米国が太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁で行った核実験で島民や漁船員らが被曝(ひばく)したビキニ事件について、日本とマーシャルの生徒がオンラインで交流しながらサイトを作った。1954年3月1日の水爆実験からまもなく70年。風化が進む「核の記憶」の共有と継承を、国境を超えて進めている。 「身近にいる人たちと核や気候の話になりますか」。月1、2回行っているオンライン会議。神奈川学園中学・高校(横浜市)の生徒が質問を投げかけると、首都マジュロにある私立コープスクールの生徒が「学校で働く人や親戚の人に話を聞きました」と答えた。 核被害、オンラインで発表し合う 両校の交流が始まったのは4年前。最初は手紙、そしてオンラインでつながった。互いの国で起きた核被害について調べて結果を発表し合う。その成果を「デジタルアーカイブ」(marshall.reearth.io)にまとめた。 サイトを開くと地図が広がる… この記事は有料記事です。残り1094文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大切にしてきた景色は今や人気スポット 自然保全の先駆け逝く
美しい風景を思い続けた50年だった。 市民が寄付金で土地を買い取るなどして自然や景観を保全するナショナルトラスト運動の国内の先駆けとなった和歌山県田辺市の「天神崎の自然を大切にする会」の相談役、玉井済夫(すみお)さんが18日、市内の病院で亡くなった。85歳だった。 1974年の会の発足時からのメンバーで、会の創立50周年記念誌をほぼ完成させたところだった。 「子どもたちが天神崎に親しんでくれている。この運動が続く限り、身近な自然を大切にする思いは引き継がれていくと思う」 生前、玉井さんはこう振り返っていた。 南米ボリビアの「ウユニ塩湖」のようだと数年前から人気の天神崎で、別荘開発計画が持ち上がったのは1970年代だった。 新宮市で生まれた玉井さんは… この記事は有料記事です。残り1140文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
京都・嵐山に歌川広重も描いた名所が復活 雨の後だけ出現「幻の滝」
藤原定家ら多くの歌人に愛され、和歌に詠まれた京都・嵐山の「戸無瀬(となせ)の滝」。近年は樹木で覆い隠されて知られぬ存在になっていたが、地元観光関係者らが復活を目指して取り組んできた。水量が減って雨が降った後だけしか見られないことを逆手に取り、「幻の滝」として新たな観光名所にしたいと意気込む。 戸無瀬の滝は渡月橋の上流、大堰(おおい)川(桂川)右岸の国有林内にある。幅1メートルほどの小さな滝だが、かつては約85メートル下の川面まで、3段になって流れ落ちていた。郷土資料収集家の金久孝喜さんによると、昔の大堰川は水量が多くて流れも速く、戸を立てても水に流されて無くなることから別名・戸無瀬川と呼ばれたという。 戸無瀬の滝は古来より歌枕として知られ、藤原定家は「となせ河玉ちる瀬々の月をみて心ぞ秋にうつりはてぬる」と詠んだ。歴史書「増鏡」は、後嵯峨上皇の離宮から戸無瀬の滝を望むことができたとし、「いみじき絵師といふとも、筆も及びがたし」と絶賛。離宮の跡地に創建された世界遺産・天龍寺の庭園は戸無瀬の滝を借景として造られたと言われ、江戸時代には歌川広重が浮世絵に描くなど、戸無瀬の滝は長い間、渡月橋と並ぶ嵐山有数の観光名所だった。 しかし、明治以降にかつて天… この記事は有料記事です。残り448文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10代だった僕の首を絞めた母へ 「待たせてごめん」48歳の卒業式
岐阜県内各地の公立高校で3月1日、卒業式がある。県立華陽フロンティア高校(岐阜市)の通信制課程で卒業生を代表して卒業証書を受け取るのは、山田智也さん(48)。10代のころは学校で机を投げて暴れ、教師にも母にも反発した。「長い間、待たせてごめんなさい」。母への感謝を胸に、式に臨む。 34年たった今も、忘れられない光景がある。中学の卒業が迫ったころ。いつものように自宅で母と言い争っていると、いきなり母に首をつかまれた。「あなたを殺して私も死ぬ」。ベッドに体を押しつけられて「死ぬ」と思った。その瞬間、「産んでくれた親にそんな言葉を言わせた。悪いな」との思いがよぎり、目尻に涙がにじんだ。母の手が緩んだ。 中学時代は教師に反発して胸ぐらをつかみ、飲酒や喫煙で補導された。校内で何かトラブルがあると教師に呼び出され、「ぬれぎぬ」を着せられたことも。だから、学校で机を投げて暴れた。母は何度も学校に呼び出され、周囲に悩みを相談していた。 数学と理科は得意だったが、内申点は芳しくなかったと思う。公私立の4高校を受験して落ちて、そのまま社会人になった。20歳のときにガス機器の施工・修理業者として独立。結婚して3児の父になった。 「お父さんも高校行ってないのに…」長男の一言で通信制へ 華陽フロンティア高校の門を… この記事は有料記事です。残り1054文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地震で骨折、痛みに耐え再起 輪島塗の塗師屋「ピンチをチャンスに」
能登半島地震で負傷したけがの痛みに耐えながら再起に挑む伝統工芸品「輪島塗」の塗師屋(ぬしや)が、石川県輪島市にいる。 「わじま龍作」ブランドを展開する池端漆香堂の社長・池端龍司さん(56)。塗師屋として、輪島塗の製造から販売までを請け負っていて、3人の職人を抱える。 地震があった1月1日、池端さんは工房兼店舗の1階にいた。建物は1階部分が潰れ全壊した。どうやって逃げ出したか思い出せないが、気づいた時には屋外にいた。右肩を2カ所、骨折していた。 すぐに病院へ行ったが、地震後の混乱で、痛み止めはなかった。自分より重傷の被災者もいたため、我慢することにした。 倒壊した店舗には、正月前に百貨店などから戻ってきた作品や、製作に半年から1、2年かけた完成間近の作品が残っている。窓や建物の隙間から、大きな輪島塗のテーブルや椀(わん)なども確認できた。 骨折した右肩は、2カ月近く経った今も痛みが残る。医者からは手術が必要な状態だと言われているが、作品が心配なので、店から離れることはできなかった。 このほど、知人の紹介で、重機を使って倒壊した建物から作品を取り出す作業のめどが立った。4月10日には、東京の日本橋三越本店で販売会があり、約300点を出品する。同月には仮工房で作業を始める予定だ。 池端さんは「ピンチをチャンスに変えたい。マイナスからのスタートだが、輪島塗の良さを被災前より広めたい」。(上田幸一) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
118段は「日本一」 約600体のひな人形が登場 伊豆稲取の神社
南島信也2024年2月28日 7時00分 静岡県東伊豆町稲取の素盞嗚(すさのお)神社に、「日本一の段数」とされる118段のひな壇飾りが展示されている。神社の本殿に向かって伸びる急な石段にひな人形約600体とつるし飾り20対が置かれ、訪れた観光客らはその圧巻な様子を感激の面持ちで見上げていた。 稲取地区の伝統行事「雛のつるし飾りまつり」を盛り上げようと、町民らがひな人形を持ち寄って2014年に始まった。稲取温泉旅館協同組合の関係者ら7~8人が期間中、毎朝1時間ほどかけて並べ、午後3時になると片付ける。雨の日を除き3月10日まで見ることができる。 また下田市蓮台寺の天神神社も同じ118段のひな壇飾りを3月24日~4月7日まで展示する予定で、両神社とも仲良く「日本一の段数」を名乗っている。(南島信也) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ブラジル人姉妹殺害し部屋に放火、被告に無期懲役判決 名古屋地裁
高橋俊成2024年2月27日 20時09分 愛知県半田市の県営住宅で2015年、ブラジル国籍の姉妹が殺害された事件で、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた妹の元内縁の夫でペルー国籍のラ・ロサ・ビテ・エドガルド・アントニー被告(37)の裁判員裁判で、名古屋地裁は27日、求刑通り無期懲役判決を言い渡した。吉田智宏裁判長は「結果は誠に重大。(火災の)発見が遅れれば他の住人にも被害が及びかねない危険性が高かった」と非難した。 被告は捜査段階からほぼ黙秘していた上、直接証拠が乏しい中、検察側は状況証拠を重ねて有罪を主張。一方、弁護側は刑事責任能力がなかったなどとして無罪を訴えた。 判決は、被告には元内妻との間に交際を巡るトラブルがあったとし、これが殺害の動機になり得たと認定。その上で、火災発生時刻ごろに被告が現場周辺にいた▽事件当夜、被告と一緒にいた娘2人が警察官の職務質問に対し、事件の概要を知っているとの趣旨の話をした――ことなども踏まえ、「被告が犯人だと推認できる」と結論づけた。 また、判決は、姉妹と居合わせた娘2人らを火災現場から退避させるなどした被告の行動について「合理的で、完全責任能力があった」と指摘。弁護側の訴えを退けた。 判決によると、被告は15年12月30日、元内妻のアマリリア・マルヤマ・キンベルリ・アケミさん(当時27)と姉ミシェリさん(同29)の自宅で、2人の首を圧迫して殺害。ガソリンをまいて火を放ち、遺体ごと部屋を焼損した。(高橋俊成) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
強奪の5千万円、意中のホストに費消か 強殺容疑で30歳女を再逮捕
名古屋市中区新栄2丁目のマンションの一室で昨年11月、住人の古物商阿部光一さん(当時42)の遺体が見つかった事件で、愛知県警は27日、知人の無職内田明日香容疑者(30)を強盗殺人容疑で再逮捕し、発表した。「認められません」と容疑を否認しているという。 県警は、内田容疑者が阿部さん側から奪った金品を換金し、事件後の約2カ月間で約5千万円をホスト代に充てたとみて調べている。 県警によると、内田容疑者は昨年9月29日、阿部さん方で阿部さんの首を両手で絞めて殺害。11月17日ごろまでの約2カ月間で、阿部さん経営の古物店などに繰り返し侵入し、現金約80万円と貴金属など約1300点(時価計約7400万円)を奪った疑いがある。これらの貴金属を名古屋市内や周辺の買い取り店で売却していたという。 内田容疑者は、同市内のホストクラブの元店員小山直己被告(23)と共謀し、阿部さんの遺体をクローゼットに隠したなどとして死体遺棄罪に問われて公判中。捜査関係者によると、内田容疑者は昨年7月ごろに小山被告と知り合い、同店で多額の現金を費消していたほか、相当額の売掛金(ツケ)もあった。県警は、内田容疑者が小山被告の売り上げに貢献するために阿部さんを殺害したとみて調べる。 ■元ホスト「俺のためにエース… この記事は有料記事です。残り508文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
突然の「告白」、指紋なく特定に1カ月 桐島容疑者、海外渡航せず
1974、75年に起きた連続企業爆破事件で指名手配された桐島聡容疑者(70)を名乗った後、入院先で死亡した男について、警視庁公安部は27日、桐島容疑者本人と特定したと発表した。5事件に関与したとして、容疑者死亡のまま爆発物取締罰則違反と殺人未遂の両容疑で書類送検した。 「自分は桐島聡だ」 神奈川県鎌倉市の病院に末期がんで入院した男が突然に「告白」したのは、1月25日だった。その後、公安部が桐島容疑者本人と特定するまで約1カ月の時間を要した。 桐島容疑者は、本人の指紋やDNA型が警察側の登録になく、特定の手がかりとなる物証は多くなかった。公安部は、桐島容疑者の自宅を捜索するなど、本人特定を慎重に進めた。複数の親族のDNA型鑑定や聴取の結果などを踏まえ、最終的に本人であることを確認したという。 名乗った後の捜査で、半世紀に及んだ逃走生活の一部が浮かんだ。 捜査関係者によると、桐島容疑者は川崎市内で日雇いの仕事などをした後、80年代ごろから神奈川県藤沢市の土木会社で約40年間、住み込みで働いた。「内田洋」を名乗り、身分証や保険証は持っていなかった。爆破事件後、海外に渡航した形跡は確認されておらず、支援していた者がいるという情報はないという。 容姿は白髪交じりの無精ひげ。藤沢市では銭湯に通い、時折バーで酒を飲んだ。音楽に合わせて踊る姿もみられた。 「誰も行方知らず」「悔しいが公安部の負け」 元警視庁公安部の捜査員で作家の勝丸円覚さんは「首都圏の都市で人の海の中におり、地方の田舎よりも目立ちにくかった。組織から完全に孤立無援だったから、警察はきっかけをつかめなかったのだろう」と話す。 過激派を追う公安関係者の一人は「過激派の間でも桐島の話は皆無で、消息を絶った後、誰も行方を知らなかった。正直、もう見つからないと思っていた」と話した。警視庁公安部の幹部の一人は「悔しいが公安部の負け」と言った。 遺体の引き取り手なし 無縁仏に 桐島容疑者は告白後の聴取で… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
婚姻数、少子化に影響大 専門家「出生数の減少トレンド続く」
少子化に歯止めがかからない。コロナ禍で結婚する人が減ったことが一つの要因だ。コロナ禍から「平時」に移りつつある2023年も婚姻数が大きく減ったことで、専門家は出生数も減少傾向が続くとみる。 速報値ベースで出生数が100万人を切ったのは2017年。その5年後の22年には80万人を割った。特徴的だったのは、1~2%程度だった減り幅が、3~5%程度に増したことだ。今回公表された出生数75万8631人は、前年比で5・1%減。減少スピードは衰えていない。 背景の一つが婚姻数の大幅な減少だ。日本では、結婚と出産の結びつきが強いとされている。 コロナ禍だった20年の婚姻数は、前年比7万8069組減の53万7583組。12・7%減と落ち込んだ。厚生労働省は当時、新たな元号に合わせた前年の「令和婚」の反動も要因として挙げたが、その時からコロナ禍の影響が指摘されていた。 続く21年も婚姻数は4・3… この記事は有料記事です。残り1141文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル