米軍輸送機オスプレイが鹿児島・屋久島沖で墜落した事故を受け、日本政府は30日、米軍側に対し、捜索救助活動を除いて、安全が確認できるまでの間は飛行を停止するよう要請した。ただ、沖縄ではこの日も米海兵隊のオスプレイが相次いで飛行し、住民の不安感が高まる。日米が防衛力の「南西シフト」を進めるなか、今後の配備計画に影響する可能性もある。 政府の対応は「米国からの情報を見て判断するしかない」(首相周辺)と後手に回り続けた。 最初に墜落事故について会見した宮沢博行防衛副大臣は「墜落」を認めず、「不時着水した」と強弁。その理由を「米国側から説明を受けているが、最後の最後までパイロットは(機体のコントロールを)がんばっていらっしゃったということで、不時着水という言葉だ」と主張した。29日夜、岸田文雄首相は、飛行停止要請について問われると、「事故の実態を確認した上で、何が必要か、何が求められるのかを検討した上で考えるべき課題だ」と述べ、慎重な姿勢を見せた。官邸幹部も「状況が分からないのに飛行停止なんてできない」と言い放った。 ただ、政府関係者によると、政権内では当時、飛行停止要請のタイミングについて、原因判明の「前」か「後」かで意見が割れ、首相は「前」に傾いていたという。最終的に、首相は、2016年に沖縄県名護市沿岸部での米軍オスプレイの事故に世論の強い非難が起きたことを教訓に踏まえ、関係省庁に対応を指示したという。 結局、防衛省が実際に米軍に… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
指宿枕崎線の赤字区間、将来の姿議論へ JR九州が鹿児島県に提案
JR九州は11月30日、利用客が特に少ない赤字路線の指宿枕崎線(鹿児島県)指宿―枕崎間で、将来の地域交通のあり方について議論を進めたいと鹿児島県に申し入れたと発表した。同社から沿線自治体に話し合いを働きかけたのは初めてで、将来的に存廃議論に発展する可能性もある。 2022年度の同社の線区別収支では、全21路線59区間のうち、10路線12区間で1キロあたりの1日の平均利用者数が1千人未満でいずれも赤字。このうち同線の指宿―枕崎間(営業42・1キロ)の利用者数はワースト3位の220人だった。民営化の1987年度と比べると77%減となっている。 鉄道路線の将来像を巡っては、今年10月、改正地域公共交通活性化再生法が施行され、鉄道事業者や沿線自治体の要請で国が必要と認めれば存廃を含め方向性を考える協議の場が設けられる。対象となるのは輸送密度1千人未満の区間だ。 この日の定例会見で古宮洋二… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パートナー制度「空白県」、全て解消へ 福島県内の自治体が導入決定
福島県伊達市は11月30日、性的マイノリティーの人権を尊重し、同性同士などのカップルの関係を公的に認める「パートナーシップ制度」を2024年1月4日から始める、と発表した。福島県内の自治体では初めて。全国でも福島県だけ導入を決めた自治体が一つもなかったが、伊達市の決定により、制度の「空白県」は解消される見通しとなった。 同日、記者会見を開いた須田博行市長は「一人ひとりが自分の色で輝ける社会をめざしている」とした上で、「(性的少数者は)社会に一定程度いらっしゃる。(当事者から)要望がある無しに関わらず制度をつくり、周知し、多様な性に対する理解を深めていきたい」と話した。 同制度は、同性婚が法的に認められていない日本で、自治体が性的少数者のカップルを婚姻に相当する関係と認めるもの。法的拘束力はないが、行政や民間によるサービスを受けやすくなる。 制度の活用を希望するカップルはまず、市に宣誓書を提出する。市は宣誓証明カードなどを発行する。制度の適用を受けたカップルは、市営住宅へ入居したり、「だて結婚新生活支援事業補助金」の対象となり、家賃や引っ越し代などとして最大90万円を受け取ったりできる。市によると、市内で同居しているか、2週間以内に転入を予定しているなどの成人カップルが対象だ。 今春、市男女共同参画プラン… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ネットモール上の危険な商品、10月に29件削除 消費者庁が初公表
消費者庁は29日、安全性が疑われる製品やリコール製品のネット通販などでの出品削除の状況を初めて発表した。6月に始まった「製品安全誓約」に基づくもの。10月に各監督省庁が29件の削除を大手ネットモールなどの運営事業者に求め、全てが2営業日以内に削除された。消費者庁の担当課は「順調なスタートだ」としている。 製品安全誓約は、消費者庁などの関係省庁と、ネット上で製品の「売買の場」を提供する事業者が策定、アマゾンジャパン、楽天グループなど7社が6月に署名した。不適切な製品が出品されているとの経済産業省など規制当局からの指摘を受けた場合に出品を削除する、といった項目が盛り込まれている。 10月の1カ月間に削除要請が出された主な品目は、乳児用ベッド、バイク用ヘルメット、リチウムイオン蓄電池など。消費者庁によるといずれも安全基準を満たしているとの確認ができなかった商品という。(大村美香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
知床沖事故の訴訟で国側が反論 「検査機構の過失。国に責任なし」
北海道・知床半島沖で昨年4月に観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で死亡した甲板員・曽山聖(あきら)さん(当時27)の両親=東京都=が、事故は国の不十分な船体検査が原因だとして、国に計約1億800万円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が30日、東京地裁であった。 事故をめぐり、国の責任を問う訴訟は初めて。国側は、検査は日本小型船舶検査機構(JCI)が担っており、「仮にJCIに過失があったとしても、国は賠償責任を負わない」などとする答弁書を出し、請求棄却を求めた。 両親は訴状で、JCIが船のハッチの不具合を発見して不合格にしていれば、出航できず事故は起きなかったと主張。国には安全に航行できない船を検査に合格させた責任があると訴えている。 船舶の検査は国の事務だが、小型船舶の検査は国土交通省が所管する特別民間法人のJCIに委任されている。国側は答弁書で「国家賠償法上、『公権力の行使』をする主体が、責任の主体になると解されている」と指摘。「検査はJCIが自立的に行う業務。責任主体は国ではない」と主張した。 原告代理人は閉廷後の取材に… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
治療に効果とうたい無許可販売容疑、男4人逮捕 成分は通常の飲料水
腫瘍(しゅよう)やアトピーに効果があるとうたい、水を医薬品として無許可で販売したとして、警視庁は事務機器販売会社「エムオーシー」(東京都港区)代表の男(82)ら4人を医薬品医療機器法違反(無許可販売)容疑で逮捕し、30日発表した。同日、同社と関連会社「Craftsman」を同法違反で書類送検した。 生活環境課によると、ほかに逮捕したのはエム社の専務ら44~53歳の男3人。4人は共謀して3~7月、厚生労働省の許可を得ずに、医薬品として「エレメントアクア」と称する液体を、秋田県の40代女性ら9人に計約23万円で販売した疑いがある。いずれも容疑を認めているという。 この液体はHPなどで「様々な症状の予防効果」「疾病に対する治療」などと効能をうたっていた。警視庁が鑑定したところ、成分は通常の飲料水と同じと確認されたという。 購入した9人は、がんやアトピーなどの治療の目的だった。同課に対し、全員が「効果は感じなかった」などと説明しているという。 同課は、2017年から約6年間で全国の延べ1365人に販売し、計約3200万円を売り上げたとみている。(御船紗子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
手重ねるなどセクハラ行為 愛知県岩倉市、消防士長の男性を懲戒処分
愛知県岩倉市は30日、市消防本部の20代の女性消防士2人へのセクハラ行為があったとして、消防士長の男性(35)を減給3カ月(10分の1)の懲戒処分とし、発表した。 8月に女性2人から訴えがあり、内部のハラスメント処理委員会(委員長・柴田義晴副市長)と懲戒審査委員会(同)で調査、審議してきた。発表によると、2人は2021年~23年6月に計20件のセクハラとパワハラがあったと訴えたが、市は同期間の計8件をセクハラとして認定した。 消防本部や消防関係者によると、男性は車庫2階の清掃時、はしごを握る女性の手に自身の手を重ね、振り払われると「こんなにかわいがってあげてるのに、ひどいな。全然なつかない」と発言。ほかにも「生理のとき言ってくれれば、仕事替わるよ」と口にした。性経験を尋ねる、自身の体の臭いをかがせる、肩をもむよう指示する、懇親会で性的な発言やヘッドロックをする、といった言動も確認された。 市消防本部で勤務する女性は2人だけ。うち1人は今月半ばまでの2カ月間、「抑うつ状態」と診断されて休職した。 男性は「相手を傷つけ、反省するしかない」と話しているという。 市の懲戒処分の基準は、「相… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
性教育「はどめ」導入の経緯とは 教科調査官「はどめではなく…」
性教育の事実上の制約になっていると言われる、学習指導要領の小学校理科と中学校保健体育にある「はどめ規定」。1998年度の改訂時に盛り込まれた規定で、教育現場では「性交を教えてはならない」と捉えられている。 昨年10月の衆議院文部科学委員会で永岡桂子文科相(当時)は規定について、「撤廃することは考えておりません」と答弁した。若者や子どもへの性暴力が社会問題となり、性教育の必要性が認識されるなか、改めて注目を集めているこの規定は、どんな目的で作られたのか――。 今回、はどめ規定が導入された学習指導要領改訂に携わった中学校保健体育の教科調査官が朝日新聞の取材に応じた。 ◇… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ぎりぎりのラインで活動」 猪瀬直樹・元都知事が語る東京五輪招致
東京五輪・パラリンピックをめぐり、石川県の馳浩知事が、高額のアルバムをつくり、投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)の委員におみやげとして渡したと話した。この発言によって、改めて注目が集まった五輪招致活動の実態はどのようなものだったのか。当時の招致委員会会長で、都知事だった猪瀬直樹氏(77)に聞いた。 「招致活動を担っていたのが、開催都市である東京都とJOC(日本オリンピック委員会)。野球に例えるのならば、両者がグラウンドでプレーし、国会議員や都議は観客席にいる応援団という立場だった」 猪瀬氏が語る招致活動の構図だ。招致が決まった2013年、馳氏は衆院議員で、自民党の東京五輪招致推進本部長を務めていたが、招致活動の中枢に関わる立場ではなかったという。 「偶然という形でオペラの隣席に」 招致委会長を務めた猪瀬氏ら… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
カーテン、靴、竹ざるも「お直し」 街のクリーニング店にさよなら
前橋市中心部で60年近く続いてきたクリーニング店が、この年末で廃業する。家庭でも洗える服が増えたことなどでクリーニング離れが進むなか、なんとか良さを知ってもらいたいと活動する人たちもいる。(川村さくら) 県庁や前橋市役所から徒歩5分ほど。国道から筋を1本入った場所にあるクリーニング店「VIC DRY」の岡裕美子さん(65)は、毎日ここでガラス戸越しに街を眺めてきた。 伝票も名前も必要ない。お客さんが入ってくると、「こんにちは。いい天気ねえ」と答えながら、たくさんの中から返すべき服を探し出す。近況を聞いたり、世間話をしたり。顔と名前を覚えるのは「得意みたいなのよね」。 ■前橋の「丸の内」で… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル