インターネットバンキングの利用者の預金が、他の口座に不正に送金される被害が急増している。金融機関の偽サイトに誘導してIDなどの情報を抜き取る「フィッシング」の手口が目立ち、警察庁は生成AIを使って偽サイトを見分ける検討に入った。 9日に有識者検討会の初会合を開き、今後の導入をめざす。 警察庁によると、ネットバンキングの不正送金被害は、今年上半期(1~6月)で昨年1年間の2倍となる2322件になった。 偽サイトの情報は全国の警察から警察庁に寄せられる。警察庁職員がそれらのサイトを実際に目で確認し、偽物かどうかを検討。偽サイトと判断すれば、ウイルス対策ソフトの業者らに情報を提供している。警察庁への情報は今年の上半期で約31万件になり、人の目による確認に手間と時間を要しているという。 チャットGPTなどの生成AIを使い、偽サイトか判別する研究は、民間のNTTセキュリティ(東京)といった企業で進む。警察庁は民間技術を活用し、偽サイト判別の効率化を図る考えだ。 また警察庁は、不正送金が実行される際に、金融機関側が犯人側による名義の変更を検知して送金を事前に阻止する仕組みの導入も検討する。 有識者検討会は金融機関やEC事業者、サイバーセキュリティーに詳しい大学教授らで構成。今年度中に報告をまとめる。(板倉大地) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
悪臭ご注意、洗濯物にびっしりカメムシ 油、洗剤…有効な撃退策とは
秋空が広がる週末の午後。洗濯物を取り込もうとベランダに出ると、背後にブーンと羽音が聞こえた。どこからか飛んできた体長1・5センチほどの焦げ茶色の虫がハンガーにとまり、細い触角を動かしている。 「あ、カメムシだ」。周囲を見渡すと1匹や2匹ではない。コンクリートの壁や雨樋(あまどい)、窓や網戸、物干し竿(ざお)――。衣類やタオルにも張り付いていて、ざっと数十匹はいる。「やばい」。洗濯物を上下左右に激しく振って払い落とし、急いで部屋に取り込んだ。 今年はカメムシが全国的に大… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
横浜のリフォーム会社、3400万円脱税容疑 代表「深く反省」
売り上げの一部を除外する手口で約3400万円を脱税したとして、東京国税局査察部が、横浜市旭区のリフォーム会社「ピップフォーム総業」と橋本幸弘代表(46)を法人税法違反の疑いで横浜地検に告発したことがわかった。 関係者によると、同社は主に戸建て住宅のリフォーム工事を手がけているが、工事代金のうち現金売り上げの一部を除外するなどして、2021年10月期までの4年間に約1億4900万円の所得を隠し、約3400万円を脱税した疑いがある。得た金は橋本代表が個人的な投資に充てていたとみられる。 同社は査察を受けた後の今年5月、「リ・ラクティブ」(横浜市瀬谷区)から社名を変え、所在地を移転した。橋本代表は取材に対し、修正申告を済ませたとし、「深く反省している。二度とこのようなことがないようにしたい」と話した。(花野雄太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪府警、署長らを事実上の「更迭」 誤認逮捕、傷害事件と相次ぎ
大阪府警は警部級以上の73人の異動を発表した。誤認逮捕など3件の不祥事が相次いだ守口署では署長、刑事課長、生活安全課長が一斉に交代する。府警は「あくまでも定期異動」とするが、複数の幹部からは「異例の人事。事実上の更迭だ」との声も漏れる。 府警は7月、SNSで知人女性を脅したなどとして、事件とは無関係だった20代の男性を2度にわたって誤認逮捕していたと発表した。守口署が初動捜査を担当したが、被害女性の説明に重きを置きすぎ、男性のアリバイ確認が不十分だったという。府警内では「署の幹部の責任だ」との指摘がある。 守口署ではこのほか、地域課… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「子どもを守る」とは 80歳保育園長が語る議会が本当にすべきこと
子どもだけの登下校や外遊び、留守番を「虐待」とし、批判を受けて撤回された埼玉県虐待禁止条例の改正案が波紋を広げた。「子どもを守る」とは、どういうことなのか。幼児教育の専門家で、保育園を運営する金崎芙美子・宇都宮大名誉教授(80)に聞いた。 ――今回の埼玉県条例の改正案をどう思いましたか。 「この条例改正案を知った時には、あぜんとしました。これが子どもを守るということになると思ったのだろうか、と」 ――具体的にはどういうことですか。 「埼玉県の自民党県議団による改正案の説明では、小学3年生以下の子どもだけで公園で遊ばせたり、登下校させたり、おつかいに行かせることを禁じていました」 「でも、子どもの成長を見てください。2歳ぐらいから子どもは自我が芽生え、成長していきます。子どもたちは、親を慕う心を持ちながら、少しずつ自分の世界を広げ、友だちとの世界を作っていく。小学3年生ともなれば、明確に自己の意志で行動する時期です」 「虐待禁止条例」が虐待を呼ぶ? ――子どももちょっとずつ自立していきます。 「日本には今でも『子どもは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ネズミ目撃、都心で続々 背景にコロナ?カラス?自治体が対策に本腰
都心の繁華街でネズミの目撃や苦情が相次いでいる。背景の一つに、5月の新型コロナ5類移行で、飲食店の営業が通常に戻ったことがあるようだ。衛生面での問題や、街のイメージダウンにもつながりかねず、自治体や商店街が対策に本腰を入れている。 10月下旬の夜、記者が中央区銀座8丁目を歩いていると、飲食店の前に置かれたゴミ袋をあさっていたネズミが1匹、歩道をフラフラと横切ろうとし、突然力尽きた。周辺では最近ネズミが多数目撃されていた。どうやら、駆除業者がまいた毒餌(どくえさ)を食べたようだ。 銀座の商店街や町会・業界団体などを束ねる「全銀座会」は、街の高級なイメージを損なわないよう、ネズミの出現に神経をとがらせる。 駆除と調査に2400万円 コロナ禍で逆戻り もともと対策に乗り出したのは5年前。深夜に大量のネズミを見たとの目撃情報が多く寄せられるようになり、最初は2町会で駆除を始めた。2018年10月、築地市場の移転作業に伴い、東京都が市場に生息する約8千匹を駆除すると発表。近くの銀座でも苦情が増えた。同会も23町会に拡大し、19年9月から1年間、2400万円(中央区が4分の3を助成)をかけ、大規模な駆除とゴミ出し調査を実施した。 同会環境安全委員会によると… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
エホバでの性被害159件申告 役職者の加害、性行為の告白強制も
キリスト教系新宗教「ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)」の元2世信者でつくる団体が、教団内での性被害やハラスメントについてアンケートを実施し、結果をとりまとめた。 役職がある信者から未成年が受けた性被害や、性行為を告白するよう強要されたなど、159件の被害申告が寄せられた。専門家は「実態把握のための第一歩として、大きな社会的意義がある」とする。 アンケートをしたのはエホバの元2世信者らでつくる「JW児童虐待被害アーカイブ」。結果は7日に関係省庁に説明したという。 アンケートは7月、インターネットを通じて教団内で性被害やハラスメントを受けた人に申告を求めた。信者からの性暴力▽集会や出版物の表現をめぐる被害▽地域別の責任者の「長老」たちによる聞き取りがある「審理委員会」での被害、の三つの分類で質問し、計159件の有効回答があった。回答を寄せたうち11人については公認心理師立ち会いのもとで聞き取りをし、証言を得たという。 加害者が役職者は半数以上 「信者から性暴力を受けたことがある」という人は37人(うち35人が当時未成年)いた。当時未成年の35人についての被害内容(複数回答)は、「衣服の上から、または直接身体を触られた」24件、「下着姿や裸を見られた・撮影された」11件、「唇や舌などを身体に当てられた」9件、「性交渉をさせられた」4件などだった。 加害者が「長老」や「援助奉仕者(奉仕の僕〈しもべ〉)」などの役職者だったと回答したのは、半数以上の19人にのぼった。被害当時の年齢は、就学前が7人、小学生が19人、中高生以上が9人だった。 被害について通報や相談をしたか(複数回答)については、「誰にもしなかった」が最も多く21件。相談した場合も「取り合ってもらえなかった」「2人以上の目撃者が必要と言われた」という声があったという。 年齢に見合わない性的な表現見せることも「性的虐待」 「年齢に見合わない性的な表… この記事は有料記事です。残り1048文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
エホバ元2世「9歳から100回以上性被害」 目上の信者に逆らえず
自宅のベッド横の窓に、ある男性の人影が見える。コンコンとたたかれた。「今日はすぐ済むかな。また何かされるのかな……」 エホバの証人の2世信者だった女性(38)は小学4年のころ、男性が自宅に来るたびに「早く時間が過ぎてほしい」と思っていた。男性は当時25歳くらいで同じく信者だった。 女性は教団の集会所に行くのが嫌で仕方なかった。だが行かなければ、母親からムチを打たれてしまう……。仮病を使えば集会所に行かなくてすむのではないか。そう考え、学校も不登校になった。母親は日中、パートで外に出ていて、1人で家で過ごすことが多くなった。 男性信者は、女性が1人で家にいると、ひんぱんに訪ねてくるようになった。 キリスト教系新宗教「ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)」の元2世信者らでつくる団体が、教団内での性被害やハラスメントについてアンケートを実施し、結果をとりまとめました。元2世信者の女性が朝日新聞の取材に応じ、信者から受けた性被害について語りました。 男性は「援助奉仕者(奉仕の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
憲法から考えるジャニーズ問題 企業の人権尊重責任はなぜ重要か
「憲法季評」 松尾陽・名古屋大学教授(法哲学) 国家は、個人の自由にとって最強の守護者であると同時に、最も危険な存在でもある。強大な力は両刃の剣となる。近代の憲法思想を形成していた思想家は両刃性を理解しつつ、この怪物をどのように制御するのかという課題と格闘していた。人権論も国家との関係で発展した。 現代の怪物は国家だけではない。大企業の資本には個人の生を大きく左右する力がある。多国籍企業が規制の緩い国の工場で労働者を酷使している場合もある。最新の情報技術の発展も企業の支配力を高めている。 個人の自由を守るという観点からは、この現代の怪物をどのように制御するのかも大きな課題である。近年、「ビジネスと人権」というラベルのもと、企業が人権を尊重する責任のあり方が議論されてきている。 この「ビジネスと人権」の問題が日本で最も先鋭に表れたのは、旧ジャニーズ事務所をめぐる出来事だろう。 事件は今年多く語られてきた… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「先入観なし、難しい」「批判見ないで」 20代の裁判員、経験語る
成人年齢の引き下げで18~19歳が裁判員に選ばれるようになったことを受け、大阪地裁は8日、年代の近い20代の裁判員・補充裁判員の経験者5人を招き、法曹三者と意見交換した。よりよい裁判員制度の運営を目的に、定期的に開催しており、刑事裁判官、公判検事、弁護士も参加した。 経験者からは、裁判に向き合う際の難しさなどが語られた。大阪府八尾市の男性(23)は「事件がメディアで取り上げられると、それが本当のような感覚になる。先入観なしに判断するのは難しいと感じた」。20代の会社員女性は「裁判は感情ではなく、証拠に基づいて判断する。もっと広く知られてほしい」と話した。ネットには「判決への表面的な批判が多い」と感じるといい、裁判員になる同世代に向けて「批判は見ない方がいい」と語った。 法曹界への注文も。大阪市の男性(22)は公判日程が確定するのが遅く、アルバイトで有休を取る手続きが間に合わなかったという。「もっと早く決めてほしかった」 東大阪市の大学生、藤谷樹さん(22)は強盗致傷事件の裁判を担当し、「今でも、被告がどうしているんだろうと思うことがある」。弁護士が発信するユーチューブを見るなど刑事裁判への関心も高まったという。参加した知花鷹一朗(よういちろう)弁護士は「被告の人生は裁判で終わりではない。裁判員を経験し、罪を犯した人に想像力を働かせてくれることはありがたい」と話した。(森下裕介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル