有料記事 聞き手・吉田純哉2023年7月14日 12時30分 「なんで学校に行かないといけないの?」。子どもは時々、素朴な疑問を口にします。 「どう受け止めるのか。大人が試されているんだよ」 絵本作家の五味太郎さんはそう話します。大人ができることって、どんなことでしょうか。 「知っているようなフリ、たちが悪い」 子どもには素朴な疑問がいっぱいある。フッと浮かんでくる。その疑問の中に、子どもが本当に言いたいことが含まれている。「なんで学校に行かないといけないの?」って聞くのは一番いい例。どう受け止めるのか。大人が試されているんだよ。 物事の根幹に迫るような質問ができるのは、10歳くらいまでじゃないかな。社会にはまだまだ無頓着で、個人でモノを考えている。「時間通り来なさい」「給食をきちんと食べなさい」なんて、社会の枠組みをじわじわと押しつけられていくけど、子どもには自分の疑問があるわけよ。 大人が、自分も分かっていな… この記事は有料記事です。残り1073文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
優先席に座った駐日ジョージア大使 SNSに投稿したら起きたこと
電車の優先席が空いていたら、座ってよいか、空けておくべきか――。 駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバさん(35)が先月、自身が優先席を利用する様子をツイッターに投稿したところ、SNS上で大きな議論を巻き起こした。 「見た目ではわからない障害をもつ人もいる」「自分から譲ってとはいいづらい」といった、やはり席は必要な人のために「空けておくべきだ」とする意見もある一方、レジャバさんの考え方に共感する意見もあった。出来事を通して感じた日本社会への印象を本人に尋ねた。 ――どんな状況で優先席に座り、ツイッターに投稿しましたか 6月18日、日曜日に家族と一緒に電車で移動していました。乗った電車は優先席以外が少し混んでいて、優先席は空いていたので家族と座りました。 普段からツイッターで身の回りの様子や日常のシーンを発信しています。投稿にあたって、窓に貼られた文言を読みました。「座ってはいけない」とは一言も書かれていませんでした。 「間違ったことはしていない」 写真は向かいに座っていた妻に撮ってもらいました。写真写りを考え、足を組んだバージョンを撮りました。「ゆらゆら都心へ進みます」という文言とともに、撮影後すぐに車内で投稿しました。 ――フォロワー数は、23万人超いますね。その日のうちに「優先席だぞ、そこ」「優先席に座るのは残念」といった反応もありました 予想しておらず、びっくりしました。間違ったことをしていないのに、どうして非難されなきゃいけないんだろうと。理解できませんでした。 ――優先席についてどのように考えていますか 席が空いているんだったら、座るのを我慢する理由は一つもない。堂々と座っていいと思っています。必要としている人が来たら、譲ればいい。それだけの話です。 ジョージアにも優先席はありますが、多くのジョージア人が同様に考えるでしょう。 ――どうして「座るべきではない」という意見があるのだと思いますか 最初からみんなが座らなければ、席を譲るという面倒な行動を誰も取らずに済むからではないでしょうか。 たしかに譲るのは目立ちます。「いいことをしている」と周りから見られるのが恥ずかしいという人はいるでしょう。隣の人が譲るのを期待して、優先席を必要としている方を見て見ぬふりをするといった連鎖が起こっている場合もあると感じます。 ――当日夜に投稿した内容も、反響を呼びました 「座るべきではない」は「リスク減らし」 「優先席に座っていることに関して注意を受けました。理屈のない不要な圧力は、生きづらい社会につながるためやめましょう。空いている席に座ることに何ら問題はありません。大切なのは、必要とする方が来たときに率先して譲る精神です」と書きました。 非常に反響があり、議論が生まれました。「優先席は座るべきではない」なんて支配的なルールは、仮に座って、必要とする方に自分が配慮できなかった場合の(心の負担という)リスクを減らしているに過ぎません。 ――どうして改めて投稿したのですか 私と同じように、SNSなどで意味のない圧力に苦しんでいる人が、他にもいるのではないかと考えたからです。全体からみると非難の数は少なくても、積み重なるとダメージは大きくなる。声を上げようと思いました。 ――もともと優先席について関心があったのですか あまり考えたことがなかったというのが正直なところです。今回は、自分の優先席に対する方針を考えるきっかけになりました。 譲るべき時に譲れるかどうか 妻にも聞いてみました。日本で妊娠していたり乳幼児を連れていたりした時に、譲られた記憶は一回もないと話していました。 ――優先席への考え方は、どうあるべきでしょうか 優先席かそうでないかにかかわらず、譲るべき時を察知して譲れるかどうかが、肝心なのではないでしょうか。 もし「優先席は座るべきではない」という自分なりのルールがあるのだとすれば、それはやさしさを促進させるためのものではない。だとすれば、人をむやみに束縛するものであってもならないはずです。 ――ルールを押し付けるような意見が出る日本社会をどう見ていますか 現代の日本社会を象徴していると感じました。人間同士のつながりが希薄になり、席を譲り合う時に生じるコミュニケーションを「面倒くさい」と敬遠しているんだと思います。 日本社会は、他人と違う決断をするのが非常に難しく、個性的であるのが良しとされないように感じています。一方で、その裏にある統一感のようなものは、合理性が高く、この社会の強さであると思います。でも、同調圧力を過剰なまでに押し付けるのはよくない。無意味な圧力に対抗できる強さを持ちたいです。(三井新) 識者は「議論にふさわしいテーマ」 千葉大学大学院の小林正弥教… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
候補生の射撃訓練、弾薬の扱い厳格化検討 陸自発砲事件から1カ月
岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で起きた隊員3人の死傷事件から14日で1カ月となる。逮捕された自衛官候補生の男(18)は当初、「銃と弾を持ち出したかった」と話したが、その後は黙秘に転じたという。動機と行動の落差が大きく、捜査当局は精神鑑定の実施も視野に捜査を続ける。 事件は射撃訓練中の6月14日午前9時過ぎに発生。無断で弾倉を銃に装着した男が、制止しようとした八代航佑2曹(25)の脇腹に発砲。その後、弾薬置き場にいた菊松安親陸曹長(52)の頭と背中に1発ずつ、原悠介3曹(25)の足に1発撃った。八代2曹と菊松陸曹長は死亡し、原3曹は重傷を負った。 男は八代2曹への発砲について「取り押さえられそうになったから」、菊松陸曹長と原3曹への発砲について「弾が欲しかったから」とそれぞれ供述したという。 事件後、防衛省は自衛官候補生の射撃訓練での弾薬の扱いを厳格化する方向で検討している。ただ、対策強化には限界があるとの声も省内にはある。 弾薬込め、異変に対処しやすい位置に 候補生の男は射撃訓練中、号… この記事は有料記事です。残り612文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
介護+美容=高齢者らの気分明るく 施術を同時に学び施設にも安心感
介護も美容も学んだ人たちが、各地で活躍している。高齢者施設などでメイクやネイルを施し、利用者の評判も上々だ。「介護美容」と称して担い手を養成するスクールは都市部で相次いで開校。化粧品会社が出資する団体も、人材を育成し、介護美容の普及に取り組んでいる。 「わあ、いっぱいあること」。住宅型有料老人ホーム「マザアス在宅ホスピス南柏」(千葉県流山市)に入居する中村秀子さん(75)は、多彩なメイク用品を前に目を輝かせた。 末期がんや難病の人々が暮らすこの施設では2年前から月に2度、「介護美容の日」を設けている。先月末のイベントで、中村さんを担当したのは都内に住む加藤雅(みやび)さん。緊張気味の中村さんの気持ちをほぐすように丁寧に対話を重ねながらメイクを施していく。 約30分の施術後、ウィッグをつけて記念写真も撮ってもらった中村さんは「やっぱりお化粧はいいですね。顔全体が明るくなった感じで、気分も明るくなります」とほほ笑んだ。 化粧を面倒がる祖母に「ならば私が」 介護美容の日には、引きこも… この記事は有料記事です。残り1347文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
発砲事件3カ月前、写真には満面の笑み 親友語る自衛官候補生の素顔
有料記事 米田怜央 渡辺杏果2023年7月14日 6時00分 岐阜市の陸上自衛隊射撃場で起きた銃撃事件から14日で1カ月。逮捕された自衛官候補生の男(18)は、なぜ犯行に及んだのか。友人らは真相解明を願っている。 入隊よろこんでいた友 「彼と話ができるなら…」 「ショックでした」。岐阜県内の男性(18)は容疑者の男が高校時代の親友だと知った時のことを振り返る。「当時の彼はクラスみんなと仲がよく、仲間内でムードメーカーのような存在でした」。銃撃事件と結びつくような性格ではなかったという。 初めての出会いは小学校のころ。中学校も同じだったが、男は不登校気味だったという。交流はほぼなく、「暗く少し変わった人」との印象だったという。いつしか中学を転校していた。 進学先の岐阜県の高校で再会を果たす。雰囲気の変わりように驚いた。かつて目元まであった髪は整えられ、快活さが印象的だった。 2人とも放送部に入り、親交… この記事は有料記事です。残り657文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
天下り資料か私的文書か 「まるでヤクザ」な人事介入、解明は道半ば
「現役職員の関わりはないと答弁した国土交通大臣の、残念ながら虚偽答弁の可能性を指摘せざるを得ません」 大型連休明け。国会では野党議員らが追及を強めた。 OBによる人事介入問題をめぐり、斉藤鉄夫国交相はそれまで「しっかり調査した。現役職員が関与しているという疑いは全くない」と答弁していた。 しかし連休直前、現役職員から問題のOBに、未公表の人事資料がメール送信されていたことが企業側の検証で明らかになっていた。 以降、「線引き」と呼ばれるその人事資料が、国会論戦の核になっていく。 線引きは、国交省の異動のたびに作られる内部資料だった。 氏名、入省年次、内示された異動先に加え、前任者と後任者が線でつながれ、人事の流れがわかるようになっている。 国家公務員法は、再就職を目的に、現役職員が職員やOBの職歴の情報を企業側に伝えることを禁じている。今回のことは法律違反に当たるのか――。 未公表情報の送信先は… 斉藤氏が初めて具体的に線引きについて答弁したのは5月12日の衆院国交委員会だった。 国土交通省OBの人事介入問題の実態や背景に、関係者への取材や入手した記録で迫るA-stories「令和の天下り」の10回目。現役職員からOBに送られていた人事情報はどのような経緯で誰に送信されていたのか。解明されていない点はなお残っています。 未公表の人事情報がOBに提… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
英語スピーキングテスト、IELTS運営団体に ベネッセは応募せず
東京都内の公立中学生を対象にした英語スピーキングテストで、都教育委員会は13日、次の運営事業者の候補に「ブリティッシュ・カウンシル(BC)」(本部・英国)を選んだことを明らかにした。同団体は英語検定試験「IELTS(アイエルツ)」などを展開しており、都教委の公募に唯一応じていた。今秋の3年生のテストまで運営する通信教育大手ベネッセコーポレーションは応募していなかった。 8月上旬までに正式決定する予定。同テストは、全国で初めて都教委が民間会社と共同実施した。今春から都立高入試の合否判定にも用いられ、ベネッセが運営を担った。 今回選ばれたBCは、今年度以降の1、2年生のテストと、来年度以降の3年生のテストを運営する。期間は2028年度まで。テストの受検者数は3学年で計約24万人となる。 都教委が募集要項で示した条件は、中学校の学習指導要領に準拠した問題を作成▽当面の間、22年度までと同様の出題構成を原則とする▽タブレット端末に解答音声を録音する形式▽周囲の受検者の解答で妨げられることがないよう受検環境を整備する――など。 BCが運営しているIELTSは、英語4技能を測るテストで、その結果は英国の大学進学などに活用されている。同団体によると、スピーキングは人同士が話をする形式だという。 都教委によると、大学教授らで構成する審査委員会が運営事業者を選考した。国内外で試験を実施した実績▽問題作成や採点・評価など安定した試験運営ができる基盤▽試験で使うタブレット端末を準備でき、安定的・継続的な事業運営が可能――などの点を「高く評価」したという。 BCは都教委を通じて、「英… この記事は有料記事です。残り316文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
博多祇園山笠 天神へ活気「集団山見せ」 15日早朝に「追い山」
太田悠斗2023年7月13日 20時55分 博多祇園山笠の期間中、七つの舁(か)き山が商人の街・博多から城下町・天神に一度だけ入る行事「集団山見せ」が13日にあり、沿道は見物客で埋まった。 七つの「流(ながれ)」それぞれの山笠(やま)が、福岡市博多区の大博通りに集結。「オイサ、オイサ」の掛け声をあげながら約1・3キロの道のりを駆け、天神地区に入った。多くの見物客が沿道で見守り、拍手や歓声を送った。 祭りは15日早朝の「追い山」でフィナーレを迎える。(太田悠斗) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東海道新幹線、また架線の金具破損 パンタグラフにからまり停電
細沢礼輝2023年7月13日 21時30分 JR東海は13日、東海道新幹線掛川―豊橋駅間で、架線の金具が折れて走行中の新幹線の屋根に落ちたことで、停電が起きたと発表した。 停電は12日午後0時25分ごろに発生。間もなく送電は再開された。 その後、同区間を走っていた下りの「ひかり」の屋根から長さ約65センチの棒状の金属部品が見つかった。列車に電力を送る「トロリ線」をつる部品「ドロッパ」で、静岡市内の架線で欠損しているのが確認された。何らかの原因で折れたドロッパが、ひかりのパンタグラフと車体に接触してショートしたと考えられるという。 JR東海は全線のドロッパを緊急点検し、折れた原因の究明を急ぐ。 東海道新幹線では昨年12月、トロリ線を支える金具が折れて架線が切れ、約4時間にわたって運転がストップした。(細沢礼輝) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
脱炭素な暮らし「デコ活」を 高橋尚子さんら国民運動の新愛称選定
環境省は13日、国が目指す2050年の温室効果ガス排出の実質ゼロに向け、脱炭素を意識した生活を普及させる新たな国民運動の愛称を「デコ活」に決めた。一般公募約8200件から、歌人の俵万智さんやシドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんら11人が選んだ。 脱炭素を意味する「デカーボナイゼーション」と「エコ」を組み合わせた新しい言葉だという。選定した高橋さんは「言いやすい言葉になった。カーボンニュートラルの実現に向けて、身近になれば」と話した。 デコ活は05年に提唱した「クールビズ」に続くことを狙い、脱炭素を意識した生活をすれば、光熱費削減などのメリットも得られることを強調した運動。昨年10月に環境省が「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」として打ち出したが、名称が長く、浸透しにくいとの声も出ていた。 例えば、電灯のLED化で年約2900円削減、省エネ性能が高いエアコンと冷蔵庫に買い替えると年約1・9万円削減、住宅の断熱化で年約9・4万円削減などと紹介。テレワークや自転車・徒歩の利用なども呼びかけている。 脱炭素につながる暮らしの例は環境省のホームページ(https://ondankataisaku.env.go.jp/cn_lifestyle/)から見ることができる。(市野塊) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル