クレジットカードなどによるECサイトの不正利用。被害に遭うのは消費者だけではない。サイト運営者にも損害は生じ、企業はその対策に頭を悩ませている。「ブランドイメージを守らなければ」。約600万円をだまし取られた企業がとった自衛策とは。 「なにか、おかしい」 美容や健康器具などを手がける「MTG」(本社・名古屋市)コンテンツ企画課の鶴田航平さんが、違和感を抱いたのは昨年3月のことだった。 立ち上げたスキンケアブランドの公式オンラインショップ。期間限定発売の1本1万1千円の美容液を何本もまとめて購入したり、2万5千円のセット商品をいくつも注文したり。個人の顧客の購入傾向からすれば、ふつうの注文の仕方ではない。 詳しく調べると、いくつか不… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
住民グループはなぜ反対? 市はどう説明? 豊橋市の新アリーナ計画
愛知県豊橋市中心部の豊橋公園に市が計画する多目的屋内施設(新アリーナ)をめぐり、反対する住民グループが計画の賛否を問う住民投票条例の制定をめざし、署名集めを始めている。住民グループは何を問題にし、市はどう説明しているのか。 《新アリーナ》 愛知県豊橋市が計画している収容5千人以上の多目的屋内施設。プロバスケットボールBリーグの試合会場や県の体育館のサテライト施設としても使われる見込みで、市は2027年度の開業をめざしている。民間資金も取り入れて整備する。市によると事業費は、新アリーナと豊橋公園東側の整備、30年間の維持管理費について最大で総額230億7千万円を見込む。ほかにアリーナ整備に伴う豊橋球場移設に用地購入費約13億円、整備費約23億円の総額約36億円がかかるという。 新アリーナ計画は曲折をたどってきた。もともと、3期務めた佐原光一・前市長が進めていた。2020年11月の市長選で、豊橋公園内での整備計画を「白紙に戻す」としていた浅井由崇・現市長が当選。ところが、市は昨年5月、新アリーナの建設候補地として豊橋公園内を選んだと発表した。交通の便などを理由に挙げていた。 計画に対し駐車場や交通アクセスなどに問題があるとして、昨年11月、今回と同じ住民グループが住民投票条例の制定をめざし署名活動を開始。必要な署名を集め、今年2月に直接請求をした。これを受け、市長は「制定する意義は見いだし難いと考えている」という意見をつけて条例案を提出し、市議会は議案を否決した。住民投票は実施されなかった。 今度は5月末に市が、豊橋公園にある豊橋球場を三河湾に面する豊橋総合スポーツ公園(豊橋市神野新田町)の隣接地に移し、球場の跡地に新アリーナを整備する修正案を明らかにした。もともとアリーナを造るつもりだった豊橋公園内の別の場所は、一部が朝倉川の「家屋倒壊等氾濫(はんらん)想定区域」(県指定)に含まれていたためだと、市は説明した。 さらに、別の防災上の問題が浮上する。豊橋総合スポーツ公園の隣接地は、南海トラフ地震が起きると高さ最大2~3メートルの津波が来て、液状化が想定される場所だった。これに対し市は7月の記者会見で、球場は盛り土の上に整備し、球場自体や近くの公共施設を津波避難ビルに指定するという対策案を明らかにした。 反対住民「命守る基本から逸脱」 「野球場から一番近い総合体育館までは直線距離で1キロ程度。走って逃げることができる人もいるかもしれないが、多くの人たちは野球場の外へはなかなか出られない」。今月9日、豊橋市民文化会館で開かれた新アリーナ問題シンポジウムで、講師を務めた東三河くらしと自治研究所代表の宮入興一・愛知大学名誉教授は、そう指摘した。 24日に署名活動を始めた住民グループの佐藤清純共同代表(74)は「野球場をあそこに移すなんて普通の自治体では考えられない。市民の安全や命を守ることが行政の基本。そこを逸脱することがまず絶対おかしい」と訴える。 こうした指摘に市側は、どう説明するのか。 市側「盛り土して避難場所にも」 多目的屋内施設整備推進室の大林均世室長は取材に「防災拠点としても使う新アリーナの整備位置はすでに見直した。津波が来る可能性がある球場の移設先には盛り土をして避難場所としても整備していく」と説明。球場の移設先については「地震が来たときに津波の恐れがあり、液状化の心配があるというのは承知していた。海側には耐震補強した堤防(高さ約6メートル)もあり、津波対策をしっかりやって整備を進めていく認識だった」。そのうえで大林室長は「事業者からの提案で具体的な話ができるようになれば、市民に情報を提供できる」と話した。 市議会で過半数を占める自民党市議団の坂柳泰光団長は「市の活力に寄与する公共施設になり得るだろうと考え、推進をしている」として計画を容認する。ただ「誤解されている方や反対の方がいるのだったら行政側がしっかりと考え、今後の対策も含めて、市民に理解してもらう場をつくっていったらどうか」と注文をつける。 市は10月中にも新アリーナと豊橋公園東側を整備する事業者の公募を始める意向だ。浅井市長は「進捗(しんちょく)に合わせて、市民の皆さまに様々な方法でお伝えしながら、安心・安全を第一に考え、事業を進めていく」と話している。 《住民投票条例の直接請求》 地方自治法の規定に基づき、有権者の50分の1以上の署名により、市民が市長に条例制定を直接請求できる。審査終了時点で有効な署名数に達していれば、市長は条例制定代表者が提出した住民投票条例案に意見をつけて議会に提出しなければならない。豊橋市の9月1日現在の選挙人名簿登録者数29万5945人を当てはめると、5919筆の署名で50分の1以上となる。 ◇ 名古屋大学の福和伸夫名誉教授(地震工学)の話 多様な用途がある公共施設の整備には、施設に関わるステークホルダー(利害関係者)の人たちが丁寧に議論をしたうえで合意形成をしていくプロセスが重要だ。野球場を避難場所にすれば安全になるが、経路は津波で浸水する。避難する途中で、液状化や揺れの問題など別の困難がある。行政は、十分丁寧に住民に説明する必要がある。(戸村登) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
世界に誇る「水の山」を次代に 南アルプス地元の企業と高校生が連携
南アルプスや八ケ岳からもたらされる水の恵みを次世代にどう伝えるか。「名水の里」として知られる山梨県北杜(ほくと)市で、水資源を利用する企業・団体と高校生がともに考えるプロジェクトが進んでいる。 9月7日、北杜市の有限会社アグリマインドのガラス温室。高さ約3メートルのトマトの株の列が、垣根のように整然と並ぶ。高校生5人が地下水を利用してトマトを栽培する様子を見学した。 北杜高1年の白倉良紀さんは「親戚がトマトを栽培しているが、あまりにもイメージが違って驚いた。水の大切さはわかっているつもりだったが、改めて実感した」と語った。 これは北杜市が今年度から始めた「世界に誇る『水の山』ユースアイデアプロジェクト」の一環だ。 南アルプスの甲斐駒ケ岳や八ケ岳、茅ケ岳などの山々に囲まれた北杜市は70を超す湧水(ゆうすい)や滝が分布し、日本名水百選にも3カ所が選ばれている。 市はそれらの名水をブランド化して世界に発信しようと、2015年に「世界に誇る『水の山』宣言」を発出した。さらに、水環境の保全に賛同する七つの企業・団体とパートナー協定を結んだ。 今回のプロジェクトは学校も加わり、協定を結んだ企業側と高校生を結びつけて「水と暮らすサステイナブルなまち 北杜市」をめざして交流。将来に向けたアイデアを提言してもらう企画だ。 SDGsの目標6で「安全な水とトイレを世界中に」が掲げられている。水は目標15の「陸の豊かさも守ろう」などとも関連がある。 「農業の概念が覆った」「未来の姿を見た」 アグリマインドで出迎えたの… この記事は有料記事です。残り2684文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
栄養成分表示を見やすく パッケージの表面に表示、検討開始へ
消費者の健康づくりに役立つ情報として加工食品のパッケージに義務付けられている栄養成分表示。グラフィックなどを使って消費者に分かりやすく表示する「包装前面栄養表示」を導入しようと、栄養の専門家らによる消費者庁の検討会が11月2日から始まる。消費者庁は今年度中に方向性を示すとしている。 現在、加工食品のパッケージには、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)の五つの値の表示が義務づけられている。主に裏面に付されているが、消費者が陳列された商品を選ぶときに栄養成分について判断しやすいよう、表面での分かりやすい表示を検討する。 諸外国ではすでに導入がすすんでいる。 例えばフランスでは、含まれ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
だんじり横転、引き手4人を死傷させた疑い 責任者ら3人を書類送検
大阪府富田林市で昨年10月、横転しただんじりの下敷きになり引き手の男性4人が死傷した事故で、大阪府警は26日、だんじり運営の責任者だった男ら3人を業務上過失致死傷の疑いで書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。 事故は昨年10月14日に富田林市北大伴町1丁目で発生。捜査関係者によると、3人はわざと揺らすなどの危険な行為を繰り返して安全管理を怠ったことから、高さ約4・5メートルのだんじりが横転し、下敷きになった引き手の男性(当時52)を死なせたほか、40~60代の男性3人に重傷を負わせた疑いがある。いずれも容疑を認めているという。(田添聖史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
5人死亡住宅火災 現場で死亡の92歳男を殺人などの容疑で書類送検
青森県六戸町で住宅が全焼し5人が死亡した火災で県警は26日、焼け跡から遺体で見つかった、近くに住む無職砂渡(すなわたり)好彦容疑者(当時92)を現住建造物等放火と殺人などの疑いで、容疑者死亡のまま青森地検八戸支部に書類送検し、発表した。 県警によると、書類送検容疑は4月13日午前1時ごろ、左官業の十文字利美さん宅に玄関から侵入して何らかの方法で放火し、十文字さんの義母の和子さん(同88)、妻の弘子さん(同67)、次女の抄知(さち)さん(同39)、孫で小学4年の弥羽(みう)さん(同9)を殺害したというもの。 砂渡容疑者は和子さんの兄で、調べでは火災当時、砂渡容疑者の車が十文字さん宅前に止められており、車内には放火に使ったとみられる油類の入ったポリタンク1個が残され、玄関付近にはポリタンク3個が溶けた状態で見つかったという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
正規の手続き経ず業務発注→別契約で水増し対応 習志野市職員を処分
本田大次郎2023年10月26日 20時00分 千葉県習志野市は25日、下水道課で2018~19年度、契約手続きをせずに複数社に業務を発注し、業務の経費を受注業者の他の契約に上乗せして分割払いしたとして、当時の課長ら3人を懲戒処分とし、発表した。処分は24日付。 市企業総務課によると、当時の課長、主幹、係長は18~19年度、必要な契約手続きや契約書を作成せずに6件(計346万3千円相当)の業務を複数業者へ発注した。業務の経費は、受注業者との別業務の随意契約で金額を水増しした虚偽の契約書を作成し、上乗せ分で分割払いしていたという。 21年11月に内部通報があり、市が調査。この時点で未払いの経費は121万7千円あり、市は業者と協議し、22年度末に支払った。市は業者側に支払った総額について「金額は公表できない」としている。 市は法令違反があったとして、当時の課長と主幹を減給10分の1(1カ月)、係長を戒告の処分とした。また、3人以外の複数の職員も訓告などの処分にしたが、人数や処分内容は「公表基準に達していない」として明らかにしていない。3人は調査に「予算措置をしていない緊急の事案に対応するためだった」と釈明しているという。市は業者側の資料と照らし合わせ、「横領の事実はなかった」としている。 市は、発注した業務内容や業者数について、「業者の特定につながる」として公表していない。 宮本泰介市長は「必要な手続きを省き、業務を遂行することは、市民の信頼を損ねる違法行為であり、深くおわびする」とコメントを出した。(本田大次郎) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「いま、岡山がアツい!」県が動画で猛アピール 出身芸人2組が出演
原口晋也2023年10月26日 20時00分 芸能界やスポーツ界で岡山に追い風が吹いているこの機を逃さない――。岡山県が今夏以降、地元ゆかりのお笑いコンビ「ウエストランド」と「空気階段」の協力を得てPR動画を制作、公開している。 「いま、岡山がアツい! いま、岡山にアツまれ!」で、名づけて「岡アツ!」キャンペーン。県は岡山の認知度アップにつなげたい考えだ。 漫才の日本一を決めるM―1グランプリでウエストランドが優勝。高校スポーツ界ではサッカーの岡山学芸館高と高校駅伝の倉敷高の全国制覇、陸上中距離のドル―リー朱瑛里(しぇり)さん(津山高)の全国都道府県駅伝・中学生区間での17人抜きは記憶に新しい。 里庄町出身の新進気鋭のミュージシャン藤井風さんの活躍も話題。映画「とんび」「推しが武道館いってくれたら死ぬ」やNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の撮影地や舞台も岡山だった。 PR動画では、ウエストランドの井口浩之さんと河本太さん(いずれも津山市出身)は、毒舌を封印して学生服姿でラップで「岡山の食」をPR。空気階段の水川かたまりさん(岡山市出身)は千葉県出身の相方、鈴木もぐらさんと新郎新婦役を演じつつ、県内の観光名所を軽妙に紹介する。2編は10月16日時点で、合わせて30万回近く再生されている。 また、9月末に始まった第2弾では、お題に応じた2組のアドリブのトークが動画配信される。10月末まで毎週火曜にお題に応じた6回の更新が予定されており、初回の配信では、空気階段の動画に倉敷市出身の俳優、前野朋哉さんも登場し、3人でブラックユーモアを交えて笑いを誘っている。 動画は、岡アツ特設サイト(https://8092-okayama.jp/oka-atsu/)で視聴できる。(原口晋也) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
双子の次女暴行の母「かわいい子を傷つけてしまった」 控訴審で減刑
香川県さぬき市の自宅で生後7カ月の次女を床に投げつけて大けがを負わせたとして、傷害の罪に問われた母親である被告の女(34)に対する控訴審判決が26日、高松高裁であった。佐藤正信裁判長は懲役4年6カ月とした一審・高松地裁判決を破棄し、懲役4年の実刑判決を言い渡した。 佐藤裁判長は減刑の理由について、地裁判決は、証拠上明らかではない傷害の今後の生活への影響を重くみたきらいがあるとした。 高裁判決によると、被告は2022年11月、さぬき市の自宅で次女に対し、床に敷かれたマットレスに投げて頭部を打ち付ける暴行を2回にわたって加え、脳挫傷や頭蓋骨(ずがいこつ)多発骨折などの傷害を負わせた。 被告側は、長女と、双子の次女、長男の3人を抱えた育児ストレスの深刻さが、地裁判決では十分に理解されておらず不当などと主張し、控訴していた。高裁判決は、育児の悩みなどに一定の同情を寄せるとしつつも「短絡的で粗暴な犯行」として実刑は免れないとした地裁判決の判断について、「不当でない」とした。 記事後半では、双子や三つ子といった多胎育児に詳しい識者に、母親がどんな悩みを抱えやすいのかなどについて、話を聞きました。 被告は控訴審の被告人質問で、犯行に至る経緯として、双子である次女の育児に悩んでいたと語った。「子どもの生まれ持った性格、成長のスピードは違うと分かっていたけど、話しかけても答えてくれない、他の子と比べてしまう」と当時の心情を明かし、「どうしてこんなにかわいい子を傷つけてしまったのか、後悔の気持ちでいっぱい」と述べた。 専門家「多胎育児 1人ではできない」 双子や三つ子といった多胎育… この記事は有料記事です。残り479文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
道頓堀ラーメン店のシンボル 龍の「尾」撤去命じる判決 大阪地裁
大阪・ミナミを代表するラーメン店の看板を巡る裁判が起きた。舞台は、龍の立体看板が目を引く「金龍ラーメン」。看板の「尾」の部分や店舗の一部が隣接する土地にはみ出しているとして、この土地を所有する不動産会社が撤去を求めた。 判決によると、看板が設置されたのは1992年ごろ。不動産会社は2013年9月ごろまでに、ラーメン店に隣接する土地を取得していた。 問題になったのは、この土地にはみ出していた店舗の一部だった。不動産会社側は撤去を求めた一方、金龍側は「店舗として長年占有していた」と反論した。 大阪地裁は26日の判決で、土地を10年占有すれば自分の所有にできる民法の「時効取得」を理由に、土地の所有を金龍に認めた。ただ、店舗の一部の上階部分から張り出した尾の部分やひさしは、「不動産会社の土地所有権を侵害している」として撤去を命じた。 金龍側は「密集エリアでの境界や道路の使用方法について、裁判所から一定の判断が示されたことを評価している」とのコメントを出した。(森下裕介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル