憲法53条に基づいて野党が臨時国会の召集を求めたのに、2017年当時の安倍晋三内閣が約3カ月間応じなかったのは憲法違反にあたるかが争われた3件の訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(長嶺安政裁判長)は23日、判決期日を9月12日に指定した。二審判決を変えるのに必要な弁論を開かないため、違憲だと主張して国に賠償を求めた野党議員の請求を退けた一、二審の結論が維持される見通し。 憲法53条は、衆参いずれかの議員の4分の1以上の求めがあれば、内閣は臨時国会の召集を決めなければならないと定める。岡山、那覇、東京の3地裁で起こされた一連の訴訟では、那覇、岡山地裁が「内閣は臨時国会を召集する法的義務を負う」との判断を示す一方、3地裁とも内閣の対応が違憲かどうかは判断せず、国会議員個人の権利侵害にはあたらないなどとして請求を退けた。控訴審でも維持されたため、議員側が上告していた。 野党は2017年6月22日、森友・加計学園問題の審議のために臨時国会の召集を求めたが、召集されたのは98日後の9月28日だった。野党議員が18年、国に慰謝料などを求めて3地裁で提訴した。(遠藤隆史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
女性科学者の先駆け、丹下ウメさんの墓 「墓じまい」から一転存続へ
理科系の女性研究者のパイオニアといわれる科学者・丹下ウメ(梅子)の墓が移築され、21日に埼玉県新座市の平林寺で法要が営まれた。もともと同寺の墓地にあり、昨年親族が「墓じまい」したが、各地の研究機関や親族などがお金を出し、存続することになった。 丹下は、1873(明治6)年に鹿児島で生まれた。1913(大正2)年、入学対象者を男性に限定していなかった東北帝国大学(現・東北大)に、他の2人の女性とともに入学した。 卒業後、米国のスタンフォード大やコロンビア大などで栄養化学を研究。理学博士となり、帰国後は現在の日本女子大の教授になった。東京帝国大から農学博士の学位も受け、理系で活躍する女性の「元祖」「パイオニア」と呼ばれる。 55年に81歳で亡くなり… この記事は有料記事です。残り264文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海自鹿屋航空基地で米軍の無人偵察機がオーバーラン、けが人なし
板倉大地 仙崎信一2023年8月23日 14時08分 22日午前11時ごろ、海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)で、米軍が運用する無人偵察機「MQ9」1機が滑走路をオーバーランした。九州防衛局によると、けが人はいない。 MQ9は着陸時に地上設備に接触し、滑走路脇の草地に止まったという。状況を確認するため、午後2時15分ごろまで滑走路を閉鎖した。 鹿屋航空基地では、昨年11月から米軍のMQ9の運用が始まった。中国の海洋進出を念頭に、南西方面の警戒監視を強める狙いがある。 防衛省の資料によると、MQ9は全長約11メートル。航続距離は約8520キロで、滞空時間は約32時間。 地元の鹿屋市によると、九州防衛局の現地連絡所から22日午前11時半ごろに連絡があった。昨年11月に運用が始まって以来、無人機の事故は初めてといい、市は防衛局に原因究明と再発防止、米軍からの迅速な情報提供を求めた。(板倉大地、仙崎信一) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
男2人は面識なし、本名知らず つながりは「恒心教」 ファクス脅迫
東京音楽大学(本部・東京都目黒区)に爆弾を仕掛けたという内容のファクスを送って業務を妨害したとして、20代の男2人が警視庁に逮捕された事件で、2人が互いに会ったことはなく、本名も知らなかったとみられることが捜査関係者への取材でわかった。SNSなどで事件に関するやりとりをしていたという。 警視庁は23日、無職の大熊翔(26)=埼玉県草加市=と東京農工大大学院生の佐藤直(22)=東京都小金井市=の両容疑者を威力業務妨害容疑で逮捕したと発表した。逮捕は大熊容疑者が8月2日、佐藤容疑者が同3日。 捜査関係者によると、2容疑者は昨年秋ごろ、ツイッター(現X)の相互フォローをきっかけに知り合った。その後、SNSなどを使って連絡を取り合っていた。互いの自宅に何らかの物を送り合った記録も確認された。ただ、実際に対面で会ったことはなく、互いの本名は知らなかったという。 警視庁は、2人がコンピューターについて一定の知識をもっており、SNSなどで連絡を取り合いながら、事件を起こしたとみている。調べに対し、2人とも容疑を認め、「恒心教を広めたかった」などと供述しているという。「恒心教」は特定の複数の掲示板を利用する人たちの行動について使われ、宗教性はない。 専門学校でパソコン学ぶ 最近の暮らしぶりは 大熊容疑者は、高校を卒業し… この記事は有料記事です。残り670文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
らしさが薄れる大阪の「リトル沖縄」 次世代に歴史伝える2世の願い
「リトル沖縄」と呼ばれる大阪市大正区。戦前から沖縄出身者が多く暮らし、住民の4人に1人が沖縄にルーツをもつとされる。今や沖縄移民も3世が中心となり、「沖縄らしさ」は薄れつつある。それでも次世代に思いや文化を継承しようと模索する、大正区のウチナーンチュ(沖縄人)らを取材した。 黄色が鮮やかな着物を身にまとい、三線の音色に合わせ、糸を巻き取るようなしぐさでゆったりと舞う。 沖縄からの移民3世である川端英子さん(47)は毎週水曜、大正区平尾にある琉球舞踊の教室に通う。 大正区で生まれ育ち、10年ほど前から本格的に習い始めた。いま稽古する古典舞踊「綛掛(かせかけ)」は、沖縄の女性が糸を紡いで、着物に仕立てるまでを表現した舞だ。 「子どもの頃から自然と舞踊に触れてきて、『沖縄』の感覚がリズムのように体や頭の中に残っているんです」 教室で約20人を指導する師範の上間照美さん(74)は親が沖縄生まれの移民2世。琉球箏(こと)を弾いていた母親の影響で、20歳のころに舞踊を始めた。「琉球舞踊は沖縄の古典文化の象徴。日本文化でいえば、能のようなものです」 上間さんは2016年、地域に残る琉球舞踊の他流派の師範らとともに「大正琉球舞踊協会」を立ち上げた。今は副会長を務め、「踊りや文化という形で、大正に『沖縄』を残したい」と話す。 家の門柱に置かれたシーサー、商店街で流れる沖縄歌謡、「沖縄そば」と大書した店先の看板……。大正区では街のあちこちで沖縄由来の風景と出会う。 区役所そばにある4階建ての建物は大阪沖縄会館。玄関脇では沖縄料理店が営業し、琉球箏や民謡の稽古場にも使われる。「大阪沖縄県人会連合会」の事務所もある。 事務局の中村和文さん(60)によると、傘下である大正沖縄県人会の会員は現在約400人。10年ほど前は約700人いたが、1世の高齢化に伴って減っているという。「2世以降が会員になるかどうかは、家ごとの判断になる。ウチナーンチュを名乗り続ける人は半数くらいちゃうかな」 元私立高教員の金城宗和さん… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「お姉ちゃんにもらった命…」神戸空襲語り継いだ女性、託したバトン
今年、兵庫県の郷土研究雑誌「歴史と神戸」に一人の女性が特集された。2021年に75歳で亡くなった中田政子さん。市民団体「神戸空襲を記録する会」の代表として、太平洋戦争末期の神戸空襲を語り継いできた。活動の心のよりどころとなったのは、ただ一度の出会いも果たせなかった、姉の存在だった。 7月末、雑誌特集を記念して兵庫津ミュージアム(神戸市兵庫区)であったシンポジウム。同ミュージアム名誉館長で、雑誌に寄稿した田辺眞人さん(75)は中田さんをこう評した。 「思想的にも党派的にも偏らない、普通の市民の立場だった。空襲の記録づくりにあまり熱心でなかった神戸市役所を説得して、協力者にした功績は大きい」 中田さんは終戦直後の1945年9月生まれ。同年3月17日の神戸空襲の時にはまだ、母親のおなかのなかにいた。 母親は、兵庫区の大輪田橋で爆風に飛ばされて大やけどを負い、左手と両足首にケロイドが残った。 医師からは「おなかの子ども… この記事は有料記事です。残り814文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「殺しまくってやる」試験前の脅迫FAX、教職員は避難を呼びかけた
東京音楽大学(本部・東京都目黒区)に対して、爆弾を仕掛けたという内容のファクスを送って業務を妨害したとして、無職大熊翔(26)と東京農工大学大学院生の佐藤直(22)の両容疑者が威力業務妨害容疑で逮捕された。同様のファクスは最大で30万件超に送られた。ネット上で力を誇示する目的とみられるが、事件では、現実世界で大きな被害が出た。 「大学に高機能爆弾(TATP)を334個仕掛けたナリ」。東京音楽大学にファクスが届いたのは1月23日、月曜日の午前中だった。 文書には「今日の14時までに下記の口座に30万円払わないと仕掛けた爆弾が起爆」「死にたくなかったら今すぐ金を振り込む、それはできるよね?」と書かれていた。 警察官と約30分かけ捜索→午前9時過ぎに休講→再び巡回 キャンパスは東京都目黒区と… この記事は有料記事です。残り1376文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「涼宮ハルヒ」イラストレーター 加古川市の「かこの」をデザイン
高橋孝二2023年8月23日 12時12分 「涼宮ハルヒ」シリーズなどで知られる兵庫県加古川市出身のイラストレーター、いとうのいぢさんが21日、加古川観光大使に就任した。 いとうさんは人気ライトノベル「涼宮ハルヒ」シリーズや「灼眼(しゃくがん)のシャナ」の挿絵を担当。地元の魅力を発信してもらおうと、市と加古川観光協会が委嘱した。 9月3日まで開催中の作品展「いとうのいぢ展 ぜんぶ!」の会場、加古川総合文化センター(同市平岡町新在家)で委嘱式があり、岡田康裕市長らから委嘱状などが手渡された。いとうさんは「まさか大使に、という気持ちが大きい」と驚きを隠せない様子だった。 今回の作品展に合わせ、いとうさんが加古川市をイメージして描きおろした少女のキャラクターの名前も発表された。センターの募集に応募のあった316点の中から、いとうさんが「かこの」を選んだ。いとうさんは「平仮名で分かりやすいし、かわいらしい」と話した。(高橋孝二) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「最後までわからず、ドラマチック」 天皇ご一家、高校野球を語る
第105回全国高校野球選手権記念大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)は23日、決勝を迎える。静養のため、栃木県那須町の那須御用邸を訪れている天皇ご一家が高校野球への思いを語った。 第70回大会で登板 1988年8月、第70回大会の始球式。天皇陛下(当時は浩宮さま)は、皇族として初めて甲子園球場のマウンドに上がった。 ワイシャツにネクタイ姿で投じたボールは、惜しくも捕手の前でワンバウンドに。しかし約5万人の観衆からは大きな拍手が送られた。 今月21日に那須御用邸で取材に応じた陛下は、高校野球に話題が及ぶと、「(常総学院2年生だった元プロ野球選手の)仁志(敏久)さんがバッターで投げたんですが、ワンバウンドでした。すごく緊張しました。すごく良い思い出です」と当時を振り返った。 すると皇后さまが「意外とマ… この記事は有料記事です。残り813文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
爆破予告の「恒心教」とは 掲示板のサーバーは海外、緩いつながり
大学に爆破予告のファクスを送ったとして、警視庁が20代の男2人を逮捕した。特定の人物への嫌がらせを繰り返し、全国各地へ爆破予告を繰り返す。「恒心教」を名乗ったこうした行為は近年、深刻さを増していた。 ネット上で「恒心教」を名乗るなどし、掲示板への書き込みやメールで爆破や殺害を予告するといった事件は以前から相次ぐ。警察幹部によると、関連するとみられる事件は各地で頻繁に起きているが、捜査は発信元の匿名化といった壁に阻まれ、摘発に至る例は少ない。捜査幹部は「実行者にどういうつながりがあるのか、実態はつかめない」と話す。 警察当局によると、2012年に、ある弁護士を標的に揶揄(やゆ)するなどした動きが始まりという。この弁護士は、ネット掲示板に書き込みをした人の個人情報がさらされた件で対応にあたっていた。揶揄する人たちは自らを「恒心教」と名乗り、弁護士らへの誹謗(ひぼう)、中傷などが相次いだ。 ウェブサイト乗っ取りや、サーバーハッキングも 自治体や学校などへの爆破や… この記事は有料記事です。残り1153文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル