700年近い歴史を持つ三重県の無形民俗文化財「上げ馬神事」。今年は「動物虐待だ」といった批判が殺到し、来年からは内容の見直しを迫られる事態となった。動物愛護の意識が高まる中、伝統のありようが問われている。 闘犬にハブ対マングース…消えた伝統も 上げ馬神事は同県桑名市の多度大社で例年5月に開かれる。若者が馬に乗って坂を駆け上がり、高さ約2メートルの土壁越えに挑む。その成否で農作物の出来を占う。 一方で、近年は「動物虐待」といった批判を受けてきた。馬を興奮させるための薬物の使用をやめたり、土壁の高さを低くしたりといった改善策が講じられてきた。こうした中、4年ぶりの開催となった今年、坂の途中で馬が転倒して骨折し、殺処分された。 伝統文化と動物虐待を巡る問題は、動物の取り扱いを初めて法制化した半世紀前から焦点となっていた。 動物保護法の立案時(1973年)の国会審議ではハブとマングースの格闘や土佐の闘犬などが虐待に当たるかどうかの質疑があり、いずれも「歴史的な意味がある」といった理由で「該当しない」との趣旨の答弁がなされた。 その後、動物愛護の意識の高まりとともに法改正が重ねられた。現在の動物愛護法に名称が変更され、厳罰化も進んだ。虐待の定義も明確になり、立案時は違法性はないとされながら姿を消した伝統もある。 土佐の闘犬はその一つだ。高知市によると桂浜公園内の「とさいぬパーク」が2017年に閉鎖されて以降は行われていない。20年の法改正で外傷が生じる恐れのある行為をさせれば虐待に当たる恐れがあると明記されたためだ。沖縄県などで観光名物だったハブとマングースの格闘も今はみられない。同県によると、サミットが開催された00年前後に、闘わせない内容への変更を促す助言指導を主催者側に行ったという。 時代の変化に「変えられる部分は変えつつ…」 続く模索 一方、時代に合わせた対策を講じることで承継を進める伝統もある。新潟県小千谷市で行われている国の重要無形民俗文化財「牛の角突きの習俗」だ。江戸時代の小説「南総里見八犬伝」に記述があるなど長い歴史を持つ。牛がぶつかり合う闘牛の一種だ。 こうした動物同士を闘わせる… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海自幹部で相次ぐパワハラ処分 「耐えて当たり前」の空気どうなくす
海上自衛隊で上から2番目の階級にあたる海将補の男性3人が今年5~7月、パワハラで処分を受けた。一握りの幹部の間で相次ぐ不祥事に危機感が高まる一方、組織の体質に原因があるとの声も上がる。防衛省はハラスメント対策に力を入れているが、専門家は取り組みの実効性を高める必要があると指摘する。 「お前はバカか」 部下に対してそんな暴言を繰り返したとして、防衛省は6月、50代の男性海将補を停職3日の懲戒処分にした。 処分された海将補を知る防衛省関係者は「日頃から横暴な振る舞いが目に余っていた。理不尽な仕事を命じることも多く、職場全員が疲弊しきっていた」と明かす。 他の海将補も処分を受けている。大声を出したり机に資料をたたき付けたりしたとして減給1カ月(5月)▽「無能なんですか」「あなたが機能しているとは思えない」などと発言したとして停職2カ月(7月)。昨年12月にも、「バカ」などと発言する部下を止めなかったとして、海将補が1佐に降任された。 疲弊する職場、共通する「釈明」 共通するのが、組織や部下を… この記事は有料記事です。残り1713文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
省エネ家電の補助金申請システムがダウン、アクセス殺到で 相模原市
三木一哉2023年8月2日 8時03分 【神奈川】相模原市は1日に受け付けを始めた市民向け「省エネ機器更新促進補助金」の事前登録ウェブサイトにアクセスが殺到し、システムがダウンしたと発表した。市民1人の個人情報が後から登録しようとした他の人にも表示される状態となり、市はこの市民に連絡を取り、謝罪したという。 市によると、午前9時の受け付け開始直後から「登録システムにアクセスしにくい」「登録の書式に入力後、送信ボタンを押すと画面が白くなり、登録できない」との電話が多数入った。9時半ごろ、「自分とは異なる人の情報が登録の書式に表示される」との電話も入ったという。市は9時52分に受け付けを中止。原因を調べている。 システムは東京都内の業者が設計し、同時に最大1千人のアクセスが可能だったが、それ以上のアクセスがあったとみられる。再開は未定だが、2日午前9時に見通しを告知する予定。 制度は、エアコン、冷蔵庫、ガスストーブなど対象となる12品目の製品の買い替えで市から3分の1(最大5万円)の補助が受けられる。ウェブサイトで事前登録が必要で、予算に達したら終了する。 8月1~31日、11月1~30日の2回に分けて受け付ける予定だった。エネルギー価格の高騰を受けて、家庭でのエネルギー費用の負担を軽減し、温室効果ガスの排出量削減の一石二鳥をねらった事業で、予算額は約4億円。(三木一哉) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コミュニティFM制作の講談風ドラマ「弁慶記」 全国トリプル受賞
勝部真一2023年8月2日 8時30分 和歌山県田辺市の地域ラジオ局「FM TANABE(田辺)」が2022年に制作・放送した講談風大河ラジオドラマ「弁慶記」が、優れた放送番組を表彰する第49回放送文化基金賞ラジオ部門の最優秀賞に選ばれた。 放送文化基金賞では、同局の大﨑健志さんが「企画・演出・脚本賞」も受賞した。また、弁慶記は放送文化向上に貢献した番組や個人らを表彰する第60回ギャラクシー賞のラジオ部門でも、大賞に次ぐ優秀賞に輝いている。 弁慶記は、田辺市出身とされる武蔵坊弁慶の生涯を描いたオリジナル作品。1話約10分、全60話を昨年3月から5月に放送した。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込む地域を元気にしたいと制作。講談師の玉田玉山さんを語り部に、プロの声優らがメインキャストを務め、地元住民約70人も「声優」として参加した。中学校の吹奏楽部や地元の音楽隊も演奏で協力した。審査員からは「地域一丸で作り上げた大作」と評価されたという。 7月下旬、制作スタッフ4人が田辺市役所を訪問し、真砂充敏市長に受賞報告をした。市長は「田辺市にとっても名誉なこと。弁慶と田辺のかかわりについて、さらに全国に知ってもらえる」と話した。大﨑さんは「参加してくれた人や支えてくれた人、聴いてくれた人。そういった地元のみなさんのおかげ。これからも地元の人の力になるよう取り組んでいきたい」と話していた。 弁慶記の全話は「FM TANABE」の公式ユーチューブで聴くことができる。(勝部真一) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
DV被害者住所、加害者に交付 システム処理失念、町田市係長を戒告
堀川勝元2023年8月1日 20時30分 DV(家庭内暴力)被害者の転居先の現住所が書かれた書類を、加害者に交付しないようにするためのシステム上の処理を失念し、被害者の現住所が書かれた戸籍の付票を、窓口の担当者が加害者に交付する原因を作ったとして、東京都町田市は40代係長を戒告処分にしたと発表した。被害者はその後、再転居が必要となったといい、市は今年5月、被害者に転居費用や慰謝料計69万円を支払ったという。 処分は7月28日付。市の説明では、被害者は昨年11月8日、住所が書かれた書類を加害者に交付しないよう求める「支援措置」を市に申し出た。係長は住民票については加害者に発行しないための処理をしたが、戸籍の付票に関しては失念した。翌9日、加害者から付票交付の申請があり、窓口担当者は渡したという。 加害者は12月7日、被害者の住民票の交付を申請。市側はその際、11月の申請時に戸籍の付票を渡したことに気づいたという。市はその日のうちに被害者に謝罪。加害者からの接触など、交付に伴う直接的な被害はなかったとしている。市職員課の長谷川俊担当課長は「特に慎重に扱うべき情報と認識している中で事故を起こしてしまい、被害者に申し訳なく思う。二度と起こらないようにしたい」と話した。(堀川勝元) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「川で作業員が流された」通報、下流で遺体発見 大雨警報の川崎市
阿部育子 手代木慶2023年8月1日 20時41分 1日午後1時40分ごろ、川崎市多摩区生田8丁目の五反田川で「男性が流された」と、川で護岸工事をしていた男性の同僚から119番通報があった。多摩署や市消防局が捜索し、約3時間半後に約5キロ下流の高津区久地3丁目の平瀬川で男性の遺体を発見した。 神奈川県などによると、死亡したのは東京都小平市の三浦直哉さん(33)で、当時作業員4人で現場で作業をしていたという。局地的な雨で川が急激に増水し流された。川崎市ではこの日午後1時半すぎに大雨警報が出され、同4時40分に注意報に切り替わった。(阿部育子、手代木慶) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
教団の教会での選挙報告が動画に 原田義昭氏以外に自民候補4人の名
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側から長年、選挙の際に支援を受けていたことを朝日新聞の取材に明らかにした自民党の前衆院議員で、元環境相の原田義昭氏(78)が落選した21年10月の衆院選については、地元・福岡にある教団の教会内で「報告」の場が持たれていた。その様子を収めた動画がインターネット上に出回り、朝日新聞も入手した。 動画は21年11月1日、久留米家庭教会(福岡県久留米市)で撮影されていた。男性が冒頭「選挙の応援、本当にありがとうございました」などと礼を言ったあと、約12分間、自分たちが「関わっていた選挙区の報告です」と結果や反省点を説明。「皆様が時間を割いて、本当に朝から夜まで電話かけに参加していただいた」とねぎらった。 報告では、原田氏以外の自民党候補者名も、出た小選挙区とともに挙げられた。大分2区の衛藤征士郎氏、福岡6区の鳩山二郎氏、福岡7区の藤丸敏氏、佐賀1区の岩田和親氏の4人で、それぞれの得票数や当落などが伝えられた。 「選挙協力」の有無について議員の回答は 朝日新聞は、この4人にも教… この記事は有料記事です。残り445文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 旧統一教会問題 2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の問題に注目が集まっています。特集ページはこちら。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
工事の情報開示請求したら…国会議員秘書の番号から電話「撤回して」
福岡県田川市と大任町に公共工事などに関する情報公開請求をしたネットメディアの男性記者の情報や請求内容が外部に漏洩(ろうえい)した疑いがあることがわかった。男性のもとには、県選出の自民党衆院議員の男性秘書として登録していた電話番号から連絡があり、請求の撤回を求められたという。男性は1日、田川市役所を訪れ、村上卓哉市長に電話の録音データなどを提供。村上市長は調査する方針を示した。 男性は、福岡市内のネットメディア「ハンター」代表の中願寺純則氏(63)。2021年6月、大任町に「道の駅おおとう桜街道の整備に関する業者選定過程がわかる文書」、田川市に「ごみ収集運搬事業者の選定に関する文書」などを請求した。 中願寺氏によると、請求直後に電話があり、両市町への請求の理由などを聞かれたという。「びびりますよ。こんな情報開示請求したら」「なんとか、これはなかったことにしてほしい」「業者選定がわかる文書、(中略)この辺は全部ピンポイントで出さないといけないんですか」「『適切に処理している』みたいな回答というわけにはいかないか」などと言われたという。 中願寺氏が「大臣が気にして… この記事は有料記事です。残り399文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福岡県警、密漁係の非常勤職員を覚醒剤使用容疑で緊急逮捕
2023年8月1日 21時14分 福岡県警は1日、県警大牟田署生活安全課の非常勤職員加藤大喜容疑者(36)を覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで緊急逮捕し、発表した。容疑を認めている。 監察官室によると、加藤容疑者は7月下旬ごろから今月1日までの間、県内などで覚醒剤を使用した疑い。同日、同県筑後市内の自宅で任意の尿検査を受け、陽性反応があった。 今年に入り、外部から県警に情報が寄せられ、内偵捜査をしていた。県警は覚醒剤の入手経路を調べる方針。 加藤容疑者は昨年4月、特殊業務用船舶職員として採用され、同課密漁係に所属し、有明海の密漁を捜査する船舶の操縦や点検を担っていた。 監察官室の桐原哲夫首席監察官は「警察職員としてあるまじき行為。事実関係を明らかにし、厳正に対処する」とコメントした。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日大アメフト部、大麻めぐり調査 大学、部員らに聞き取り
上野創2023年8月1日 23時00分 日本大学(東京都千代田区)のアメリカンフットボール部で大麻をめぐる疑いが生じ、大学側が調査をしていることが1日までに分かった。日大広報課によると、部員らに聞き取りをしており、警察にも相談したという。 関係者から「アメフト部の寮内で大麻を使っている部員がいる」との情報提供が大学側にあったのが発端とみられる。日大によると、部員全員のほか、監督やコーチ、退部者も含めて聞き取りなどの調査を実施している。アメフト部の全体練習は控えている。先月22日には部の保護者会を開き、確認できている事実について説明したという。 日大アメフト部を巡っては、2018年の悪質タックル問題をきっかけに、上意下達の体質などを改めるなど改革が進んだ。また大学経営でも、前理事長が脱税事件で有罪判決を受けた後、作家の林真理子さんが理事長に就き、「新生日大」に向けて刷新を続けてきた。(上野創) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル