戦時中の80年前、美術教師や学生らが共産主義者とみなされ、次々と逮捕された「生活図画事件」。当時投獄された90代の男性2人の元に、若き写真家が通い、撮影を続けてきた。「過去と地続きの現在」を表現するために。 高橋健太郎さん(31)。昨秋に出した写真集「A RED HAT」(赤々舎)には北海道に住む松本五郎さん、菱谷良一さんの日常が収められている。新聞を読む姿、食事の風景、公園で孫と遊ぶ様子。3年間通って撮影した。 その中の1枚に赤い帽子をかぶった男性の肖像が写っている。現在99歳の菱谷さんが78年前、刑務所を出た後に描いた自画像だ。 生活図画事件 1941~42年、旭川師範学校(現・北海道教育大旭川校)と旭川中(現・旭川東高)の美術教師や学生、卒業生ら二十数人が治安維持法違反容疑で検挙された。生徒らが生活のありのままを描き、より良い社会を考える「生活図画教育」運動が共産主義思想とみなされた。菱谷さんと松本さんは懲役1年6カ月執行猶予3年の有罪判決を受け、逮捕から1年3カ月後に釈放された。 1941年9月、旭川師範学校の学生で美術部員だった菱谷さんは寄宿舎から刑事に連行された。美術部顧問について聴くとのことだったが、すぐに「おまえは共産主義を信奉したな」と取り調べが始まった。「共産主義が何なのかさえよくわかっていなかった」19歳の菱谷さん。高圧的な刑事に「偽りの自白」をさせられ、逮捕された。 警察は、菱谷さんの作品の中で学生が手にする本を「資本論」だと解釈。他の人が農村の子を描いた作品も「農民を資本主義社会機構より解放せんとする階級思想」とこじつけられた。 「俺らだけだな、残ったのは」 高橋さんが事件を知ったのは27歳だった2017年。「共謀罪」法案の国会審議で法相が「写真を撮ったりしながら歩くなどの外形的な事情」があれば、テロなどの準備行為と認定できると発言した。「カメラをさげて街をうろつく自分も疑われるのだろうか」 「現代の治安維持法」。こんな… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
いじめで自殺未遂、重傷 女性が茨城県と元同級生を提訴
茨城県内の県立高校に在学中にいじめを受け、自殺未遂に追い込まれたとして、県内の女性(19)が県と元同級生2人を相手取り、慰謝料など計約860万円の損害賠償を求めて水戸地裁に提訴したことがわかった。 女性は高校2年生だった2018年10月、文化祭の準備中に友人と校舎から相次いで飛び降りて自殺を図り、腰椎(ようつい)破裂骨折などの重傷を負った。 県教育委員会はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と判断し、同年12月に第三者委員会を設置。関係者の聞き取り調査などをへて19年4月に報告書がまとまったが、県は報告書を公表していない。公表を求めた女性の保護者にも当初は閲覧しか認めず、「公表しない」と口頭で約束した昨年2月まで報告書を提供していなかった。 女性の代理人弁護士によると、報告書では元同級生らが原告に対してツイッター上で「死んだヤドカリ」と呼んでいたことなどを確認し、いじめがあったと認定。学校の対応についても「教員のサポートが不十分だった」とし、原告が自殺を図った理由として、いじめと学校の対応不足を直接の要因だと指摘した。 訴状で原告側は、教諭らにいじめを受けていると申告したにもかかわらず、学校側は事実確認や指導をするなど、適切な措置をする義務を怠ったと主張。また、自殺未遂の前日までに教諭らが母親から「原告が自殺をほのめかしている」との相談を受けながら必要な措置をしなかったとし、「教職員が負うべき安全配慮義務を果たさなかった」とした。県教委は「主張は裁判で明らかにしていく」としている。 一方、元同級生に対しては、陰口などで「多大な精神的苦痛を与え、自殺未遂に追いやった」と訴えた。提訴は昨年11月16日付。 この問題を受け、県教委は当時の教諭や校長ら4人を懲戒処分したが、公表はしていない。県教委は「県個人情報保護条例などに基づき、処分の有無も含めて答えられない」としている。県教委の指針では原則として懲戒処分以上は公表対象だが、「特段の配慮が必要な場合は、全部または一部を公表しない」との規定がある。今回はこの規定を適用したとみられる。 報告書、当初は保護者に渡されず いじめへの対応をめぐり、女性… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
しょうゆ使わない豚のショウガ焼き 「いりこ」が調味料
記事の後半で、作り方のポイントを動画でご覧いただけます ごはんラボ いりこレモンの豚ショウガ焼き 和食を身近に感じるシリーズの最後は、いりこ(煮干し)を調味料にするという提案です。 だし用に買っても使い切れない。そんな悩みにこたえつつ、小魚・イワシの肉にも負けない力強さを再認識できます。香川生まれで瀬戸内のいりこを食べて育った料理監修・林亮平さんの、「足元の素材を見直そう」という思いもこもっています。 名付けて「粉いりこ」。作り方は、電子レンジで加熱し、頭もはらわたも丸ごと粉にするだけです。同じくイワシと塩で作るアンチョビやナンプラーにも似た魚のうまみと塩味を、野菜炒めやチャーハンといったいつもの料理に加えられます。 紹介するのは、しょうゆを使わずに粉いりこを加える豚のショウガ焼きです。レモンを合わせると、魚のくせは消え、コクとさわやかさが同居した味わいが生まれます。 もう一品、いりことレモンの風味を加えた酢みそを鶏肉にかけました。魚介や山菜にも合います。(編集委員・長沢美津子) いりこレモンの豚ショウガ焼き (材料・1人前)料理監修:林亮平さん(日本料理・てのしま) □ 豚肉(トンカツ用)1枚(120g) □ 小麦粉 適量 □ ショウガみじん切り 大さじ1 □ 粉いりこ 大さじ1 □ サラダ油 適量 □ 酒 大さじ2 □ 水 大さじ2 □ みりん 大さじ1 □ レモン汁 大さじ2 作り方 ①作りやすい分量で粉いりこを作る。いりこ50gを皿に広げ、ラップをせずに電子レンジ(500W)に50秒かける。水分が飛んで香りが立つ。冷めてから手でほぐし、電動の小型ミルやすり鉢で粉末にする。 レンジ加熱すると簡単に割れる。粉にする道具がなければ、厚手のポリ袋に入れ上から瓶を転がしてもいい=動画はいずれも合田昌弘撮影 ②ショウガをみじん切りにしてお… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
みそ漬け1年のはずが「白すぎる」最高裁を動かした疑問
死刑確定後に釈放されている袴田巌さん(84)の再審請求審で、最高裁は昨年12月、審理をやり直すよう東京高裁に求める決定をした。重く見たのは、弁護団による独自の実験だった。支援者らの素朴な疑問から始まった取り組みが、無罪の可能性をつないだ。(植松敬、阿部峻介) 袴田さんは静岡県浜松市の自宅で、姉の秀子さん(87)と新年を迎えた。正月に市内の繁華街を歩くと、最高裁決定を知った人が「よかったですね」と声をかける。秀子さんは言う。「無罪を待ってもう50年。無罪が確定するまで本当の意味で喜べない。頑張って長生きしにゃならんね」 無罪につながる再審を始めるかどうかを決める今後の審理で、重要視されるのが弁護団による「衣類のみそ漬け実験」だ。 人血の提供を受け、実験すると… 袴田さんの逮捕から1年後、血… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コンブ君が見つめるスマスイ、なにしてくれとんねん
神戸在住の文筆家、平民金子さんの連載コラム「神戸の、その向こう」がスタート。第1回は変わりゆく水族園への愛惜を語ります。 〈へいみんかねこ〉1975年、大阪生まれ。文筆家・写真家。神戸在住。著書「ごろごろ、神戸。」 あほんだら。なにしてくれとんねん。 机に置いた4枚の年間パスポートをつまみに酒を飲み、今日も悪態をつく。中年で変化のない私の顔写真の横には2歳、3歳、4歳、5歳と大きく成長した子供が並んで写っている。 神戸市立須磨海浜水族園は来月末で敷地の多くが閉鎖され、2023年には完全に取り壊される事が決まっている。嬉(うれ)しい時に通い、しんどい時に通い、どこを見ても何かを思い出すなじんだ場所の消滅に今もあきらめがつかない。 ある時知人のSNSを見ていた… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ルイ・ヴィトン クラシック、でも子供心も パリ・コレ
ルイ・ヴィトンの2021年秋冬メンズ・コレクションは、フランスとスイスでのロケや、屋内でのモデルのウォーキングなどを合わせた物語仕立ての映像で発表された。 2018年からデザイナーを担当しているヴァージル・アブローは、1980年生まれのアフリカ系米国人。多様性などについてのメッセージ性の高い作風でも知られる。今回の作品は、肌の色や性差、年齢や職業などにより、人が無意識に覚える先入観や偏見を、ファッションを通して変えていこうとする試みだという。 冒頭は、銀色の重たそうなアタッシェケースを手に、ウールのロングコートを着たアフリカ系の年配モデルが雪山をひたすら歩く。一転して、そのモデルが都会的な道路に見立てたセットの中に入ると、様々な服を着たモデルが好き勝手に歩いていたり、ベンチに座っていたり。 モデルは一見、それぞれの職業などにおいて典型的な格好をしている。たとえば、記者は腕に腕章をつけて新聞を持ち、地味なスーツやストライプシャツにジーンズ。セールスマンは大きなバッグにシックなスーツ姿で、放浪者は布を体に巻いている。しかし、セールスマンのスーツは、ダークなカラーのダブルブレストで一見正統派だが、極太のパンツで裾を引きずるほど長い。放浪者はブランドロゴ入りのエスニックな布を体に巻いているが、パーカに派手な金のバックル付きベルトをしていてクールな雰囲気という具合。 ここ数シーズンの作風は、就任直後に目立ったストリート的でカジュアルな作風は減少傾向にあり、今回のジャケットやコートはスクエアショルダーで素材も形もクラシックだ。ただ、いくつになっても子供心を大切に、というわけか、そんなデザインにおもちゃのような模型飛行機のボタンやバッグが合わせられた。スーツの肩に配した落書き風のブランドロゴや、建物の模型をくっつけたようなブルゾンなど遊び心も満載している。 最初は端正なスーツ姿で行き倒れていたモデルが、後半に生き生きと踊りだすなど、希望を感じさせる演出だった。(編集委員・高橋牧子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
キディル、アートとパンク「強い服」でパリ公式デビュー
日本ブランドのキディルがパリ・メンズコレクションに参加し、2021年秋冬の新作を映像で披露した。 事前に東京・東雲のイベントスペースで、限られた観客を前に、モデルが歩くショーを開催。そのショー映像に、モノクロ映像を差し込んだり、スローモーションにして服の細部を見せたりと、編集を加えた作品を発表した。 テーマは「Desire(欲望)」。米ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト、ジェシー・ドラクスラーと協業し、アートと融合したパンクスタイルを披露。大胆な筆致で描かれた人の顔のモチーフなどを、シャツやコート、パンツなどにとり入れた。デザイナーの末安弘明はショー後、「新型コロナウイルスで世界中が元気を失っているが、こういう状況だからこそ強い服を作らないといけない」と話した。作品はモノトーンが目立つが、「気分が沈むようなものではなく、白黒だけどポップにしたかった」。 服は「人が着て歩くというのが、一番伝わりやすい」と、生のショーを観客に見てもらうことにこだわった。ミュージシャン灰野敬二による生演奏が、荘厳でダークな雰囲気を醸した。公式スケジュールでのパリ・メンズへの参加は、今回が初めて。「正直、東雲でパリ・コレをやっているから、実感はわかない。強気でいないと、新しいものは生まれない。新しいことやっていきたい」と末安は語った。(神宮桃子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
脱炭素社会へ 「くじ引き市民」の熟議、政策決定の礎に
コラム「多事奏論」 国分高史(編集委員) あなたは脱炭素社会の将来像をどう描き、そこにいたる変革の道のりをどのように進むべきだと考えますか? この問いに答えを出すべく、20人の札幌市民が昨年11月から12月にかけて隔週の日曜午後、計4回約16時間もの長きにわたってオンラインで話し合った。「気候市民会議さっぽろ2020」。参加したのは、「くじ引き」で選ばれた老若男女だ。 温室効果ガス排出の実質ゼロに向け、どのような社会的合意のもとで具体策を進めるべきか。それを探るためフランスやイギリスなど欧州で広がっている「気候市民会議」の手法を、初めて日本でもやってみようという野心的な試みだ。 北海道大学などの研究者らでつくる実行委員会が企画した。50年までの排出ゼロへの行動計画を作成中の札幌市の積極的な協力のもと、住民基本台帳から無作為に選んだ16歳以上の3千人に案内状を送付。それを受け応募してきた人の中から年代、性別、学歴などの構成が市全体の縮図となるよう選ばれた人たちが参加した。 会議では、温暖化対策の専門家や市環境局の担当者ら11人から専門分野ごとの課題について情報提供を受けた後、市民がそのつど自由に意見を述べあった。そのうえで、例えば人や物の移動に関して①車を脱炭素化する②車以外の手段に転換する③移動を減らす暮らし方・働き方をするとの選択肢のうち、どれが最も重要かといった70項目に投票。その結果を分析した速報は25日に市環境局に報告され、行動計画やその後の取り組みに反映される見通しだ。 会議のポイントはくじ引きにある。 実行委代表の三上直之・北大准… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
青い光に犬の声まで イノシシ対ICT、軍配はどちらに
原発事故の避難指示が解除された地域を悩ませているイノシシ。住民の帰還や農業再開の妨げにもなっている中、福島県富岡町でICT(情報通信技術)で追い払ったり、追跡したりする実証実験があった。最新技術とイノシシの知恵比べ。軍配はいかに――。 「今、歩いてきた道は、イノシシ街道と言っていいほど頻繁に通ります」 富岡町役場の西1キロ弱の王塚地区。昨年12月に学術関係者らを招いた現地見学で、東京農工大学の金子弥生准教授(動物生態学)はこう説明した。 地区内に約20台設けたのが「イノシシ追い払いシステム」。イノシシを検知すると、青い光が点灯する。犬のほえる声が流れ、追い払う仕組みだ。カメラもついており、反応などを8秒間録画する。 画像からは成獣5頭、幼獣16頭を確認。19回撮影された映像を解析すると、いずれもイノシシを遠ざけることができた。金子准教授は「農地への侵入をあきらめた可能性がある」とみる。 実験は東京農工大、NTT東日本、町が昨年7月から約5カ月間取り組んだ。2017年4月に町の大部分の避難指示が解除された後、営農を再開した渡辺伸さん(60)が協力。渡辺さんは「電気柵だけで追い払うには限界がある」と、実験のメリットを語る。 追い払うだけでなく、行動把握にも力を入れる。捕獲したイノシシに首輪型のGPS(位置情報システム)を取り付け、追跡調査した。情報は実験に関わる人々にメールで送られる。 その結果、近くを流れる富岡川の河川敷など4カ所で休息し、近場の農地がエサ場となっていることがわかった。営農を再開した農家の6~7割は避難先から通っているため、夜間は静かで、イノシシがすみやすい環境が整っていると、金子准教授は分析する。 行動範囲は、渡辺さん宅の北側を走る常磐線の線路を越え、住宅密集地にも広がっていた。農業被害だけでなく、電車や車、人とぶつかる可能性がある。 これまでもICTはイノシシ対策に活用されてきた。ただ、わなを遠隔で監視し、猟師の見回りなどの負担軽減が中心だった。イノシシの追い払いについても、東京電力が18年、浪江町でドローンに超音波発信機を載せた実証実験をしたが、音や光で追い払う取り組みは珍しいという。 イノシシは営農や住民の帰還の… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福岡県警で感染者急増 「危険ひしひし」対策限界の理由
福岡県警の警察官・警察職員の新型コロナウイルス感染が今年に入ってから急増し、累計が100人を超えた。複数の警察署などでクラスター(感染者集団)が発生し、自宅待機者は約200人に。県警は治安への影響が出ないよう本部から応援を派遣するなどして対応している。 警務課によると、21日の時点で96人だったが、22日に6人の感染が判明し、102人に。23日にも2人の感染がわかり104人となった。県警の感染者は昨年7月に初めて確認され、12月までは13人だったが、今月だけで91人の感染が確認された。 警察庁によると、これまでに全国の都道府県警と警察庁で1167人の感染が確認された(21日現在)。福岡県警の感染者は、警視庁の234人、愛知県警の134人、神奈川県警の123人、大阪府警の109人に次いで多い。 福岡県警で最初にクラスターが… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル