那覇市中心部の居酒屋に、常連客から粋な「プレゼント」が届いた。 「ここの串焼き屋さん 大将はイケメンではありませんが 料理はうまいです」 ビル2階にある店内へ上がる階段の前。細長いシャッターを白く塗り直し、店のPRやメッセージが書き込まれた。 居酒屋は、那覇市役所近くの「ノーリーズダイナー」。 「のーりー」の愛称で親しまれる店主の仲間徳宏さん(60)が1996年に開き、今年で25周年を迎えた。 客のほとんどは地元の常連だ。 沖縄県内は新型コロナウイルスの感染拡大が続き、4月にまん延防止等重点措置が適用、5月には緊急事態宣言が出された。 店は4月中旬から夜の営業を休業し、ランチ営業に切り替えた。 売り上げは、コロナ前の2割程度まで落ち込んだ時期もあった。 緊急事態宣言は5度延長され、約4カ月に及んだ。 苦境に立つ店を「目に見える形で応援したい」と、夏ごろに常連客の男女10人ほどが共同で、シャッターへの寄せ書きを企画した。 仲間さんとは若い頃から付き… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「楽園の国とだまされた」 北朝鮮帰国事業の脱北者が法廷で訴え
北朝鮮で過酷な生活を強いられた。残された家族と再会したい――。北朝鮮帰国事業に参加した60~80代の脱北者5人がこう訴え、北朝鮮政府に計5億円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、東京地裁であった。脱北者は法廷で「餓死者が相次ぐ中、思想の自由もなく人権を抑圧された」と訴えた。 原告の女性「地獄の日々だった」 夫は食糧難で死亡 帰国事業は日朝両政府の了解のもとに行われ、1959~84年に在日朝鮮人を中心に計約9万3千人が北朝鮮に渡った。60~70年代に同事業に参加した原告らは北朝鮮で移動の自由もなく出国も許されなかったため、中国国境の川を渡るなどして2000年代に脱北した。 日本人配偶者として在日朝鮮人の夫と渡航した斎藤博子さん(80)は本人尋問で、渡航前に朝鮮総連から「家も仕事も用意されていて何の心配もない」と説明を受けたと話した。 しかし現実は全く違い、「地上の楽園と聞いていたが、地獄だった。だまされた」と涙ながらに訴えた。食糧難で夫を失い、子どもは今も北朝鮮に残ったままだという。家族で渡航した高政美さん(61)は脱北に失敗し、拷問を受けた経験を語った。 原告側の弁護団は法廷で、事業終了から30年以上過ぎたことで、不法行為から20年がたつと損害賠償を求める権利が消える「除斥期間」のハードルがあるとあえて説明。だが「渡航から脱北までを一連の被害」と考えればクリアできると述べ、「裁判所は北朝鮮の人権侵害の責任を問える最後の場。人生を奪われた被害者を救済しないといけない」と訴えた。 米国では北朝鮮に約550億円の支払い命令 国際法では、国家には他国の裁判権が及ばないとする「主権免除」の原則がある。弁護団はこのハードルについて、「日本は北朝鮮を国家として承認しておらず裁判権は及ぶ」と主張している。この日の口頭弁論は、訴状など関係書類の送付先がないことを前提に、裁判所の掲示板に書類を一定期間張り出すことで被告側に届いたとみなす「公示送達」を行ったうえで開かれた。 北朝鮮側は口頭弁論を欠席し、書面の提出もなかった。訴訟はこの日で結審した。 米国では、北朝鮮で拘束され解放された後に死亡した米大学生の遺族が北朝鮮に賠償を求めた訴訟で、米ワシントンの連邦地裁が18年、北朝鮮に約5億ドル(約550億円)を遺族に支払うよう命じている。 脱北した原告は日本での生活基盤が弱いため、無償で弁護活動を引き受けた弁護団は、クラウドファンディングで訴訟資金を募集している。12月10日まで。URLは、https://readyfor.jp/projects/northkorea。(村上友里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全国の新規感染者619人、7県でゼロ 死者は33人
新型コロナウイルスの国内感染者は14日、午後8時現在で新たに619人が確認された。新規感染者が1千人を切るのは8日連続で、7県で感染者がゼロだった。新たな死者は33人だった。 都道府県別で新規感染者数が最も多かったのは、大阪の112人。東京の新規感染者は62人で、1週間前の木曜日(7日)より81人減った。14日までの1週間平均は前週の50・0%で77・1人だった。14日の感染者を年代別でみると20代と40代が各13人で最も多く、65歳以上は7人だった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自宅で父親を殺害容疑 男を逮捕 頭に複数の刺し傷 大阪・高槻
2021年10月14日 23時50分 大阪府高槻市の自宅で父親を殺害したとして、府警は14日、同居する高槻市桜ケ丘南町の無職の男(51)を殺人容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという。署は、刑事責任能力の有無を慎重に調べている。 高槻署によると、逮捕容疑は14日午前、自宅で、刃物で刺すなどして父親である男性(83)を殺害したというもの。男性の頭部付近には複数の刺し傷があったという。 同日午前8時過ぎ、男の70代の母親が「夫が寝室で倒れている」と119番通報。救急隊員が駆けつけたところ、男性が1階の和室で頭付近から血を流して倒れており、その場で死亡が確認された。現場では凶器とみられる包丁が見つかった。男は自宅を離れていたが、同日午前9時20分ごろ寝屋川市内の交番に出頭。調べに「(父親を)包丁で刺した」などと話した。現場は阪急京都線富田駅から東に約250メートルの住宅街。 近所に住む70代の女性は、「家の中から笑い声が聞こえることもあって、仲の良いご家族だった」と語り、「トラブルも聞いたことがない。突然のことで一体何が起きたのか」と困惑した様子で話した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
母「精神的に支配されていた」と一部無罪主張 3歳児虐待死の初公判
吉田啓2021年10月14日 20時18分 3歳の長男を虐待して死亡させたとして傷害致死などの罪に問われた、いずれも無職で義父の末益涼雅(りょうが)被告(24)=福岡県中間市=と、実母の歩被告(23)=同県八女市=の裁判員裁判が14日、福岡地裁小倉支部で始まった。涼雅被告側は起訴内容をおおむね認め、歩被告側は「涼雅被告から支配される状態にあった」と一部無罪を主張した。 起訴状によると、両被告は共謀して昨年7月と8月、中間市内の自宅などで長男愛翔(まなと)ちゃん(当時3)に暴行して恥骨を骨折させ、8月15~16日には頭部を打撲する暴行を加えて急性硬膜下出血のけがを負わせ、同27日に多臓器不全で死亡させたとされる。 検察側の冒頭陳述によると、両被告はインターネットで知り合って交際を始めた。昨年4月ごろに歩被告が愛翔ちゃんを連れて八女市の実家を出て涼雅被告と中間市で同居を始め、5月に結婚。5月半ばごろから愛翔ちゃんへの暴力が始まり、次第にエスカレートした。検察側は、両被告は互いの暴力を助長、容認する共犯関係にあったと指摘した。 涼雅被告側は起訴内容については争わず、両被告による共犯事件であるとする一方、致命傷を負わせたのは涼雅被告ではないと主張した。 歩被告側は、起訴内容のうち暴行罪については認めたが、傷害罪と傷害致死罪についてはすべて涼雅被告によるものとし、愛翔ちゃんが致命傷を負った際には寝ていて関与していないと訴えた。また、涼雅被告から精神的なドメスティックバイオレンスを受けて支配される状態にあったとして「共犯は成立しない」と主張した。 検察側は、愛翔ちゃんの遺体を解剖した結果、全身に計245カ所の傷やけががあり、うち174カ所はたばこやスタンガンなどで付けられた可能性があるとの解剖医の見解を示した。 また、両被告がスマートフォンで、「あいつ今日、ボテボテいく」「あばらのところ蹴ったらぶっ飛んだ」といったメッセージや、皮下出血が見られる愛翔ちゃんの顔の写真などを日常的にやりとりしていたことなどを提示した。(吉田啓) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
230万枚を刷り直しへ 国民審査の投票用紙を誤印刷 広島県選管
宮城奈々2021年10月14日 20時30分 広島県選挙管理委員会は14日、衆院選と同時に行う最高裁裁判官の国民審査の投票用紙に印刷の誤りがあったと発表した。約1200万円かけて、全投票用紙約236万枚を刷り直す。 県選管によると、9月14日に県内で必要な全投票用紙236万500枚を印刷した際、審査対象となる岡正晶裁判官の「晶」の字を「昌」と誤った。17日に各市区町に送付したところ、投票所内の掲示物と照合した福山市選管から今月13日にミスの指摘があった。 8月下旬、県選管の担当者が印刷原稿を用意した際に漢字を誤記。複数人が目視で点検したのにとどまり、県選管は確認不足を認めて謝罪した。今月15日にまず60万枚を再印刷し、今月20日からの期日前投票には間に合う見込みという。(宮城奈々) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪府で新たに112人感染、死者は3人
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私は昭和生まれのイラン人 映画翻訳で日本に伝えた、遠くて近い母国
街の豆腐屋さんがマシンガンを手に持つ構えをし、「パパパパパ」と撃つまねをした。 悪意はないのだろう。けれど、イラン出身だと告げると、日本人は決まって「ホメイニは怖い」と言った。 1979年。ショーレ・ゴルパリアンさんは日本にやってきた。 ショーレ・ゴルパリアンさん 当時、日本に住んでいた出身者は約300人。暮らしていた東京・荻窪の人々には優しくされたが、物珍しがられた。 日本では、イランといえばホメイニ師が指導して同年に始まったイラン革命と暴動ばかりが報じられていた。そのせいで野蛮な国とでも思われたのか。マシンガンを撃つまねもニュースの影響だろうとは思いつつ、やはり釈然としなかった。 「でも、もともと日本は、私にとって夢の国だったんですよ」とショーレさんは言う。 「まいど」「おおきに」 教わった関西弁 5、6歳のころ、ペルシャ語に訳された日本の昔話を読み、「日本の天皇のお嫁さんになりたい」と無邪気に夢見ていた。周囲の女性がテニスに興じるなか、アメリカンスクールで空手を習った。 大学生のころ、三井物産のテヘラン支店でアルバイトしたのが、日本語を学ぶきっかけとなった。同社には、関西弁の人がなぜか多く、「まいど」「おおきに」という言葉を教えられた。 「ブッサンでは『めし』という言葉も使っていました。あと『ほんまか?』。それほどくだけた表現だとは思わず、当然の言葉として覚えました」。ショーレさんは懐かしそうに笑う。 そのブッサンで出会い、恋をした男性が帰国するのを機に、日本に渡ることを決めた。 でも母からは猛反対にあう… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
他人のPC機能を無断利用は違法? 最高裁が有罪判決見直しか
阿部峻介2021年10月14日 18時09分 仮想通貨の報酬を得るため、他人のパソコンの機能を無断で借りるプログラムを使ったのは違法か。この点が問われた刑事訴訟で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は検察側、弁護側の意見を聞く弁論を12月9日に開くと決めた。二審の判断を変える際に必須の手続きで、逆転有罪とした二審判決が見直される可能性がある。 不正指令電磁的記録保管の罪に問われているのは、東京都内の男性ウェブデザイナー(34)。自身が運営する音楽情報共有サイトに2017年9月、プログラム「コインハイブ」を試験導入した(現在はサービス終了)。閲覧者のパソコンのCPU(中央演算処理装置)を借りて仮想通貨取引の情報整理を手伝わせる仕組みで、同11月までに情報整理の報酬として約800円相当の仮想通貨を得た。 一審「被害そんなにない」と無罪、二審は「許容できない」と有罪 一審・横浜地裁は、パソコン所有者の被害はパソコンの処理速度の低下や消費電力増ぐらいで、ウェブ広告収入に代わりサイト運営を支える新手法として肯定的な評価もあったと指摘。「不正な指令」とは言い切れないと判断し無罪とした。二審・東京高裁は、所有者が知らないうちにパソコンを動かした不利益があり「許容すべきでない」と罰金10万円の有罪とした。 上告した弁護側は、11年にできた同罪は情報を壊したり盗んだりするコンピューターウイルスを想定したもので、今回のケースにも当てはめれば「恣意的(しいてき)な刑罰を禁じる憲法の罪刑法定主義に反する」と主張。プログラム開発の萎縮にもつながり、表現の自由も侵害すると訴えていた。(阿部峻介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ロスジェネ単身女性の老後 半数以上が生活保護レベル 自助手遅れ
総務省の2020年の労働力調査によると、雇用者のうちの非正規労働者の割合は、男性が20%なのに対し、女性は52%に上る。 就職氷河期に世に出た「ロスジェネ」と呼ばれる世代の単身女性たちは、老後に貧困化する可能性が高い。そんな衝撃的な未来予測がある。未婚・離別のロスジェネ女性には、なぜ落とし穴が待ち構えているのか。この結果を導き出した国際医療福祉大学の稲垣誠一教授に聞いた。 ロスジェネ世代、どう思いますか? バブル経済崩壊後の就職氷河期(1993~2005年ごろ)に社会に出た世代は、「氷河期世代」や「ロストジェネレーション(ロスジェネ)」などと呼ばれ、いまも非正規就労などの不安定な雇用に苦しむ人が少なくありません。特に、この世代の単身女性は、老後にも大きな不安を抱えています。この状況について、どう考えますか。ご意見、ご体験をお寄せください ――将来、ロスジェネ女性はどのようなリスクを抱えるのですか。 「高齢者が急増する日本社会で近い将来に起きることについて、マイクロ・シミュレーションという手法を使って調べたところ、氷河期世代を含めた未婚・離別の女性の多くが困難な老後を迎えることが分かりました。約40年後には、未婚だったり、離別したりした65歳以上の単身女性のおよそ半数、約290万人が生活保護レベル以下の収入になるという結果でした」 高齢女性の貧困率 ――どのように予測したのでしょうか。 「マイクロ・シミュレーションとは、精密な人生ゲームのようなものです。厚生労働省の国民生活基礎調査から実在している人のデータを匿名で取り出し、コンピューターの中で『社会実験』をします。現行制度が変わらない前提で、出生、結婚、就業、年金、親との別居、介護などの人生のイベントを、現実と同じ確率で一人一人、くじを引くように決めていきます。のべ一千万人以上の人生をシミュレートし、これで将来の所得分布も出すことができます」 ――なぜ、ロスジェネ世代の単身女性が老後に貧困化しやすいのですか。単身男性は大丈夫なのでしょうか。 「この世代の女性が問題を抱… この記事は会員記事です。残り1748文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル