ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏(2019年死去)の性加害問題について、透明な捜査と被害者の実効的な救済の確保の必要性に言及した、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の声明が4日、公表された。作業部会メンバー2人が日本政府と企業の人権をめぐる義務や責任についての調査を終えたとしてこの日、日本記者クラブで会見した。 会見に臨んだのは、先月24日から日本を公式訪問していた作業部会の議長のダミロラ・オラウィ氏と委員のピチャモン・イェオパントン氏。 被害を訴える元ジャニーズJr.や事務所関係者らから聞き取りをしたことを明らかにし、声明では「ジャニーズ事務所のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と記述。「日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている」ともした。 透明な捜査と被害者の実効的救済を さらに、政府や関係企業が対策を講じる気配がなかったとして、「政府が主な義務を担う主体として透明な捜査を確保し、謝罪であれ金銭的な補償であれ、被害者の実効的救済を確保する必要性」があることを示唆。事務所の特別チームによる調査については「証言によると、透明性と正当性に疑問が残っている」と指摘した。 また、人権を守るためには… この記事は有料記事です。残り963文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
秋本議員への資金、発電会社側が賄賂性否定 「馬主組合に提供した」
自民党衆院議員の秋本真利・前外務政務官(47)=比例南関東、当選4回=が風力発電会社「日本風力開発」(東京都千代田区)側から3千万円近い資金提供を受けたとされる問題で、東京地検特捜部は4日、東京・永田町の衆院第1議員会館の事務所や千葉県佐倉市の地元事務所を、収賄容疑で家宅捜索した。秋本氏は4日付で外務政務官を辞任し、党幹部に離党する意向を伝えた。 関係者によると、特捜部は秋本氏について、日本風力開発の社長から複数回にわたって計約3千万円を受け取ったとみて捜査。政府が「再エネ海域利用法」に基づいて促進する洋上風力発電事業をめぐり、青森県の「陸奥湾」区域などへの参画を目指す同社に有利な国会質問をした謝礼などとして受領した賄賂が含まれるとみて、強制捜査に踏み切った。 会社側「馬主組合への資金」と説明 一方、同社社長の弁護人は4日、報道陣への説明の場を設け、資金の賄賂性を否定した。 弁護人によると、秋本氏と社長は馬主仲間で、競走馬を保有する馬主組合「パープルパッチレーシング」を2021年秋に設立した。出資割合は秋本氏名義が45%、社長の知人名義が45%、秋本氏の知人名義が10%だという。 社長は21年10月~23年6月に二十数回、秋本氏の求めに応じる形で、馬の購入代や餌代、厩舎(きゅうしゃ)代として、資金を組合口座に送金したほか、牧場などの取引先にも組合名義や社長名義で振り込んだ。秋本氏に現金で渡したこともあり、一連の社長の負担分が総額で約3千万円になると説明した。 その上で、風力発電とは無関係の馬のための資金であり、提供先も「秋本氏個人ではなく、共同で運営する組合」と主張して賄賂性を否定した。 特捜部「便宜の見返り」とみて捜査 一方、関係者によると、特捜部は馬主組合は秋本氏が実質的に運営して口座も管理しており、社長が提供した資金は秋本氏個人にあてられたとみて捜査。趣旨にも風力発電事業で便宜を図るなどした見返りが含まれるとみて調べている。 この日の秋本氏の事務所に対する家宅捜索は4日午前11時ごろから順次始まった。地元事務所の捜索は午後5時半ごろまで続き、約10個の段ボール箱が運び出された。秋本氏はコメントなどは出さなかった。 秋本氏は12年に千葉9区から衆院に初当選し、前回21年選挙は比例復活で4選。自民党内で「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」の事務局長を務め、22年8月に外務政務官に任命されていた。日本風力開発は1999年設立で、国内外で風力発電の開発や運用を行っている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
教員の奨学金減免へ 文科省、概算要求方針 人手不足解消に
山本知佳2023年8月4日 18時30分 深刻化する教員不足を解消しようと、文部科学省が、教員の奨学金返還を減免するため、必要経費を来年度予算案の概算要求に盛り込む方針であることが4日、わかった。対象者や減免のための条件などは検討中で、月内に制度の大枠を固める。 文科省が公立小中高での教員不足の状況を各地の教育委員会に尋ねたところ、2023年4月始業日時点と前年同期を比べ、「悪化した」と答えた教委が4割に上った。23年度の教員採用試験では、全国12教委が、合格者数が採用見込みを割った。質の高い人材の確保に向け、文科省は教員の給与アップや学校の働き方改革の具体策について話し合っており、奨学金の減免も教員の待遇改善の一つと位置づける。 過去には、日本育英会(現日本学生支援機構)が、03年度まで、無利子の奨学金を借りた人を対象に、教員などの職に一定期間ついた場合、奨学金の減免を行っていた。この制度を廃止した理由について機構は、採用試験の倍率の上昇などから人材確保の役割が薄れてきていることや、公平性の観点を挙げている。(山本知佳) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
池袋のマンション強盗、男4人逮捕 押し入った1人は反撃受けて死亡
増山祐史2023年8月4日 18時38分 東京・池袋のマンションの一室に押し入って現金などを奪ったとして、警視庁は4日、職業不詳の永見俊義容疑者(44)=東京都江戸川区西瑞江4丁目=ら男4人を強盗致傷と住居侵入容疑で逮捕し、発表した。認否は明らかにしていない。 事件では、押し入ったうちの1人でモンゴル国籍の20代の男が現場で死亡した。居住者の反撃を受け、刃物で首を刺されたとみられるという。 捜査1課によると、4人は共謀して3月21日午前9時から11時半ごろ、東京都豊島区東池袋2丁目のマンション9階の一室に点検業者を装って侵入。いずれも中国籍の40代男性と30代女性の両手両足を結束バンドで縛り、現金約109万円やノートパソコンなどを奪った疑いがある。 同課は、永見容疑者が実行役で、逮捕された他の3人が運転役だったとみている。強盗グループには他にも死亡した男を含め少なくとも4人が実行役でいたとみている。 捜査関係者によると、死亡した男をのぞく3人のうち、日本人の40代の男は別の事件で逮捕された、残る2人はモンゴル国籍で、国外に逃亡したとみられ、警視庁は今後、国際手配をする方針だという。(増山祐史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ジャニーズ元Jr.ら「受け止めてもらった」 国連人権理の声明に
ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏(2019年死去)の性加害問題をめぐって、来日中の国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会のメンバーが被害者の救済を確保する必要性などに言及した声明を発表したのを受け、4日夕、被害を訴える元ジャニーズJr.らも日本記者クラブで会見を開き、思いを語った。 会見に参加したのは「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の7人。 代表の平本淳也さん(57)は「僕たちのメッセージがすごくストレートに(国連側に)伝わった。受け止めてもらった」と語った。別室で国連作業部会の会見を聞きながら、感極まって涙が出たという。 副代表の石丸志門さん(55)は「人類史上最悪の性虐待事件がようやく明るみに出た。日本のエンターテインメント業界、芸能業界、携わるすべての企業が救済措置をとる責任がある、と作業部会が言ってくれた」として、作業部会の声明を評価した。 さらに「(性被害は)過去に… この記事は有料記事です。残り395文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
整体店の女性客に不同意性行容疑 自称経営者を逮捕 警視庁が初適用
2023年8月4日 15時54分 同意を得ずに客に性的暴行を加えたとして、警視庁は、自称整体店経営の男(61)=東京都千代田区=を不同意性交容疑で逮捕し、4日発表した。7月13日の改正刑法の施行後、同容疑による警視庁の摘発が明らかになるのは初めて。 麴町署によると、逮捕容疑は8月上旬、自身が経営する千代田区内の整体店で、客の20代女性に性的な暴行を加えたというもの。男は正当な施術だとした上で、「同意があったと思っていた」と否認。女性は「驚きと恐怖で拒否することができなかった」と話しているという。 不同意性交罪は強制性交罪と準強制性交罪を統合したもの。暴行・脅迫や地位の利用など、被害者が同意しない意思を示すことを難しくさせた状態に乗じ、性的暴行を加えた場合に成立する。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国連人権理「被害者の実効的救済を」 ジャニー氏の性加害問題で声明
来日中の国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会のメンバーが4日、日本政府と企業の人権をめぐる義務や責任についての調査を終えたとして日本記者クラブで会見した。 ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏(2019年死去)の性加害問題について被害を訴える元ジャニーズJr.や事務所関係者らから聞き取りをしたことを明らかにし、「政府が主な義務を担う主体として透明な捜査を確保し、謝罪であれ金銭的な補償であれ、被害者の実効的救済を確保する必要性」があることなどを示唆する声明を公表した。 会見に臨んだのは、先月24日から日本を公式訪問していた作業部会の議長のダミロラ・オラウィ氏と委員のピチャモン・イェオパントン氏。 声明では、喜多川氏の性加害問題をめぐっては、被害を告白する人たちとの面談で「ジャニーズ事務所のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と記述。「日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている」とした。 さらに事務所の特別チームによる調査については「証言によると、透明性と正当性に疑問が残っている」と指摘。「あらゆるメディア・エンターテインメント企業が救済へのアクセスに便宜を図り、正当かつ透明な苦情処理メカニズムを確保するとともに、調査について明快かつ予測可能な時間軸を設けなければならない」とし、日本の全企業に対して、虐待に対処するよう強く促すと訴えた。 作業部会メンバーの日本訪問は、日本政府と企業がそれぞれ人権上の義務と責任を果たすためにどのような取り組みをしているかを調査するのが目的だった。 2人は東京や大阪、愛知、北海道、福島などを訪れ、省庁や地方自治体、市民団体、労働組合、人権活動家、企業、業界団体代表などと会談。企業による人権侵害を防ぐための国の法制化に向けた取り組みのほか、技能実習生を含む労働者全般の搾取の問題や救済の仕組みなどについて聞いた。 喜多川氏の性加害問題は、その中の一つという位置づけで、被害を訴える元Jr.やジャニーズ事務所などの関係者らから話を聞いたという。 作業部会は来年6月に人権理事会に報告書を提出する予定。(編集委員・大久保真紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「むこうも生き物だから…」牛襲うヒグマ「OSO18」、見えぬ動き
【動画】北海道東部地域の標茶町と厚岸町では、牛を襲い続ける「OSO18」が猛威をふるう=古畑航希 一頭のヒグマが、今年もその姿を現した。牛を襲い続ける通称「OSO18(オソ)」。被害のあった北海道東部を訪ね回ると、オソが捕まらない背景が見えてきた。 牛を襲い続けるヒグマ「OSO18」。数年にわたって被害が出続けているのに、なぜ捕獲されず、実像すらつかみきれないのか。被害を受けた酪農家の話とともに、記事後半では専門家の見立てを詳しく載せています。 「むこうも生き物だから、しょうがないんだけどな」 標茶町上茶安別で酪農を営む男性(72)はそう言うと、悲しそうな表情を見せた。男性が牛を預ける牧場では6月24日午前9時過ぎ、放牧中の乳牛1頭が死んでいるのが見つかった。オソによる今年初めての被害だった。 これまでも、牧場でクマの姿や足跡を何度も目にしてきた。「うちらはヒグマと共存できてきた」。そんな自負があるだけに、被害を受けて複雑な思いを抱える。 標茶町と隣接する厚岸町の両町では、オソによる被害がこれまで66件確認された。死んだ牛は32頭にのぼり、畜産被害だけでも約2千万円を超える。 始まりは2019年7月16日。標茶町オソツベツ地区で、放牧中の牛が襲われ死んでいるのが発見されたことだ。8月に入ると、数日おきに牛が襲われた。 牛襲うヒグマ「聞いてことがない」 被害にあった牛は、9月18… この記事は有料記事です。残り2329文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【毎日更新】母の具合悪く家族の夕食を私が 1945年の今日、広島
学校でのできごと、友だちのこと、家族のこと、将来のこと――。 広島、長崎に住む10代の若者3人が、それぞれの何げない日常をしたためた日記があります。 1945年8月、「あの日」までの日々。毎日、1日分ずつ紹介していく予定です。 ■■■1945年8月4日(土)■■■ 暑い中の農園作業、母の代わりに家事、映画鑑賞…それぞれの土曜日を過ごします。 今日も、農園の作業であった。昨日と同じように暑かったが、我慢して一生懸命にやった。 帰宅途中、桟橋で帽子を海に飛ばした。目の前で揺れているのだが、とれなかった。折角(せっかく)、母が買って下さったのにと思うと、残念でならない。どうも気持ちが面白くない。 母が義勇隊の勤務奉仕に行くので、私も早く起きて手伝いをし、出て行かれた後の整理をして学校に行った。 Pさんはじょうだんばかり言って、人を怒らせては笑っておられた。私とはどうも性が合わないらしい。 悲しいかな、私の親友、姉となって導いてくれるお友達は一人もいない。私は悲しい。私は姉があって、私を少し叱って下さったら、もっともっとよい子供になれるのではなかったろうか。 母はいないので寂しいなと思って家にかえると、祖父が「お母さんは具合が悪くてかえったよ」とおっしゃったので、すぐ行って見ると、ねておられた。少し不安な気がした。そのうちに産婆さんを呼んで体をみてもらっておられた。私はいそがしくていそがしくてたまらない。夕食は完全に私がこしらえた。母はおいしいおいしいといって下さったので、うれしかった。 昨日に続く悪天候だ。今日も9時から校内清掃作業だった。余などの分隊は薬専の倒壊電柱の復旧に当たる。3時に終わって帰った。 天候が明るかったところが早速途中で空襲警報がでた。先日の被爆ですっかり慌ててしまって市中待避にごった返している。こんなことでは駄目だ。まだ始まったばかりなのに。 夜、富士館に「東海水滸伝」を見に行った。面白かった。帰途警戒警報が出た。ちょうどすんだ後でよかった。 記事の後半では、冒頭の日記を書いた森脇瑤子さんのスナップを、研究者の協力を得てカラー化した写真の数々を紹介しています。 この日の広島・長崎 広島 最高気温30.5度… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「平和は足元から」 川沿いに花を植え始めた男性の思い、花開いた
夏の日差しが照りつける7月下旬の土曜日。長崎市を流れる浦上川のほとりに、大人から子どもまで、約70人が集まった。おしゃべりをしながら、色とりどりのマリーゴールドを植えていく。活動は1人の男性から始まり、約10年間続いている。 県営野球場そばの河川敷。花を植え始めたのは池田早苗さん(故人)だ。78年前の8月9日、同市西郷(現・江里町)の自宅から5キロほど西に離れた福田村手熊郷(現・長崎市手熊町)へ買い出しに出かけ、爆心地から2キロほどの距離で被爆した。 自宅に戻ると、6歳の妹は真っ黒焦げになっていた。弟2人と妹、姉も被爆後相次いで亡くなり、きょうだいで生き残ったのは自分だけだった。脱毛や原因不明の体調不良に悩まされた母や、父も約10年後に亡くなった。 原爆への怒りを原動力に、平和活動に取り組んだ。長崎原爆被災者協議会(被災協)では長年理事を務め、2001年には平和祈念式典で「平和への誓い」を読み上げる被爆者代表に選ばれた。「戦争が憎い、原爆が憎い、核兵器が憎い」。家族を奪われた怒りを、そう強く訴えた。 それから13年後、池田さんは1人で花を植え始めた。あの日、水が見えないほど死体でいっぱいだった浦上川。「平和なところにしか花は咲かない。平和は足元から」。娘の佐藤直子さん(59)にそう話していたという。 活動は被災協を通じて広がり、恒例行事になった。池田さんは自宅で花の株を増やし、19年5月に86歳で亡くなる数年前まで毎日川沿いに通った。近くの高校の生徒や県外の被爆2世にも広がり、今年は過去最多の約70人が集まった。 佐藤さんも毎年参加している。「一般市民の方や学生の方も参加してくれる、この思いが平和につながっていくのかなと思う。父の思いが広がっていることを感じています」 浦上川のほとりには今年も、池田さんが大好きだった花が鮮やかに咲いている。(寺島笑花) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル