ドーン。降り続く雨に危険を感じ、自宅から避難しようと玄関に向かった時、轟音(ごうおん)が響いた。その途端、濁流が木造2階建ての壁を突き破った。「助けてくれ!」。泥水に顔がつかりながら、暗闇の中で叫んだ。 鍵中伸夫さん(74)の人生はあの夜、一変した。 2018年7月6日夜、約4… この記事は有料記事です。残り829文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「もう外していただいて…」 かぶり物で市長がスイカまつりをPR
岩手県滝沢市の武田哲市長は5日の定例会見で、スイカのかぶり物をつけて、8月11日に開く「滝沢スイカまつり」をPRした。 会見の途中、スイカまつりの発表になったところ、武田市長はおもむろにかぶり物をつけ始めた。質疑応答で、記者に「もう外していただいて」と促され、恥ずかしそうにかぶり物を脱いでいた。 昨年11月に就任したばかりの武田市長。PRのために体を張る一方、「ふざけていると思われないか少し心配」と照れ笑い。今後、公開予定の市のユーチューブ番組でも、かぶり物をつけてスイカをPRしているという。 滝沢市は県内一のスイカの産出額を誇る。スイカまつりは8月11日午前5時から開かれ、市内の農家から直接スイカを購入できる。4千人の来場を見込み、例年、午前8時ごろには売り切れてしまうという。(小泉浩樹) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
経験超えた2度目の被災 19人が犠牲、リーダーが刻んだ教訓と責務
激しい濁流が地区を襲い、住民の命を奪ったあの日から、6年がたった。 復旧工事が進む福岡県朝倉市の松末(ますえ)地区で5日、伊藤睦人(むつと)さん(78)はそっと目をふせた。 「あなた方の死を無駄にはしない。再生に向けて頑張るから見守って下さい」 そう心の中で唱えた。 伊藤さんは教員を退職した後の2012年、松末地区のコミュニティ協議会の会長になり、住民たちのまとめ役を担ってきた。 その夏、福岡、大分、熊本の3県で30人が亡くなる豪雨災害が起きた。 大分県境に近い松末でも山が崩れ、集落が孤立。「一生に一度あるかないかの災害」と言われた。 その後は、災害発生時に支援が必要な住民や危険な場所を整理し、避難訓練を重ねた。 小学校の運動会で「担架リレー」を住民種目とし、毛布と棒で人を運ぶ練習もした。 「これで大丈夫と思っとった。まさかあれより大きいのがくるとは」 ドアを破ってきた濁流、家や車も流された 17年7月5日は昼から土砂… この記事は有料記事です。残り1365文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「気づくと、電通」脱却できない依存体質 東京五輪取材班が見た実態
東京五輪・パラリンピックの汚職を受け、2030年冬季大会招致を目指す札幌市は、不正の再発防止策の検討を進める。だが、6月末に市が公表した見直し方針案では、「電通依存」から脱却できない体質が浮き彫りになった。五輪ビジネスにおける電通の存在感とは、どのようなものなのか。 札幌市の大会見直し方針案 東京大会をめぐる汚職・談合事件を踏まえ、組織委員会理事の一部を公募するほか、組織委を監視するための第三者機関設置などを盛り込んだ。スポンサー集めについては、「代理店への過度な依存を防止する」とした。だが、東京大会で電通が選ばれ、不正の温床を引き起こしたと問題視された専任代理店への言及はなかった。 「我々もわからないことだらけでやっていた。困っていると、電通の人脈にぶち当たる。そうやって電通依存になっていくんです」 そう証言するのは、16年の東京大会招致に関わっていた東京都関係者だ。 当時、大量の関連イベントを打ってきたが、ややこしい案件は広告会社に頼らざるを得ない。しかし、お願いできる会社は限られていた。 特にスポーツとなると、圧倒的なノウハウと人脈を持っているのは電通だったという。 スポンサー集めについても、「電通抜きでやるということはあり得なかった。招致委員会では、電通からの出向者が幅を利かせていた」と振り返る。 16年の招致は失敗に終わったが、東京は20年大会招致に成功。大会本番に向けた準備にも携わったこの関係者は言う。 「気づくと、電通頼みになっている。30年冬季大会の招致を進める札幌市も同じ道をたどるのではないか」 電通への依存体質は20年東京大会の招致が成功し、大会の組織委員会が立ち上げられても変わらなかった。 「電通の出先機関」という皮肉 組織委は、電通をマーケティ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
草刈りケイスケは議員を目指した 災害ボランティアからよそ者が挑戦
「草刈りケイスケ」は議員を目指した。5年前に災害ボランティアとして初めて飛び込んだ、その土地で――。 小林慧輔(けいすけ)さん(36)は千葉県松戸市生まれの元建設会社員だ。小学生の時に母を病気で亡くした。 自身も病気で中学はほとんど登校できず、通信制の高校を7年かけて卒業した。 2018年7月、西日本豪雨のニュースが飛び込んだ。急に胸が締め付けられた。 千葉から西へ1千キロ近く。テントを用意して広島県呉市安浦町に向かった。 「陸の孤島」 目の前の惨状に足がすくむ 鉄道や道路が寸断された「陸… この記事は有料記事です。残り1243文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「2時間後に停電します」電気代請求する自動音声の電話、詐欺でした
西岡矩毅 太田悠斗2023年7月5日 19時56分 6月に入り、福岡県内で九州電力やNTTをかたる自動音声を使い、特殊詐欺を狙う不審電話が増えている。電話は、固定電話だけでなく、スマホにもかかっている。県警は「新手の方法」と注意を呼びかけている。 6月20日夕、新宮町の一人暮らしの70代女性が帰宅すると、固定電話に留守電が入っていた。「電気料金の未払いで2時間後に停電します」。自動音声だった。「『1』を押して担当につないでください」と続いた。女性は詐欺電話を疑い、粕屋署に通報。被害を免れた。 県警によると、1月から6月15日時点で、県内で確認した自動音声を使った特殊詐欺を狙う不審な電話は約50件。電話会社や電力会社などをかたった自動音声が多い。各社は自動音声で顧客に電話をかけることはないという。 固定電話だけでなくスマホにも 注意を 同様の電話の県内での認知件数は1~4月は数件だったが、5月は約10件、6月は約20件と急増している。こうした詐欺電話は固定電話にかかってくると思い込み、携帯電話やスマホにかかってくると「本物」と信じてしまう傾向もあるようだ。 実際に被害も出ている。3月、福岡市内の60代男性の携帯電話に自動音声で不審な電話があり、案内に従って番号を押すと、担当者をかたる人物につながった。この人物の指示通りにコンビニで電子マネーカードを購入し、90万円分をだまし取られたという。 県警担当者は「自動音声を使った手口はこれまで(県内で)少なかった。相手に不安を募らせ、焦らせてだまそうとしている。落ち着いて対応してほしい」と呼びかける。(西岡矩毅、太田悠斗) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
歌舞伎町で売り上げ500億 違法カジノ店摘発の背景に「勘違い」
東京・歌舞伎町にあった国内最大規模の違法ネットカジノ店の収益を受け取ったとして、警視庁は5日、指定暴力団住吉会傘下組織幹部の金井忍容疑者(50)ら3人を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の疑いで逮捕した。ネットカジノ店の収益を受け取ったとして暴力団組員が逮捕されるのは異例という。 捜査関係者への取材で分かった。金井容疑者は2019年~23年1月、東京都新宿区歌舞伎町2丁目にあったネットカジノ店「SEXY」などの売り上げのうち、約5千万円を「みかじめ料」として受け取ったほか、別の2人と共謀して他に「用心棒代」として約600万円を受け取った疑いがある。警視庁は5日、同区内にある傘下組織の事務所を同容疑で家宅捜索した。 警視庁が今年1月に店を摘発していた。同庁は、店が05年以降の17年間で500億円近くを売り上げ、一部が暴力団側に流れたとみている。 パソコン35台で24時間営業 捜査員に踏み込まれた店内では 捜査関係者によると、パソコンで完結するネットカジノ店は、違法賭博の証拠が残りにくく、捜査は「特に難しい」と言う。「SEXY」の摘発は、長期間の内偵に偶然も重なって実現した。 捜査関係者によると、店が歌… この記事は有料記事です。残り356文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
羽田の発着枠も… 人事めぐる会議、元官僚がちらつかせた古巣の権限
東証プライム上場の「空港施設」社。その代表取締役に誰が就くか。社幹部らによる会議は紛糾していた。 2021年5月31日。人事案を諮る「指名委員会」の開催が目前に迫り、タイムリミットぎりぎりだった。 引き金は、国土交通省OBで取締役(当時)の山口勝弘氏(64)が国交省側の意向だと主張し、自身の副社長就任を要求したこと。 同社の社長には長年、国交省OBが就いてきた。流れをかえて民間出身者を社長と会長に据え、新たなスタートを切る方向で議論が進んでいた矢先の要求だった。 「山口さんが副社長に自薦でなることについて、どういう理由を考えておられるかがよくわからない」 出席者の戸惑いを受け、山口氏が口にしたのは、航空大手2社の名前だった。 日本航空(JAL)とANAホールディングス(ANAHD)。空港施設社の主要株主だ。 趣旨はこうだった。 2社の「トップにつながる方」と話をしている。山口氏が代表取締役に就く案に「異議はない」と確認済みだ――。 「奴隷のように言うことを…」 民間出身者が社長に就けば、国交省側からみれば、半世紀にわたり省OBが占めてきたポストを失う形になる。 国土交通省OBの人事介入問題の実態や背景に、関係者への取材や入手した記録で迫るA-stories「令和の天下り」の2回目。民間企業に天下ったOBは会議の場で航空業界における古巣の強大な権限に言及しました。 「大丈夫ですかと、そこはも… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「市が水害対策怠った」 3年前の豪雨被災地の住民ら70人が提訴
2020年7月の豪雨で大きな浸水被害を受けた福岡県大牟田市三川地区の住民ら70人が5日、市が水害防止策を怠っていたなどとして、市に総額5億5440万円の損害賠償を求める訴えを福岡地裁大牟田支部に起こした。 大牟田市では20年7月6日に大雨のピークがあり、市内で2人が死亡。994棟の家屋が全半壊し、床上・床下浸水が2152棟にのぼった。 訴状などによると、三川地区ではポンプ場が配電盤とエンジンの浸水で停止し、甚大な被害が出た。ポンプ場の設備は40年以上更新されておらず、排水能力が市の計画値の43%だったことなどが被害拡大につながったと主張している。 長時間の浸水で健康被害や精神的被害を被ったり家屋の床や柱が腐食したりしたなどとして、36人が各1100万円、21人が各550万円、13人が各330万円の損害賠償を求めた。死亡した2人のうち1人の遺族も原告団に加わっている。 三川地区は鍋底状の地形で過去にも浸水被害があり、住民は20年の水害以前から市に対策を求めていた。 被災住民が今年1月に被害者会をつくり弁護団が発足。市と文書をやりとりして面会による説明の場を求めたが、市は文書回答のみだった。弁護団は「回答書では市は対策を怠っていたことを認めていないし、住民との協議の場さえ拒否し、誠意を欠いた対応と言わざるを得ない」と批判している。 大牟田市の関好孝市長は「訴状が届いていないためコメントは差し控える。市として真摯(しんし)に対応したい」とのコメントを出した。(西田慎介) ■原告団長「最後まで戦う」… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「仕事のしすぎだと認めてもらえたよ」教諭過労死、妻が判決後に会見
有料記事 小西良昭 佐藤美千代2023年7月5日 20時00分 富山県滑川市立中学校の男性教諭が過労死した責任を、遺族が問うた裁判の判決で、富山地裁は市と県に賠償を命じた。遺族側は「パーフェクトな勝訴」と歓迎し、長時間勤務が当然視されてきた学校を「安心して働ける職場に変えるきっかけに」と訴えた。 判決後、原告で教諭の妻と代理人の弁護士らが富山市内で記者会見した。 裁判を起こすのはかなり勇気がいったという妻は「家族との時間を犠牲にして部活動指導などで働いたのを(教員の自主的な活動ではなく)仕事として認められたのはうれしい」と振り返った。 続けて、「こういう働き方はおかしいと、もっと早く夫自身や全ての教職の方が自覚してくれれば、こんなことは起きなかった」と悔やんだ上で、現場の教員たちに向けては、声を詰まらせてこう語った。 「働き方、生きているみなさんは変えられる」 「いま一度自分の働き方に疑… この記事は有料記事です。残り844文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル