東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が24日にも始まる。放出に強く反発してきた中国からは、すぐさま日本政府を批判する声が上がった。 香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官は22日午後、10都県の水産物の禁輸を、中国本土の人が見るSNS「微博」の公式アカウントでも公表した。 「食品の安全や環境汚染を顧みず、自身の問題を他人に押しつける無責任なもので、強く反対する」 この言葉遣いは、この数時間後の記者会見で、日本を一方的に糾弾した中国外務省の汪文斌副報道局長と極めて似た文言だった。 昨年5月、親中派が99・9%を占める選挙委員から選出された李氏は、大規模市民デモを強権力で抑え、習近平(シーチンピン)国家主席の信頼が厚いとされる。香港政府は、処理水問題でも中国政府と相談して決めるとの立場を早くから表明してきた。 香港が禁輸にする10都県に… この記事は有料記事です。残り2017文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「君がボス」 闇バイトに応募後、「ルフィ」から届いた依頼に被告は
京都市の時計店から腕時計(6900万円相当)を奪ったなどとして、五つの事件で強盗などの罪に問われた建設業、伊藤一輝被告(30)の裁判員裁判の第2回公判が22日、大阪地裁であった。「ルフィ」と名乗る人物の指示を受けたとする被告の役割を巡り、検察、弁護側が主張を交わした。 弁護側の冒頭陳述によると、伊藤被告は2018年ごろに建築会社を設立。7人ほどの社員を抱え、売り上げが1億円に達した時期もあったが、21年に離婚すると、2人の子の親権争いなどで仕事に手が回らず、借金を抱えた。被告は借金を返済しようと、ツイッター(現X)で募集していた闇バイトに応募すると、大津市の質店への強盗を指示されたという。 検察側が証拠として示した被告のメッセージアプリの記録によると、被告は当初、「キング」と名乗る人物とやりとりを始めた。キングは「(報酬は)最低200万です」「時計取れるだけ取ってください」などと被告に説明。その後、やりとりの相手は「ルフィ」と名乗る人物に変わった。被告が「ルフィさんはどの立場ですか」と尋ねると、ルフィは「トップです」と返答。ルフィからは「伊藤君がボスで動いてもらいます」と現場での指示役を依頼されたという。 弁護側の冒頭陳述などによると、被告らは22年3月13日、大津市の質店に強盗に入ろうとしたが、扉を壊せず失敗し、被告は建造物侵入未遂容疑で逮捕・起訴された。起訴後に保釈されたが、数日後、ルフィから「同じようなことをしないか」と京都の事件を持ちかけられたという。 被告は「さすがにできない」と断ると、ルフィから「じゃあ人を手配するだけでいい」と頼まれた。被告は「手配だけならいいか」と数人をルフィに紹介。だが、ルフィから「連絡がつかない」と言われ、「人を探し、その人たちに指示を伝えてくれ」と依頼されたという。 被告は昨年5月2日の京都事件で、実行役の男女らにルフィの指示を伝えたとされる。だが、ルフィから指定された場所に持参した時計が何者かに奪われたことなどから不信感を強めた被告は、ルフィとの関係を絶ったという。 弁護側は大津、京都の両事件とも、被告がルフィから「店の者とは裏でつながっていて、警察に捕まることはない」と説明されていたと主張。事件への関与は従属的で、「ルフィにだまされた面があった」と訴えた。 一連の事件で期待した報酬が得られなかったことなどから、被告は同月13~14日、犯行で知り合った男らに、大阪市北区での逮捕監禁致傷事件などを指示したとされる。検察側は被告の役割が実行役から指示役、首謀者へ変化していったと主張した。 京都事件を巡っては、フィリピンが拠点の特殊詐欺グループ幹部とされる今村磨人(きよと)被告(39)が「ルフィ」を名乗って指示したとして、強盗罪で起訴されている。 伊藤被告は京都・大津の両事件のほか、大阪市北区の逮捕監禁致傷など▽同市浪速区の強盗致傷▽大阪府守口市の公務執行妨害など、五つの事件で起訴され、これらの事件についても無罪などを主張している。(山本逸生) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「理解」得られた?東電の説明は 処理水放出始まっても廃炉見通せず
東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が24日にも始まる。放出に強く反発してきた中国からは、すぐさま日本政府を批判する声が上がった。一方で、処理水を放出したとしても、廃炉の完了は見通せないままだ。 22日午後に開かれた東京電力の記者会見では、放出の前提としてきた「関係者の理解」をめぐる質問が相次いだ。東電は2015年、福島県漁連に文書で「関係者の理解なしには処理水の処分を行わない」と伝えている。小早川智明社長もこの約束を「しっかり守りたい」としてきた。 東電は、関係者の理解を得たと判断したのか。 そう問われた処理水対策責任… この記事は有料記事です。残り612文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪談合、セレスポ専務が保釈 逮捕から196日 無罪主張へ
2023年8月22日 20時47分 東京五輪・パラリンピックをめぐる談合事件で、東京地裁は22日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪で起訴されたイベント制作会社「セレスポ」専務の鎌田義次被告(60)の保釈を認める決定を出した。鎌田被告は1800万円の保釈保証金を納付し、2月の逮捕から196日目となる同日、東京拘置所から保釈された。 6度目の請求で保釈 弁護人「人質司法だ」 鎌田被告は保釈後に弁護人と会見を開いた。10月に予定される初公判では起訴内容を否認して無罪を訴えるとし、「五輪事業に賢明に取り組んできた。裁判でしっかり主張したい」と述べた。今回の保釈は6度目の請求で認められ、弁護人は、否認すれば勾留が長引く「人質司法そのものだ」と批判した。 この事件では、大会組織委員会大会運営局の元次長・森泰夫被告(56)と、広告最大手「電通グループ」、セレスポなど法人6社、鎌田被告を含む各社の担当幹部ら6人が起訴された。組織委が競技会場ごとに発注したテスト大会や本大会の運営業務について、2018年に受注予定業者を事前に決めて競争を制限したとされる。 受注調整を否定 鎌田被告の弁護人の郷原信郎弁護士によると、公判では、組織委の依頼で入札に参加したが、各社で合意して受注予定者を決定した事実はないほか、入札参加をめぐって組織委から制約は受けておらず、各社の判断で入札した、などと主張するという。 また、セレスポの担当者が社内の役員会議で「電通と組織委が割り振りして、道筋をつけてくれています」などと述べたとする供述調書についても、「録音などの客観証拠はなく、そのような発言は会議で出ていない」として調書の信用性を争うという。 検察側は森元次長の公判などで、鎌田被告は森元次長や電通の担当者と面談するなどして受注調整したと主張している。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原発処理水、今年度は3.1万トンを4回に分け放出 東電が作業開始
東京電力福島第一原発の処理水の海への放出について、政府は22日、首相官邸で関係閣僚会議を開き、早ければ24日に放出を始めることを正式に決めた。東電は22日、今年度の放出計画を発表。汚染水を処理した後に貯蔵するタンク約30基分にあたる計約3万1200トンを、4回に分けて放出するという。 会議で岸田文雄首相は「廃炉を進め、福島の復興を支援するためには処理水の処分は先送りできない課題だ」と強調。気象などの支障がなければ24日に放出を始めると表明した。放出について「国際社会の正確な理解が広がりつつある」と説明。風評被害対策の基金創設などにも触れ、「風評や漁業者のなりわい継続の不安に対処すべく、たとえ今後数十年の長期にわたろうとも処理水の処分が完了するまで、政府として責任をもって取り組む」と述べた。 決定を受け、東電は放出に向けた作業を始めた。1回目は、すでにトリチウム以外の放射性物質の濃度が基準を下回ることを確認した約7800トンを約17日間かけて放出する。その際、放水口周辺でのトリチウム濃度の測定頻度を強化する。1リットルあたり700ベクレルを超えると放出を止める。 東電によると、今年度に放出… この記事は有料記事です。残り411文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ビッグモーター店舗前から除草剤成分 福岡県が被害届提出へ
添田樹紀2023年8月22日 17時24分 中古車販売大手「ビッグモーター」の店舗前の街路樹や植栽が枯れるなどしている問題で、福岡県の服部誠太郎知事は22日、県が管理する道路沿いで、一部の店舗前の土壌から除草剤の成分が検出されたとして、県警に器物損壊容疑で被害届を出す考えを示した。 県によると、県道沿いで、街路樹が枯れたりなくなったりしている春日店(春日市)と小郡店(小郡市)前にある植樹帯の土壌を調べたところ、除草剤に含まれる代表的な成分「グリホサート」が検出された。 春日店は県に対して除草剤を使用していたことを認め、原状に戻す意思を示している。小郡店前の土壌については、店舗前の道路を2021年まで管理していた小郡市が使った除草剤が原因の可能性もあり、引き続き調査するという。 服部知事は「県民の財産である街路樹が故意に切られたり枯らされたりしていたとすれば非常に遺憾だ」と話し、原因者がわかれば損害賠償請求も検討するとした。(添田樹紀) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新しいけれど懐かしい 田園風景を走るLRTに記者が乗車体験
道路の真ん中をまるで滑るように進む黄色と黒の車体――。宇都宮市などで26日に開業する次世代型路面電車(LRT)の報道機関向けの試乗会が21日にあり、愛称「ライトライン」の乗り心地を記者が初めて体験した。 宇都宮市の平石トランジットセンター(乗換駅)を出発し、始発駅となる宇都宮駅東口へ。そこから約14・6キロ離れた終点の芳賀・高根沢工業団地駅まで向かい、もう一度平石に戻る。約2時間のコースだ。 乗換駅を出発すると、すぐに高架の坂道にさしかかった。傾斜を上りながら、ぐんぐんスピードを上げていく。 思い出した運転士の言葉 「新しい車両だけあって、加速がいいんです」。数日前に取材させてもらった運転士の清水建太郎さん(33)の言葉を思い出した。 運転席と客席の間に仕切りはなく、運転士の手元も見ることができる。 左手のレバー一つでアクセルとブレーキの両方を操作するのが、LRTの特徴だという。速度メーターをみると、時速は40キロ。運転士は目の前の複数のモニター画面にも気を配っている。 道路上を自動車と並走しながら、車両は宇都宮駅東口へ。大きな窓からビルの風景が後ろへ流れていく。車両は、まるで滑るようなスムーズさで駅に到着した。 窓に近づきシャッターを切る少年たち 駅に着くと、一眼レフのカメ… この記事は有料記事です。残り669文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同僚女性に毒入りの液体を飲ませた疑い 放射線技師の男を逮捕
増山祐史2023年8月22日 17時51分 同僚の女性に毒成分入りの液体を飲ませた疑いがあるとして、警視庁は、診療放射線技師の男(27)=東京都足立区=を傷害の疑いで逮捕し、22日発表した。「持っていた薬物が混ざってしまっただけだ」と容疑を否認しているという。 尾久署によると、男は6月8日午前、勤務先の都内の病院で、毒成分のアコニチンを溶かした液体を、同僚の20代女性のペットボトル内に注射器を使って注入。女性にペットボトル内の飲料水を飲ませて急性毒物中毒などの傷害を負わせた疑いがある。 体調不良を訴えた女性が不審に思い、「飲み物にゴミが浮いていた」と6月中旬に署に相談。捜査員が警戒していたところ、男が再び女性のペットボトル内に注射器で液体を入れる様子を目撃したという。 同署によると、男は粉末状のアコニチンをインターネットで購入しており、職員の待合室で人がいない隙をみてペットボトルに混入したとみられるという。女性に好意を抱いていたといい、同署は動機を調べている。(増山祐史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
塾講師からの性被害、どう防ぐ 専門家が指摘する「親の重要な役割」
大手中学受験塾「四谷大塚」の元講師が、在職中、教え子の女児を教室に呼び出し、わいせつな言動をさせたうえ盗撮した疑いで逮捕された。塾では大人と子どもが1対1になる場面も少なくない。性被害から子どもを守るにはどうすればいいのか。子どもの性被害に詳しい桜井鼓(つつみ)・追手門学院大准教授(犯罪心理学)に聞いた。 ――学習塾では、講師が子どもの体を触ったり、盗撮したりといった事件がたびたび起きています。防ぐ方法はありますか。 四谷大塚の事案について詳細を把握しておらず、これを受けて塾が取るべき対策には事案の内容によるので一概には言えません。ただ、過去の性被害の事案を踏まえて言えるのは、子どもが「いやだ」といえるようにすることが、予防につながるということです。 加害者に直接「いやだ」と言うこと、その場から逃げること、加害行為がエスカレートする前に少しでも「いやだ」と思ったら大人に相談することが大事だと、日ごろから言い聞かせておく必要があります。特に一緒にいることの多い保護者はこうした相談の受け手になりやすく、重要な役割があると言えます。 「何となく不快」 相談するよう言い聞かせて ――保護者が子どもに伝えておくべきことは。 水着で隠れるところなど、体の「プライベートゾーン」は他人に触らせないことをよく言って聞かせることです。そのうえで、自分が「いやだ」と思ったことは何でも話していいと、よく言い聞かせてほしいですね。 性的な被害に発展する前兆として、頭や手などプライベートゾーン以外への接触が増えるというケースがあります。この時点で保護者が把握できれば、被害を未然に防げるかもしれません。接触が頻繁になるなど、子どもが「何かおかしい」「何となく不快だ」と感じたら何でも相談するよう言っておくとよいでしょう。2人きりのときに無断で撮影されるといった場合なども同様です。 SNSで講師とつながり 「基本は控えた方が」 ――塾講師や教員など子どもと接する立場の大人が、SNSなどで個人的に子どもとつながろうとするケースもあるようです。SNSやスマートフォンの管理はどうするべきですか。 子どもと2人きりになるためにSNSを悪用する大人もいるので、基本はつながること自体を控えた方が良いと思います。ただ、保護者が全てのやりとりをチェックするのも物理的に難しく、保護者に断らずに大人とやりとりする子もいるかもしれません。 その場合に備え、トラブルなどがあったら保護者に相談するよう言い聞かせておくのがいいでしょう。 その際、大事なのは、普段からよく話を聞くよう心掛けるなど、子どもと何でも正直に話せる関係を築いておくことです。その方が、保護者がスマホの使い方を厳格に管理するより被害に遭いにくいという研究もあります。 SNSなどでのやりとりで対処が必要なのは、大人の側が2人きりで会おうとするケースや、性的な言動をするケースです。内容を問わず「誰にも言っちゃ駄目」などと口止めをしてきた場合も注意が必要です。 子どもが打ち明けにくい場合も ――子どもが恥ずかしく思ったり、加害者との関係が崩れるのを恐れたりして相談しにくいこともあるのでは。 そういうことがないように、子どもが話しやすい関係性を普段から築いておくのが大事ですが、どうしても打ち明けにくいということもあるでしょう。 そこで、子どもをよく観察することも意識してほしいと思います。 いつもより元気がないとか、ものを食べない、口数が少ない。そんなちょっとした変化を見過ごさず、「何かあったの」と声をかけてほしい。 何度も体を触られている子は、触れようとする手をとっさに避けることもあります。そうした異変も見逃さないようにしたいものです。 ■子どもの相談、聞き流さない… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
犯罪収益9千万円をマネロン疑いで5人を逮捕 警察庁の捜査隊が解析
野口駿 仁村秀一2023年8月22日 14時00分 詐欺で得た約9千万円を暗号資産に換金し、海外の取扱業者に送り「資金洗浄(マネーロンダリング)」したとして、埼玉、京都、福岡などの9府県警は22日、男女5人を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の容疑で再逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。マネーロンダリングの流れは、警察庁が昨年4月に新設した「サイバー特別捜査隊」が最新技術を活用して解明したという。 捜査関係者によると、逮捕されたのは宮城、滋賀、京都、福岡、熊本の5府県の20~40代の男女5人。5人は別の人物と共謀し、2021年8月~22年1月ごろの間に複数回、詐欺行為で得た犯罪収益を国内で暗号資産に換え、海外の取扱業者の口座に送って隠した疑いがある。9府県警は今後、サイバー特別捜査隊と連携し、暗号資産の行方を解明する方針。 捜査関係者によると、暗号資産に交換された現金は、詐欺事件の被害金の可能性が高いという。警察は5人の上位に指南役がいるとみて調べている。 警察は7月、フリーマーケットアプリ「メルカリ」と「ヤフオク!」のアカウントを持つ人をウェブ上の「闇バイト」で募ってメルカリの約150のアカウントなどを悪用して架空の取引を繰り返し、出品者に支払う代金を運営者に立て替えさせて詐取し、他人名義の多数のクレジットカード情報で商品を買って転売したなどとして5人を電子計算機使用詐欺容疑で逮捕。被害総額は計約1億800万円に上るとみている。(野口駿、仁村秀一) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル