浅倉拓也2022年6月4日 3時15分 ヨットによる世界最高齢での単独無寄港太平洋横断に挑んでいた堀江謙一さん(83)=兵庫県芦屋市=が4日未明、米サンフランシスコから2カ月余りかけて紀伊水道にゴールした。約8500キロの航海だった。この後、兵庫県西宮市の新西宮ヨットハーバーまで別の船に引航され、5日に検疫などの手続きをした後に下船し、帰港セレモニーに臨む。 午前2時39分、堀江さんが操船する「サントリーマーメイドⅢ号」が、紀伊日ノ御埼(ひのみさき)灯台(和歌山県)と伊島(いしま)灯台(徳島県)を結んだ紀伊水道上のゴールラインを通過したのを並走したスタッフが確認した。 堀江さんは3月26日(現地時間)に米サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ下をスタートし、順調な航海を続けていた。日本近海では天候や黒潮の蛇行に悩まされたが、長年の経験や技術で乗り越えた。 堀江さんは60年前の1962年、今回と同じ19フィート(約5・8メートル)の小型ヨットで、西宮港から米サンフランシスコまでの単独無寄港太平洋横断に世界で初めて成功し、その名を知らしめた。その航海記「太平洋ひとりぼっち」はベストセラーになり、故・石原裕次郎氏主演の映画にもなった。 その後もヨットで単独無寄港世界一周や縦回り地球一周などを達成。今回は、2008年に波浪推進船でハワイ―紀伊水道を航海して以来の冒険航海だった。(浅倉拓也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
林真理子さん「この何年か屈辱的な気持ちに」「日大に捧げたい」
日本大学の新理事長への就任が決まった林真理子さんと報道陣の主なやり取りは次の通り。 (冒頭)日本大学は本当に大きな決断をしてくださった。私もこれに応えないといけない。こんなことまでするのかと、びっくりするようなことも色々やりたい。日大を風通しの良いところにしたい。どんなことを考えているのか教職員、学生に聞いて反映させたい。まともな人間がまともなことをすれば、きっとこの大学は再生できる。人が光の方に向いていく、そういう力を信頼している。悪いことは、もう何も起こらない。私のそういう明るさが大学を変えていくと自負している。 ――日大の課題と解決策は 一番の課題は体質の古さとか、非常にマッチョな体質。上の人が何か言うと、下の人が黙って従う組織になってしまっている。ここを改革したい。上の人に「それは違う」と言える組織をめざしたい。そのためにも女性の色んな登用を考えている。理事や、私を支える方を今選んでいただいている。そういうチームの中に女性を何人か入れていただきたい。 ――チームには、どういった分野の方を。また巨大組織を運営する考えは 公認会計士や弁護士、お金の流れが分かる方、学校経営が分かる方に集まっていただき、ディスカッションしながら解決していきたい。著名人の方から「何でも協力する」とメールをいっぱいいただいた。 ――作家との両立は 片手間ではできないんで、仕… この記事は有料会員記事です。残り821文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
カンニングは警察に被害届も 大学入試の不正対策強化、文科省が通知
大学入学共通テストの試験中に受験生がスマートフォンで問題を外部に流出させた事件を受け、文部科学省は3日、カンニング対策の強化などを盛り込んだ大学入試の実施要項を各大学などに通知した。不正行為をした場合、警察に被害届を出す可能性があると受験生に周知することなどの対策を例示した。共通テストを実施する大学入試センターや各大学は今後、具体的な対策を決める。 文科省は事件後、高校や大学の関係者に情報通信の専門家などを加えた会議で対策を議論。不正が発覚した受験生に翌年度の受験資格を認めない「罰則」や、スマホの電波を遮断する装置の導入などが検討された。だが、不正はまれであるとの意見が多く、対策の費用などの面から実施要項への記載は見送った。 実施要項では、受験生の手の… この記事は有料会員記事です。残り231文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小倉美咲さん母「娘を諦める事できない」 警察・ボランティアに感謝
池田拓哉2022年6月3日 22時36分 2019年に山梨県道志村のキャンプ場で行方不明となった千葉県成田市の小倉美咲さん(不明当時7)の母親とも子さん(39)が3日、情報提供を呼びかけるホームページ(HP)を更新した。「娘を諦める事はできず、とても受け入れることができません」などと胸の内をつづっている。 山梨県警は先月14日、キャンプ場近くの山中で見つかった人の右肩甲骨のDNA型が美咲さんと一致したとして、「美咲さんは死亡していると判断した」と発表した。 とも子さんは約3週間ぶりに更新した3日のHPで「しばらく何もお話しすることができず申し訳ありませんでした」と説明。県警から美咲さんの死亡を告げられたことに触れ「DNA鑑定は理論上、100%だと言い切る事は不可能なようですので、美咲ではないという可能性が少しでもあるのなら…と、母親として今も美咲が無事に戻ってくる事を信じていますし、また美咲をこの手で抱きしめたいと願っています」と心境を述べた。 その上で「ご理解いただくことは難しいかもしれないと思っておりますが、これが今の私の正直な気持ちです」と続けている。また「あれから2週間以上が経ちますが、今でもこれが現実なのかわからず、受け入れる事ができず、残された可能性を考えてしまいます」としている。 捜索を続ける県警やボランティアの協力にも言及し、「娘に関心をお寄せいただき見守ってくださっているすべての皆様のこれまでのご協力に心から感謝しております」とつづった。 「美咲と笑顔で抱き合える日が来る事を今も心から願っています」と結び、引き続きHPやSNSでの情報提供を求めた。(池田拓哉) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
知床の観光船3社を監査 新たに不備12件を確認 北海道運輸局
佐野楓2022年6月3日 21時00分 北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故を受けて、国土交通省北海道運輸局は3日、小型観光船を運航する3社を対象とした通常監査の結果を公表した。 監査は、事故が起きた斜里町ウトロ地区の業者を対象に行われた。同局は5月17日にも3社を対象に緊急安全点検を実施し、定点連絡の記録を作成していないなど計12件の不備を指摘。今回の監査は、緊急安全点検で確認しきれなかった船の設備や必要書類の詳細を調べた。 監査では、海上運送法と船員法に基づく安全管理状況や、安全管理規定に基づく安全管理体制、救命設備などの状態を確認。その結果、「丸は宝来水産」で1件、「フォックス」で9件、「ホワイトリリー旭川」で2件と、計12件の不備が見つかったという。 同局によると、新たに指摘された不備については、運航自粛中の3社が営業再開するまでに是正確認を行い、必要に応じて乗船しての実地確認も行うという。(佐野楓) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「心優しいロマンチスト」 暴走車両に断たれた幸せな結婚生活
愛知県豊橋市で2020年に除草作業中の現場に乗用車で突っ込み、3人を死傷させたとして、殺人などの罪に問われた無職青野圭被告(28)=静岡県掛川市=の裁判員裁判の判決が3日、名古屋地裁岡崎支部であった。村瀬賢裕裁判長は「不特定多数の人に危害が及ぶおそれが高い、極めて危険で悪質な行為」と述べ、懲役20年(求刑懲役30年)を言い渡した。 被告が路上にいた被害者らを認識したまま車を衝突させたかどうかが争点だった。判決は「視界を遮るものはなく、(被告が患っていた)双極性障害の影響により認知機能が低下していたとは認められない」と指摘し、被告が被害者の存在を認識しながら車を走行させたと認定した。 殺意について、判決は「被告が強い殺意をもって車を意図的に衝突させたとまでは認められない」などとしつつ、人が死んでもかまわないとの「未必の殺意」があったと認めた。 判決によると青野被告は20年7月27日、豊橋市の県道を時速約130キロの車で走行。中央分離帯に衝突した後、交通整理をしていた警備員の夏目喜生さん(当時46)=愛知県田原市=をはね、死亡させた。近くで除草作業をしていた男性2人にも大けがを負わせた。 ◇ 亡くなった夏目さんは、高齢の母、結婚して2年足らずの妻(38)と3人で暮らしてきた。猛勉強をして警備の国家資格を取るなど、家族を支えるために懸命だった。妻と「子どもは2人は欲しいね」と話していた矢先に命を絶たれた。 「とても優しくて、ロマンチストな人でした」 公判で読み上げられた供述調書で、妻はそうしのんだ。 怒った姿は見たことがない… この記事は有料会員記事です。残り546文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
解体工の石綿被害、建材メーカーの責任認めず 最高裁判決
神奈川県内の解体作業現場でアスベスト(石綿)を吸って健康被害を受けた元解体工ら5人が建材メーカーに損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は3日、「解体工に対して石綿の危険性を警告する義務があったとは言えない」として、メーカーの賠償責任を否定する判決を言い渡した。責任を認めた二審・東京高裁判決を覆した。 被告は「ニチアス」「エーアンドエーマテリアル」の2社。第二小法廷は、2社が危険性を伝えるシールを建材に貼るなどの対策をとっても「解体までの経年劣化で読めなくなったり紛失したりしうる」と指摘。建材メーカーではなく「解体にあたる事業者が対策をとるべきだ」と述べた。 メーカーと共に訴えられた国については、十分な規制を怠ったことによる賠償責任が、先行した訴訟で確定。国は建設と解体の現場を区別せずに補償金の支払いを進め、今回の原告らとも和解が成立している。(根岸拓朗) 被害の恐れ 今後も 解体工は全国各地の石綿訴訟で建材メーカーに賠償を求めているが、最高裁がメーカーの責任を認めない初判決を出したことで、その実現が遠のいた。石綿を使った建物の解体は今後ピークに向かい、新たな被害者が出る恐れは今もある。 建設現場の作業員の被害につ… この記事は有料会員記事です。残り509文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アスベストを含む建材運搬 運転手遺族と国が和解 大阪地裁
森下裕介2022年6月3日 17時53分 アスベスト(石綿)を含む建材の運搬業務に従事したため、悪性胸膜中皮腫になり、2月に死亡した兵庫県尼崎市の男性(当時62)の遺族が国に損害賠償を求めた訴訟が3日、大阪地裁で和解した。遺族側代理人の大阪アスベスト弁護団によると、国が責任を認めて1300万円を支払う内容で合意したという。 男性は1982年~2003年、尼崎市内で運送会社のトラック運転手として勤務していた。運搬した建材に付着した石綿や、運搬先の建設現場で飛散した石綿を吸ったという。 建材の石綿被害をめぐっては、国と建材メーカーの責任を認めた昨年5月の最高裁判決を受け、給付金を支払う国の仕組みが今年1月に始まった。建設作業だけでなく、付随する作業の従事者も対象となったが、その範囲について厚生労働省は「具体的な作業内容から検討する」としている。 弁護団によると、建設作業ではなく、付随する運搬業務で和解するケースは珍しい。谷真介弁護士は「建設作業に直接関わっていないという理由で、給付金の申請をためらう人は多いはずだ」と指摘する。 弁護団は、無料の電話相談(0120・966・329、平日午前10時~午後6時)を受け付けている。(森下裕介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
港区エレベーター事故から16年 なくならぬ戸開走行に遺族「焦り」
寺田実穂子2022年6月3日 17時55分 東京都港区の公共住宅でエレベーターの戸が開いたまま急上昇し、高校2年の市川大輔(ひろすけ)さん(当時16)が死亡した事故から、3日で16年を迎えた。建物内に設けられた献花室に大輔さんのゆかりの人たちが訪れ、花を手向けた。 事故は、2006年6月3日午後7時20分ごろ起きた。大輔さんが12階でエレベーターを降りようとしたところ、戸が開いたままかごが上昇し、出入り口の上枠とかごの床の間に挟まれた。病院に搬送されたが、まもなく死亡が確認された。かごを制止させるブレーキが十分に作動していなかった。 こうした「戸開走行」を防ぐため、エレベーターのブレーキを二重にする対策が09年に義務づけられたが、それ以前の建物は対象外となり、事故はその後も起きている。国土交通省が今年5月に公表した報告書では、神戸市の病院で18年に、大阪府豊中市の病院で20年にそれぞれ戸開走行が起きていたことが新たにわかった。 母の正子さん(70)は事故以来、再発防止のために活動を続けてきた。それでも事故が繰り返されていることについて、「息子の命をきちんといかせていないのではという焦りがあります」と取材に語った。「息子の命が無駄にならないようにと訴え続けて、息子と同じ16年という時間が経った。まだまだやるべきことを達成できていないという中で、歩き続けることが大事だとあらためて思っています」と話した。(寺田実穂子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
懲戒の幹部、会議で横の横にいたのに 大臣「存じ上げなかった」
小寺陽一郎2022年6月3日 18時21分 国土交通省の統計不正に関与し懲戒処分を受けた同省幹部が、不正の影響を検証する検討会議の事務局で中心的な役割を務めていた問題をめぐり、3日の参院予算委員会でも議論が交わされた。斉藤鉄夫国交相がこの問題を「(5月28日の)報道で知った」としていることを野党議員が疑問視し、「知らないは通じない」と迫った。 この検討会議では、初回会合が今年1月25日に開かれ、国交省側からは斉藤氏を含む5人が出席。斉藤氏が中央に座り、1人挟んで隣に同幹部が座っていた。これを受け、3日の予算委で立憲民主党の福山哲郎氏が、「横の横に座っていたでしょ」「知らないわけがない」と指摘した。 斉藤氏が、「その人」が「(不正に関わったと)指摘された人ということは本当に存じ上げなかった」と釈明すると、福山氏は「懲戒処分を受けた人間が、横の横にいるのに知らないっていうのはない。懲戒処分の責任者は大臣だ」と追及。斉藤氏は「正真正銘、知らなかった」とした。 同幹部は、受注実績を無断で書き換え二重計上する不正に担当室長として関与し、1月21日に減給の懲戒処分を受けた。(小寺陽一郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル