戦国時代のキリシタン大名らが領内の仏教徒を迫害していた――。 迫害から逃れるため、ひそかにキリスト教の信仰を続けた「潜伏キリシタン」。長崎では関連遺産が世界文化遺産に登録され、その地を訪れる人は後を絶たない。一方、仏教徒が受けた迫害の歴史が顧みられることは多くはない。 9月、長崎県諫早市西小路町の古刹(こさつ)・天祐(てんゆう)寺で「開眼法要」があった。 ただ、魂を入れたのは仏像ではない。寺としては異例の聖母マリアとイエスを主題とした「聖母子」絵像だった。 寺の教えとは異なるキリスト… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
突然届いた茶封筒、芸術家の背を押した小3「あつ生くん」の自由研究
15年前の冬のある日、神奈川県箱根町の美術館で働いていた橋本公(いさお)さん(64)の元に茶封筒が届いた。中の手紙に、こう書かれていた。 友人のお子さんの「自由研究」です――。 何のことだろう。 同封されていたのは「かく実験 3年3組小原あつ生」と書かれた冊子。ページをめくって、あの作品のことだと気づいた。 橋本さんは、子どものころから絵を描くのが好きだった。 大学を卒業した後は銀行で17年間働いたが、父が亡くなったことなどをきっかけに「このままでは死ぬとき後悔する」と考えて退職した。41歳で武蔵野美術大学(東京都)の造形学部に入った。 2年後の2003年に、卒業制作で「1945―1998」と題した映像作品を発表した。 作品では、世界各地で行われた核実験を示す光が、電子音とともに世界地図上で点滅していく。1945年以降の2千回以上を14分にまとめ、広島・長崎への原爆投下もそこに含めた。無数の民間人を犠牲にした「実験」だと考えたからだ。 作品は世界的に注目され、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会の公式YouTubeでも紹介された。 再生回数は51万回を超す。(https://youtu.be/cjAqR1zICA0?si=s9bwfM5_2kuH_yIM) 見知らぬ君に伝えたい、「連絡ください!」 発表の5年後に橋本さんの元に届いた「自由研究」も、白地図に核実験の場所が落とし込まれていた。「あつ生くん」は前文にこう書いていた。 「(橋本さんの作品を)見た… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
片目の「まねちゃん」は幸せの招き猫 妻は夢かなえて小説家に、夫は
吉原の遊郭を舞台にした「髪結百花(かみゆいひゃっか)」や、現代の助産院を描いた「おっぱい先生」。 働く女性を主人公に幅広く執筆している泉ゆたかさん(41)は、34歳の時に小説家になった。 大学在学中の20歳ごろから年2~3本のペースで賞に投稿。 2016年に「お師匠さま、整いました!」で第11回小説現代長編新人賞を受賞してデビューした。 現在も週3回は塾講師として働きながら、執筆を続けている。 そんな泉さんの作業部屋は、家族から「猫の部屋」と呼ばれている。 原稿を書いている間、レーザープリンターの上で丸まっているのは隻眼のキジトラ「まねちゃん」。 小説家としてデビューする前に迎え入れた元保護猫だ。 今から11年前、同じ塾で働いていた同僚との結婚が決まり、ペット可の新居へと引っ越し。 猫を迎え入れようとNPO法人のサイトを眺めていて、一目ぼれした。 生まれて半年ほどの片目の猫を救いたい、という使命感からではない。 昔実家で飼っていた猫と真ん丸な目がそっくりで、純粋に可愛いと思った。 当時の名前は「あいちゃん」。交通事故に遭ったのか、片方の眼球が飛び出した状態で保護されたそうだ。 そのままあいちゃんという名前で呼ぼうと思っていたら、NPOの代表からこう言われた。 「迎え入れる時の大事なプロセスの一つなので、ぜひ新しい名前をつけてください」 大好きな俳優のジョニー・デップから「ジョニー」をもらおうか。 ロックバンド・筋肉少女帯の曲にちなんで「ドルバッキー」はどうだろう。 いくつも考えたが、婚約者からことごとく却下され、彼が出してきたまねちゃんに決まった。 「招き猫の『まねちゃん』はどう?」という提案に、それはいいなと思ったからだ。 まねちゃんを迎え入れてまもなく、2人の運命は大きく動き出す。 半年後に結婚を控えるなか突… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
在留資格なければ人権なしで良いのか 斎藤前法相が投じた一石
日本で在留資格がない外国人は、子どもであっても基本的な権利が守られていない状態で暮らしている。そうした子どもに対し、法務省は「今回限り」として在留特別許可(在特)を出すことを決めたが、同じような境遇にありながら対象から外れる人たちもいる。 人権はすべての人に等しく認められるものではないのだろうか。 「外国人の基本的人権保障は、在留制度の枠内で与えられているにすぎない」。最高裁は1978年、反戦活動を理由に在留を認められなかった米国人が起こした裁判でそう結論づけた。 在留資格のない家族が著しく… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「子に責任ない」斎藤前法相が示した異例の措置 なおも残る課題
日本で生まれ育ったのに強制送還の対象になった子どもを保護するため、家族一体で在留特別許可(在特)を与える――。非正規滞在者に厳しく対応してきた日本では異例の措置を斎藤健前法相が8月に示し、後任の小泉龍司法相は今月、一部の家族に許可を出したことを明らかにした。法務省は「今回限り」とするが、これで問題が終わるわけではない。 今回の措置が本格的に議論されたのは、入管難民法改正の国会審議だ。 「私も、子ども2人をものすごく悩みながら育てた」「人一倍、真剣に考えているつもりだ」 4月の衆院法務委員会。「子どもには何ら責任がない」と在特を出すよう求める野党議員に対し、斎藤前法相はそう答えた。その後、斎藤氏が主導するかたちで特例的な措置が決まった。法務省幹部も「(斎藤氏は)子どもの権利への思いが強かった」と振り返る。 非正規滞在者を一定の基準で一斉に合法化することはアムネスティ(恩赦)と呼ばれ、海外では時々行われる。今回の措置は、それに近いものだと評価する声もある。 ただ、法務省は「今回限り」… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
図書館にゲーム置いたら… 最先端の高校、表現力や知識量アップにも
学校の図書室に40種類のゲーム! そう聞いて、「図書室に置くのは不謹慎」と思うのは昭和世代の感覚かもしれない。いまや学校の図書室にボードゲームなどがあってもおかしくない、いやむしろ有用とさえされている。最先端を行くのは、京都府京丹後市にある丹後緑風高校久美浜学舎の「くみこう図書館」。ゲームをやってもらうためだけに置いてあるわけではないようで――。 くみこう図書館の一角にゲーム類はある。定番の囲碁・将棋はもちろん、ボードゲームやカードゲームも。 例えばカードゲームの「カタカナーシ」。出題者はカードにあるカタカナ言葉をカタカナを使わずに説明し、回答者が当てる早さを競う。「ワードバスケット」は最初と最後の音が指定されたしりとりのカードゲームだ。 学校図書館司書の伊達深雪さんがゲームを置いたのは、久美浜学舎の前身、久美浜高校時代の2017年。当時行っていた「朝の10分間読書」が「朝の読書大賞」優秀校に選ばれ、副賞をゲームの購入に充てた。翌年は大賞に選ばれ、さらに購入した。 図書館を人々の交流の場とす… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ハチ公、初めて部屋に入る 渋谷駅前の銅像が1日限定のアート作品に
【動画】生誕100年のハチ公、銅像が1日限定の現代アートに=宮野拓也撮影 ハチ公像が初めて部屋の中に入った。JR渋谷駅前のハチ公の銅像が12日、1日限定でアート作品になった。仕掛けたのは、現代アーティストの西野達さん(63)。今年生誕100年を迎えたハチ公に「びっくりしたかな。長い間、お疲れさま」と声をかけた。 ドイツを拠点に活動する西野さんは、シンガポールのマーライオンの実物を「部屋」の中に入れた「マーラインオンホテル」などの作品がある。10年ほど前から、かつて近くで暮らしたこともある渋谷区の象徴ハチ公像を、作品にしたいと考えていたという。 今回、渋谷芸術祭や、銅像の作者安藤士さんの長女淳子さんの協力を得て、12日午前7時から午後10時までの1日限定で、ハチ公が部屋の中に入ってベッドの上に座る作品が実現した。 普段外にいるハチ公が部屋の中にいる逆転現象をつくり、「見る人の想像力を刺激し、拡張したい」と話す西野さん。海外では2カ月間ほどの作品になることが多いが、今回は渋谷区や警察との調整で1日限定となった。「2023年の日本の東京で、1日でもこれができたのは満足。こういった作品を見た人が面白いと思って、アートの自由度が増えるといい」と話した。 ハチ公像前を訪れた安藤淳子… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「境界線」のピンチ、どんなとき? 性暴力防ぐ教育、先進地のいま
性暴力の根絶に向けた政府方針に基づき、国は今年度から全国の小中高校で「生命(いのち)の安全教育」の実施を呼びかけている。めざすは加害者、被害者、傍観者にならないための教育。だが指導経験の乏しさなどから取り組みにはばらつきもある。国に先駆けた福岡県の現状を取材した。 「みんな手を広げて。自分と他の人との『境界線』はどこかな」 8月末、福岡県行橋市立泉小学校で、6年生対象の講義が開かれた。臨床心理士で性暴力対策アドバイザーを務める園田美貴さん(52)の呼びかけに、子どもたちは迷いながら、両手を横に大きく広げたり、頭の上で小さく合わせたりした。 「境界線」とは、自分と他者… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
La salamandre géante, symbole ancestral des campagnes japonaises et baromètre de l’état de la nature
Au-dessus de la rizière où coassent les grenouilles, une poignée de lucioles illuminent la nuit d’un trait rouge vif. Les faisceaux de quatre lampes torches éclairent l’eau du ruisseau, gonflée par la pluie des derniers jours. Une voix éclate : « J’en ai une ! » Les maraudeurs se regroupent en pataugeant à grandes […]
公園で大人気の「シャボン玉おじさん」 きっかけは阪神大震災だった
子どもたちは無数の小さなシャボン玉を追いかけ、人が入れそうなほどの大きなシャボン玉には精いっぱい手を伸ばして触ろうとする。「金ちゃん」こと金川佳史さん(58)が開く「冒険シャボン玉」の会場は、歓声であふれている。 和歌山北部と大阪南部の公園を中心に、毎週末のようにシャボン玉を作って遊ぶイベントを開いている。キャラクターの帽子をかぶり、エプロンにはたくさんの缶バッジ。「どこで買ったの?」「ポケモン好きなの?」。子どもたちが話しかけてくる。 そんなシャボン玉おじさんは、20年以上子どもと遊んできた体験遊び作りのプロだ。 1995年の阪神淡路大震災で、何かしなくてはと3カ月間神戸で災害ボランティアをした。和歌山に戻ってからもボランティア活動に関わりたいと思い、青少年の健全育成活動をしている和歌山市BBS会に加わった。そこで2002年から仲間と始めた「大人の小学校留学」がいまの活動の原点になった。 大人が小学生とともにクラスで机を並べて授業を受け、給食を食べて、終わりの会で下校する。低学年の子どもたちなら、大人たちをまるで同い年の友達のように受け入れてくれ、放課後も一緒に遊んだ。「子どもの世界を知りたい」という目的に共感した先生たちの協力を得て、月に2、3回を3年ほど続けた。教育を学ぶ学生たちも参加する取り組みになった。 電話で子どもたちの悩みを聞くチャイルドラインや、禁止事項をなるべく設けず自由に外遊びができるプレーパークの立ち上げにも関わり、05年には「冒険あそび倉庫」という団体を立ち上げた。 コミュニティセンターで工作したりたこ焼きを作ったり。「冒険旅行」という遠足では、大人がプランを用意するのでなく、子どもが行きたいところへ行った。「大阪の心斎橋に行ってご飯を食べる」計画など、自分の好きなものを自分でお金を払って買うというだけで子どもには特別な体験だった。 2000年代はまだ地域に子どもが多く、毎回20~30人と一緒に活動した。しかし少子化に加えて遊びの選択肢も広がる中で、冒険あそび倉庫に来る数は徐々に少なくなり、コロナ禍が追い打ちをかけた。 再びたくさんの子どもたちと出会うために、2022年の春から力を入れ始めたのがシャボン玉だった。メンバーは5人。研究して器具を手作りし、シャボン玉作りの体験も毎回開く。SNSの告知を見て何度も来る子もいるし、ウェブサイトから活動に寄付してくれる人もいる。 ただ、体験遊びもシャボン玉もあくまでたくさんの子どもと出会うための仕掛けにすぎない。その子たちが困ったときに助けになりたいと思っている。 昔遊んだ子どもたちが「金ちゃんと会えて楽しかった」「遊びでやったことがきっかけで大学に行った」と言ってくれることもある。 成長してくいく子どもたちに願うのはこれだけ。 「楽しく生きろよな」(榊原織和) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル