江戸時代に初めて実測の日本地図を作った伊能忠敬はどんな食事を口にしながら全国を巡ったのか。古文書を頼りに「江戸めし」を再現して給食に出す試みがあった。さて、そのお味は? 10月10日、長野県伊那市にある高遠中学校。この日の給食に「鮭(さけ)の幽庵(ゆうあん)焼き」「南瓜(なんきん)すいとん」「野菜の酢みそ和(あ)え」「菜めし」の4品が並んだ。ふだんとは違ったメニューに生徒たちは神妙な面持ちで味わっていた。 この日は高遠町地区の3小中学校で「江戸めし給食」が児童生徒約360人に用意された。 企画したのは同市教育委員会。その中心となったのは、4月から市地域おこし協力隊員として活動している前田和弘さん(47)=佐賀県出身=だ。 前田さんは地元に残る古文書のデジタル化と活用に取り組んでいる。伊能忠敬が高遠藩領(現在の伊那市など)の測量に訪れたときの史料が残っていることに着目。当時振る舞われた料理を再現することにした。 古文書には「鱈」「花かつを」とだけ書いてあった レシピの根拠にしたのは市立… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アルピニストの野口健さん、児童とお米脱穀 世界農業遺産の宣伝大使
世界農業遺産「高千穂郷・椎葉山地域」のアンバサダー(宣伝大使)でアルピニストの野口健さん(50)が23日、高千穂町立田原小に現れ、児童と一緒にコメの脱穀をした。 高千穂町は日本有数の棚田が広がり、世界農業遺産に認定されている。同校は夏前の田植えから今月の稲刈り、乾燥まで全て手作業でやり、この日を迎えた。 野口さんの同席を知らされていなかった子どもたちは姿を見ると大歓声。早速①牛乳パックで脱穀②すり鉢に入れソフトボールでもみすり③口で吹いてもみ殻飛ばし④コメを瓶に入れ棒で突いて精米――の、身近な道具を使った作業を、野口さんのアドバイスを受けながらこなした。 その後、野口さんを囲み、地球温暖化がヒマラヤの氷河を溶かしていることや、現地の農家もまだ同じように手作業でコメ作りしていることに聴き入った。 4年の佐藤結香さん(10)は「すり鉢でするのに力が要った。昔の人は大変だったなと思う」。世界農業遺産になっていることを知らない子が多かったが、野口さんは「いまは実感できなくても、きょうの体験を通して、いつか故郷のすばらしさを思い返す日が来る」と話していた。(星乃勇介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中学の技術科、免許外の教員最多 「情報」に詳しい教員の確保課題
小学校でプログラミング教育が必修化され、高校では「情報Ⅰ」が始まった。2025年の大学入学共通テストでは「情報Ⅰ」が加わる。そうしたなか、小学校と高校の情報教育をつなぐ中学の技術・家庭科をめぐって課題が浮かんでいる。国も対策に乗り出した。(編集委員・宮坂麻子、久永隆一) 今年7月、相模原市立大沢中学校。コンピューター室で中1の技術・家庭科の技術分野の授業が行われていた。 生徒たちがパソコンに向かって取り組んでいたのは、オリジナルデザインの定規の設計だ。目盛りに間違いはないか、使いやすいか、などを確認し、各生徒が教室内のレーザー加工機にデータを飛ばして形にする。 「まだ軟らかい!」と試作品を手に喜ぶ生徒。予想通りの形にならなかった生徒が、再びパソコンに向かい、失敗の理由を真剣に探っていた。 中学の技術科、情報教育も柱の一つだが… 中学の技術・家庭科の技術分… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旅するチョウ・アサギマダラが和歌山飛来 羽にペンでマーキング調査
旅するチョウで知られるアサギマダラが、関西各地に飛来している。和歌山県日高町・美浜町境の西山(標高328・7メートル)の山頂付近では、300匹以上のアサギマダラが、フジバカマの花の上を飛び回る幻想的な光景が見られる。 アサギマダラは夏を過ごす北海道から、南西諸島、台湾などに越冬する「あさぎ色」のチョウ。全国各地の飛来地では、市民団体によるマーキング調査が行われており、チョウの羽には、油性ペンで捕獲した場所、日付などが書き込まれている。調査によると、秋の南下の際には、2千キロ以上移動する個体も確認されているという。 西山はアサギマダラの飛来地として知られ、秋になると自生する植物に集まっていた。昨年、日高町などが、マーキング調査や観光地化のために、好物とされるキク科のフジバカマの畑を整備した。「アサギマダラの谷」と名付けられ、1カ所に数百匹が集まるようになったという。 西山では、天候によっては11月中旬ごろまで飛来が続く。(金居達朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ジャガー、ネコ科だけど泳げる? 東山動植物園に新たな施設オープン
【動画】東山動植物園に「ジャガー舎」がオープンした=良永うめか撮影、東山動植物園提供 東山動植物園(名古屋市千種区)に24日、ジャガーの生態を観察できる施設が新たにオープンする。今月2日に神戸市立王子動物園からやってきたばかりのメスのジャガー「マヤ」(2)が暮らしている。 施設名は「ジャガー舎」。屋内には運動場2室と寝室7室、屋外にも運動場2区画を備える。ジャガーが動ける広さは500平方メートル以上に及ぶ。生息するメキシコで絶滅が危惧される現状などを紹介するコーナーも設けた。 施設の目玉は、深さ2メートルの室内温水プールだ。園によると、ジャガー用のプールとしては日本一の深さだという。 屋外運動場には岩場の斜面があり、上り下りする姿も観察できる。擬木などを生かした樹林地も再現した。動物園の今西鉄也副園長(52)は「ネコ科の動物としては珍しく、泳いだり潜ったりできる。ジャガーらしい動きをご覧いただきたい」と話す。 東山動植物園では11月19日まで「秋まつり」が開かれている。(良永うめか) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
差別や虐待「もう我慢しない」 不妊手術訴訟、顔を出して訴える覚悟
旧優生保護法の下で不妊手術を強制されたとして、宮城県内に住む70代の東二郎さん(仮名)らが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、仙台高裁(小林久起裁判長)である。東さんは「同じ被害を受けた仲間が声を上げられるように」との思いから、不妊手術を受けたことを顔を出して告白し、被害を訴えている。 「障害者には何をしてもいいのか」 大阪市天王寺区で13日、約1200人が参加した集会。東さんは、賠償命令を勝ち取った一審・仙台地裁判決までの経過を再現した劇で、本人役を熱演した。4年余りの訴訟をたどり、最後にこう呼びかけた。 「仲間のため、みんなで勝訴を勝ち取るんだ」 東さんは3年前、半生をつづった書面を地裁に提出した。秋田県で生まれ、中学を卒業した後、仙台市にある知的障害者らの職業訓練施設に入所した。草花の世話や販売をしていた。 18歳のとき、何の説明もないまま、施設の職員に入所者の仲間2人とライトバンに乗せられ、近くの診療所に連れて行かれた。看護師から「脱腸」と言われ、麻酔の注射を2本打たれ、手術を受けた。下腹部に傷痕が残った。施設の風呂で一緒になった仲間にも、同じような傷痕があった。 続いた虐待に、押し殺した怒り 20代になり、住み込みで働… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全国展開の障害者施設、組織的に食材費過大徴収か 厚労省が特別監査
愛知県を中心に障害者向けグループホーム(GH)などを全国展開する大手運営会社「恵(めぐみ)」(本社・東京都)が障害者から食材費を過大徴収していた問題で、同県内に二十数カ所あるすべてのGHで開所当初から過大徴収が続いていたことが県の監査でわかった。厚生労働省は同社が全国各地のGHでも組織的に「経済的虐待(事業者の不当利得)」を続けていた疑いがあるとして、特別監査を進めている。 同社は福祉サービス事業を幅広く手がけ、最初の障害者向けGHは名古屋市で2018年に開設した。GHがある自治体への取材で10月1日現在、27施設ある愛知県のほか、千葉県や埼玉県、福岡県など12都県で約100施設ある。福祉関係者によると、重度の知的や精神障害者を積極的に受け入れることで知られる。 GHの食材費は利用者から実費のみを徴収するよう、厚労省令で定められている。だが、過大徴収の情報提供を受けた愛知県が昨年12月から同社の監査を実施したところ、実費を上回る額を徴収していたことがわかった。 愛知県内の全施設で開所以降続いていたと確認 朝日新聞が入手した厚労省や県の監査関連資料によると、同社では法人本部が毎月、利用者から食材費として定額徴収した後、各GHに分配する仕組みを設けていた。徴収額は各GHごとに異なっていたが、配られた金額は定額徴収額の3分の1程度だった。 愛知県岡崎市のGHの事例では、利用者25人から月額計約60万円(1人あたり2万4千円)を徴収したが、GHに配られたのは計約20万円(同8千円)。差額は法人本部で管理されていることも確認され、利用者から不当に財産上の利益を得ていた疑いが判明した。 愛知県の監査では、23年3月時点で県内のすべてのグループホームで開所以降の全期間、実費を上回る過大徴収が続いていたことも確認された。 愛知県の監査結果を受けた厚労省は6月、障害者虐待防止法が定める経済的虐待が組織的に行われていた疑いがあるとして、同社のGHがある全国の自治体に調査を指示した。 これを受けて朝日新聞が該当の自治体に取材したところ、愛知県と同様の仕組みに基づく過大徴収は少なくとも、神奈川県、群馬県でも確認されていた。 厚労省は愛知県などの自治体と、同社運営の全国のGHについて過大徴収の実態、不当徴収分の総額や流用状況、食材費抑制による利用者の健康状態への影響などを調べている。過大徴収が認定されれば、障害者総合支援法に基づき、指定の取り消しや一定期間の新規受け入れ停止といった行政処分が科される可能性もある。 愛知県岡崎市のGHで昨年5月、最初の過大徴収が発覚した。報告を受けた県は同年12月に同社の別のGHを監査し、複数の施設で過大徴収が判明。今年5月に当時の本社を監査したところ、県内全域のGHで同様の事例を確認した。同社以外の県内でGHを運営する全事業者についても、調査を現在進めている。 同社は朝日新聞の取材に「行政監査を受けている途中だが、社内調査も並行して進めている。差額が生じていたのは事実だが、過大徴収に当たるかは自治体の判断。分かり次第、速やかに返金を進める」などと回答した。 おかずのコロッケは1個を半分、卵は2人で1個 障害がある人たちに提供されるおかずは、2人に対し1人分だけ。 一つの親子丼のレトルトパッ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
四谷大塚元講師、別の教え子3人盗撮容疑で送検へ 児童ポルノ所持も
大手中学受験塾「四谷大塚」の元講師の男2人が教え子2人への盗撮容疑で逮捕された事件で、警視庁はこのうち森崇翔(そうしょう)容疑者(24)について、別の教え子の小学生3人を盗撮した疑いで、24日にも東京都迷惑防止条例違反容疑で書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。 警視庁は他にも4人前後の教え子を盗撮した疑いがあるとみており、同条例違反や性的姿態撮影等処罰法違反の疑いで書類送検する方針。被害者は当時7~12歳の9人程度になる可能性がある。 捜査関係者によると、森容疑者は5月以降、当時講師を務めていた四谷大塚の都内の教室の教え子だった女子児童3人を盗撮した疑いがある。 森容疑者が、教え子以外の少女の性的な画像データなど1万点以上を所持していた疑いも判明。鑑定の結果、画像のうち少なくとも3人は18歳未満と判断し、児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑でも書類送検する。森容疑者がネットなどで入手したとみている。 森容疑者は、当時9歳の女子児童を盗撮した容疑などで8月に逮捕され、この児童への強制わいせつ容疑などで再逮捕された。同僚の元講師の男(27)と共謀し、当時7歳の女子児童を盗撮した性的姿態撮影等処罰法違反容疑でも逮捕された。 森容疑者は教え子数人の写真や住所などをSNSへ投稿しており、警視庁は10月、森容疑者を個人情報保護法違反容疑で、法人としての四谷大塚も情報管理が不十分だったとして、同法違反容疑で書類送検した。(御船紗子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
名城大学付属高校で火事 体育館が燃える 名古屋市中村区
【動画】名古屋市中村区の名城大学付属高校から出火し、炎や煙が立ち上った=読者提供 23日午後8時過ぎ、名古屋市中村区新富町1丁目の私立名城大学付属高校から出火し、体育館が燃えた。愛知県警や消防によると、同校の「第二体育館」から炎や煙が出ているといい、午後9時時点で鎮火していない。消防が消火活動にあたっている。 学校側によると、すべての生徒や教職員の無事を確認したという。 午後7時55分ごろに学校を出たという男子生徒は、「部活の顧問から『体育館で火事があった』と連絡があった。あと5分遅れていたらと思うと怖い」。9月ごろには校内で紙が燃えるぼや騒ぎがあったという。 同校の近隣の住宅街では、風で自宅に火の粉が飛んでこないよう、自宅の3階からホースで玄関などに水を流し続ける住民もいた。 現場の東側は東海道新幹線や東海道線などが走る。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「妄想の影響は限定的」 青葉被告の精神鑑定を行った医師が証言
36人が死亡した2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第13回公判が23日、京都地裁であり、最大の争点である刑事責任能力の審理が始まった。起訴前に精神鑑定を行った医師が出廷し、青葉被告には当時妄想があったが、犯行に与えた影響は限定的だったと述べた。 出廷したのは大阪赤十字病院精神神経科の和田央医師。20年6~12月、検察の捜査記録を元に、青葉被告に計25回話を聞き、家族らの聞き取りも行った。 鑑定結果は「妄想性パーソナリティー障害」だった。和田医師は、幼少期の虐待などの経験によって、極端に他人のせいにする傾向▽自分は特別だという誇大な自尊心▽攻撃的態度――といった青葉被告の性格が形成されたと指摘した。 青葉被告は京アニのコンクールで落選した自身の小説から、京アニがアイデアを盗用したと主張している。和田医師はこの主張を「妄想」としたが、「犯行対象に京アニを選んだ点は被害妄想が影響したが、それ以外に影響はほとんど認められない」と述べた。 その理由として、小説が落選… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル