られた溶岩に施された寄せ植え、岩手県大槌町のハマギク、宇宙飛行士山崎直子さんと宇宙を旅したその種が福島県の学童に贈られ、更に子どもたちから両陛下に送られて育ててこられたアサガオ等々。御所からお移しになった仮御所のお庭に咲く花々をご覧になり、お手入れになることも、穏やかでゆったりとしたご日常の一部となっています。 また、ご散歩の時に出会われる上皇職、皇宮警察の職員と挨拶(あいさつ)を交わされたり、もしかして「アマビエ」が描かれた飛行機が空港に近い仮御所上空に飛ばないかと、大きな音がする空を見上げられたりすることもおありです。 平成の時代から続いているご朝食後の陛下とのご本の音読は今もお続けになっていて、山本健吉の「ことばの歳時記」をお読みです。 多くの方から寄せられる手紙や著書等に目を通されることもご日課となっていますが、コロナ禍で人々との交流が制限される中、平成の終わりに出版されたDVDブック「降りつむ」に収められた上皇后さまの映像付き詩のご朗読を視聴した方たちから、多くの反響の手紙が上皇職の事務やお手許(てもと)に届けられており、文字や映像と共にお声の持つ力に改めて驚かされています。 上皇后さまがお過ごしになるお時間の大半は、ご高齢となった陛下に寄り添ってお支えになることに費やされています。ご自身も決して万全なご体調ではありませんが、陛下にご不自由がないよう、また、日々を楽しくお過ごしになれるようきめ細かくお心を配っていらっしゃいます。お疲れになるのではと拝察することもしばしばですが、「こうした時のためにこそ自分がいるのだから」と仰せになり、終日、献身的に陛下のお世話をなさっています。 ご家族のことについては、公私の事を問わず、それぞれの方のご健康を願いながら、いつも遠くからひたすら静かにお見守りになっていらっしゃいます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
受注業者が1.6億円寄付 福島・田村、除染事業巡り(共同通信)
東京電力福島第1原発事故に伴う福島県田村市の除染関連事業を受注した業者16社が2018~19年度に、少なくとも計1億6820万円を同市に寄付していたことが19日、市の内部文書で分かった。 除染事業は国の予算で実施。複数の業者が「市長に近い同業者から、受注したら市に寄付するよう呼び掛けられた」と証言し、複数の市議会議員からは、業者を経由し国費の一部を市に還流させていたのではとの指摘が出ている。 文書によると、16社は2年間で1社につき50万~2500万円を寄付。いずれも除染廃棄物を運ぶ事業などを受注していた。 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
79歳女性死亡 殴る蹴るの傷害の疑いで同居の49歳娘逮捕 名古屋・緑区(CBCテレビ)
名古屋市緑区の県営住宅で79歳の女性の顔や胸を殴るなどしたとして同居する49歳の娘が逮捕されました。女性は死亡した状態で発見され、警察が因果関係について調べています。 逮捕された緑区桃山のパート北林典子容疑者は今月16日、県営住宅の一室で同居する母親・道子さんの顔や胸を殴るなどして肋骨を折る重傷を負わせた傷害の疑いが持たれています。 道子さんは19日自宅のトイレで倒れているのを北林容疑者によって発見されましたが、搬送された病院で死亡が確認されました。警察は、暴行の事実を認めた北林容疑者を傷害の疑いで逮捕しました。 調べに対し北林容疑者は「母が化粧品の片付けをちゃんとやらないことにカッとなってしまった」などと容疑を認めていることです。 警察は、死亡と暴行の因果関係を詳しく調べる方針です。 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
同じナシ園で2度目の盗難 埼玉県内相次ぎ5000個超(テレビ朝日系(ANN))
All Nippon NewsNetwork(ANN) 埼玉県上里町のナシ園で約150個のナシが盗まれました。このナシ園が被害に遭うのは今年2回目です。 19日午前9時前、上里町のナシ園で「ナシが盗まれた」と経営者の男性から通報がありました。警察によりますと、盗まれたのは「王秋」という品種約150個で、被害金額は約6万円相当ということです。 被害男性:「金額は元々、問題じゃなくって取られた方が悔しい。春先、ナシの仕事の応援に来てくれた人にあげたりする。そんなつもりで作っている品種だから、悔しい」 男性が11日に確認した際には約230個のナシがなっていましたが、17日に作業に来た際に被害が確認されました。このナシ園では先月も窃盗被害に遭っていて、警察は同一犯による犯行も視野に捜査を進めています。埼玉県内では農作物などが盗まれる被害が相次ぎ、現時点でナシ約5150個の被害が確認されています。 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
調布市の道路陥没…考えられる原因は?専門家に聞く(テレビ朝日系(ANN))
All Nippon NewsNetwork(ANN) 18日に東京都調布市で、住宅街の道路が陥没し、深さ約5メートルにも及ぶ穴が開きました。穴は19日朝までに埋められましたが、住民は不安を隠せません。実は、周辺では、先月から、異変が相次いでいたといいます。住民によりますと、陥没現場の一つ裏の通りにある複数の家で、縁石が沈んだり、壁にひび割れなどが起きたそうです。同じ時期には、揺れや騒音も多発していたといいます。 穴との関連が疑われるのは“東京外かく環状道路”、通称“外環道”の工事です。現在、関越道から東名高速につなぐ約16キロでトンネルが造られています。穴ができたのは、この区画の真上です。工事は“シールド工法”で行われています。シールド工法とは、先端に硬い金属の歯がついたシールドを回転させながら土を掘っていく技法です。削り取られた土砂は、ベルトコンベアで後ろに送られ、掘り進むと同時に、土砂崩れを防ぐコンクリートブロックが敷き詰められます。軟弱な地盤でも掘り進むことができ、海底トンネルや地下鉄の工事など、多くのトンネルで採用されている工法です。地下40メートルより深い場所で行われる外環道の工事に、地上の住民の許可は要りません。掘削用の重機が穴の真下を通ったのは、先月14日。住民が異変に気づいたのは、その直後だったといいます。ひび割れなどの現象とトンネル工事との因果関係はわかっていませんが、ネクスコ東日本は、穴を埋める仮の復旧作業をしたうえで、地下での工事を、いったん中止。ネクスコ東日本は19日午後3時から原因究明のための有識者会議を行い、午後から会見を行いました。 東京外環トンネル施工等検討委・小泉淳委員長:「因果関係があるか、初めから空洞があったか。それはこれから調べてみないとわからない。絶対これが原因なのか、断定するのは今の段階では早い。ただ、因果関係がないとは言い切れないし、急にこういうふうに落ちることはない」 6月には横浜市でも、陥没事故がありました。地下では、鉄道のトンネル工事がシールド工法で行われていて、機械が土砂を過剰に削り取り、地下に隙間ができたことが原因とされています。 東京外環トンネル施工等検討委・小泉淳委員長:「考えられるとしたら、もともと空洞があったか、土を多く取りすぎたか、どちらか。適正に土の量を取っていて陥没するのは考えられない。ということであれば、シールドが原因ならば、土を取りすぎたことが原因だと考えられる」 ◆土木工学専攻の東京工業大学・竹村次朗准教授に聞きます。 ※空洞があった可能性、過剰に土砂を取り込んだ可能性について 空洞というものは、元々安定していないので、もしあったとしたら、工事の振動によって、土砂が空洞部分に落ちて、陥没につながった可能性があります。ただ、工事が行われた約1カ月後に陥没が起きたので、プラスアルファのきっかけがあったと思います。もう一つ、陥没した原因として考えられるのが、過剰に土砂を取り込んだ可能性です。土砂を取り過ぎたことで、周辺の地中にゆがみが生じてバランスが崩れて、崩壊につながった可能性があります。深い場所での大工事ですので、過剰に取り過ぎてしまうケースが考えられる。空洞があるとわかっている場合は、事前に対策が取れるが、空洞の存在がわからない場合は、防ぎようがない。大きなシールド工事なので、今後の調査として、陥没現場だけでなく、周辺も詳しく調査をする必要があると思われる。 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
『飛鳥II』クルーズ再開へ 試験航海に密着(テレビ朝日系(ANN))
All Nippon NewsNetwork(ANN) 新型コロナウイルスの影響で運航を中止していた日本最大の豪華客船『飛鳥II』が19日、横浜港を出港しました。来月からの国内での運航再開に向け、関係者150人を乗せて、2泊3日で横浜-神戸間を往復します。 飛鳥IIでは、乗客の定員872人のところを当面、半数の400人程度に減らします。乗船前に唾液によるPCR検査を実施したり、万が一感染者が確認された場合はクルーズを中止にするなど、国土交通省が取りまとめた指針に基づいて感染防止策を定めています。 クルーズ船では今年2月に横浜港に到着した『ダイヤモンド・プリンセス』で集団感染が発生し、乗客乗員約3700人のうち、712人が感染、13人が亡くなりました。今回のクルーズでは、船内の感染症対策が適正に実施されているかどうか、日本海事協会のチェックが入ります。 審査員:「スタッフは働く前に体温を測る?」 責任者:「一日2回検温をして記録する。当然、就業前にもやってもらいます」 レストランでは、ビュッフェスタイルは中止し、1人ずつセットメニューが用意されます。また、紙のメニューは用意されておらず、QRコードを読み込んでスマートフォンで見ることができます。 郵船クルーズ・久次米一聡さん:「クルーの感染が非常に怖いので、クルーの健康を守ることには最大限の注意を払っています」 日本海事協会の審査員・福原智幸さん:「船員への教育も非常に行き届いている。日々ずっと(対策を)やっていかないといけないので、続けていくことがすごく大切だと思っています」 国内クルーズの申し込みは先月から始まっていて、郵船クルーズによりますと、売れ行きは好調ということです。 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
NHK、波紋呼ぶ剛腕改革 ネット上限撤廃に民放猛反発
ネット業務の突然の方針変更発表、大胆なコスト削減案の提案、異例の人事――。今年1月、NHK会長に就任した銀行出身の前田晃伸会長が次々と新方針を打ち出している。「新しいNHKらしさの追求」を掲げているが、内外から反発や波紋も広がっている。(宮田裕介、黒田健朗、守真弓) 「昨年、上限を定めた時の議論は何だったのか。同時配信の道を開くための方便だったのか」。日本民間放送連盟(民放連)の大久保好男会長は先月17日の会見で、NHKを批判した。 NHKは今春、テレビ番組を放送と同時にネットに流す「同時配信」の開始にあたり、ネット業務に関わる費用を受信料収入の2・5%とする上限を維持するとした。総務省や民放などからの、「民業を圧迫する」といった指摘を踏まえたからだ。 ところが先月15日、NHKはその上限を来年度から撤廃する素案を発表。必要額は今後、中期経営計画で示すという。前田会長は「絶対額で何に使うかを検証した方が、青天井でやりたいわけではないと分かってもらえる」と説明した。 方針転換に、民放各社からは反発が相次ぐ。日テレの小杉善信社長は民放とNHKの二元体制の維持は、協調と競争のうえに成り立っているとした上で「コロナ禍において(広告)収入が大幅に減少している民放と、受信料収入に裏打ちされているNHKでは、競争の大前提が崩れかけている」。フジテレビの遠藤龍之介社長は「突然撤廃されることに関しては少なからず違和感をもっている」と話した。 新たな動きは他にもある。前田… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
商業施設に逃げ込んだクマ、猟友会が射殺 石川・加賀
19日午前、石川県加賀市作見町の複合商業施設「アビオシティ加賀」に逃げ込んだツキノワグマは、同日午後9時過ぎ、地元猟友会によって射殺された。同市の幹部が朝日新聞の取材に答えた。 この間、施設は臨時休業し、盾やさすまたを持った警察官が慌ただしく出入りした。けが人はいないという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元関脇・嘉風、出身の佐伯市を提訴「PRのけがで引退」
昨年9月に引退した大相撲元関脇・嘉風(よしかぜ)の中村親方(38)が、出身地の大分県佐伯市をPRするために渓流下りをして大けがをし、引退を余儀なくされたとして、市などを相手取り、計約4億8千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。市への取材でわかった。市側は「市のPRとして依頼はしていない」と争う姿勢を示している。 市によると、渓流下りは「キャニオニング」と呼ばれ、乗り物には乗らずに岩肌を滑り降りるアウトドアスポーツ。佐伯市が観光施策として業者に委託し、藤河内(ふじがわち)渓谷で実施。7年間で4千人以上が利用したが、ほかに大きなけがをした人はいなかったという。 中村親方は現役力士だった昨年6月20日、市の委託業者のインストラクターとともに渓流下りを体験。その最中に右ひざに大けがをした。ドクターヘリで病院に搬送されたが、足首などにまひが残り、装具をつけなければ歩行も難しい状態となり、引退を余儀なくされたという。渓流下りには市職員も同行していた。 中村親方側は、市が誘致した部屋の一部力士の合宿の中で市のPRのために渓流下りをし、事故につながったと主張。一方、市側は「合宿は市が誘致したが、キャニオニングは市のPRのためではない」とし、双方の弁護士を通じて話し合っていた。 佐伯市の田中利明市長は中村親方が小学生のころから市相撲連盟の副会長や会長を歴任。田中市長は昨年10月の定例会見で「道義的責任を感じている。合宿そのものは市が誘致した。キャニオニングに行く前にも連絡があり、プロのアスリートだから気をつけていけよと(職員には)伝えた」と明かしていた。 田中市長は19日、朝日新聞の取材に「訴状の内容を精査し、対応していきたい」とコメントした。(佐藤幸徳、倉富竜太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル