「金がなかったら日本人に馬鹿にされる」 大阪市に住む男性(35)の祖母は、いつもそう言っていた。 大阪市西成区の被差別部落に生まれた在日コリアン2世。日本人の子どもから「朝鮮、朝鮮、帰れ」といじめられ、貧しくて家計を助けるため、小学校の3年生くらいまでしか通えなかった。 野菜を積んだリヤカーを引いて遠くまで行商し、革小物を作る会社を興して財を築いた。 苦労して貧乏からはい上がった自負からか、路上生活者を「怠け者」と見下げ、嫌った。 男性も、以前は祖母と同じような考えを持っていた。 大学生になって、日雇い労働者が集まる西成の釜ケ崎(あいりん地区)に出入りするようになるまでは。 「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれる水平社宣言から100年。日本初の人権宣言と言われ、社会のあらゆる人権問題の克服に向けた原点となってきました。誰にも潜みうる差別の心を溶かす「熱」と、すべての人を等しく照らす「光」を手にできるのか。人間の尊厳を重んじる宣言の精神を改めて見つめます。 困窮者支える仕事、祖母には言えなかった 「君、子どもができないね」 医師からそう告げられたのは、大学生になった19歳の夏のことだ。 3歳のときに患った小児がん… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
異論はねのけ、北京パラ放映決定 J:COM「地域密着だからこそ」
4日開幕の北京パラリンピックの選手や関係者らに共通する願いの一つは「少しでも多くの人に見てほしい」。これまで注目されにくい大会だっただけに、昨夏の東京パラで盛り上がった熱気を冬季にもつなげたいと考えている。 日本選手団は2月25日に第1陣が北京に到着。本番と同じ会場で天候や雪質などを確認しながら、直前の調整を重ねている。 選手団の主将を務めるアルペンスキーの村岡桃佳さん(25)=トヨタ自動車=は、競技会場となる北京市延慶区の国家アルペンスキーセンターで2月27日に公式練習に初めて臨んだ。2018年平昌(ピョンチャン)大会で金メダルを獲得。3度目の冬のパラとなる今大会、胸に秘めているのが「一人でも多くの人に冬の大会を見てほしい」という思いだ。 東京パラも「二刀流」として… この記事は有料会員記事です。残り1122文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
春の高山祭、3年ぶり通常開催へ 感染状況みつつ伝統継承を重視
4月14、15両日に予定されている「春の高山祭」(岐阜県高山市)について、主催する日枝神社などは2日、原則開催すると発表した。祭り期間に「まん延防止等重点措置」など国や県による規制措置が出された場合は中止する。 春の高山祭は絢爛(けんらん)豪華な祭り屋台の曳(ひ)き揃(そろ)えなどで知られ、例年は2日間で約20万人が訪れる。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった20年は中止され、21年は規模を大幅に縮小した。伝統文化の継承を目的として開催するという。 岐阜県には今月6日までまん… この記事は有料会員記事です。残り80文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
桜前線今年は平年並み 九州は長く楽しめる? ウェザーニューズ発表
気象会社ウェザーニューズ(千葉市)は2日、桜の開花予想を発表した。九州は、記録的な早さで開花した昨年と比較すると、10日前後遅くなる。全国的には3月20日の東京が最も早く、翌21日の福岡と広島が続く。 同社によると、平年よりも冷え込んだ2月の寒さの影響で、つぼみの成長が足踏みした。暖かさが戻る3月の気温は平年よりも高いが、昨年ほどはあがらない。そのため、西・東日本では桜の開花が平年並みだが、昨年と比べると大きく遅れる見通し。北日本は平年よりも早くなりそうだ。 九州では、21日の福岡市から始まり、23日に長崎市、25日に佐賀市と熊本市、26日に大分市と宮崎市で、最後は27日に鹿児島市で開花すると予測した。また、九州隣接の山口県下関は25日になる模様。 桜の開花は、気象庁が標本木(ひょうほんぼく)と定める各都道府県のソメイヨシノが5~6輪咲くことで発表される。同社では、この標本木の開花予測をしているため、山口県では標本木のある下関での情報になるのだという。 全国にいる協力者から各地の… この記事は有料会員記事です。残り490文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被爆地・広島の聖堂で「平和の祈り」 ウクライナ男性「母国助けて」
ロシアのウクライナ侵攻を受け、広島市中区の世界平和記念聖堂で2日、平和を願う集会があった。カトリック信徒ら約70人が鐘に合わせ、黙禱(もくとう)を捧げた。 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が「2日を平和のための祈りと断食の日に」と世界に呼びかけたのに伴って開かれた。 カトリック広島司教区の白浜満司教は「戦争で亡くなられた方々や、いまだ不安や苦しみにおかれている方々をなぐさめ、一日も早い戦争の終結を求める声を届ける。広島と長崎に投下された核兵器による悲劇が繰り返されることがないよう、願いと祈りを捧げましょう」と話した。音楽家の上垣内(かみがいち)寿光さん(43)らは「G線上のアリア」など4曲を演奏した。 ウクライナの首都キエフ出身… この記事は有料会員記事です。残り263文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「罪の意識みじんもない」 起訴相当の広島市議5人が反論会見
2019年参院選をめぐる買収事件で、河井克行元法相=実刑確定=から現金を受けながら公職選挙法違反(被買収)の罪について不起訴となり、検察審査会が「起訴相当」と議決した広島市議のうち5人が2日記者会見し、「微塵(みじん)の罪悪感もなかった」とする連名の談話を発表した。 5人は藤田博之、伊藤昭善、谷口修、三宅正明、木山徳和の各氏。全員が自民所属で、河井氏から70万~30万円を受け取った。談話で5人は「市民県民から奇異に映るかもしれないが、長年少なくとも広島県広島市においては儀礼的な(金銭の)贈呈が行われていた」「現金を受領したのは何故か?との問いには『それは普通のことだから』という答えになる」などとし、お歳暮などに近い金で買収にあたるとの認識はなかったと主張した。 東京地検の捜査に対し、「買収の趣旨だと感じていた」とする調書に署名したことについて5人は「検察官の作文で調書ができあがり、根負けして署名してしまった」と弁明した。 この事件で東京第六検察審査… この記事は有料会員記事です。残り208文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
リニア工事現場でまた事故 コンクリ片が落下、作業員が胸を骨折
2022年3月2日 20時55分 JR東海は2日、愛知県春日井市のリニア中央新幹線の第一中京圏トンネル(西尾工区)の新設工事中に、40代男性作業員が胸の骨が折れるなどのけがを負ったと発表した。掘削面に吹き付けたコンクリートがはがれ落ちて当たったという。公表されたリニアのトンネル工事事故は3件目。 JR東海によると、事故は1日午後4時40分ごろ、作業員7人でトンネルの補強作業中に発生した。けがをしたのは1次下請け「成豊建設」(東京都)の作業員で、幅2メートル、高さ1メートル、厚み10センチにわたってはがれ落ちたコンクリートの一部が当たった。 事故を受け、工事は中断し再発防止策を講じるが、リニア全体の工期に「影響はない」(担当者)としている。工事は大成建設などによる共同企業体が担い、国のガイドラインに沿って作業していたという。 リニアのトンネル工事をめぐっては、昨年10月に岐阜県中津川市の瀬戸トンネルで岩盤が崩落し、作業員2人が死傷。同11月には長野県豊丘村の伊那山地トンネルで崩落が起き、作業員1人が負傷した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
札幌冬季五輪招致の賛否問う 市による意向調査開始 賛否は月内公表
札幌市は2日から、2030年冬季五輪・パラリンピックの招致に向けた市民や道民への意向調査を始めた。対象は計1万7500人で、郵送、インターネット、街頭の3種類で行う。調査結果のうち、札幌での五輪開催の賛否に関しては3月中に公表する予定だ。 調査では、開催への賛否やその理由を尋ねるほか、大会概要案に掲げた開催意義や施設整備費、大会運営費などについてどの程度知っているかも聞く。 郵送調査は、住民基本台帳か… この記事は有料会員記事です。残り335文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
入国する外国人の名前やパスポート番号、一時閲覧可能に 厚労省
市野塊2022年3月2日 22時38分 厚生労働省は2日、外国人が新規入国する際に使うオンライン申請システムに不具合があり、名前やパスポート番号、メールアドレスなどの個人情報が一時的にシステム利用者内で閲覧できる状態になっていたと発表した。厚労省は正確な被害はわからないとしているが、不具合が判明するまでに約6万人分の情報が登録されていたという。 システムは、水際対策の緩和に向け、2月25日から使われ始めた。国内の法人や個人事業主といった、外国人を受け入れる責任者がシステムに情報を入れて申請することで、海外でのビザ発給を円滑にできる。 厚労省によると、28日にシステムの利用者からの連絡があり、特定の操作をすることで他の利用者の入力情報を閲覧できる不具合が見つかった。同日中にプログラムを修正したという。同省の担当者は「不具合によって好ましくない事態が発生した。再発防止に努める」と話している。(市野塊) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
いまも差別や偏見 水平社宣言100年、人間の尊厳尊重する精神
部落差別の根絶をめざし、当事者たちが立ち上がった全国水平社の創立から3月3日で100年を迎えた。「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれる「水平社宣言」は日本初の人権宣言と言われ、社会のあらゆる人権問題の克服に向けた原点となってきた。しかし、今なお差別や偏見に苦しみ、憎悪や分断に心を痛める人々がいる。差別のない新しい時代への一歩を刻むために、人間の尊厳を尊重する水平社宣言の精神を改めて見つめたい。 水平社宣言の原文と現代語訳 宣言 全国に散在する吾(わ)が特殊部落民よ団結せよ。 長い間虐(いじ)められて来た兄弟よ、過去半世紀間に種々なる方法と、多くの人々とによつてなされた吾等(われら)の為(た)めの運動が、何等(なんら)の有難(ありがた)い効果を齎(もた)らさなかつた事実は、夫等(それら)のすべてが吾々(われわれ)によつて、又(また)他の人々によつて毎(つね)に人間を冒涜(ぼうとく)されてゐた罰であつたのだ。そしてこれ等の人間を勦(いたわ)るかの如(ごと)き運動は、かえつて多くの兄弟を堕落させた事を想(おも)へば、此際(このさい)吾等の中より人間を尊敬する事によつて自ら解放せんとする者の集団運動を起(おこ)せるは、寧(むし)ろ必然である。 兄弟よ、吾々の祖先は自由、平等の渇仰者であり、実行者であつた。陋劣(ろうれつ)なる階級政策の犠牲者であり男らしき産業的殉教者であつたのだ。ケモノの皮剥(は)ぐ報酬として、生々しき人間の皮を剥(はぎ)取られ、ケモノの心臓を裂く代価として、暖(あたたか)い人間の心臓を引(ひき)裂かれ、そこへ下らない嘲笑の唾(つば)まで吐きかけられた呪はれの夜の悪夢のうちにも、なほ誇り得る人間の血は、涸(か)れずにあつた。そうだ、そして吾々は、この血を享(う)けて人間が神にかわらうとする時代にあうたのだ。犠牲者がその烙印(らくいん)を投げ返す時が来たのだ。殉教者が、その荊冠(けいかん)を祝福される時が来たのだ。 吾々がエタであることを誇り得る時が来たのだ。 吾々は、かならず卑屈なる言葉と怯懦(きょうだ)なる行為によつて、祖先を辱(はずか)しめ、人間を冒涜してはならぬ。そうして人の世の冷たさが、何(ど)んなに冷たいか、人間を勦(いた)はる事が何(な)んであるかをよく知つてゐる吾々は、心から人生の熱と光を願求礼讃(がんぐらいさん)するものである。 水平社は、かくして生(うま)れた。 人の世に熱あれ、人間に光あれ。 大正十一年三月 水平社 ◇ 全国各地で、歯を食いしばって生きている被差別部落のみなさん、今こそ手を取り合って進みましょう。 長い間いじめられ差別を受けてきた被差別部落のみなさん。1871年の解放令から約50年、私たちのためといって、多くの人々によって差別をなくすための運動が行われてきました。しかし、それらの運動はあまり役に立ちませんでした。人間は平等であり、尊敬すべきものなのです。しかし、人をあわれんだり、同情したりする考え方しかもたない人々は、私たちを気の毒な人たちだと思って運動してきたのです。 私たちを救ってあげようという運動は、かえって多くの私たちの仲間をだめにしてしまいました。だから、今、差別を受けている私たち自らが立ち上がったのです。人間だれをも尊敬し、大切にすることによって差別のない社会をつくろうという運動を自主的にはじめたのです。私たちは、私たちの手で部落差別をなくしていくのです。 被差別部落のみなさん、私たちの祖先は差別を受けながらも、自由で平等な社会を願い、闘ってきました。私たちは政府の身勝手な政治によってつくられた身分制度の犠牲者であったが、世の中に欠かすことのできない仕事に携わり、社会を支える存在でもあったのです。その中でさまざまな差別を受けてきたのです。しかし、そのような悪夢のような差別の中でも、私たちの祖先の体の中には、誇り高く生き抜こうとする人間のあたたかい血が残っていました。そして、その血を受けついだ私たちは「民衆が世の中の主人公になる時代」にたどりついたのです。私たちのしてきた人に嫌われる仕事を誇れる、そして人に嫌われる仕事をしてきた私たち自身を誇れる時がきたのです。 私たちが被差別部落の人間であることを誇りうる時代がやってきたのです。 私たちは、この世の中が、私たちを差別することのみにくさに気づかない人々や、差別されることのつらさに気づかない人々が多くいる冷たい世の中だということを知っています。だから私たちは、心から人間の尊さやあたたかさが大切にされる、差別のない世の中を心から願うのです。 水平社はこうして生まれました。 人の世に熱あれ、人間に光あれ。 現代語訳の出典「部落問題学習の授業ネタ2 社会科日本史でやってみよう」(部落問題学習ネタつくろう会編、解放出版社) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル