独自 野間あり葉 谷瞳児 東郷隆2023年11月24日 17時00分 総務省が24日に公表した2022年の政治資金収支報告書で、自民党の3派閥が開いた政治資金パーティーをめぐり、記載が義務づけられている収入の一部が記されていない疑いがあることが朝日新聞の調べでわかった。国会では自民5派閥の21年までの収支報告書でのパーティー収入の不記載が追及されているが、最新の収支報告書でも同様の問題がある可能性が出てきた。 自民5派閥の不記載について、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)容疑で東京地検に告発している神戸学院大の上脇博之教授は、24日公表の収支報告書で見つかった3派閥のケースについても規正法違反に当たると指摘。新たに告発を検討するという。 規正法は、政治資金パーティー1回につき20万円を超える券の購入者について、名前や金額を収支報告書に記載するよう義務づけている。朝日新聞は、24日公表の収支報告書で、派閥のパーティー券購入のために20万円超を支出した政治団体の報告書と、派閥側の収入の報告書を突き合わせて調べた。 支出と収入の不一致が見つかった3派閥は「清和政策研究会(安倍派)」「志帥会(二階派)」「志公会(麻生派)」。 清和会では、支出側に記載のある28万円が、収入として記されていなかった。志帥会では、支出側に記載のある40万円、30万円が、収入として記されていなかった。志公会では、支出側には26万円、収入側には24万円と記され、金額が2万円足りないケースがあった。 いずれのケースについても、支出した側は24日の朝日新聞の取材に、パーティー券購入のための支出だったことを認めた。3派閥の事務局はいずれも取材に「事実を確認し、適切に対応する」と文書で回答した。 パーティー収入をめぐり、上脇教授は昨年11月から今年10月にかけて、18~21年の5派閥の計4千万円分の不記載について告発している。内訳は、清和会約1900万円▽志帥会約900万円▽平成研究会(茂木派)約600万円▽志公会約400万円▽宏池政策研究会(岸田派)約200万円で、各派閥は、複数の不記載について収支報告書の訂正を済ませている。 関係者によると、告発を受けた東京地検特捜部はこれまでに派閥の担当者らから任意で事情を聴いている。(野間あり葉、谷瞳児、東郷隆) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
評価のきっかけは熊本地震 薬の商家「吉田松花堂」が国重文指定へ
幕末から続く伝統薬の製造・販売元である吉田松花堂(しょうかどう、熊本市中央区)の建物と土地が24日、国の重要文化財に指定される見通しになった。これまで文化財に指定されたことはなく、「無冠」からいきなり国宝に次ぐ地位に昇る。きっかけは、熊本地震後の専門家による調査だった。 吉田松花堂は、現在の長崎県諫早市出身の初代吉田順碩(じゅんせき)が江戸後期の天保年間に熊本城下の新町に移り住んで創業。オランダ医学を日本にもたらしたシーボルトの弟子で、生薬から「諸毒消丸」を作って売り出した。胃腸を整え、息切れやめまいにも効くと県外でも評判を呼び、日露戦争や第2次世界大戦では兵士の携行薬として売れたという。 建物は1877(明治10)年の西南戦争で焼け落ちた後、順次再建。文化審議会が重文にふさわしいと答申したのは、主屋(おもや)や書院、茶室など9棟と、庭園がある土地だ。 熊本市文化財課によると、こ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
処理水放出が映し出す日本社会 停滞の福島で「諦めたくない」と願う
AFW代表・吉川彰浩さん寄稿【後編】 原発事故の被災地で「対話」づくりに努めてきた吉川彰浩さんは、処理水の放出を前に虚無感にとらわれたと言います。後編では、その理由とこれからの覚悟をつづります。 双方向コミュニケーションが政府の方針になった頃、「対話の場」の活動から私は身を引いた。数十年間、延々と続くであろう廃炉に関する「対話の場」を、“活動家もどき”(活動家は社会を変革し組織を変えルールを作れる存在だと思います。自分はまだそこまで到達していません)の私のような者がつくっているうちは、政府・東京電力が主体性を持つことができない。彼らが率先して地域に関わることで、それは自然にできてくる。話し合いながら地域の納得感をもって廃炉が進められるという“文化”の定着を望んでの決断だった。 私は、福島第一原発から15キロそこそこ、隣町には避難区域も残り、事故の影響から町を立て直すというフェーズにある町で、一市民として暮らすようになった。すると、原発に関連する情報に触れる機会はみるみる減っていった。 時折、家にチラシが届く。いかに安全に廃炉を実施しているかが伝えられる。しかし、それは震災前に、原発がいかに安全かを伝えていたころと重なって見える。廃炉の実態がどうなのか、意識して情報を集めなければ、福島県外の方とさほど変わらない質と量の情報しか得られない。福島第一原発で働く人たちは身近にたくさんいるのに、彼らの思いも悩みも聞こえてはこない。守秘義務があるからだ。 要は、“あちら側”が伝えた… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
知人女性が離席中に睡眠薬か ホテルでわいせつ行為疑いで薬剤師逮捕
知人女性に睡眠薬を飲ませてわいせつな行為をしたとして、警視庁は薬剤師の男(26)=東京都国分寺市本多1丁目=を準強制性交等容疑で逮捕し、24日発表した。「合意の上だった」と容疑を否認しているという。 中央署によると、男は6月17日夜、東京都中央区の居酒屋で知人の20代女性に睡眠作用のある薬を飲ませ、同区内のホテルでわいせつ行為をした疑いがある。 居酒屋では男と女性が2人で飲食しており、女性が離席中、男が飲み物に薬を混ぜた可能性があると署はみている。女性は飲み物を飲んだ直後から意識がもうろうとし、気づいた時にはホテルにいたという。翌18日、署に被害届を出していた。 薬は医師の処方箋(せん)がないと入手できないものだったという。署は、男が勤務先の薬局で薬を入手した可能性があるとみて調べている。(福冨旅史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
車がガードレールに衝突、5人けが 80代運転手逮捕 東京・恵比寿
24日午前11時55分ごろ、東京都渋谷区恵比寿西1丁目の都道交差点で、「車が歩道に突っ込んだ」と目撃者から110番通報があった。警視庁によると、乗用車が歩道に突っ込み、20~50代の男女計4人が病院に運ばれた。いずれも命に別条はないという。 80代の男「覚えていない」 警視庁は、車を運転していた80代の男を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕した。調べに「事故当時のことは覚えていない」と話したという。 現場は信号機のある三叉路(さんさろ)の交差点。乗用車は右カーブの道路をを曲がらずに、正面から左方向の歩道に突っ込んだ形だという。男も作動したエアバッグで目の上にけがをした。(遠藤美波) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
売春目的で来日?夜の街に立つ外国人男性 「法律が追いつかない」
横浜最大の歓楽街・伊勢佐木町に隣接する若葉町(横浜市中区)と周辺で、売春などの目的で路上で男性客をとる「街娼(がいしょう)」のうち、「男娼(だんしょう)」として金を稼ごうと来日する外国人男性の検挙が増えている。新型コロナウイルスの水際対策の緩和で、来日しやすくなったことが影響したとみられる。住民の声を受け、神奈川県警が取り締まりを強化している。 JR関内駅から徒歩十数分、マンションやビルが立つ若葉町とその周辺。深夜、雰囲気が少し変わる。 コインパーキングやビルの脇にタイトなスカートの長身の姿。道行く男性が近づき、目が合うとほほえみかける。片言の日本語で「こんばんは。遊びはいい?」。男性と街に消える人も少なくない。 「町の雰囲気が悪く、夜、住民は歩きたがらない」。約1千人の住民が暮らす若葉町町内会の会長、芦原将(すすむ)さん(83)は話す。今年6月ごろから、深夜に路上に立つ外国人が増えた、と驚いている。 町内会と県警は街頭に防犯カメラをつけたほか、情報交換する若葉町地区防犯対策協議会を8月に設置。月に1度、パトロールもしている。 多くはタイ人男性か 「夜、外国人が客引きしている」。住民の苦情を受け、県警は取り締まりを強める。捜査員が男性客を装い、5~9月に若葉町と周辺で、タイ、フィリピン、ペルー国籍の27~53歳の男5人を県迷惑行為防止条例違反(客待ち、客引き)容疑で逮捕した。うち4人は観光ビザで入国し、近くのマンションやホテルに泊まり、深夜、路上に立っていた。すでに帰国したとみられる。 県警によると、男娼の検挙は2019年は2人、コロナ禍の20~22年はゼロだった。昨秋の水際対策の緩和で訪日しやすくなったとみられる。 9月には捜査員57人で路上にいた17人を伊勢佐木署や待機車両に呼び、パスポートを確認した。タイ人男性が13人とほとんどを占め、残りはタイ人女性2人、中国人、日本人女性が各1人だった。「ただ立っているだけ」と話した人もいたが、県警は17人に疑わしい行為をしないように注意した。 売春防止法の適用外 売春は、売春防止法により禁… この記事は有料記事です。残り575文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
性的暴行容疑で逮捕の校長、懲戒免職に 練馬区の中学に勤務
勤務先の中学校の校長室で少女の裸の画像を所持したとして警視庁に逮捕され、起訴された東京都練馬区立三原台中の校長(特命担当)、北村比左嘉被告(56)について、都教委は22日、懲戒免職処分にしたと発表した。 北村被告は9月10日、同校の校長室で、18歳未満の少女の裸の画像を記録したビデオカメラ1台を所持したとして逮捕された。データは少なくとも10点所持していたという。 東京地検は10月20日に児童買春・児童ポルノ禁止法違反罪で起訴した。北村被告は、練馬区教委の聞き取りにも児童ポルノ所持の事実を認めたという。 また、以前に勤務していた中学校の女子生徒に性的暴行を加えてけがを負わせたとして、準強姦(ごうかん)致傷容疑で警視庁に再逮捕された。都教委は、逮捕後に北村被告を校長(特命担当)とし、10月16日付で別の校長を後任として配属していた。(本多由佳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京都の英語スピーキングテスト、26日に 今年は中3生8万人対象
東京都内の公立中学3年生約8万人を対象にした「英語スピーキングテスト」が26日に都内各地である。 都立高入試の合否判定にも用いられるテストとして初めて実施された昨年は、運営を巡る課題が明らかになった。実施する都教育委員会は「生徒が安心して受けられるよう準備を徹底してきた」と説明するが、どう変わったのか。 都教委は、試験当日の注意点などをまとめたチラシを作成し、学校を通じて全受験生に配布した。昨年は持ち込めなかった軽食を持参できることを記載し、欠席の場合は電話でなく専用フォームからの連絡を呼びかけた。 都教委のホームページには、テストで使うマイク付きイヤホンと防音用のイヤーマフの説明動画も新たに紹介された。担当者は「機器を使っての試験は慣れない子もいる。事前に知っていれば当日焦らずに受験できるはず」と話す。 「隣のクラスの声よく聞こえた」 今年は解消できる? 昨年のテストで課題とされたのが、同じ問題を時間差で受けることになる生徒同士の十分な情報遮断だ。 一部の受験会場では、二つの… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
名物「へそ市」復活計画の矢先に火災 雪国商店街のピンチに寄付続々
人口減と高齢化にあえぐ雪国の小さな商店街が、にぎわいを取り戻そうと祭りの復活を計画し始めた矢先、火災に見舞われた。存亡にも関わりかねない大きな危機に、商店主たちは手を携え、再生に向けて歩み出した。 水害乗り越え40年前に誕生 南本町商店街は、新潟県中部の内陸部に位置する魚沼市小出島にある。度重なる水害に苦しんできた別の地区の商店が河川改修に伴い集団で移転し、1981年、もともとの商店とともに30店ほどでアーケード街をつくった。 隣には新築されたばかりの旧小出町の町役場があった。そんな町の「へそ」にあたる中心部で、2000年ごろ「へそ市」が始まった。毎夏、通行止めにしたアーケード街に出店が並び、夜まで大勢の人でにぎわう祭りに育っていった。 04年の合併で町役場は魚沼市の小出庁舎に変わった。周辺で勤務する昼間の人口が減少していたところに、新型コロナが追い打ちをかけた。人気の食堂が閉店し、庁舎は解体され、高齢化が進んだ。へそ市も、18年を最後に休止を余儀なくされていた。 商店街協同組合の理事長を務める電器店経営の稲津厚さん(64)は、庁舎の跡地で26年春に開業予定の生涯学習センターに期待をかけた。図書館や公民館が入り、イベントのできる駐車場も備える。これをきっかけに「へそ市を復活させよう」と仲間うちで話し合っていた。 救出した楽器で同級生が応援ソング 火災が起きたのはその矢先だった。今年9月26日未明、近くの住宅から出た火は商店街に広がり、5店を含む13棟が全半焼するなどした。 「これからというときに……… この記事は有料記事です。残り1209文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
クマによる傷、顔面は9割 眼球摘出の例も 医師「ナイフより鈍器」
ツキノワグマに襲われ、救命救急センターで治療を受けた人のおよそ9割が顔面にケガを負っていることが、朝日新聞の集計でわかった。治療に携わる医師はクマによる外傷について、「ナイフよりも鈍器に近い性質で、組織をえぐりとる」と話す。 眼球摘出に至るケースもあり、命が助かっても顔に傷や後遺症が残るリスクがあるという。 今年は全国でクマによる被害が相次いでいる。環境省が今月1日に公表したクマの人的被害状況(速報値)によると、今年は10月末までに全国で180人が被害にあった。記録の残る2006年以降で過去最多となっている。 180人のうち5人が亡くなっているが、このうち4人はツキノワグマによる被害だった。 被害の増加には、クマのエサになるブナなどのドングリが不作であることや、クマの生息域が広がっていることなどが要因にあるとみられている。 日本には北海道のみに生息するヒグマと、本州や四国にすむツキノワグマの2種類のクマがいる。ヒグマに比べ小さいツキノワグマでも、大人になれば体重は100キロを超える。 クマは人を襲うとき執拗(しつよう)に顔を狙う習性があると言われている。 朝日新聞はクマ外傷について報告し、誰もが読めるオープンアクセスとなっている11年以降の論文について調査。顔面の受傷にしぼって取り上げた論文や、患者の抽出範囲が明確ではない論文などを除き、岩手医科大と高山赤十字病院(岐阜)の2本の論文を用いて集計した。 岩手医科大は11~16年に… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル