根津弥2023年6月20日 9時59分 旧優生保護法(旧法、1948~96年)の下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、宮城県内の女性2人が国に損害賠償を求めている訴訟に関し、仙台高裁(石栗正子裁判長)は19日、6月1日に言い渡した控訴審判決の表記に「明白な誤り」があったと明らかにした。原告側弁護士によると、原告の義姉を誤って義妹と記していたという。 判決文を訂正する「更正決定」は15日付。高裁判決は旧法を違憲としつつ、不法行為から20年が過ぎると賠償請求権が消える「除斥期間」を適用し、女性2人の賠償請求を退けていた。 原告側弁護士によると、誤っていたのは除斥期間を適用する理由を説明した部分。判決は原告の60代女性について、母親が1975年ごろに義姉に「子どもができないように手術した」と伝えていたことなどから、「優生手術を受けたことを認識し得た」と認定。「(提訴の)機会がなかったとまではいえない」とし、賠償請求権は消滅済みだと結論づけた。 ところが、判決文ではこの義姉を誤って「義妹」と記していた。弁護団長の新里宏二弁護士は「判決の大事なところで、被害に対する理解が不十分であることを象徴している」と批判した。原告側は判決を不服とし、最高裁に上告している。(根津弥) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ネットで調べものする高齢者、5年で倍以上増え半数超 高齢社会白書
高齢者のうちインターネットで調べものをする人は半数を超え、この5年間で2倍以上に増えていることが、内閣府が20日に公表した2023年版の「高齢社会白書」で明らかになった。一方、高齢者の6割以上で人と直接会う機会が減っており、コロナ禍によるコミュニケーションへの影響も浮かび上がった。 調査は内閣府が22年度、65歳以上の男女4千人を対象に実施。ネットで「調べることがある」との回答は50・2%で、17年度の20・0%と比べて大幅に増えた。何を調べるか聞いたところ、「病気について」が最多の39・0%で、「病院などの医療機関」が30・1%、「薬の効果や副作用」25・1%と続いた。いずれも5年前から3~4倍程度増えた。 内閣官房の21年の調査によると、コロナ禍で人と直接会ってコミュニケーションをとることが「減った」とした人は61・6%。「増えた」は1・1%にとどまり、「変わらない」が34・9%だった。白書は「コロナ禍が非対面コミュニケーションのきっかけとなっている。ネットを活用した社会活動につながる可能性もある」としている。 2023年度版「障害者白書」も公表 内閣府は同日、23年版の「… この記事は有料記事です。残り123文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ジャニーズ陥れようとしている」 署名団体、実名さらされ誹謗中傷
ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年に死去)の性加害問題をめぐり、事務所に対して署名活動をした団体やメンバーに、誹謗(ひぼう)中傷が相次いだ。こうした問題に詳しい識者は、「タレント側の性被害を受け入れたくない」という一部のファン心理のほか、メンバーのこれまでの活動や賛同人に対しての敵対心などが背景にあるとみる。 事務所に署名を提出したのは、ファンら4人で作る「PENLIGHT(ペンライト) ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」。第三者委員会などの設置▽性暴力被害を訴えた人に対して事実を認め謝罪▽被害者支援――などを求め、4月からオンラインで署名を呼びかけた。事務所は外部専門家による「再発防止特別チーム」を設置し、被害の聞き取りや事務所の対応を検証するとしている。 発起人の高田あすみさん(仮名)は10年ほど前からジャニーズ事務所のタレントのファンで、これまでコンサートに遠征したことも数十回あったという。タレントを応援したいという気持ちと、性暴力は許せないという思いの葛藤に悩み、事務所に対応を求めて声を上げることが、二つの気持ちを両立させることになるのではと始めた署名活動だった。 ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐっては、被害を告白した元Jr.や署名活動をする団体に誹謗中傷が相次いでいます。記事後半では、署名団体のメンバーが活動を通じて伝えたかったことや、ネット上の誹謗中傷に詳しい専門家の意見を掲載しています。 しかし、ネット上には「ファ… この記事は有料記事です。残り1024文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ライバル同士が女性誌で語った気候変動 メディアは希望になれるか
メディア空間考 香取啓介 5月、気候変動報道にかかわる新聞記者を集めた座談会に参加した。 企画したのは、講談社の女性誌「FRaU」だ。同誌は、以前からジェンダーやSDGs(持続可能な開発目標)などのテーマも積極的に取り上げている。司会を務めたウェブ版の編集長、新町真弓さんは「いまを知ることは、ファッションやライフスタイルと同じぐらい、読者にとって大切だ」と話す。 ただ、気候変動は「誌面の記事をネットに切り出しても読まれない」と悩んでいた。それは新聞記者も同じだ。 気候変動の影響は将来にわた… この記事は有料記事です。残り916文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
戦後生まれの天皇、歴史との対話へ 保阪正康さん「命をかけた言葉」
有料記事 聞き手・多田晃子2023年6月20日 7時00分 皇后さまとともにインドネシアを訪問中の天皇陛下は20日、首都ジャカルタにあるカリバタ英雄墓地を訪れ、花を供える。 墓地には、インドネシア政府が国のために尽力したと認めた政治家、軍人、文官らを性別、宗教の別なく埋葬しており、同国独立のために戦った残留日本兵らも眠る。 戦後生まれの陛下は、戦争とどう向き合っていくのか。ノンフィクション作家の保阪正康さん(83)に聞いた。 「同時性」から「歴史性」へ ――戦後生まれの天皇陛下は、どのように慰霊と向き合っていくと思いますか。 天皇が即位してから、8月15日のおことばを始め、色んなおことばを検証してきた。 今の天皇は、平成の天皇の言葉をきちんと継いでいて、国民に「私は父、平成の天皇(上皇さま)のお気持ちを継いでいきます」と訴えていると感じる。 もっと言えば、「私の時代には私のやり方があるんです」ということも感じる。 実体験がない令和の天皇は、戦争とどのように向き合っていくことになるのでしょうか。保阪さんは天皇の言葉から「誠実さ」を感じると言います。 戦前生まれの平成の天皇は… この記事は有料記事です。残り2030文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
坂や壁の構造を改めるよう指導 三重県、上げ馬神事の主催者側に
山本知弘2023年6月19日 20時00分 三重県桑名市の多度大社で例年5月にある県無形民俗文化財「上げ馬神事」について、県は19日、動物愛護管理法に基づき、馬の取り扱いを改善し、坂や壁の構造を改めるよう主催者側を指導した。主催者側も改善に向けて具体的な検討を進めるとしている。 神事は、人を乗せた馬が坂を駆け上り、高さ2メートルの壁を越えられたかどうかで農作物の豊凶を占う。骨折した馬を殺処分することもあり「動物虐待でないか」とSNSなどで指摘されていた。 県や市、上げ馬を奉納する地区などでつくる「上げ馬神事事故防止対策協議会」の会合で改善を求めた。担当する県食品安全課によると、馬をロープでたたくといった行為をやめるよう求めた。坂や壁の構造に多数の意見が寄せられているとして見直しを提案したという。 県によると、直近約15年で神事に参加した馬のうち今年の1頭を含む4頭が骨折するなどして殺処分になっており、一見勝之知事も「頻度が多い」として、改善を求める考えを示していた。 多度大社の担当者は取材に対し「上げ馬の奉納団体とも協議を重ね、改善の方向で進めていきたい」としている。改善策をまとめ、来年の神事に間に合わせたいという。(山本知弘) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「豚が投げ出された」運送業者は救出へ走った 北海道のバス死亡事故
北海道八雲町の国道5号で都市間高速バスと豚を運ぶトラックが衝突した事故。負傷者らが病院に運ばれた後、現場に残されていた豚の救出にあたった男性(49)が19日、朝日新聞の取材に応じた。「豚が道路に投げ出されている」との一報を聞き「何かしなければ」と現場に急いだという。 救出にあたったのは運送会社「大雄陸運」(北海道苫小牧市)の八雲町にある営業所の従業員ら。ふだん、この近辺の家畜の運送を手広く手がけている。事故の当事者の会社とは、別の会社だという。 責任者の男性(49)によると、事故の一報はSNSなどを通じて知った。 「豚が外に出ているよ」 「なんで豚が飛び出るの?」 「車と衝突したみたい」… この記事は有料記事です。残り487文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
陛下、インドネシア語で「ありがとう」 「歴史にも思いをはせたい」
有料記事 ジャカルタ=多田晃子 半田尚子2023年6月19日 22時00分 インドネシアを公式訪問中の天皇、皇后両陛下は19日、ジャカルタ郊外のボゴール宮殿で国賓として歓迎行事に出席した。天皇陛下はジョコ大統領と会見し、ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)やプルイット排水機場に対する日本の協力に謝意を示され、「相互に学び合っていくことが重要だと思う」と述べた。 ボゴール宮殿に到着した両陛下は「ジャパン! インドネシア!」との掛け声とともに、色とりどりの民族衣装を着た人々や両国の国旗を手にした人々から歓迎を受けた。 ジョコ大統領「核のない世界が実現することを願っている」 会見では、大統領が5月の主… この記事は有料記事です。残り1055文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
11年の民家への発砲事件、容疑で指示役の工藤会幹部を逮捕
2023年6月19日 22時04分 福岡県福津市で2011年、建設会社に勤務する男性会社員宅に銃弾が撃ち込まれた事件で、県警は19日、指示役として特定危険指定暴力団工藤会の幹部を銃刀法違反(発射の禁止)などの疑いで逮捕し、発表した。 逮捕されたのは、工藤会傘下組織組長、内蔵成喜八容疑者(56)=同県直方市。県警は認否を明らかにしていない。 北九州地区暴力団犯罪捜査課によると、内蔵成容疑者は、11年5月6日午前1時35分ごろ、指示役として福津市内の被害者男性方前路上で拳銃を5発発砲し、男性宅の玄関ドアなどを壊した疑いがある。 当時、家族4人が就寝中だったが、けが人はいなかった。県警は暴力団排除に取り組む企業への報復目的で男性を狙ったとみている。 県警は昨年9月、この事件の実行犯として、工藤会系組幹部の竹内信二被告(58)と元幹部金森法文被告(57)を同法違反容疑などで逮捕。福岡地裁小倉支部はそれぞれに懲役8年と6年を言い渡している。 11年には、県内で事業者を狙った暴力団の犯行とみられる発砲事件が18件発生した。このうち9件が未解決となっている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アルコール検査忘れたまま機体整備 福岡発着のスカイマーク便に遅れ
角詠之2023年6月19日 22時30分 航空会社スカイマークは19日、福岡空港の60代の男性整備士が法令で義務づけられたアルコール検査を忘れて整備にあたっていたと発表した。この整備士が同日に担当した整備がやり直しとなり、福岡発着の計4便に最大2時間5分の遅れが出て約700人に影響があった。 同社によると、男性整備士はこの日朝、自宅を出る前と出社後に第三者立ち会いのもと自主的に検査をした。アルコールは検知されなかったが、作業前の法定検査を失念したまま、1時間以上にわたって整備を実施。その後、整備責任者が検査記録に記載がないのに気づいて発覚した。 洞駿・代表取締役社長は「お客様、ご関係の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことを深くおわびいたします」とのコメントを発表した。同社は今年2月、別の整備士が酒気を帯びた状態で機体の整備にあたり、記録を偽造していたなどとして懲戒解雇処分にしたと発表している。(角詠之) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル